プリキュアオールスターズ ~Mahjong for survival~   作:りろぶこん

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はてさて筆者自身も読めない展開になって参りました。
いつも通り多くは後書きで語るとしましょう。


第二話~信じる者は救われない・前編~

 目の前で人が二人死んだ。まだうら若き少女達にとっては生涯取り除けないトラウマになるだろう。

 だが少なくとも今現在は……『慣れ』てしまっていた。

 負ければそれはすなわち死と同義。生き残りの条件は麻雀に勝つことのみ。

 次の犠牲者は誰だ?誰が次に卓につく?

 

 確率としてはほぼ半々。つまり二人に一人は死ぬことになる。

 一回戦、まだルールを理解していなかった状態で一人目の犠牲者。二回戦は機転を利かせた二人組が見事なチームワークで生き残った。

 今でも卓は、次の生け贄を待っている。

 

 現在ホールには二つの死体があるだけで、人の影は見られない。この洋館の部屋がちょうど七つあり、これはプリキュア達のチーム数と合致していた。もう死体は見たくないとばかりに全員が部屋に閉じ籠ってしまったのだ。

 その一室。月影ゆりはその鋭い眼光で室内を見回した。本来ならその視界に三人収まるべきなのだが……現在部屋にはゆりも入れて二人しかいない。

 

「えりか……」

 ゆりは欠けている仲間の名前を小さく口にした。そして目を伏せ、ホールで冷たくなっているであろうえりかに思いを馳せる。

「えりかが……えりかが……」

「つぼみ……」

 ベッドの上では、親友を失ったショックから放心状態の花咲つぼみを、ボーイッシュな魅力のある明堂院いつきが慰めている。

(私は……)

 

 目を伏せると、その暗闇にえりかの無惨な姿が浮かびかけたのですぐに開いた。

(つぼみに……何も声をかけられない……)

 己の無力さに苛立ちすら覚える。口を開けばどうしてもつぼみを苦しめるような発言をしてしまうだろう。たとえそれが、ゆりが思う慰めだったとしても。

 

 ひとつ、深呼吸をして覚悟を決める。これ以上自分がここにいても、二人にとって得はない。

「……あとは頼んだわよ」

「ゆりさん……!?」

 ふらりと出ていこうとするゆりを、いつきが慌てて呼び止める。そしてゆりの進行方向を塞ぐようにして両手を広げた。

 

「もしかして……卓につく気ですか」

「それ以外に外に出る理由があるかしら」

「駄目です!ゆりさんがいなくなったら……つぼみはもっと悲しみます!」

 どうあっても譲らない。武道をやっているだけあって、その気迫は並大抵のものではなかった。

 だがゆりは一切動じなかった。むしろいつきの方が動揺するほどの威圧感を持って、ひとつ歩を進める。

 

「そこを退きなさい、いつき」

「嫌です!どうしてもと言うのなら……僕が行きます!」

 普段使うような『私』ではなく、男装していた時に使っていた『僕』という言い方をあえていつきは使用した。

「……命は粗末に扱うものじゃないわよ」

「そっくりそのままゆりさんに返します!」

 意地だった。これ以上仲間を失いたくない……そんな気持ちが、壁となってゆりの前に立ち塞がる。

「いい加減に……」

 我慢の限界とばかりに、珍しくゆりが大声を出そうとした時だった。

 

 ちょこん、と、服の裾が弱々しく掴まれた。

「つぼみ……」

 ゆりが目線を下げると、そこには涙目で見上げてくるつぼみの姿があった。

「いっちゃうんですか……?」

 嗚咽で上手く聞き取れなかったが、確かにつぼみはそう言った。

「ゆりさんも……私の前からいなくなっちゃうんですか……」

「……っ」

 ゆりは何も返す言葉がなかった。突き刺すような眼光も、この時ばかりは力を失っていた。

「これでも……行きますか」

 いつきがゆりとの距離を詰め、お株を奪う眼光と気迫で問いかける。

 

 ゆりに残された答えは、ひとつしかなく、

「……わかったわ」

「っ!それじゃあ……!」

 ぱあっと、日だまりに咲く向日葵のようにいつきは表情を輝かせた。

「どこにも……いきませんか……?」

 

