俺のヌメルゴンがなんか病んでる   作:鋼タイプが好こヴィラン

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最後のストックです。受け取ってくださいジョースターさん


カトレア

 

 キュウコンからテレポートで逃げ切ったサーナイトは連れてきたトレーナーを一旦解放して休憩を挟む。

 

 短い距離ならまだしも、長距離テレポートはそう何度も連発出来るものではない。幸い消耗具合は大したことないので一度休憩を挟めばもう一度飛べるようになるだろう。

 

 今、サーナイトが向かっているのはカトレアのいるシンオウ地方ファイトエリアにあるバトルフロンティアだ。その中でもカトレアがいるのはバトルキャッスルであり最終的な到達地点はそこになる。

 

 さて、その前にキュウコンに催眠をかけられたトレーナーをなんとかしなくてはならない。流石に催眠に掛かっている状態でカトレアに会わせる訳にもいかない。……いや、その状態で連れて行けば一周回って喜ぶかもしれないが。

 

 とにかく、サーナイトはキュウコンに掛けられた催眠をエスパー技で解除しようとして少し手が止まる。

 

 ──もしかしてここでちょっと催眠を弄れば自分の都合の良いように出来るんじゃ……

 

 少し魔が差した。

 自分の好きな人を自由自在に書き換えられるチャンスを目の前にぶら下げられたのだ。思わず手に取ってしまいそうになるのも仕方のないことだ。

 

 しかしサーナイトにもまだ良心が残っていたのか、ぶんぶん首を振ると直接微弱なエスパー技をトレーナーの脳内に流して特に書き換えなどを行うことなく催眠を解除した。

 

 自身の悪魔の囁きを振り切って、やり切ったような勿体無いような微妙な表情を浮かべながらサーナイトはトレーナーをカトレアの下へと連れて行くのであった。

 

 

 

 

 目を覚ますと見覚えのあるなにやら豪華な部屋。確かここはバトルキャッスルの中にあるカトレアちゃんの私室だったはずだ。一度来たことがあるから分かる。

 なんで俺はこんなとこにいるんだ? 

 

「あら? 起きたのね。もう少しこのままでも良かったのに」

 

 すると真上から降り注ぐ聞き覚えしかない女性の声。そして今俺の頭が乗せられている場所。程良い温かさと硬さを有したこれはもしかして──! 

 

 完全に今の自分の状況を理解した。

 

 ……これ膝枕されてんな。

 

 弾かれるように飛び起きる。あかんてこれは。

 カトレアちゃんは良いとこのお嬢様やぞ? そんなお嬢様に膝枕させたとばれた日にはどうなるのか容易に想像がつく。

 

 圧力を掛けられて強制的に職を奪われ、再就職先も潰されて路頭に迷いホームレス生活に……。そしてそこでポケモンバトルで生計を立てようとしても徹底した妨害に遭いまともなバトルもさせて貰えなくなり最終的に首を吊るしかなくなる……。

 

 まあ流石にそんな事にはならないだろうが、カトレアちゃんのお父様とコクランさんに殺されると思う。冗談抜きに。

 

「あー、その、ありがとうございました?」

 

「ええ、どういたしまして。アタクシはアナタと話をしたかったのよ? サーナイトを通じて連絡していたのに無視するなんて酷くないかしら?」

 

「あっ、ごめんなさい。諸事情でサーナイトは育て屋に預けていたので連絡はさっき受け取ったところだったんです。あと、なんで俺はここに来てるんですかね? いや、元々訪ねる予定だったんですけど」

 

「……そのサーナイトはアタクシだと思って可愛がるように、と伝えた筈だと思うのだけど? 一時とはいえ手持ちから外したのね? あとアナタはサーナイトに連れてきて貰ったわ」

 

 ヤバい、地雷を踏んだかもしれない。

 でも左腕の件で絶対呼び出されるって分かってたから、サーナイトを通じてカトレアちゃんから左腕の件で連絡を初めて受けた時からサーナイトと接触することは出来る限り避けてたのだ。正直、連絡を受け取らなかったのは悪いと思っている。しかし、俺も色々譲れなかったのだ。

 サーナイトを手持ちに入れていたら攫われて、入れていなかったら責められる。どっちみち詰んでた訳だな。

 

 ちなみに今の俺の話し方はカトレアちゃんがお嬢様ということもあり失礼のないようにしているが、本人から敬語は使わないように言われていて板挟みになった結果、どっちつかずの微妙な感じに収まったという状態だ。

 

 仕方ない。これはもう無理だ。素直に謝ろう。謝ったら世の中大体のことは許される。許されない時もある。それは時と場合によるので注意しよう! 

