俺のヌメルゴンがなんか病んでる   作:鋼タイプが好こヴィラン

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まさかのハバタクカミ2個目
前が薄かったので分割分です
字数少なめ

タイトルに反してヌメルゴンの出番少ない悲しみ
一通り手持ち出し切ったらメインヒロインだから許して…


ハバタクカミ2

 

 ハバタクカミ()は満足していた。

 

 今日の自分は運が良い。いつもは他のポケモンたちに集められているトレーナーを独り占めできるのだから。

 

 よくよく考えてみると、ハバタクカミ()がトレーナーと2人きりになれた事は殆どなかった。

 最初期、つまりまだパルデア地方でニャオハとハバタクカミしか手持ちがいなかった頃では、いつもニャオハがボールから出てトレーナーの肩に乗っかっていたのだ。夜寝る時まで一緒に居たのだから2人きりになれるはずがない。

 しかも、トレーナーが他のポケモンと関わろうとするたびにニャオハはトレーナーに突撃したり噛んだりして邪魔をしていた。ハバタクカミ()も何度もニャオハに邪魔されたことがある。

 

 ハバタクカミ自身もニャオハより後に加入したため、そこは年功序列の様なものとしてある程度納得していた。しかし、トレーナーが手持ちのポケモンを増やし続けた結果、自分に構ってくれる時間が少なくなっていったのには不満を感じている。

 

 そのため、今回の誰からも邪魔されずに2人きりになれる時間はすごく嬉しかったのだ。

 

 今、トレーナーは3匹のポケモンしか持っていない。残りの3匹はそれぞれ彼の知り合いに預けられている。いずれ取り戻しに行くとはいえ、そのうちの1匹が原因でおそらくトレーナーはギリギリまで回収を渋るだろう。実は3匹預けている理由はその1匹を残り2匹で抑えるためだったりするのだ。

 そして今、マスカーニャと新入りのヌメルゴンは回復を終えて眠っているところ。

 

 つまりこれがどういうことかわかるか? 

 

 ハバタクカミの独り占めタイムの始まりということだ。

 

 目覚めた他の2匹に邪魔されないようにボールにはゴースト技で封印をかけておく。これでもう誰も邪魔できない。誰にも渡さない。

 

「ミ〜」

 

 すりすりと体をトレーナーに擦り付ける。人肌の暖かさとトレーナーの心臓の鼓動が聞こえて気持ちいい。トレーナーの匂いはどことなく甘い香りがしていつまでも吸っていたくなる。

 

 そういえばこんな話を知っているだろうか? 

 いい香りがする人とは遺伝子から相性が良いと。確かトレーナーが読んでいた本にそんなことが書いていたような気がする。つまり私とトレーナーの相性は生まれた時から最良であるのだ。嬉しい。

 

「おっ、どうした? 今日はいつになく甘えるな」

 

「ミッ!」

 

 トレーナー、ああトレーナー、トレーナー。

 私の大好きなあなた。

 

 大穴にいた頃は散々だった。訳もわからず違う世界に連れてこられて、違う環境で住むことを強いられて、せっかく作った縄張りも他の見たこともない凶暴なポケモンに奪われた。空を飛ぶことができた私はあの凶暴なドラゴンに追い立てられながら大穴を脱出し、広いパルデアの地へと逃げ出すことができた。

 

 あそこで逃げ出せたのは本当に偶然であり幸運だったみたいだ。たまたま通り抜けることができなければ、私は今頃あいつの腹の中だったかも知れない。

 トレーナーに出会うことなく死んでしまったら、と考えると恐怖しかない。

 

 その後の生活も悲惨なものだ。見たこともない世界、見たこともないポケモン。幸いなことに外のポケモンたちは大穴にいたポケモンたちより遥かに弱かった。しかし、人もポケモンも見知らぬ異物を嫌うもの。同族だけでなく他種族のポケモンとも協調して私は攻撃された。

 一体一体なら問題なく処理できるが、束になってこられると厄介で、結局住処を得ることができずにまたしても逃げ出すことになった。

 

 そうして腹を満たすこともできずに死にかけていた時に、彼がやってきた。

 また私を攻撃しにきたのか、と敵意を剥き出しにする私に餌を与えてくれて保護してくれた。あなたにとっては大したことじゃないのかもしれない。けど、そのお陰で私は救われたのだ。

 

 我ながらちょろいと思う。

 けどトレーナー。私を助けてくれたあなたが大好き。めちゃくちゃ好き。トレーナーのためならなんだってするし、この命を懸けても惜しくはない。命令されたら文字通りどんな事も命懸けでこなすつもりだ。

 

「あっ、見て。ビッパだ。かわいいな」

 

「ハァア!!」

 

 くたばれビッパ!! 軽々しく私のトレーナーに触ろうとするな! 私とトレーナーの2人だけの世界に入ってくるな! 