 まだ不安の残る面持ちで、つぼみはゆりを見上げる。ゆりは向き直り、優しく頭を撫でた。

「ええ……私はどこにも行かない」

「ゆりさん……!」

 ついには号泣し、駄々っ子のように抱きつくつぼみ。いつきはその様子を幸せそうに見つめている。

 ゆりは一生気づかないだろう。

 『どこにも行かない』

 この言葉がどれほどつぼみを安心させ、どれだけの勇気を与えたかを。

 

「まさかこうなるとはね……」

 夏木りんは嘆息した。部屋の中にはりんを含め六人のメンバー。そこまで広いとは言えない一室で、この人数はやや手狭に感じる。

「負けたら死ぬ……ね。わかりやすいけど恐ろしいシステムね」

 次の一声は水無月かれん。壁に背を預け、落ち着いた様子で話す。

 部屋全体を包む妙な『安心感』。その原因はまだ誰も失っていないからか、大人数という連帯感か、あるいは……慣れか。

「少なくとも、チームを組むことが有効ということがわかったわね」

「かれんさぁん……」

 

 完全に頼りきっていますといった表情の夢原のぞみ。かれんは呆れたように頭を抱えたが、やがて微笑を浮かべながらのぞみに言う。

「安心して。私も最大限にサポートするわ」

 おもちゃを買ってもらった子供のように目を輝かせるのぞみ。一方もうひとつのコンビ、春日野うららと美々野くるみは、

「えっと……同じ卓でしたよね」

「ええ、よろしくね」

 

 特に大きな問題もないようで、かれんはほっと胸を撫で下ろす。だが一人、孤独の中で戦わねばならない者がいる。

「あらあら、孤軍奮闘ね」

 おっとりとした物腰で、頬に手を当てながら秋元こまちは微笑んだ。

「こまちさんなら大丈夫ですよ!」

 とのぞみ。

「信用してますから」

 とりん。

「負けるなんてありえません!」

「そうね、別に今すぐ打つ訳でもないし」

 うららとくるみもそれに続いた。

「うふふ……じゃあ頑張ろうかな」

 

 声援を受け、あくまで普段通りの応対をするこまち。と、そこにかれんが、

「こまち……ちょっといいかしら」

 そう言ってかれんは部屋から出る。こまちはわずかに迷った後、かれんに続く形で廊下に出た。

 

「どうしたの?二人っきりになんかなって」

「話が……あってね」

 沈痛な面持ちのかれんにこまちも微笑を引っ込め、真剣な表情で相対する。

「こまち……私はあなたを失いたくない」

「かれん……」

 ぽつりぽつりと呟くかれんに、こまちは静かに答える。

「私はみんなより年上で……しっかりしなきゃと思って……そんなプレッシャーに押し潰されそうな時、いつもこまちがいてくれた……」

「……」

 

 こまちは途中何も挟まなかった。かれんの一言一言を、しっかりと胸に受け止めながら。

「私は……あなたがいないと駄目なの……お願い……私の前からいなくならないで……!」

「かれん」

 そこまで聞いて、こまちはゆっくりとかれんを抱きしめた。優しく、それでいて力強く。

 

「心配しないでかれん。私は負けない、だからあなたも負けないで」

「こまち……っ!」

 唯一の同級生の前では自分を隠す必要がなかった。普段は見せることのない『弱い水無月かれん』を間近で見て、こまちは静かな闘志を燃やし始めた。

 

 ドンッと静かな一室に壁を叩く音が響く。音の主は日野あかね。ベッドで星空みゆきの介抱をしていた黄瀬やよいがビクッと背筋を震わせた。

(なんでや……なんでこうなるんや……)

 親友が目の前で死んだ。怒りと悲しみがごちゃ混ぜになったような複雑な感覚。どうしたらいいのかわからず、かといって闇雲に当たり散らす訳にもいかない。

 

「あかねさん、落ち着いてください」

「これで落ち着け言うんかれいか!」

 声をかけた青木れいかも、あかねの態度にどうすることもできなかった。

「誰かが……誰かが次も死ぬんやで!?次は我が身や!これが落ち着いていられるかぁ!」

「あかねさん!」

 

