誰が噛ませ犬だって?   作:名も亡き一般市民

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お初にどうもフェイ・ルーン

目を開けるとそこには海が広がっていた。足元には砂浜、目の前には海。考えるまでもなくビーチである。

 

ここはどこか。松風天馬に関する資料には目を通しておいたため、検討はつく。ここは過去の沖縄である。

 

松風天馬がサッカーを始める切欠となったのは、サッカーボールに命を救われたことだ。材木に挟まれた犬を助けたがゆえに自身が危機に陥り、そこへ突然打ち込まれたサッカーボールが材木を吹き飛ばした。そのサッカーボールから全てが始まったのである。

 

よってその出来事を失くすことが出来れば、松風天馬がサッカーを始めることがなくなる。

 

 

 

 

 

 

「と、考えるだろうね。アルファもエルドラドも。」

しかし、その出来事を消した所で松風天馬からサッカーを奪うことは無理だろう。

僕は松風天馬の優秀なサッカー遺伝子によって誰が生まれるのか知っている。あの化け物を産み出した遺伝子が、インタラプト修正ごときでどうこうなると思えない。

 

(修正が出来ないとなると、実力行使してくるか。まぁそれをさせないために僕がいる。)

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「苦痛…邪魔…不必要…そう、サッカーは不必要。」

「お、俺にとって…サッカーは…」

「サッカーは必要だ!」

 

「サッカーは必要だ。そうでしょ?これは君の言葉だよ天馬。」

「き、君は…?」「何者だ。」

「僕の名前はフェイ・ルーン!サッカーを必要としている者さ!1対11で勝って楽しい?僕達と勝負しよう!」

フェイと名乗った少年?が指を弾こうとした時、

「待てフェイ・ルーン。デュプリを出すのは8体まででいい。FWのポジを一つ空けろ。」

「え!?」

 

今日何度目か、声をする方へ振り替えると、先程会ったばかりの少年がいた。

「ガンマ!」

「やぁ松風天馬。無事でなにより。」

「えっと、君は?」

「お初にどうもフェイ・ルーン。僕の名前はガンマ。少なくとも君達の敵じゃない。スマート!!」

「「…。」」

 

 

 

 

「もう追い付いてきたか、ガンマ。」

「君達の専売特許だと思わないことだアルファ。それに君達からすれば松風天馬と僕を排除出来るかもしれないチャンスじゃないかい?」

その時アルファが耳につけている機器から音がした。

「…議長。……YES、マスター。時空改変に抗う松風天馬、及び不確定要素であるフェイ・ルーン、そして裏切り者であるガンマ。計3名をサッカーにより排除する。」

 

 

 

 

 

 

 

「ガンマ。君のことはよく知らないけど、僕達の味方でいいんだよね?」

「君のことは知っているフェイ・ルーン。勿論味方という認識で構わない。スマート!」

「…うん。」

「でもそれでも3人しかいないよ。これじゃあ、」

「それは大丈夫。」そう言って指を弾くと、突然8人の選手が現れた!

「うわぁっ!!」

「いちいち驚きすぎだ松風天馬。キャプテンがそれでどうする。」

「…え?俺がキャプテン?」

「キャプテンなんでしょ?はいキャプテンマーク。」

 

そう言って渡される。正直言って分からないことだらけでまだ頭が混乱気味だが、それでもサッカーをすることには変わらない!と気持ちを入れる。

 

 

「まずは僕がアンカーとして奴らの動きを見る。君達は僕のサポートをしつついつでも狙える位置へ向かってくれ。」

「早速指示?!今天馬がキャプテンだって言ったばかりなのに…天馬もそれでいい?」

「あ、う、うん!分かった!」

 

こちらのボールから、テンマーズVSプロトコルオメガの試合が始まった。

 

作戦通り俺とフェイはボールの行方を見ながら前線へ向かう。

「行け。」「「「はっ!」」」

するとボールを持ったガンマにプロトコルオメガの選手が3人、チャージを向かった。凄いスピードだ。

「ガンマ!」と咄嗟にフォローに向かおうとするが、

 

「さぁ。どれほど成長してるかな?」

全く動じずゆったりと構えたまま、ガンマは薄く笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サッカーにおいて1対1の場面はフィールドで常に起きている。キーパーとの対決だけでなく、ボールを保持している時もしていない時も、プレーの目的が変わるだけで起きているのだ。

よって1対1が強い選手は必然的にチームに欠かせない存在となる。

が、2対1、3対1となると話は変わる。数的不利というのはどんな選手であっても覆すことは容易でない。

 

