裏側の苦難   作:鞍馬エル

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方向性が迷子になったけど、出来てしまったからには投稿するしかないよね!

まさかロイヤルビターだけでここまでかかるとは思わなんだ(無計画な極み)


 逃げるブライアンと迫る恐怖

 何故こうなった

 

学内を逃げ回っているナリタブライアンの思う事はそれだけだ

嫌な予感が最近ずっとしていた

そして今日彼女のトレーナーからメッセージで

 

 

すまない、ブライアン。逃げr

と明らかに穏やかとは思えない内容のものが送られている

流石にいつもトレーナーに対して素直になれないブライアンであってもこれについては動揺し、電話をかけてみたが応答がない

 

ではメッセージやメールを送ってみても何もなかった

メッセージについては既読すらついていないという異常事態

 

ブライアンのトレーナーは彼女がメッセージを送れば即座に反応して返信してくる

口では

 

アンタは心配しすぎだ。私だって子供ではない

 

と言っていたが、それでも内心は嬉しかった

トレーナーが自分を見て心配してくれる

それだけでいつも乾いている自分が少し満たされた気がしていたのだ

だから

 

 

少し出てくる

 

そう言ってブライアンは生徒会室を後にした

彼を探そう。そう思い行動する

 

 

 

が、妙な事にトレーナー室に向かうにつれて嫌な予感、いや悪寒が強くなる一方だ

似た様な経験が無いわけではない

姉であるハヤヒデを本気で怒らせた時にも同じ様な悪寒を感じたものだ

 

 

しかし、今回は全く心当たりがない

少し前までは口喧しく

 

ブライアン。いい加減好き嫌いを治すべきだ

これからは注目されることも多々あるだろう。余計な事で時間を取られたくはない。そうだろう?

 

と言ってきていたが、最近それはない

というか、好き嫌い程度で問題になる訳もないだろうに

 

 

 

 

ブライアンはそう考えていたが、この問題は実のところかなりデリケートな問題になりかねないものだった

 

 

レースに出るウマ娘を育成するトレセン学園

当然生徒数が多く、しかも成人男性よりも食事量の多いウマ娘が多い。それは問題ない。が、それ故に食材の仕入れ量が多くなる

それが問題なく活用されているのであれば何ら問題ない。が、どうしても食堂(選択可能)というシステム上、偏りが生じてしまう

 

利用者側としては素晴らしいシステムだ

だが、提供者側としてみれば非常に難しいシステムでもある。食べる量が多い為、想定量も多くなる。だが、当然利用者は毎日同じメニューを食べる者ばかりではない

気分、体調などにより食べる物やメニューが変わる

 

しかしその場合、ロスが生じてしまう

勿論可能な限りロスを削減しようと食堂側も日々努力しているし、メニューについても考え直すなど大変な苦労をしているのは間違いない

元々トレセン学園は一般枠で入るのが非常に難しい。推薦枠において家庭的に貧しいウマ娘が入学する事が多い

 

入学試験が難しく、その後用意せねばならないものが高額なのが障害となる事は決して珍しくない

 

 

それも仕方ない部分は確かにある

『ウマ娘の為の学園』と言っても、あくまで『レースで活躍できるウマ娘の為の教育機関』である

幾ら何でも希望者を全て受け切れるはずもないし、レースに出れるウマ娘にも限りがある。更にその中で結果を残せるウマ娘となればごく一部だ

 

そしてそんな彼女達を育て、見守るトレーナーの中にも様々な考え方をする者がいる

 

彼女達の意思を優先するもの

結果の為ならば彼女達の意思すら無視するもの

 

一線を越えない限りは学園側としても問題視する訳にもいかない

 

 

 

その中には『徹底管理主義』という考えを持つ者も少なからずおり、彼等彼女達は『効率の良いトレーニング』を至上命題として担当ウマ娘のトレーニングなどに日々明け暮れている

 

そう、トレーニングなど(・・)

そう言った者達の中にはトレセン学園の食堂のメニューに使っている食材にまで注文をつけるトレーナーもいる。悲しい事だが

 

曰く

こっちの食材の方が効率的に栄養を摂取できる

 

との事らしい

 

 

食堂側からすれば

 

はぁ?

