俺のヌメルゴンがなんか病んでる   作:鋼タイプが好こヴィラン

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薄味で申し訳ない
明日に続くので


ハバタクカミ

 

 

「んん? あれ……? 俺、なにがあったんだっけ……?」

 

 意識を取り戻してみるとそこはナナカマド研究所。そう、俺はつい先程までここでナナカマド博士にヒスイヌメルゴンの調査を依頼していたはずだ。

 

 しかし、見たところナナカマド博士どころか助手の方々の姿すら見えない。

 

「どうなって……、あっ」

 

 ふと目を向けるとパルデアの大穴にも勝るとも劣らない大きな穴(誇張表現)がぶち抜かれた壁。

 

 なるほど、大体分かった。ナナカマド博士、マジですみません……。

 

「カミー?」

 

 いつの間にやらボールから出てきていたハバタクカミが心配そうにこちらを見てくる。

 こいつ、パラドックスポケモンなのに凶暴な要素がほとんどないんだよな。やっぱり個体差だろうか。

 

「心配しなくて良いよ。ただこれからの弁償のこと考えて憂鬱になってただけだから」

 

 そう言いながら、ハバタクカミの毛をサラサラと撫でる。彼女はくすぐったそうに目を細めるだけで抵抗する素振りは一切見せない。

 あとでブラッシングをしてあげよう。ブラッシングやシャワーの様なケアをポケモンにしてあげることはトレーナーとして必要不可欠なことだ。よく懐く様になるだけではなく、病気なども予防することができるからね。

 

 穴の向こう側では、まだマスカーニャとヌメルゴンが戦いを続けている。ヌメルゴンの火力こそあれど大雑把な攻撃では素早いマスカーニャには当たらず、マスカーニャの火力では『たてこもる』で防御能力を高めたヌメルゴンを打ち砕くことができない。

 

 なるほど、どうやらお互い相手を倒せる有効な攻撃を持ち合わせていないらしい。ここで俺がどちらかに指示を出せば話は変わるのだろうが、今はどちらにも肩入れする気はない。

 

 パチンと指を鳴らせば、既にめいそうを6回積んだハバタクカミが隣に並ぶ。

 

「シャドーボール」

 

「カアミッ!」

 

 1つ、2つ、3つ、4つ……と次々に怨念が込められた黒い球体が展開される。その数は合計10。

 

 ヌメルゴンとマスカーニャ相手では多少通りが悪いかもしれないが、ただでさえ特攻の種族値が高いハバタクカミがめいそうで特攻が最高状態まで上昇した状態なら大抵の相手は倒せるだろう。

 それに加えて、ハバタクカミはマスカーニャと同様に最初期から手持ちに加えているポケモンだ。正確な値を測ってはいないが単純なレベルならジムリーダーレベル、下手すれば四天王級になっていてもおかしくない。

 

「ミッ!!」

 

 ハバタクカミの投げ飛ばしたシャドーボールは、ヌメルゴンに5個、マスカーニャに5個直撃して2体を軽々と吹き飛ばす。2体ともこれまで戦ってきた為体力が削れていたのだろう。思ったよりあっさりと戦闘不能になってくれた。

 

「よし、あとは2体をボールに戻すだけ……」

 

「カミィ!!」

 

 さらにもう一発! ナンデ⁉︎

 

 なぜかハバタクカミが、ヌメルゴンとマスカーニャにトドメのシャドーボールを放とうとしていた。アイエー⁉︎ナンデ⁉︎

 

「ちょっ、ちょっ、ちょ!! もう良いって!」

 

「ハァア?」

 

 理解できませんわ、みたいな顔されても困る。理解できないのはこっちだよ。

 とりあえず、追撃はやめてくれた様なので倒れている2匹をボールに戻しておく。これでトドメ刺される心配はなくなった。

 

 まあ、なにはともあれヌメルゴンとマスカーニャの仁義なき戦いは終わりを告げた。あとは俺が博士に謝り倒して弁償するだけだな! 

 幸いなことに金ならある。これでも俺はちょっと前までかなり給料の良い仕事についていたのだ。

 

 一応言っておくが、今は無職じゃなくて休職中だからな? 