しかしながら、それは大きな力量差がある場合を除く。

 

「ぐっ…!」「クソ!」「チッ…」

プロトコルオメガの選手は各々苦悶の表情を浮かべる。

奪いにいっても巧みなボールコントロールで触れも出来ず、ファウル覚悟でチャージしてもあっさりいなされる。そしてハンドワークを駆使したドリブルで、止めるどころかどんどんポジションを押し上げられていた。

 

「どうした。その程度かい?」と涼しい顔のガンマ。

と言うやいなや、連続チャージで緩んだ一瞬の隙をついて天馬に向かってキラーパスを送った。DFの間を通す絶妙な高速パスだったが、追い付くのが精一杯。爪先が僅かに触れたものの、ボールはラインを割った。

 

「ごめんガンマ!」

「松風天馬。これが未来のサッカーの速さだ。早く慣れてくれ。フェイ・ルーン。次は君に出す。」

「全く偉そうに…分かったよ。」

 

 

 

プロトコルオメガボールで再開。すぐにキャプテンであるアルファへ預け、中盤まで切り開く。

そしてアルファと連動し、2人の選手が左右別れるように動いた。

「必殺タクティクス AX…」

「そのカラクリはもう知っている。」と言いつつあっさりパスカットした。

「…ガンマ。」

「高速パスワークによる鳥籠で中にいる選手の思考を停止させる必殺タクティクス。ただパスの始動は必ずアルファから。ならば君のパスをカットすればそれで済む話だ。フェイ!ワンツーだ!」

「オーケー!」

 

ガンマが出した鋭いパスに、フェイが素早く対応。勢いを殺さずダイレクトでガンマへ戻す。

スライディングでチャージにきた選手を飛び上がりながらトラップ。浮いたボールをアルファが奪りにくるが、その動きの裏へポジショニングしたフェイへリターン。

そのボールをフェイが囲まれる前に素早く右サイドへ展開した。

 

そのボールを抑えたのがFWのキモロ。ゴール前へ向かうガンマへクロスを上げた。

「止める!」「そこだ!」とプロトコルオメガの2人のDFがガンマとの距離を詰めるが、

「魅せろ、フェイルーン。」と言って頭上へと高いパスを出した。

 

DFを振り切って跳躍。そのままオーバーヘッドを繰り出した。

「バウンサー…ラビット!」

黄色のエネルギーを纏いながら、縦横無尽に跳ねる。

 

GKザノウも負けじと必殺技を繰り出す。

「キーパーコマンド03!」

力を貯め、腕を前方へ振るうことで衝撃波を放つ必殺技。僅かに拮抗していたが、衝撃波とザノウを吹き飛ばしゴールへ突き刺さった。

 

1-0。テンマーズに先制点が入った。

「ナイスシュートだ。」「あそこまでお膳立てされたら決めない訳にいかないからね!」と軽く声を掛け合う。

「凄いやフェイ!ガンマとの連携もピッタリ!」

「ありがとう天馬。確かに初めてとは思えないほど上手く行ったよ。」

「さて松風天馬。これでフェイルーンは勿論、僕のマークも厳しくなるはずだ。そこで重要になるのは君だ。頼むよ。」

「う、うん!まだ慣れてない所あるけど、何とかする!」

「ガンマプレッシャーかけすぎだよさっきから。大丈夫落ち着いて行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからは一進一退。プロトコルオメガはガンマ相手にはボールの有無に関わらず常に複数マーク。お互いのキーパーの好セーブで得点は1-0のまま、前半終了間際。

「…そろそろ、行く。」

「ガンマのマークも慣れてきました。存分にお暴れ下さい。」

アルファがテンマーズのMFドリルから一瞬でボールを奪う。

そして、

「天空の支配者鳳凰 アームド!」

自らの化身を出現させ、体に纏わせる。

そのままドリブルであっという間にゴール前へたどり着き、GKごとゴールへ叩き込んだ。

 

ピピーーー!!とホイッスル。前半終了の合図。得点は1-1。同点で折り返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

(ガンマとフェイのおかげで互角になってるけど、俺が全然試合に入っていけてない。このままじゃダメだ。何とかしなきゃ!でも後半どうすれば…)

 

「天馬?大丈夫?まず休まないと。」

「あ、うん。大丈夫。」

デュプリという化身の一種らしいものを消したフェイから心配される。

「本当に大丈夫なの?ハッキリ言ったほうが楽な時もあると思うんだけど。」

「うん…」

「全然試合に入れてない、とでも考えているのかい?」と横から口が入る。

「ガンマ…うん、実は。」

「全く、スマートじゃないね。そんなことで僕達が煩わしく思ったりするわけないじゃないか。サッカーは助け合うスポーツだろう?」

 

