あまり期待せずに読んでもらいたいです(懇願)
私はしがないとある商店街の取りまとめ役をしている者だ
昨今大型の商業施設が各地に出来ている為、全国の商店街の多くは打撃を受けていると聞く
まだ此処は客入りが少なくなっただけで済んでいるが、中には閉店せざるを得ない個人商店が多くなり、結果としてシャッター街と化してしまっている所もあるそうだ
どうしても個人経営の店とグループがバックにある系列店では後者に軍配が上がりやすいのは事実
仕入れ量が多く、定期的に仕入れるのであれば多少交渉の余地もあろうが個人商店の場合、そうはいかない
更に取引先も経営が割とギリギリなところも多々あるのが個人商店であり、そうであるが故に『値下げ交渉』など出来るはずもない
自分達の生活もあるが、取引先にも生活があるのだから
幸いというべきか此処数年私達の商店街は徐々にではあるが、昔の活気を取り戻しつつある
あまり褒められたものではないが、喜ばしい事ではあるだろう
トレセン学園
この商店街から少し離れた所にあるウマ娘達が通う学園だ
ここが出来て以降、学園側からの定期的でしかも大口の取引が増えた為息切れしていた商店街が息を吹き返した形である
トレセン学園には頭が上がらない位助けられている
だが、これはいったいどういう事なのか?
失礼ですが、もう一度お願い出来ますか?
秋川理事長
懇願っ!
勝手な事を言って申し訳ないとは思う!が毎年そちらで行なっている年始の福引っ!その景品の一部を変更してもらえないだろうか!!
なんでや
辛うじて口には出さなかったが、疑問は尽きない
今自分の部屋でとある人物と話をしている
相手の名は秋川やよい
この商店街の近くにある『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』通称トレセン学園の理事長をしている女性だ
今秋川女史が話題にした福引。それはこの商店街で行なっていた年始に行っている福引の事だろう。しかしこれは有り体に言えば『年始の餅つき』で大量に生産された餅の消費目当てのものだった。昔は
そしてトレセン学園が出来るまではどちらかと言えば、『商店街の活気』を取り戻す為の意味合いが強かった。餅つきで生じた余剰在庫となるであろう餅を残念賞とし、3等までは商店街の各店舗より持ち寄った商品が景品であった。無論、実用性や現在でも機能的、デザイン的にも問題ない物しか選んでいない
そして、商店街の各店舗の利用を前提とした商店街で使える金券が3等から上全てがなっていた
だが、トレセン学園ができた事により商店街の各店は息を吹き返した。これに各店の関係者は感謝しており、何らかの形でトレセン学園。そして何よりも学園で研鑽に励んでいるウマ娘やトレーナー達に返したいと常々思っているし、良く話題にも上がる
その為、外部の温泉旅館と提携し特賞という形ではあるが『温泉利用券』を用意した
勿論、学園のウマ娘が頻繁に利用する店舗は『ウマ娘専用メニュー』として利益率をかなり抑えた商品を用意したり、トレセン学園のトレーナー達が利用する際には彼等彼女らに分かりにくい様にしながら値引きなどを行なっている。などをそれぞれ工夫しているらしい
その上で年始の福引に日頃の疲れを癒して欲しいとの意見が多かった為に『温泉利用券』を採用した形だ
少なくとも、『温泉利用券』について相手の温泉旅館や利用者であるトレーナー達から苦情を聞いた事はないはず。どちらかと言えば好意的に見られているだろう。との福引担当者から毎年報告されていた気がするのだが?
…それは1等などにあるニンジン関連の見直しでしょうか?
トレセン学園はレースに活躍したいと願うウマ娘達が集う学び舎。であるならば、もしかしたらアイドルやアスリートの様に体重やボディバランスに気を遣っている可能性は、ある
ウマ娘の皆は食欲旺盛であり、特にニンジンについて好む傾向にあると八百屋のおやっさんは言っていた。その為彼女達が上位の等賞を引き当てた場合、景品係の判断になるがニンジンにしている。となれば好物であるニンジンを目の前に出す事自体がもしかしたら問題なのかも知れない
トレーナーやウマ娘が必死になってコンマ1秒でも疾く走ろうとしているのは素人である私にも想像出来る
となれば、理想的な体型や走るフォームを維持する為に食制限をかけていたとしても何の不思議もない筈。そこに福引の景品として好物であるニンジンを出したとなれば新年早々トレーナーとウマ娘に要らぬ精神的負担を強いる事になったのではなかろうか?
