俺のヌメルゴンがなんか病んでる   作:鋼タイプが好こヴィラン

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これでカトレア編終了

長くなってごめんなさい
バトル入れるとヤンデレ薄くなるからこれからバトルなしか少なめになると思う


カトレア4

 

 

「よくやってくれたわ。次はお願い、ゴチルゼル!」

 

「頼む! ヌメルゴン!」

 

「ゴォ〜」

 

「ヌメェェェェ」

 

 カトレアちゃんの次のポケモンはゴチルゼル。これは俺のポケモンとの相性とかで選んだのではなく、長い時間を過ごしたパートナーを選んだ感じかな。特性のおみとおしは今回持ち物なしのヌメルゴンに意味はない。

 

 カトレアちゃんも俺の持つ唯一の悪タイプであるマスカーニャを落としたかった。そして俺も今の手持ちにブッ刺さる格闘タイプであるエルレイドをなんとしてでも落としたかった。

 お互いに弱点をつけるポケモンを失ったので後は交代なしの地力勝負になる。そうなると手持ちの中でも最もレベルが低いヌメルゴンはエスパーを半減できるとはいえ荷が重い。しかも相手は高レベルのゴチルゼルだ。

 

「メェエエ!!」

 

 だがヌメルゴンの気力は十分だ。自分より格上の相手にも怯えていない。やる気に満ち過ぎていて敵意剥き出しでカトレアちゃんのことを睨んでいるほどだ。

 

 ……ロケット団のような悪の組織との野良バトルにおいてはトレーナーへのダイレクトアタックは基本戦術の1つなので常に警戒しなければならないが、今回みたいな普通のバトルではやっちゃダメだよ!! 

 

 ゴチルゼルは特殊技を使うので防御を上げる『たてこもる』はあまり意味がない。しかも接触しないので『ぬめぬめ』の特性も意味がなくなっている。煙幕を貼って回避率が上がるので全く無意味という訳ではないが、別の技を使った方が良いだろう。

 

 特防が高かった気がするし近づいて物理で攻めた方が良い。しかし、鈍重なヌメルゴンでは近接のレンジに持ち込むまでにゴチルゼルの特殊技で妨害されてしまうだろう。

 

「ゴチルゼル! サイコキネシス!」

 

「迎え撃て! りゅうのはどう!」

 

 ゴチルゼルの目が一瞬だけ怪しく光り、前に突き出された手から念動力が発生してフィールドに備え付けられた岩を複数持ち上げてヌメルゴンへと放り投げる。ヌメルゴンはエスパー技を半減で受けられるため、仮に当たっても行動は阻害されるが大したダメージにはならない。

 カトレアちゃんもこのヌメルゴンが鋼タイプが入っていることを知らないのだ。

 

 ヌメルゴンはそれらを横薙ぎに『りゅうのはどう』で迎撃していく。

 

 向かってくる岩を全て破壊し終えたその瞬間、ヌメルゴンの目の前に岩が破壊されたことで発生した砂煙に紛れて接近していたゴチルゼルが現れた。

 

「まずい! ヌメルゴン! げきりんを……」

 

「ゴチルゼル、さいみんじゅつ」

 

「ゴォ……」

 

「ヌメェ……」

 

 ゴチルゼルの青白く光る目を直視してしまったヌメルゴンの動きが止まり、その場で殻の中に入り込み丸くなって眠り始めてしまった。『さいみんじゅつ』は命中率が低いが近距離なら目を閉じない限り必ず当たる厄介な技だ。

 

 まずいぞこれは。

 

「ヌメルゴン! 起きてくれ!」

 

 俺の叫びも届かず、眠ったままで一向に起きる気配のないヌメルゴン。対して、ゴチルゼルはこの隙に『めいそう』を積んで特攻、特防を高めていく。ヌメルゴンが起きる頃には相当強くなっているだろう。

 

 このままでは一方的にやられてしまう。『ねごと』があればなんとかなるんだけど覚えさせてないんだよ。覚えさせておけばよかった。

 

「これで終わりね。サイコキネシス」

 

「ゴォオ……」

 

 3回めいそうを使って威力を増したサイコキネシスがヌメルゴンを襲う。流石にこれは痛かったのか、ヌメルゴンも目覚めるが既にゴチルゼルは『めいそう』で強化されてしまっている。いくらエスパー半減できるとはいえ厳しい戦いだ。

 

「思ったほどエスパー技が通らない。どうやらそのヌメルゴン、普通のヌメルゴンではないようね……。その背中の殻の材質からはがねタイプかしら……?」

 

 なんで分かるんだよ。まあ明らかにエスパーでもなくダメージを受けているなら消去法ではがねにはなるけれども、あっさり見破られてちょっと悲しい。

 

「ならばこれね。きあいだま!」

 

「ゴォッ!」

 

 ゴチルゼルの放ったきあいだまを間一髪でヌメルゴンは回避する。『めいそう』で高められた『きあいだま』なんか絶対受けたくない。

 

 レベルも負けてて被弾していて相手は『めいそう』で能力が上がっている。ちょっと無理そう……。

 

 これ以上やってもヌメルゴンに負荷が掛かるだけならばもう降参するしかないか……と考えていたら、そのヌメルゴンが俺のいるラインまで下がって来てバシバシ叩いてくる。

 

「ヌメルゴン……?」

 

 そのじっとりした目には強い覚悟と意思が宿っているのが見て分かる。ヌメルゴンはまだ諦めてない。

 

 ……そうだよな。ポケモンが諦めてないのに俺が諦めちゃダメだよな。

 