という話だ

 

食堂側の反応を見てトレーナー達(勿論ごく一部)は学園側に対して食材の見直し(実質食材のグレードアップ)を要求した事もあった

 

別に食堂側が悪い食材を使っているわけではなく、一般に流通している食材を使用しているだけ

何の落ち度もない

 

 

ところが当時の学園理事長はウマ娘達の結果を求め過ぎる傾向にある人物であった為、これを受け入れる

つまり食堂のコストが跳ね上がったのだ

勿論その負担を生徒側に全て求めるのは酷として、学園側や事業スポンサーにその負担を求める

言うまでもなく、その様な内容で受け入れられるはずもない。その為それなりの名目をつくって、だ

 

当初生徒達は喜んだ。更に食事が美味しくなったのだから

が、高級な食材をふんだんに使って作る食堂側は少しでもロスを削減する事を求められてしまう

 

予算が上がるのは許容しよう

では余剰な部分について議論してくれるのだろうね?

 

食堂の材料のグレードを上げた年の決算報告を見た人物の一人が指摘した

 

この食堂の廃棄ロス。どう見ても些か常軌を逸している様にも見える

 

食材の廃棄量しか記載していなかったが、そうであっても指摘される程度にはロスが発生していた

無論廃棄ロスをゼロにしろという訳ではない。が彼からすれば

 

欲しい欲しいと言う前にそちら側で何か改善できる部分はなかったのか?

 

と言ったものである

傲慢な考えでもあるが、元々トレセン学園への支援を行なっていた。そこに更に上を望まれたとあっては彼としても傘下企業やその社員達に説明しなければならない。

 

こう改善するが、それでも予算が足りないから

と言うのと

予算足りないので

と言うのではまるで説得力が異なる

 

 

そして基本的にトレセン学園における予算というのは中々削りづらいものが多い。特に生徒の安全に直結するものが多くなる都合上どうしようもないものは存在する

 

が、それはトレセン学園創設時に嫌と言うほど議論した上で決定したものであり、今回の様にいきなり支援の増額を求められる事に納得していない者もそれなりの数いた

 

 

そうした指摘を受けた学園側としても対策に乗り出す事をせねばならず、結果食堂側や利用者である生徒にある程度のルール(縛り)が出来てしまった

 

こうなると生徒達にとって食事が楽しくなくなるのは間違いなく、なら以前の様な自由な食事を求めよう。そう言った風潮になるのは自然である。まだまだ食べ盛りの若い娘達なのだ。それに『質より量』を求めねば非常に多くのエネルギー(カロリー)を消費する彼女達の日常を支えるのは困難なのだから

 

その様な陳情が当時の生徒会より上がった事などを受けた理事長は大いに迷った

生徒からは元の水準で良いと言われ、スポンサーからはもう少し節約しろと言われる

しかし結果が出ているならば

 

 

そう理事長は考えていたが、要求してきたトレーナー達の結果を見て唖然とする

 

そこまで変わってねぇじゃねぇか!!

立場にそぐわない言葉遣いを思わずした理事長を誰が責められよう

 

 

なんの!

成果も!

なかったのだから!

 

 

流石にこれは看過し得ないと冷静(個人差あり)になった理事長は痛む頭を押さえながら、トレーナー達を理事長室に呼び出した

 

 

 

 

何だあいつらは?

 

話を聞いて解散させた理事長は愕然とした

彼等彼女達が主張するから反対意見を押し切ってまで食堂の食材のグレードを上げたのに『足りない』だの『こちらの産地の方が更に効果が高い』などと言い出す始末

 

キリがねぇ

 

理事長はそう感じて、翌年から食材の基準を元に戻す事を通達する

それと共に自身がトレセン学園に齎した混乱の責任を取らねばならない。そう思い、動き始める

 

 

 

 

そんな事が以前あった為に、トレセン学園の食堂関係者は殊更フードロスに神経を尖らせている

その為

 

好き嫌いの激しい生徒

というリストを密かに作成。何とかしてその生徒達の栄養管理が出来る様に密かな努力をしていたりする

 

そのリストに見事載っているのがブライアン

 

 

 

いわばブライアンの偏食をなおすというのは食堂関係者、ハヤヒデにとっての悲願(過大表現)だったのである

 

 

 

 