私は私にしてはかなり頭を早く回してその考えに至り
…申し訳ない。秋川理事長
では来年からは1等などからニンジンを除く事としましょう
頭を下げる
き、驚愕っ!
何故その様な話になるのだ?会長
(あれ?違うのか。てっきりニンジン関連だと思ったのだが)
失礼ながら、では何が問題なのでしょうか?
なにぶん素人ですので、てっきり私はウマ娘の皆さんにとって予定外のニンジンは宜しくないのか、と
正直な話として私としては他に年始の福引が問題になるところはないと思うのだが
ううっ、余りいうべき事ではないのだが
実は、だな
この後秋川理事長の話を聞いて思ったのは
トレーナーって大変だなぁ
とだけであった
場面と時間を少し遡る
困りましたね
うむ、これは流石にマズイ
私は秋川やよい
一応ここトレセン学園の理事長をしている
事実である理事長室で私と共に頭を抱えているのは
どうも私はことウマ娘の事になると暴走しがちなので、しばしばたずなに諌められている
私にとって、学園にとっても大切なストッパーだろう
理事長である私と秘書のたずなが揃って頭を抱えている理由。それは
むぅ、来年もウマ娘達は今年より増えるのに
トレーナーの数は、増えませんね
トレーナー不足
非常によろしくない話だった
本邦においてウマ娘がいつ頃から存在したのか、生憎とそこは知らない。が、国際化の進む現在において自動車を始めとしたモノ。近年世界にも通じると言われている食文化を始めとした日本文化
ところが、である
ウマ娘によるレースについては未だ日本は世界において後進国と目されている
しかし、私が様々な国内のウマ娘やその関係者と話をしたところそこまで圧倒的な力量差はない様に感じられた
勿論、私はウマ娘のトレーニングについては門外漢もいいところであり、加えて海外の芝は日本では洋芝と呼ばれる事からもわかる様に全く違うらしい。勿論、ダートもそうらしいが
しかし関係者が一様に声を揃えて言う事がある
育成する為の環境がない、と
その為、私の父親などが中心となって動き始め、ようやくトレセン学園という形である程度の道筋をつける事が出来た
しかし、だ
如何に
困った事だが、国が動くには『実績』が必要である事が多い
トレセン学園関連事業はあくまでも『民間』主導であり、中等部や高等部といった区分こそあるものの、実のところとして『学校』としての認可こそ受けているがその地盤はかなり脆い
猶予として『30年』という期間が設けられており、この期間内に確たる実績を残せなかった場合は『再審査』となる事になっている
国内で才能を眠らせたままのウマ娘は多く、その闘志を燻らせているウマ娘も多い
トレセン学園に入学希望のウマ娘は欲を言えば全員受け入れたいのだが、勿論そんな事は出来よう筈もなかった
生徒数は充分確保出来る土壌はある
が、問題はそのウマ娘達を導くトレーナーの数が絶対的に不足している事だった
トレーナーは資格制であり、その資格を取る為に学ぶべき事は比喩でもなく山のようにある
ウマ娘に関する知識やレースに関する知識は勿論、高い対応力や基礎運動能力も求められる。その上『少女』を相手にする為人格面などからの審査も必要であり、加えて金銭管理能力も求められる
試験にはウマ娘関連の知識とレースに関する知識が主に求められるが、それだけでは到底続かないのがトレーナーという職業なのだ
当然ながら狭き門であり『一人の少女』の人生を左右しかねない仕事である為審査は厳しい
比率で言えばウマ娘が10として、トレーナーは精々5か6程度だろう
それでもトレーナーが
昨年のトレーナーの退職者が12名か
ええ。今年は既に8名は確定していると見ています
退職者
トレーナーは資格さえ取れば基本的に一生モノの資格だ
だが、退職者というものはどうしても出てしまう
退職者と言っても当然色々とあり、全く好ましくないが懲戒解雇という意味での退職者。ウマ娘の指導に心を折られた者がいる
前者については論ずる必要を認めないが、後者については理事長という管理職にある私としても辛い部分がある
現在国内で行われているウマ娘達によるレース
これはグレードがあり、上からG I、GⅡ、GⅢにオープン戦などがある。当然レースである以上勝敗がつく