 なお、その実態はカトレアにトレーナーを渡すのが嫌なので死んでも渡さないという強い病みの意思と、マスカーニャがなんか良い感じに活躍したのでこのまま活躍なしで終わってしまえばトレーナーからの好感度が下がってしまい他のポケモンに取られてしまうかもしれないという杞憂である。

 

「ヌメルゴン! 大技だ、りゅうせいぐん!」

 

 ヌメルゴンは600族のドラゴンだ。下手な小手先に頼るよりその性能でゴリ押しした方がまだ勝てる可能性がある。

 それにゴチルゼルは既に『さいみんじゅつ』『サイコキネシス』『めいそう』『きあいだま』と技を4つ使い切っている。

 

 故にこのりゅうせいぐんは回避不能の一撃と化す。

 

「ッ! ゴチルゼル!」

 

 ゴチルゼルは耐えた。

 元々の高い特防種族値に加えてめいそうで3段階上昇している。並大抵の特殊攻撃ではびくともしない耐性を手に入れているのだ。格下のりゅうせいぐんで揺らぐほど柔ではない。

 

 だが、それでも無数に降り注ぐ流星と爆撃音はゴチルゼルとカトレアの五感を塞ぐには十分すぎる代物であり──

 

 

 

 

 ──ヌメルゴンがゴチルゼルに向かって走る姿を完全に覆い隠していた。

 

 ゴチルゼルが気がついた時にはもう既にヌメルゴンの接近を許してしまっていて近距離技の範囲に入ってしまっている。『めいそう』で上がるのは特防だけで防御は上がらない。もうゴチルゼルは逃げられない。

 

 ここからはヌメルゴンのステージだ。

 

「ヌメルゴン! そのまま押さえつけてげきりん!」

 

「ゴチルゼル! きあいだま!」

 

 ヌメルゴンの目が赤く染まり全身から力が湧き上がる。そしてその力を目の前のゴチルゼルに殴る、噛む、突き刺すなどの物理的攻撃法で叩きつけ続ける。

 

 ゴチルゼルの防御は上がっていない。故にかなり近いうちに限界が来る。

 

 だけれども、ゴチルゼルは負けられない。自身の認めたトレーナーであるカトレアがヌメルゴンのトレーナーを欲しているのだ。そのポケモンであるゴチルゼルはなにがなんでも勝利しなければならない。

 

 長い付き合いであるカトレアの願いを叶えてやりたい。その一心でゴチルゼルはヌメルゴンのげきりんを持ち堪えて耐え切ってみせた。

 

 今のヌメルゴンはげきりんの影響で混乱している。攻撃の手が緩んだこの瞬間に高威力かつ効果抜群のきあいだまをゼロ距離で叩き込んだ。

 

 ヌメルゴンは負けられない。ここで負ければ自身のトレーナーがあの人間のメスに取られるのだ。トレーナーはヌメルゴンの番である(とヌメルゴンは思っている)。絶対に他の誰にだって渡すつもりはない。

 

 故に耐えた。ゴチルゼルのきあいだまを相手に持ち堪えてみせた。そして──

 

「ヌメルゴン! トドメのげきりんだ!」

 

 愛するトレーナーの一声の前に混乱などなんの障害になるというのか。その声援を胸いっぱいに吸い込み、怨敵の手下であるゴチルゼルを力いっぱい殴り飛ばした。

 

「ゴチルゼル、戦闘不能!」

 

 

 

 呆然としているカトレアちゃんに近づいていく。正直、勝てたのはマスカーニャとヌメルゴンが頑張ってくれたお陰だ。俺そんなになにもやってない……。

 

「これで俺の勝ちです。約束通りここから出して貰いますね」

 

 その瞬間、ビシリと地面に亀裂が走る。発生源はカトレアちゃんの足元だ。

 

「お嬢様!」

 

「っ! ごめんなさい……。また少し暴走してしまったわ……」

 

 負けたことが余程ショックだったのか、改善していた感情の昂りによる超能力の暴発が少し起きてしまっている。でも以前に比べたら些細なものだ。

 

「不本意だけど、約束通りアナタは国際警察を続けて構わないわ」

 

 ただし、と彼女は続ける。

 

「アナタの連絡機器を貸してちょうだい」

 

 そう要求されたので国際警察専用のスマホロトムとは別のスマホロトム(現在ロトム抜き)を手渡す。さすがに国際警察用の方は渡せない。専用の方はどんな機密も国際警察所属のロトムが守ってくれる上にさまざまな機能のついた優れものらしい。機密はロトムが管理してくれているから本体が奪われても大丈夫だそうだ。

 俺は電話とカメラと図鑑くらいしか機能使ったことないけど。

 

 カトレアちゃんは渡されたスマホロトム(ロトム抜き)をコクランさんに手渡した。そしてコクランさんが少し弄ると今度は俺に渡して来た。いったいなんなんだ? 

 

「その中に常にアナタの位置情報と音声が分かる機能を付け足しておいたわ。これでアナタがどこにいても見失うことはない。そして毎日朝昼夜と最低3回はテレビ通話機能で顔を見せて連絡しなさい。もしアナタが次に危険なことをしていると判断したらその時点で圧力を掛けて国際警察を辞めさせます。それが嫌なら危ないことはしないでちょうだい」

 

「あっ、はい。分かりました」

 

「お願いだから無事でいて。次にアナタが傷ついて帰って来たなら……アタクシは自分でもなにをするか分からないわ」

 

 今回のことで身に沁みた。俺の行動で傷つくのは俺だけじゃない。俺の友人たちも傷ついてしまうのだ。

 

 なら俺がどーんと頑張ってノーダメージで悪の組織を壊滅させていくしかないな! 

 

「大丈夫、今度はちゃんと上手くやりますから!」

 

 俺たちの戦いはこれからだ!

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