そして数多の犠牲の末、完成した

完成してしまったのだ

 

それこそが

 

ロイヤルビタージュース

である

 

 

 効果は抜群であり、滋養強壮栄養補給に高い効果を示す

問題はその味であったが

 

その味たるや、笑顔を欠かさないハルウララが思わず真顔になったり、余り表情を動かさないハッピーミークが露骨に顔を顰める

後にデビューするミホノブルボンがその存在を認識するなり、涙目になる。某走るのが大好きなウマ娘がジュースを見た瞬間にターフより全速力で逃げ出すほどのもの

 

しかし、向上心の高いウマ娘の中には

 

こ、これも強くなる為の試練と思えばっ!試練、そう試練なんですっ!

効率を考えるのであればこれが最適解!そう私の綿密な予定を実践する為にはこれを受け入れるのが最適解なのです!

〇〇スは負けたくない!〇〇ボンさんともう一度勝負したい。だから見ててお兄様!(個人情報保護の観点より実名を伏せさせてもらっております)

 

とこれを愛飲(好んではない)するウマ娘も後に多く現れる事になり、トレーニングのお供(なお好まれてはない)として大活躍する事になる

 

 

逆に

 

あー、うん。まぁトレーナーさんの期待に応えたいし、ま〇イちゃんも頑張りますか

と果敢に挑戦して、敗れた結果としてトレーナーに手厚い看護を受けるウマ娘も少数ながらにいた事も記しておく

 

味を我慢して乗り越えれば効率の良いトレーニング

仮に敗北してもトレーナーからの手厚い看護

 

あれ?これどっちでも得では?

そう考えたウマ娘もいたが

 

 

 

んな不純な動機の奴に飲ませるわけないだろうが、常識的に考えて

とこのドリンクの流通責任者に拒否されている

 

 

その結果、その愚痴を頻繁に聞いて興味を持ったトレセン学園近くの商店街有志が度重なる交渉の末、少量ながら入手

主要な開発者であるアグネスタキオン女史の全面協力(対価として商店街にある不動産会社にセキリュティのしっかりした物件の紹介を依頼)を受けた彼等は多大な犠牲を出しながらも、劣化版ロイヤルビタージュースの原液の製造に成功

 

あとは、ほら

商店街の各店が何かに取り憑かれたかの様に関連商品を次々と開発販売していった

 

なお、地方トレセン関係者の一人がその際関連商品を購入し、その効果を絶賛

 

中央から遅れる事になるが、地方においても廉価版ロイヤルビタージュースが販売される事になる

当時URAの新任役員をしていたシンボリルドルフは地方トレセン関係者との打ち合わせの際に、このジュース(劇物)が地方にも拡散されている事を知り

 

 

勘弁してくれ

と力無く項垂れたそうである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなもののオリジナルが何も知らないナリタブライアンに迫ろうとしている

 

事情を知るウマ娘は多くない。そして彼女達は一様に口を閉ざす

 

 

ブライアンさん。今は黙って生徒会室に戻るべきだと一応忠告しておきます

 

ブライアンと殆ど関わりのないマンハッタンカフェだけは声をかけていた

彼女としてはあの予想通りの不味さを知るが故にブライアンに同情したのである

 

 

…まぁタキオン(友人)が正直鬱陶しいレベルではしゃいでいたのが若干不愉快であった事は否めないが

 

 

しかしそんなカフェの忠告も

 

助言助かる。だが私のトレーナーを探さないといけないのでな

 

…そうですか。なら貴女の自由にされると良いでしょうね

 

ブライアンには届かず、カフェとしても忠告はした

この後彼女がどの様な目にあったとしてもそれは他ならぬ彼女自身が選んだ事。そう彼女はあっさりと割り切った

 

 

…残念ながら、逃げられるとは思えませんが

 

ブライアンが去った後カフェは呟く

どの道『相手が悪すぎる』のだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビワハヤヒデは内心若干後悔していた

 

 

確かに頼んだのは自分であり、それがブライアン(愛する妹)の為になると信じているからこそ、この様な所業に手を染めたのだ

が、彼女は知らなかったのだ

 

 

マッドサイエンティストや暴走癖のある者達に名分を与えるという事がどれだけ恐ろしいものなのか?という事を

 

 

開発時、興味本位で噂を何処からか聞きつけた前生徒会長(キンイロリョテイ)

 

なんか面白そうな事してると聞い、た、が?