 

 マジカルシャインで近づいてきたビッパを川の向こう側へと吹き飛ばす。ビッパは3回地面に叩きつけられてバウンドすると見えなくなった。おそらく逃げたのだろう。

 私はあのヌメルゴンとは違う。流石に命に危険が及ぶような真似はしない。今のも直撃しても精々気絶程度の威力に抑えてある。何故なら野生のビッパであろうとも死んだらトレーナーが悲しむから。

 

「えっ……ちょ……そこまでする?」

 

「ハァアン!!」

 

 私たちの時間を奪った罪は重い。

 

 私にはトレーナーがいればそれだけで良いし、トレーナーにも私さえいれば良い。本当なら他のポケモンにも消えて欲しいけど、それをするとトレーナーが悲しむからしないだけ。

 

 だからずっと一緒に居てね、トレーナー。

 

 

 

 

 

 なんかハバタクカミがやけにくっついてくる件。まあでもよく考えたら2人きりになるのは珍しいな。いつも大抵他のポケモンも一緒に居たし。好きにさせてあげよう。

 

 さて、俺は今2匹のポケモンを知り合いの育て屋に預けている。ちなみに最後の1匹は国際警察本部にいる。リハビリが終わるまで預かっててくれと頼んでいたポケモンたちだが、リハビリも終わってなんならその一環としてのヌメルゴン育成も終わってしまった。

 あんまり長く預け過ぎると知り合いから文句も言われるし、置いてきたポケモンたちも自分が捨てられたと思ってショックを受ける可能性が否定できない。

 

 もちろん、捨てるつもりなんてカケラもないので誤解を与える前に早く回収に行かなきゃならないのだが……。

 

「あんまり行きたくないな……」

 

 まあ預けているポケモンのうちの1匹がちょっと訳アリで、その子を手持ちに加えると少々……いや、かなり面倒なことになるのだ。

 そのポケモン自体は珍しいといえば珍しいけど探せば普通にいるのでポケモンの珍しさの問題ではないんだけどね。珍しさで言ったらヒスイヌメルゴンやハバタクカミの方が圧倒的に上だし。

 

 しかし、いつまでもこうしているのは手持ちポケモンたちへと不信感を生んでしまう。覚悟を決めるしかないな。

 

 ……よし、明日行こう。連絡をとって知り合いに明日ポケモンたちを迎えに行くと伝えておく。

 

「ハバタクカミ、明日預けてた子たちを回収しに行こうと思う」

 

「ミミッ⁉︎」

 

「え、そんな驚く?」

 

 ハバタクカミは驚きのあまり口に含んでいた俺の髪の毛を全部離してしまった。いや、そんなの汚いし食べないで欲しいんだけど、そこまで驚くこと? 

 

「ミミミミッ」

 

 でもでも、とジェスチャーをするハバタクカミ。分かってる。確かに危険性はあるけどこれ以上放置している方が不味いと考えたんだ。人としてもトレーナーとしても。

 

「ミィ……」

 

 最終的に納得してくれたのか、ハバタクカミは大人しくなった。けど、俺のことをそこまで心配してくれるのは嬉しいので感謝しておく。

 

「今日はさ、マスカーニャもヌメルゴンも疲れてるみたいだし、2人でどこか遊びに行かない? 連れ歩き散歩とかどう?」

 

「ミィ!!」

 

 ハバタクカミは露骨に元気を取り戻して復活した。なんだ、そんなに遊びたかったのか。悪いことしたな。

 

 こうして、俺はハバタクカミを連れていっぱい遊んだ。ハバタクカミも満足してくれたようで何よりだ。ハバタクカミは手がかからない良い子だと考えていたことや、最近、ヌメルゴンばっかりであまり構えなかった事もあり悪いことしてしまったなと反省している。

 

 これからはもっと気にかけてあげようと思う1日だった。

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