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『ほーんと、なんでもお見通しよねっ』
『忙しいのに手伝ってくれてありがとう』
『君ほど優秀な者は見たことがない』
『いつもあの子たちの面倒をみてくれて助かるわ』
「──! ‥‥センセー! 稲庭センセー!」
‥‥どうやらオレは眠りに耽ってしまったらしい。
「どうなさったんですか?センセーが昼休みとはいえ居眠りなんて珍しいですけど‥‥」
「あー‥‥いや、昨晩新入生のリストを夜遅くまで確認してて‥‥」
「相変わらず熱心ですねえ~。でも、夜更かしはお身体に障りますよ~?」
同僚である猫目先生から心配の言葉をかけられ、実は集中できずにゲームに逃げてしまい、朝の4時からようやくリストに目を通した、とは言いづらくなってしまう。
それにしても──。
「‥‥なぁんであんな夢見ちゃうかなぁ‥‥。」
「えっ?どんな夢をみたんですか?」
ぼそりとつぶやいたオレの独り言を聞き、興味ありげにオレに迫ってくる猫目先生。
「いや、お気になさらず‥‥」
「えぇ~~、気になりますぅ」
いつもの通り押しが強い猫目先生に尋問をしばらく受け続けた後、昼休みが明けたことでようやくオレは解放された。
そして、来週に控えている入学式の打ち合わせのため理事長室に向かう道中、オレはまたつい独り言をつぶやいた。
「‥‥なんでって‥‥名簿に
(あれから‥‥ざっと6年か、
─────────────
「拓巳、帰ってきてすぐで悪いがまたお前には
「‥‥相変わらず息子使いが荒いオヤジだな」
ヒヒッ、と特徴的な笑い声とともにオヤジ──とはいえ血の繋がりはないが──はオレにそう告げてきた。
「んで?次はどんなところだ?」
「聞き分けのいい子供はいいねえ~」
今までに2度、オレはオヤジに言われてオヤジとは離れた場所で暮らしてきた。
1度目は2年前、『
2度目は1年前から。人間界から戻ったオレはすぐに東方不敗、というじいさんが仕切っている中国ヤ〇ザで世話になった。平和だった人間界とはあまりに違う生活を送る羽目になり、『高低差があり過ぎて耳がキーン』どころの話ではなかった。
しかしながら、この2度の経験は何物にも代えがたいものであり、オヤジには少なからず感謝はしている。人間から見た妖怪、妖怪から見たニンゲン、オヤジの
「‥‥アンタの頼みには必ず何か意味はあるからな。」
「ヒヒッ、すぐなんでも理解してくれるのはありがたいが、かわいげはないねぇ~」
「オレにそんなもの求めてんのか?」
「ヒヒッ、そうだな、それは野暮、という話だ」
それから話は本題に入った。
「ほぉ~、息子をあんな『悪魔城』にやるとは。可愛い子には旅をさせよ、とはよく言ったもんだが、やってくれるじゃんよ」
「さすがに知っていたか、
「当たり前だ。これでも1年はヤの者だったからな、話は聞いてる」
朱染──日ノ本唯一の吸血鬼の拠点であり、猛者が集うことから『悪魔城』と恐れられる場所。
「一応聞くけど、先方に話は──」
「さすがについている。そうでなければさしものお前も腕の一本はなくなるだろうよ。」
だろうよ、じゃねーよと心中で悪態つきながらも一安心する。
「ま、このためにオレを黄家に送ったんだろうし、生きて帰って見せますよっと」
「ヒヒッ、相変わらず考えを見透かして‥‥やっぱりかわいくないねえ」