 

突然訪問した彼女だったが、一部のいや約1名の顔を見た瞬間、彼女の顔は盛大に引き攣る

 

そして

 

なんか大変そうだが、私が力になれる事はなさそうだなぁ。残念だけど帰るとしよう。うん、そうしよう

 

と即座に回れ右して帰ろうとしたのを彼女は良く覚えている

勇猛果敢にして、冷静沈着(個人差あり)

な前生徒会長ともあろう者がいきなり逃げをうったのだ(なお適性)

 

しかし

 

せっかく来たんだ。ゆっくりして行くと良い(差しA)

 

おおかた冷やかしに来たんやろうけどな?逃さへんで(差しS)

 

ハイセイコーの再来とも評される事の多い二人が逃す訳もなかったのである

 

 

生徒会長時代その評価に違わぬ堅実な生徒会運営をしていたリョテイ。しかししばしば暴走する悪癖があり、当時『トレセン学園の良心』とも呼ばれていたタマモクロスは度々リョテイの抑えに回っている

一応シービーやマルゼンスキーがストッパー役になっていた筈なのだが

 

 

そのストッパー壊れてますので

とはリョテイ達に振り回されていた当時の司書長の言葉である

 

 

 

更にタマトレにオグトレも散々引っ張り回されている。その為某ウマ娘の不満は結構溜まっており、今回の件でちょぉぉっとばかり(・・・・・・・・・)(当社比)怒ったのである

 

 

生徒会長を務めていたリョテイ

彼女もまた世代を代表するウマ娘の一人

 

弱い訳はない

 

 

が、悲しいかな。彼女のレースにおける基本は

 

レース終盤まで脚を残して、最終コーナー付近から差し切る『差しウマ娘』

一応先行策も取れなくはないが(適性B)、その程度だ。逃げに至っては寧ろ苦手な方である(適性C)

 

 

故にこうなるのは必然だったのだろうか

 

 

捕まえた

 

自分で首を突っ込んだんや。逃げられる訳ないやろ?

 

う、ぐぅ

 

哀れキンイロリョテイは二人に捕まってしまった!

二人とも良い笑顔(・・・・)をしているのを見たリョテイは

 

(あ、これはダメなやつだ)

とあっさり諦める事にした

 

 

いやいや、そこはもう少し頑張った方が良くないかなぁ?

 

といつもの様に言ってくる相棒(シービー)の声が聞こえた気もするが、こういう時の二人に対抗すると大抵ロクな事がない(被害が拡大する)事を彼女はよく知っている

 

 

だから

 

 

手加減はしてくれる、だろう?

 

そう慈悲を願うしかなかった

 

 

 

その後彼女は

 

いやぁ、いきなり逃げたから思わず追ってしもうたわ!ほんでオグリのトレーナー。リョテイもそれに興味あるらしいで?

 

と戻るなり試練に立ち向かう事となる

 

 

なお、その時の試飲薬は『テストタイプNo.6Yカスタム』だった

Yはオグリのトレーナーを示す

つまりオグトレにより、開発された6番目の試飲薬な訳である。が、タキオンに比べるとオグトレの作る試飲薬は

 

味が宜しくない傾向にあった

 

 

これはオグトレの味覚が少々独特な事に加え、オグリキャップは少し楽しそうな自身のトレーナーの事を思うとそれを否定するのを躊躇ったからである

 

良くアグネスタキオンのトレーナー(モルモット兼タキオンガチ勢)について

 

彼女に甘過ぎる

これでは彼女の為にならない

 

と周りのトレーナーから注意されていたりする

が、実のところとしてそのタキトレと同じくらいオグリキャップもまた自身のトレーナーに盲目的なところがあったりした

故にタキオンにせよオグトレにせよ、『暴走しない』事の方が珍しいという本末転倒な事になっていた

 

 

勿論本来の目的である『ナリタブライアンの偏食を改める』という目的については

 

 

 

 

いつの間にか

『ナリタブライアンに接種不足な栄養素を如何にして効率的(・・・)に摂取させるか』?というものに変わっていった

 

 

 

いや、私は妹の好き嫌いさえどうにか出来れば良いと思うのだが

 

とハヤヒデは言ったものの

 

勿論君の言いたいことはよく分かる。が、なんだかんだ言って君の妹であるブライアンは複数のGⅠ勝利という結果を残している

となれば彼女を目標にする者達の中に『食べ物は好き嫌いしても勝てれば良い』と考える者が出てくる可能性は高いと思うのさ

 

少し前ならばおまゆう(お前が言うな)とツッコミを受ける事を主張するタキオン

タキオンは彼女のトレーナーと出会うまでは

 

食事?