 ヒュン!とれいかの張り手があかねの頬を打つ。乾いた音がやけに大きく響いた。

「……何するんや、れいか」

「一旦落ち着きなさい!あなたの身勝手な行動は我々をも巻き込みます!」

 頭に冷水を浴びせかけられた気分だった。熱くなった心が急激に冷めていく。それにつれて視界が広がり、今にも泣きそうなやよいの姿が目に入った。

 

「すまん……ちょっと、熱くなってもうた」

「いえ……わたくしも手荒な真似をして申し訳ありません」

 互いに謝罪すると、部屋に重苦しい沈黙が舞い降りた。みゆきの苦しそうな寝息が時折聞こえてくる。

「……れいか」

「わかっています。あかねさんの心配は誰が次に卓につくのか……ですね?」

 図星をつかれ、あかねは黙りこむ。

 

「それでしたら心配はいりません……わたくしが行きます」

「れいかちゃん!」

 やよいが金切り声で叫ぶ。とうとう涙目になりかけているやよいに、れいかは力強く微笑み返した。

 その様子に、あかねはわずかな違和感を覚える。

 

「やよいさん?わたくしはこれでも生徒会副会長ですよ?そう簡単に負けはしません」

 自信たっぷりに言い切ると、れいかは迷わず足を出口に向けた。その途中であかねとすれ違う。

「では、行って参ります」

「待ちやれいか」

 重く、低い声だった。

「まさかとは思うんやけど……なおの後を追おうとか思うてへんよな?」

「……っ!」

 

 明らかにれいかの動きが固まる。じっと何かを堪えるようにうつむき、拳はしっかりと握られていた。

「図星か、れいか」

「……何のことか、わかりませんね」

 声に一切の震えや動揺はない。だがれいかと深く関わっている者でしかわからない、かすかな『違い』があった。

「嘘はよくないで副会長。ウチがそんなんもわからん人間に見えるか?」

「……少々、あなたを見くびっていたようです」

「背中ばっかりやなくてちゃんと正面向きいや。れいかの顔は後ろについとるんか」

 

 振り返ったれいかの顔には生気がなかった。まるで死刑の執行を待つ死刑囚のような……自分の命を何とも思わない人間の表情だった。

「……行かせて、ください」

「ウチらが簡単にはいそうですかと言うと思うか?」

「なおの仇を討ちたいんです……ですから……」

「そんな顔じゃ勝てるんも勝てへん。やめとき」

「でも……誰かがやらなくては……」

「そんなんでなおが喜ぶと思っとんのか!」

 

 あかねの一喝に、れいかは口を塞いだ。いや、塞がれたという方が正しいかもしれない。

「なおの身にもなってみい!天国で暮らしとったらいきなりれいかがこんにちはで嬉しいと思うか!?れいかがなおを思うなら一番のご褒美はお婆ちゃんになってなおに会いに行くことや!ちゃうか!」

 れいかは膝から崩れ落ちた。度々嗚咽を漏らしながら、顔をあげようとしなかった。

 

(しゃあないか……)

 あかねは呼吸を整え、れいかの横をすり抜けるように出口へ向かう。れいかには見向きもしなかった。

「……どちらへ?」

 背中越しに声がかけられる。あかねはそれに振り返ることなく、同じく背中を向けて語り合う。

 

「決まっとるやないか。雀卓や」

「それは……なおのためですか?」

「それも、あるかもな。やけど一番は自分のためや」

「そう……ですか」

 それ以上れいかは言及しなかった。ところが、この場面であかねの方がれいかを呼び出した。

「れいか……ちょっと付き合ってくれへんか?」

 

 扉を閉め、あかねとれいかは二人で廊下で見つめ合う。

「何かわたくしにご用でしょうか?」

 最初に口を開いたのはれいかだった。生徒会副会長としての威厳を取り戻し、凛とした表情で問う。

「触ってみ」

 