 

「ごめんなさい」

 

「いいえ、許さないわ」

 

 でも、と彼女は続ける。

 

「アナタがアタクシの専属執事として雇われるなら許してあげる。これはまだ内密な話だけれども、超能力の制御が利くようになってアタクシはイッシュの四天王に選ばれたの。だから近々シンオウを離れて貰うことになることは覚悟しておいて欲しいわ」

 

「あ、おめでとうございます。けど専属執事なら既にコクランさんがいると思うんですけど?」

 

「コクランはもちろん続投よ。アナタとコクランでは求める役割が違うもの」

 

 その役割とやらがなんなのかよく分からない。

 実というと、このカトレアちゃんからの誘いは以前から受けていたのだ。左腕の件より前から受けていたので、間違いなく左腕の件があったら再び誘いが掛かってくると踏んでいたのだ。だから会いたくなかった。

 

「国際警察の仕事はどうなるんですか? さすがに両立は無理ですよ?」

 

「辞めなさい。下世話な話になるけれども、国際警察の収入よりも遥かに高額な給料を払う準備がコチラにはあるわ。もうこれ以上、そんな危険な仕事を続ける必要なんてないのではなくて?」

 

 確かに彼女の言う通りである。国際警察の仕事は危険なものだ。殉職者だって少なからず出ている。それなりに高額の給料は出ているが、探せばもっと割りのいい仕事は多いだろう。

 ここでカトレアちゃんの執事に転職して方がお得であるのは明白だ。

 

 ……けれども

 

「お断りします」

 

「……理由を聞かせて貰っても?」

 

「……俺はこの仕事にやり甲斐を感じています。確かに仕事は大変で危険ですが、俺はこの仕事を通じてやりたいことがあるんです」

 

「やりたいこと?」

 

「人々の安全を守りたいんです」

 

 俺がこの国際警察に入ったのは成り行きの側面が強い。国際警察に入った理由は単純に俺を引き取って親代わりになってくれた人が国際警察所属だったからでしかなかった。強いて言うならその人への憧れくらいなものだ。

 

 でも実際に国際警察として活動して、悪質な犯罪組織やポケモンの密漁を行うハンター、指定危険未確認生命体の調査及び殲滅といったこのポケモン世界の裏側のような仕事をして分かったことがある。

 

 それはゲーム主人公が如何に危険な状況にあったかということだ。

 

 どの世界であっても犯罪者は危険だ。そんな奴らのアジトにいくらポケモンバトルが強いからといって10歳ほどの少年少女が突っ込んでいくのは死にに行くのと同義だ。

 

 考えたことはないだろうか? 

 悪の組織とのバトルに負けたにも関わらず、ポケモンセンターに運ばれるだけで特になにもされないことに。あれはゲームだからそうなるだけで実際には殺されるか、それより酷い目に遭わされるだけだ。

 

 俺は国際警察として活動している間、目を覆いたくなるような事例をいくつも見てきた。

 

 別に俺はそのことについて偉そうに説教する気はない。実際、下手な武器よりポケモンの方が心強いから、ある意味では主人公やライバルは安全であるとも言える。

 

 ただ実際この世界を生きてみて、この世界はゲームではなく現実なんだと何度も痛感させられた。万が一、億が一にでも主人公やライバルが悪の組織に負けて酷い目に遭わされる。そんなことが起こらないようにしたいのだ。

 

 それに、原作開始前から行動することで原作で既に起こってしまった悲劇のいくつかは未然に防げるかもしれない。

 実際、俺はイッシュ地方のプラズマ団を解散に追い込んでいる。原作知識を利用してP2ラボを暴き出し、そこで行われている非道なゲノセクトの実験を暴いてプラズマ団との繋がりの証拠を隠滅される前に確保できたのだ。