ああ、栄養さえ摂れていれば問題ないだろう?

 

との考え方であった

が、タキトレによる愛情たっぷりの手料理を学園に入学して以来食べ続けたタキオンはあっさりと今までの考えを打ち捨てる

 

なるほど。確かにトレーナーの言う通り、食事というのは中々良いものだね。栄養的には変わらない筈だが、気分が高揚するというのは興味深い

さぁ、トレーナーくん!早く食べさせてくれたまえよ!

 

と輝かんばかりの笑顔で自身のトレーナーに甘え倒すタキオン

なお、まだ一年目の八月の事であった

 

 

 

オグリキャップやタマモクロス、ハルウララといった所謂『地方組』は元々中央(トレセン学園)程余裕があった訳ではない為、好きなものはあっても嫌いなものはなかった

 

 

というか

 

 

お残しは許しませんでー!!

と言うのが地方では基本だった為、残すと言う選択肢など最初からなかったのであるが

一応彼女達が食べる食事とてキチンと栄養管理がされているものだ

 

食べ切れるだけ注文する

 

と言うのは、食べる側のマナーであると地方組の彼女達は思っている(なお量)

 

 

ブライアンのトレーナーは彼女に対して、甘い

いやまぁ、トレーナー全体として担当ウマ娘(愛バ)に甘いのは仕方のない事ではある

 

 

ブライアンのトレーナーは彼女のために栄養士の資格の勉強をしている位であり、実はブライアン自身も気にしてはいたりする

素直になれないが為に中々それをトレーナーに言う事は出来なかった訳だが

 

 

 

 

 

 

 

なおトレセン学園内において様々な非公式組織が存在する

 

 

『トレーナーの笑顔を守りたい会』や『トレーナーさんとの距離を縮めたいウマ娘の集まり』。中には『トレーナーを甘やかしたい』と言った個性的なものもある

 

ブライアンは『トレーナーに素直に甘える方法を考える会』に所属しており、その会のトップは某気分屋なウマ娘である

 

 

ある意味ではブライアンにとって好き嫌い自体がトレーナーに甘える方便となっていたりするのだが

それをハヤヒデ(妹を愛でる会会長)が許容できるかどうかは話が別であったりする

 

 

妹の事になると、少々(ハヤヒデ談)暴走してしまう彼女

そりゃ、ブライアンも姉の事を聞かれると

 

姉貴、か

 

遠い目をしてしまうのも無理ない話だったりする

 

 

 

 

余談ではあるが、ハヤヒデの仲の良いウイニングチケットとナリタタイシンは彼女のしている事を聞いて止めようとした

ブライアンからはチケットとタイシンは暴走しがちな姉を良く止めてくれる事から『姉の外付け良心』と非常に頼られていたりする

 

いや、それ

アンタそれで良いの?本当に?

 

とタイシンは心底困惑していたが良かったのだろう

 

 

そんなチケットとタイシンだったが、ハヤヒデが頻繁に出入りしているのが『アグネスタキオンの実験室』(トレセン学園有数の危険地帯)と知った

その為

 

あ、うん。アタシたちは何も見なかった

そうよね、チケット?

 

そ、そうだね!