 そう言って、あかねは自分の右手をれいかの前へ差し出した。何気なくそれを握ると……確かに小刻みに震えていた。

「あかねさん……」

「震えとるやろ?ウチかて怖いねんこんなの……そこでなれいか、折り入ってひとつ頼みがあんねん」

「なんでしょう」

 授業中に消しゴムを借りるような気楽な表情のあかねと、生徒会の選挙の時のような真剣な眼差しのれいか。これからどちらが死地に向かうのかわからない。

 

「ウチに万が一のことがあったらな……スマイルプリキュアのこと、頼むで」

「……あかねさん!」

「頼む」

 言い返そうとしたれいかをあかねは許さなかった。同級生に頭を下げ、プライドも恥も捨てて懇願する。

「何も言わず……頷いてくれへんか」

「……っ……っ」

 

 納得しかねるといった表情のれいかだったが、あかねがいつまで経っても頭を上げないのを見ると先に折れた。

「……わかりました。不肖、この青木れいか、あかねさんに万が一のことがあろうとも……命に代えてスマイルチームを守ってみせます。ですから……決して無理は、しないでください」

 

「ありがとな……れいか。これでいくらか肩の荷が下りたわ」

 もう、これ以上の長居は無用だった。

「ほな、行ってくる」

 伸ばしたれいかの腕は空を切り……あかねはゆっくりと階段を降りて行った。

 

 まずあかねが向かったのは凄惨な死体と成り果てたなおの元だった。

 眼球が飛び出さんばかりに目を見開き、鮮血が吹き出したであろう口は大きく開かれ黒ずみ始めていた。

「ゆっくり眠りや……なお」

 その両目と口をあかねは優しく閉じた。まだ固まりきっていなかった血が手にこびりついたが、不快な表情は一切見せない。むしろ最大の仲間との別れを惜しむように自分のハンカチで拭き取った。

 

「さて……と」

 あかねはなおの死体に別れを告げ、それから一番近い卓の一角に陣取った。そして叫ぶ。

 

「次の対局者はウチと誰や!さっさと出てこんかい!」

 

 ガチャッと一斉に二階の部屋の扉が開く。そこから覗くいくつもの瞳はそれぞれが不気味に光り、あかねを狙う肉食獣を連想させた。

 

 二階の一室にて、フレッシュチームの蒼乃美希と山吹祈里はドアの隙間から一階のあかねの様子を伺っていた。

「何あの熱血馬鹿娘は……そんなに死にたいの!?」

「まあまあ美希ちゃん、考え方は人それぞれだよ」

 まるで理解できないといった様子の美希をおっとりとした祈里がなだめている。実家が動物病院というだけあって、感情が高ぶった生物の扱いなら人か動物かを問わず得意なのかもしれない。

 

 部屋にいるのは四人。その中で一番スタイルのいい東せつなが大人びた口調で話す。

「とりあえず、チームを組むことが有効ということがわかったわね。二人はもちろん……」

「当然じゃない。ねえブッキー?」

「もちろん!美希ちゃんと一緒に勝利を目指すよ」

「それを聞いて安心したわ」

 

 もう言うべきことはないとばかりにせつなはもう一人……桃園ラブに視線を向ける。

 親友二人を戦場に送り出すためか、かなり固い印象を受けたがやがて打ち解ける。

「美希たん……ブッキー……生きて、帰ってきてね」

「あたしを誰だと思ってるの?」

「全力を尽くしてくるね」

 四人は互いに拳を打ち付け合うと、美希と祈里はそろって部屋を出た。

 

「ままままままままま舞どどどどどどどどうしよう」

 自ら卓につくあかねの様子にすっかり動揺しつくした日向咲は、すでに対局を終えたパートナー美翔舞にアドバイスを求める。

「どうするも何も……行くしかないね」

 対して舞の返答は素っ気ないものだった。だが右往左往する咲を見かねてか、仕方なく呼び止める。

 

「ねえ咲、私とじゃんけんしよ?」

「へ?じゃんけん?」

「いくよ?じゃーんけーん」

「わわわわポン!」

 慌てて出した咲の手はグー、対して舞の手はチョキ。結果として咲の勝ちとなる。

 