 その結果、アクロマや一部の七賢人は取り逃したが、ダークトリニティやゲーチスは既に豚箱に押し込んだ。森に居た幼少期に助けることは出来なかったが、Nは保護されて今はアデクさんの下で学んでいると聞いている。ゲーチスの洗脳から解き放たれた彼がどんな道を選ぶのかは彼次第だ。

 

 これらのことから普通の警察ではなく地方を超えて活動できる国際警察が適していると俺は思っている。

 

 だからまだ辞める訳にはいかない。まだまだやらなきゃならないことが残されているんだ。

 

 そのことを転生による原作知識云々を抑えてカトレアちゃんに伝えた。これで彼女も分かってくれるだろう。

 

「……それは、それはアタクシのようなアナタの身を案じる人に心配を掛けてまでなさねばならないこと?」

 

「……え?」

 

「認めません。やはりアナタには国際警察を辞めて貰うことに決めたわ」

 

「ちょっ……ちょっと待ってください! 俺はまだやらなきゃならないことが!」

 

「アタクシはアナタのその左腕が()()()()()()()()()()()()()()()()を知っているわ。もちろん()()()()()()()()()()()もね。そんな相手と戦うことになる危険な職場にこれ以上アナタを置いておく訳がないでしょう? サーナイト、連れて行きなさい」

 

 立ち上がろうとする俺を抑えるようにサーナイトが肩に手を置く。

 その瞬間、世界が切り替わった。テレポートだ。

 豪華な部屋であることには変わりないが先程とは違った間取りの部屋になっている。ここは何処だ? 

 

「そう警戒しないで。ここはアタクシの別荘の部屋の1つよ。アナタにはしばらくここにいて貰うわ。この際、執事になりたくないならならなくて結構よ。ただし国際警察だけは辞めなさい。どのみち、エスパータイプの結界が貼ってあるからこの別荘からは出ることはできないわ」

 

「……なんでそこまで辞めさせようとするんですか?」

 

「アナタはアタクシにとって大切な人だからこれ以上危険な真似をして欲しくない。それで十分でしょう?」

 

 ではこれで、と綺麗に一礼するとカトレアちゃんは部屋を出て行った。一瞬だがコクランさんが見えた辺り、元々ここに連れてくるつもりだったのかもしれない。

 

「サーナイト、ここから出して」

 

 サーナイトはフルフル首を振って拒否の意味を示す。やっぱりダメか。

 

 さて、どうしたものかな。

 

 とりあえず色々考えてもどうにも出来ないため、一旦ベッドに寝て休憩することにした。

 

 まあ、なんとかなるだろう。強行突破はできればしたくないけどね。




主人公の手持ちポケモンのレベル

ヒスイヌメルゴン Lv59
マスカーニャ Lv73
ハバタクカミ Lv72
キュウコン Lv75
サーナイト Lv73
??? Lv67

レベル指標
Lv100 禁止伝説ポケモン級 (普通のポケモンはここまで至らない)
Lv90代 幻・準伝説ポケモン級 レッドさんは半分くらい足踏み入れてる
Lv80代 チャンピオン級 各地方チャンピオンの平均レベル 
各地方チャンピオンのエース級はLv90代に踏み入れてるものもいる
Lv70代 四天王級 各地方四天王の平均レベル
Lv60代 ジムリーダー級 各地方本気ジムリーダーの平均レベル
ポケモンの大会に出るエリートトレーナーやベテラントレーナーは大体50〜70代のレベル帯のポケモンを使う(個人差がある)
Lv50代 異様に強いモブトレーナークラス
以下は省略

大体こんな感じの感覚で見てくれればOK

キュウコンはシロガネ山中層で主をしていたので他のポケモンより強いが伸び悩んでいる。野生遭遇時でのレベルは72。
???はほとんど国際警察本部で過ごしているのでレベルがあまり上がらない。
ヒスイヌメルゴンの加入は最近のため1番レベルが低い。
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