 

と全力で回れ右(見なかった事に)した

賢明な判断と言えるだろう

 

 

まぁ一瞬タイシンの脳裏に

(アタシもトレーナーに素直に甘えられたら)

 

とステキな考えが浮かんだが、彼女はそれを振り払う事に成功している

 

 

かく言う彼女も『トレーナーに素直に甘えたい会』(会長〇〇ボリルド〇〇発起人〇〇〇ルー〇)のメンバーである事から、良い娘である事は疑いようもなかった

 

 

が、今回ばかりは相手が悪い(・・・・・)

追い込みタイプの彼女は頭もキレるのだ

 

 

 

 

 

 

 

さて、ブライアンは自身のトレーナーの部屋に来た訳であるが

 

 

…いないな

 

誰も居なかった

 

 

 

この時点でトレセン学園生徒会室では少しばかりアレな事になっていたのだが、彼女がそれを知る事は『幸運にも』なかった

なお犠牲になった(・・・・・・)二人については彼女達の担当トレーナーによる手厚い看護(膝枕と頭ナデナデ)が供された為、被害については口を閉ざす事になる

 

 

…それで良いのか?

と思わなくもないが、甘えられる機会に恵まれない二人としてはそれはそれで良かったらしい

 

 

つまり誰も被害を受けていない訳で

 

ヨシッ!(トレセン学園出張現場猫)

 

 

 

 

戻るか

 

こうなるとブライアンも手がかりがない為、生徒会室に戻る事を選択する

 

そして彼女は見た

 

 

『芦毛の覇王』(オグリキャップ)『白い稲妻』(タマモクロス)の暴威とすら言える圧倒的な実力を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは、ヤバい

ナリタブライアンのウマ娘、いや生物としての本能が叫ぶ

 

逃げろ、と

 

 

 

 

トレーナー室のあるトレーナー棟は校舎から独立しており、校舎と行き来する為には一度校庭に出る必要がある

 

渡り廊下というものはない

 

 

その為、ブライアンをオグリキャップとタマモクロスは遠くからでも視認できるのだ

 

 

逆にそれはブライアンからでも二人の姿が見えるという事でもある訳で

 

 

 

 

 

 

 

っっっ!!

 

ブライアンは二人の姿を見て、慄いた

二人の瞳には雷光が走っている様にブライアンからは見えていたからである

 

 

(これが、私たちが追いつけなかった背中かっ!)

ブライアンは内心戦慄をおぼえた(なお、逃げているのはブライアンの模様)

 

 

 

日常は日向

レース中は夜叉

 

 

オグリキャップ達を表現した言葉だ

 

姉ハヤヒデはその言葉に納得している様だったが(開発の際、偶にその片鱗を見ていた為)、ブライアンはそんなわけないだろうと言い方は悪いがタカを括っていた

 

デビューしたてのシニア戦においてブライアンは彼女達と戦いたいと思っていた

負けるとは思っていても、それなりに良い勝負が出来ると考えていた

 

 

しかしトレーナーは

 

まだ無理だ

とブライアンの希望を受け入れてくれなかった

 

 

ルドルフ(皇帝)グルーヴ(女帝)にシャドーロールの怪物と中学時代言われていた自分ですら影を追う事すら許されない相手

 

ブライアンとしては誇大表現であると思っていた

 

 

 

だが

 

 

くそっ、此処までの差があるというのかっ!!

 

自身は全力で逃げている。確かにナリタブライアンというウマ娘は逃げ適性は低い

が、そうであっても全く出来ないわけではない

 

 

なのに、後ろからの圧力が徐々に近づいているのがわかるのだ

 

 

 

(うん。確かに彼女は世代を代表すると言われるだけの事はある)

オグリキャップは内心ブライアンの走りに少しの驚きを感じた

 

隣を走るタマに視線を送ると

 

(中々のもんや。あのハヤヒデが断言するだけの事はあるなぁ)

視線を送ってきたオグリキャップに半笑いで頷く

 

 

(ま、そうやとしても逃す訳にはいかんのやけどな)

 

 

 

何故態々先輩であるオグリキャップとタマモクロスがブライアンを捕まえようとしているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は1時間程前に遡る

 

 

出来た、のか?

 

成分も問題ないねぇ

 

味確認、ヨシッ!

 

ハヤヒデの困惑した声にタキオンは成分を確認

その試飲分の液体をオグトレは飲み干し、安全確認(?)を行なった

 

 

 

いや、アンタの舌が大丈夫じゃないでしょ?