言うまでもなく、一つのレースで勝者は1人。余程の例外があったとしても2人までだろう
掲示板という意味ならば、6着まで勝者と言えない事もないかも知れないが、彼女達ウマ娘は『頂点を目指して』走っている
グレードが上がるにつれ、出走するウマ娘達の力量も上がり勝ちにくくなる。そんな中で『勝てないウマ娘』というのはどうしても出てしまう
しかし彼女達は『勝利』を目指して、欲して此処トレセン学園に入学している
となれば、勝つ為に『無理』をするウマ娘というのはどうしても出てきてしまうのだ。勿論、私としてはそのような事をして欲しくないし、トレーナーもその様な事をして欲しいと願っていない
幾度もレースをして、勝てずに心を折られるウマ娘
勝つ事を諦めず無理をして再起不能になるウマ娘
なんとかして止めようとするのだが、毎年必ず出てしまう
そしてそんなウマ娘に寄り添っているトレーナーは私より遥かにキツい。心を折られた
そして彼女達の人生を、やりたい事をさせられなかった自身に絶望し学園を去ってゆく
理事長としてカウンセリングの為の要員を確保しようと努力しているが、これがまた上手くいかない
何せ『難しい年頃の少女』でありウマ娘やそのトレーナーが相手となるのだ
経験豊富なカウンセラーが望ましいがそうなるとトレセン学園という特殊な環境に上手く馴染んでくれるか?が問題となる
若ければ馴染むのは早いだろうが、『色々と』注視せねばならなくなるだろう事は間違いない
この辺の事情もカウンセラーを集める為の障害となっていた
しかし、それより問題なのは
むぅ、現実逃避はやめるかたずな
そうですね
私は疲れた顔をしたたずなと目を合わせた
トレセン学園はお見合い会場ではないんだがなぁ
一部からはトレセン学園はウマ娘専用婚活施設と揶揄されてますよ
もう嫌だ、本当に
トレセン学園に入学したウマ娘達は学園生活に慣れるまでは一般科目のみの授業を行なうのが通例である
しかし、だいたいGW(ゴルシウィークにあらず)明けくらいから彼女達は自身のトレーナーを見つける事を目的として動き始める
トレセン学園でレースに出走する為にはトレーナーが必要だからだ
そしてトレーナーを見つけたウマ娘から一般科目の授業を受けつつ、トレーナー指導の元トレーニングを行ない
その後はウマ娘とトレーナーが話し合い、目標を定め高等部3年間様々なレースに出走する
のだが、彼女達は『年頃の少女』である
自分の勝利を、目標達成を願いそしてその為に全面的に協力してくれるトレーナー。因みにトレーナーは男性の方が多い
さて、そんなトレーナーに淡い想いを抱かないウマ娘がどれだけいるだろうか?
どれだけ気高くあろうとも、どうしても脆い部分はある
それを受け入れて、献身的に支えてくれるトレーナーに恋心を抱かずに3年間続けられるウマ娘いや少女がどれだけ居ようか?
結果、自身の無二のパートナーとなったトレーナーと添い遂げようとするウマ娘は後をたたない
私とて女だ
彼女達の思いは理解できる
しかし、トレセン学園理事長としてはこの様な状況を座視する訳にもいかないのも事実なのだ
そしてその一つのきっかけとなってしまったのが、地元の商店街が好意でしてくれているだろう福引の景品だった
生徒達が密かにそう呼んでいるそうだ
実際調べた所、これを入手できたウマ娘は例外なくトレーナーと
兎にも角にもこの流れを断ち切らねばならない
…せっかくの好意を無下にしてしまうのはとても気がひけるし、そもそも利用券が当たったとしてそれをどう使い、どの様な結果となるのかはあちらの関すべき事でもない
情けない事ではあるが、頼みに行くほかなかった
それが冒頭の商店街会長への訪問につながる訳である
今年の年末有馬記念は期待の新星であり、既に三つの冠を持っているシンボリルドルフを始め、注目株が多い
しかし最も注目を集めているのは今年の有馬記念を最後に引退を表明しているウマ娘
その名をハルウララといった
内容はありましたか?
自身の自信はないです
ええ、売り切れではありません
元々存在しませんので
もしかしたら続くかも知れませんが、あまり期待せず生暖かく放置して下さると幸いです