 こちとら住所不定無職の男ではなく、住所不定の国際警察だぞ。

 

 そんなこんなで、木の影からヌメルゴンとマスカーニャの戦いのデータを取っていたナナカマド博士とその愉快な助手さんたちに謝りに行く。

 

「本当にすみません……。この弁償は当然しますので……本当に申し訳ない」

 

「うむ、謝罪は受け取った。幸い、貴重な機器は無事であったし弁償してくれるならこちらからは何も言うことはない。先程の戦いでヌメルゴンのデータも取ることができたしな」

 

「ありがとうございます!」

 

 よかった。ナナカマド博士が許してくれてよかった。

 

 これで「貴方を器物損壊罪で訴えます! 理由はもちろんお分かりですね? 貴方がこんな方法で私の研究所を破壊したからです! 覚悟の準備をしておいてください! 近いうちに訴えます! 裁判も起こします! 裁判所にも問答無用で来てもらいます! 貴方は犯罪者です! 刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいてください! いいですねッ!!」とか言われた日にはどうしようかと思ってた。

 

 金ならあるからな。これでも金払いはいい仕事に就いているんだ。貯金はポケモンの世話代を差し引いてもまだまだ残っている。

 

「……ところで、体の調子はどうだ?」

 

「お陰様で元気いっぱいですよ。今はロケットパンチだって出せちゃいますし」

 

「そうか……。それならそれでいいのだが」

 

 ナナカマド博士曰く、ヌメルゴンのデータを継続して取りたいので週に2、3回は研究所に訪れて欲しいとのこと。

 できればヌメルゴンを預けて欲しいらしいが、当のヌメルゴンがあの調子ではおそらく大暴れして大損害を出すだけで終わってしまうだろう。

 

 まだ彼女には教えていかなければならないことが多いな。まあそこはトレーナーとして当然の義務なので避けては通れないことだ。そこを放棄してしまうと、強さだけはある手がつけられないポケモンになってしまう。

 そういったポケモンは最悪駆除対象になってしまう為、真に自分のポケモンを愛しているなら時には厳しくすることも必要なのだ。

 

 研究所を出る前に施設に備え付けられている回復装置をヌメルゴンとマスカーニャに使用させてもらう。今いる手持ちは3匹だけなので、彼女らを除くと俺の手持ちはハバタクカミだけになった。まあ預けている分を取り戻せばちょうど6体になるけど。

 

「よし、ハバタクカミ」

 

「ハァア?」

 

「ブラッシングしよう」

 

「ミッ!」

 

 ふわふわと近寄ってきたハバタクカミは、胡座を描いた俺の足の部分にちょうど収まるとリラックスした様子で体を預けてきた。

 

 まずはシャワーだ。博士からホースを借りて水を繋ぐ。蛇口を取り付けてシャワー機能を開放することで快適な形で水浴びをできる様にする。

 

「ミ〜〜」

 

 シャワーをかけてやるとハバタクカミは気持ちよさそうに目を細める。……いや、これは単に水が目に入らない様にしてるだけかもな。

 

 軽く全身を水で濡らしたあとは、専用の石鹸を使って体の汚れを落としていく。

 この時、使う石鹸はポケモンそれぞれに合ったものにした方が良い。肌に合わないと炎症を起こす可能性があるからな。

 ハバタクカミはムウマ系列が好むタイプを使用している。どのタイプが良いのか分からない時は、近くのポケモンセンターで質問すると良いぞ。

 

 あわあわのもこもこになったハバタクカミを水で洗い流してやる。しかし、水に濡れたハバタクカミはなんか全体的にほっそりしているな。

 

 あとはドライヤーで乾かしたあと、毛に櫛を通していくだけだ。

 

「カミカミ」

 

 ハバタクカミを抱き抱えていると、彼女が腕をハムハム甘噛みしてくる。

 

「どうした? お腹減ったのかな?」

 

 未だ甘噛みを続けてくるハバタクカミの口におやつとしてオボンのみを突っ込んでみる。

 

 あっ、ちょっ、お客様困ります! 俺の腕ごと食べないでください! 

 

「ハァア♡」

 

 ハバタクカミはおやつを食べてご満悦なのかすごく喜んでいる。俺は嬉しくないがな! 

 

「ミッミッ♡」

 

 めちゃくちゃペロペロ舐めてくる。そんなに俺の腕は美味しくないぞ。左腕じゃなくて右腕だからまだ美味しいのかもしれんけど。

 

「ミィッ!」

 

「うおっ!」

 

 ハバタクカミが腕を舐め回しているのをぼんやりと見つめていると、突然顔いっぱいに紫の毛玉が広がった。

 ハバタクカミが今度は舐める場所を腕から顔に変えたのだ。ペロペロされているが、まあ愛情表現だと思えばかわいいものだ。

 

「ハミー!」

 

 ハバタクカミが口に舌を捩じ込んでくると同時に体から力が抜けていく……。これ、もしかしなくてもドレインキッスか! 

 

「ハァア♡ミィ♡」

 

 力が抜けて倒れている俺に構わずハバタクカミは擦り寄ってくる。それはさながら死体を貪り食うかの様な勢いで体を擦り付けたり、ドレインキッスをしたりしている。

 

 このあと1時間くらい舐め回された。




ポケモン世界の進み方はややこしいので、時系列が間違っている可能性が高いです
おかしい所があってもこの世界オリジナルの進み方をしていると寛大な気持ちで見逃してください
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