何がヨシなんだろうなぁ

 

 

恐らくこの場に居合わせたならばタイシンやリョテイは震える声で指摘する事だろう

 

しかし残念な事にこの場にはハヤヒデ(発案者)タキオン(マス・マッド)オグトレ(頭バグ勢筆頭)オグリキャップ(トレーナーガチ勢)タマモクロス(ツッコミ総大将)しかいない

 

つい先ほどまではマンハッタンカフェもいたのだが、お友達から危険であると言われたらしく足早に部屋を後にしている

 

 

 

なんだかんだで時間のかかったモノが完成したという事で、いつもならば冷静な常識的なハヤヒデも多少おかしなテンションになっていた

 

 

 

完成したねぇ

 

色々と手間をかけてすまないな、タキオン

 

いやいや、私としても中々興味深いデータが取れたからね。寧ろ私の方からお礼を言いたいくらいだよ

 

とタキオンとハヤヒデが話をしているのをよそに

 

 

じゃあ、ブライアン呼んでしまうか

 

ルドルフに頼むかい?

 

生徒会室に行くんか?

 

と3人は話をしていた

 

 

いや、ブライアンのトレーナー呼ぶわ

 

オグトレは自身の携帯でトレーナーを呼び出していた

 

 

 

 

 

 

 

ナリタブライアンのトレーナーをしている男は周りから『優しい人』とよく呼ばれている

 

 

担当であるブライアンの為に彼女に合ったトレーニングや出走予定を立てて、彼女と共に歩んでいた

 

周囲からもブライアンは世代を代表するウマ娘の一人と見られている事は彼にとって彼女の努力が実った事だと嬉しかった。彼女のその道を歩む力を貸せる自分もまた誇らしいと思える

 

 

 

だが、ブライアンのトレーナーに対する『空白の世代』やその前に活躍したウマ娘を担当したトレーナーかの評価はすこぶる悪い

 

 

彼はブライアンのやる事を肯定する事はあっても正す事をしないのだから

 

 

あるトレーナーは

 

私達トレーナーは必要なら担当と喧嘩するくらいの覚悟がなければ務まらない

デビューしたての頃はそれで良いでしょう。でも本人の考えでやらせ続ければ何れ歪んでしまう

それを正すのが私達トレーナーの役割

 

それが出来るかどうかで壁を越えれるかどうかが決まるのよ

 

 

と言っている

 

担当ウマ娘が大好きなトレーナーであっても、一度は衝突しなければならない

担当のしたい事を肯定してそれを実行するだけならば、トレーナー()は要らない。それ専用の機械を導入するなりしてウマ娘に入力させれば事足りる

 

 

 

私達はファンではない

理解者であり、指導者であり、相棒であるべきだ

 

 

タマトレにせよオグトレにせよ、担当であったカブラヤオーにはただ甘だった東条トレーナーも『本気で喧嘩』した事がある

 

真剣だから、本気で相手の事を思っているから

ぶつかりもする

 

彼女達は夢を追いかけて走っている

だが、その為なら文字通り『命すら平気でかけよう』とするウマ娘も中にはいるのだ

些細な事と思っていても、その内

 

私のトレーナーは私の希望を必ず叶えてくれる

と担当ウマ娘が思うきっかけになる

 

 

そう言った勘違いは早めに正しておかないと担当ウマ娘にとってもトレーナーにとっても良くない未来が起きる事もある

 

 

事実、10年ほど前に自身のトレーナーに全幅の信頼をおいていたウマ娘がそのトレーナーに大怪我を負わせた。という痛ましい事件があった

 

これについては当事者達からの嘆願もあり、当時の学園関係者やURA更に警察まで巻き込んでの騒ぎとなったが何とかおおごとになる事はなかった

 

 

詳しい話については未だに関係者が口を閉ざしている為闇の中

しかし、それを教訓として

 

たとえ担当ウマ娘であろうとも、正せる所は正す

と言う考えがトレーナー達の中で周知されていく事になる

 

 

 

勿論基本トレーナーというのは『担当の走りや生き様に魅せられたある意味では厄介オタク』の為、誰も好んで担当を悲しませたくはない

 

が、トレーナーは指導者であり、教育者でもある

担当になるということは、その担当の人生を預かる事に等しい

 

 

仮に担当がレースで結果を残せなかったとしても、そうであるならば彼女達のその後の事も考えねばならない

 

結果を出せない(レースに勝てない)からといってあっさり担当を見捨てたり、見限ったりする様なトレーナーはトレーナーではない

 

必要ならば、ウイニングライブのダンス指導まで行なうのがトレーナー

 

恥?世間体?