「ね?」

「ね?って……意味がよくわからないんだけど……」

「咲、じゃんけんの勝率がどのくらいかわかる?」

 舞の問いに、しばし咲は考えた後、

「えっと……三分の一?」

「正解。その三分の一を咲はものにしたんだよ?今回は生き残りを勝ちとするなら勝率は五分……誰かがトビになることも考えたらそれ以上ね」

 

「ん?ん?」

「咲は今勝率三十パーセント台の勝負に勝った。じゃんけんも麻雀も運よ?大丈夫、私が保証する」

 舞の言葉に、咲は感極まった様子で両手を握りしめた。そして舞に顔を近付け、

「ありがとう舞……あたし頑張ってみる!」

「うん、応援してるよ」

 

 そのまま部屋を飛び出す咲。一人残された舞は、しばらくして押さえきれないといった風に笑い出す。

「くすっ……あはっ、あははははは……」

 一人だとやけに広く感じる部屋で、先ほどまでの発言をひっくり返し、まるで意気揚々と出ていった咲を馬鹿にするかのような口調で独り言を言う。

 

「麻雀が運だなんて……馬鹿馬鹿しい」

 その声は決してパートナーには届かない。それをいいことに、舞は言いたい放題だった。

「じゃあね馬鹿咲。麻雀は……実力よ」

 

 すでに卓にはあかねが座っていた。集まった三人はそれぞれあかねから見て反時計回りに祈里、美希、咲の順で座る。

「よろしゅう」

 これから命のやり取りが始まるというのに律儀に礼は欠かさなかった。最も、ただの始まりの挨拶にしてはドスが利きすぎてぎていたが。

 

「よろしくね」

 さして動じた様子もなく、淡々と祈里は卓につく。それに続く形で美希と咲は無言で腰を下ろした。

『対局者の集合を確認しました。対局者以外は部屋に入ってください』

 今までの指示とは少し違う形で『声』が響く。先ほどまでは部屋に入れという強制はなかったはずだが……、

 

「なんや、四人だけになってもうたな」

「ちょっと寂しいね」

 挑発的な態度のあかねに涼しげに対応する祈里。緊張感のない二人とは対照的に、他の二人はじっとりと汗ばみながら開始を待っている。そしてまもなくあの拘束具が姿を見せる。

 

「へえ……こりゃあびくともせえへんわ」

 腰回りの金具をいじっていたあかねだったが、やがて諦めたように両手をあげる。だがその口には獰猛な笑みが宿っていた。

 

「あかねさん……」

 閉じたドアの向こう側で戦う友人の姿を思い浮かべ、れいかはゆっくりと胸に手を当てた。本当は今すぐにでも駆け寄って激励のひとつでもかけやりたいところなのだが、部屋に入れという指示がある以上外に出れば何をされるかわかったものではない。

 

 今はただ、勝利を願って祈るのみ。

「れいかちゃん……あかねちゃんは、大丈夫だよね?」

 やよいが心配そうに見つめてくる。れいかは安心させるようにはっきりと断言した。

「大丈夫です。あかねさんは必ず戻ってきます。ですから安心して……」

 

『対局を始めます』

 れいかが言い終わる前に、あの『声』が対局の開始を告げる。それと同時に部屋のドアの方からガチャッという音がする。

「……っ!まさか!」

 慌ててドアに駆け寄り、ドアノブを回すが……、

「鍵を……かけられた?」

 

 見たところ鍵穴のようなものはない。ということは内部でカラクリのようなものが働いて閉じ込められたと考えるのが自然だろう。

「あかねさん……御武運を……」

 れいかはドアに額をつけ、届かぬとは知りながらも祈りをこめた。




まずはここまで読んでくださった皆様に感謝を。
もう何度目でしょうか同じことを言うのは。サブタイトル大変です、でも作りたいんです。だからいつもこんな微妙以下になるのです。
さて、本編ですが……何度も似たような場面を繰り返すという書き方に、正直『めんどくせえ!』と思った方もいらっしゃったのではないでしょうか?一応サブタイトルとは後々絡むように仕向けますので……意味はあるんです一応は。
今回はこの辺りでお別れです。機会があればまた次話でお会いしましょう。
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