ハッと顔をあげる。

「そもそも、それを一番体現してるのは君なのにね。人のことは良く見えてても自分のことは見えないのかな。やはりスマートじゃないね。」

「さっきから言ってるスマートって何?天馬、ガンマは少し変わってるけど言うことは間違ってないよ。皆で戦おう。ね?」

「…うん!言う通りだ。二人ともありがとう!」

「…それよりフェイ。大監督はまだか?」

「今照れて誤魔化したね?やっと名前で読んでくれてるし。大監督かどうかは分からないけどまもなく来るよ。3…2…1…」

 

フェイがそうカウントした所で、空中が歪み、突然車が出てきた!雷門でも使っていたキャラバンと良く似ている。

「グンモーニング天馬君!ガンマ!調子はどうかな?!」

「俺、やっぱり夢を見ているのかな…」

 

 

***

 

 

「ミキシマックス コンプリート!!」と大監督ワンダバが高々に声をあげる。

フェイ×太古の恐竜ティラノサウルス。髪が赤く染まり、髪型もポニーテールへ変化した。

「す、凄い!」「これがミキシマックスさ!」「…」

 

「で、ガンマはどうしたの?僕のことじっと見て。」

「…あぁ、特に意味はない。よく似合っていると思っただけだ。」

「え、君ってそういうこと言うタイプ?あ、ありがとう。」

「…よし、後半はフェイ中心でいこう。」

「OK。」「うん!」

 

 

 

後半開始。と同時にフェイに預けた。フェイはそのまま力強いドリブルで駆け上がる。前半とはまた違った脅威にプロトコルオメガは警戒を強める。

「天馬!奪われても僕達が奪い返す!心を落ち着かせて集中するんだ!」

「分かった!ガンマ!サポート頼む!」「了解だ。」

先程とは違う、松風天馬とのワンツー。速度は落ちるもののガンマのサポートによってなかなかボールを奪えない。

 

「チッ!これ以上行かせないよ!」と2人で松風天馬を防ぎに来た。そのままボールを奪おうとした所で、

「アグレッシブビート!」

超音波の波を描くように素早く切り込み、ディフェンスを突破した。

「やった、出来た!俺が!」「天馬!フェイだ!」

ガンマの声に合わせボールはフェイの元へ。そのままシュート体勢に入る。

 

「古代の牙!」

鋭い牙のようなシュートが放たれ、ゴールネットを揺らす。

後半開始早々に2-1とリードした。

 

 

 

「劣勢…信じがたい状況だ…」とその時アルファへ一報が入る。

「議長?……YES。試合はここまでだ。撤退する。松風天馬のインタラプトが修正されたようだ。」

「なっ?!一体誰が…」

「恐らく奴らだろう。議長の判断だ。撤退する。」

 

「それじゃあ点数的にも僕達の勝ちでいいね!」とフェイ。

「アルファ。おじさん達に宜しく言っておいてくれ。」とガンマ。

 

そうして、上空に現れた飛行物体で去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「無様だなアルファ。」

「申し訳ございません。議長。」

「イレギュラーなことが有りはしたが、それに対応してこそエルドラドのエージェントだ。無能は罪だ。」

「…」

「失敗は許されん。分かっているなアルファ。」

「はい。」

「ならばこれ以上失望させてくれるなよ。」

「YES。マスター。」

 

そう言ってアルファは消えた。

 

 

 

 

 

「…あのフェイルーンと名乗っていた者。何者だ?」

「何者かが送り込んだイレギュラーでしょう。しかし、それよりも問題なのは…」

「ガンマだな。あの小僧。いつの間に無限牢獄(・・・・)から。」

「奴は罪人ではなく、自主的にディープスペースへ赴いていた。自在に入れるならば出ることもそう難しくないだろう。問題はなぜここで我々の敵となったのか、だ。」

「しかも奴はまだまだ本気を出していない。試合では徹底的にサポートに回っていた。エージェントであった頃でも一騎当千の強さを誇っていたというのに、無限牢獄で鍛えた今はどうなっているのか想像がつかん。」

「…プロトコルオメガでは相手にならんかもしれん。サカマキ。準備は整っているか?」

「もう少し時間がかかりそうだ。相手が相手。調整は完璧にせねばならん。」

「そうか。今はフェイルーン及びガンマが大きく動き出さないことを祈るしかないか。」




纏めるのが大変~

ガンマで俺teeeしたいよ~笑
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