そんなもの(・・・・・)担当の為ならば喜んで投げ捨ててしまえ!

 

 

些かオーバーに聞こえるが、そういったトレーナーが多いのも事実

 

なお東条トレーナー部門責任がトレーナーを退いた理由は何の事はない

 

 

カブラヤオー(大好きな担当)と別れて新しい担当を探すのが余りにも辛すぎた

というある意味ではガチ勢の局地にありそうな理由だったりする

 

当時東条トレーナーのそれを聞いたトレセン学園理事長とURAの担当者は懸命に東条トレーナーを説得した

 

 

なんと半日近くも

が、結局それはかなわず当時注目されていた東条は妥協案としてトレーナー部門責任者として後進の育成に尽力する事となった

 

 

なお、東条トレーナー部門責任はトレセン学園近くに家を購入しており、そこに良く見たことのあるウマ娘が出入りしているのが近隣住民から目撃されているそうだ

 

 

 

 

そんなわけでブライアンのトレーナーは呼び出される

 

なおこの『ロイヤルビタージュース(仮称)』の開発にはウマ娘以外の意見も必要との事でハヤヒデトレーナーやタイシントレーナーなども飲んでおり

 

 

アイツだけは逃さん

と震えていたそうだ

 

その為、ブライアンのトレーナーは呼び出されると

 

 

ちょ、先輩方何するんですか!?

……待ってください。その明らかにヤバそうな液体は、いったい?

 

勿論担当の為に努力するのがトレーナーだよなぁ?

 

や、それはそうなんですけど!ヤバいですよね、それ!!

 

取り押さえられたブライアンのトレーナーに対して、ナリタタイシンのトレーナーは満面の笑み(ただし目は笑ってない)で刑の執行を進めようとする

 

なお、この部屋にはタイシンのトレーナー。ハヤヒデのトレーナーに葵。更に東条トレーナー部門責任者までいた

共通するのは

 

『Y特製ジュース』を飲まされた事である

 

 

タイシンのトレーナーは可愛いタイシンが飲んで苦しんだ(猛烈に苦かっただけで苦しんではない、はず)事から

タイシンの苦しみは俺の苦しみ!此処で逃げたら俺はタイシンのトレーナー失格だ!

との謎理論により自主的に(・・・・)飲んだ

 

ハヤヒデのトレーナーは自身の担当であるハヤヒデがきっかけで劇物が生み出された事に責任を感じた為に飲んだ(なお、ちょっと腹が立ったので濃縮した特製ジュースを出している。そのかわり量は減らして100mlという優しいもの)

 

…ほんとかなぁ?

 

葵は

まぁ、葵だから。としか

 

東条さんについてはある時担当への愛について激論を交わしたのだが

 

 

いや、ハナさんのカブラヤオーへの愛情は分かりますけど、やっぱり自分のオグへの愛の方が強いですって!

 

…なんですって?

確かに貴方のオグリキャップへの愛の強さは認めるわ。でも私のあの娘への愛に勝るとは思えないわね

……いいでしょう。貴方が最近開発に勤しんでいるというモノを出しなさい。私のカブラヤオーへの愛の強さを見せてあげましょう

 

 

 

東条ハナ

自分の最初にして最後の担当カブラヤオーに対する愛情は誰にも負けないと豪語する学園きっての『担当ガチ勢』筆頭であった

 

 

結果700mlを飲んで、保健室送りとなったのはハナと彼の秘密である

 

 

 

 

 

 

そんなわけでブライアンのトレーナーに対して、圧が凄かった

 

()もやったんだから

 

何とも素晴らしい仲間意識である

 

 

という訳で哀れブライアントレは飲まされる事となったのだが、何とかブライアンへの危険を知らせようとした結果が冒頭のメッセージ

 

 

 

 

なお

ブライアンもオグリキャップとタマモクロスにより捕縛され、シンボリルドルフ、エアグルーヴにシリウスシンボリと仲良く試飲会を開く事になりましたとさ

 

 

 

 

 

 

めでたしめでたし

 

 

 

 

 




本作のハナさんに担当の話をすると3時間くらいは拘束されます
他にトレーナーがいる場合短くて半日、長いと終日となります


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