俺の同僚の顔が良すぎる   作:チキンうまうま

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「新章実装します!」
「マドロックのコーデ復刻します!」
「マドロックのフィギュア作ります!」
「アマツマガツチ復活します!」
「GW連勤です!」
「振られました(ガチ)!」

 うーんこの。



俺の戦友の顔が良すぎる

 

「………。」

 

 エリモスの目が、死んでいる。

 

「……………。」

 

 彼と同じ部屋で作業をしているクロージャの目もまた、死んでいる。

 

「「………………………。」」

 

 ここはエンジニア部の事務室。死んだ目をした2人は黙々と、余計な動作一つせずにモニターを睨み、キーボードを叩き続ける。そんな彼らの横には、このデジタル化のご時世にも関わらず、大量の書類が山を成していた。

 

「…終わらねえ。」

「本当にね…。」

 

 あまりにも先が見えない作業にエリモスがぼやくと、それが聞こえたのだろうクロージャが力なく答えた。

 

「俺さ、事務方入ったの最近だからわかんねえんだけど、普段からこうなのか?」

「普段はそうでもないんだけどねえ。ほら、この間うちとヴィクトリア軍とで提携があったから、その技術協力とかの関係で書類がバカみたいに多いんだよ。」

「…?ああ、なるほど。守秘義務とかか?」

「そういうことー。」

 

 そんなことを話ながら、生気を消した目で、それでも手は一切休めずに2人が作業をしていた時だ。突然にドアが3度、上品にノックされた。

 

「…はい、どうぞ。」

 

 ああ、仕事が増える。来客=仕事という計算式が成り立っていた2人はノックの音に顔を歪めたが、一瞬でそれを戻すと入室を促した。その後に失礼するわね、と言いながら入ってきたのは1人の金髪をした狼人族(ループス)の女性。彼女の姿を見てエリモスはおや、と腰を上げた。

 

「ホルンさん?どうしたんです?」

「あらエリモス、お邪魔するわよ。ちょっとエンジニア部に用事があってきたの。」

 

 そう言ってホルンは手に持った数枚の書類を見せると、自然にエリモスの左に立った。

 

「…もう左に立つ必要は無いですよ。」

「…ああ、そうね。慣れてたから、つい。」

 

 苦笑いしながらエリモスは書類を受け取ると、中身を読み始めた。内容としては大体さっきクロージャと話していたようなことが書かれている。なら責任者であるクロージャに回したほうがいいだろう。

 

「あ、この案件ですね。ならクロージャに回しときます。」

「え?今あたしの仕事増えた?エリモスじゃなくて?」

「増えたぞ。ドンマイ。」

 

 自分の机に置かれた書類を見て、クロージャは絶望的な表情になった。ただでさえ問題児の多いエンジニア部のチーフとして仕事が多いのに、それに更なる仕事が積み重なったので仕方ないと言える。

 そしてそんなクロージャを尻目に、エリモスはと言うとホルンの方へと向き直っていた。

 

「で、どうですホルンさん。ロドスは。」

「いい場所ね。久しぶりにバグパイプにも会えたし…それにみんないい人たちばかり。」

「そいつは上々。ついでに言うならここは飯も美味いですよ。キッチン連中の腕がいいんでね。」

「そうね。ただの社員食堂なのにヴィクトリアのレストランより美味しかったわ。」

 

 それはそれでどうなんだろうか。会話に混ざらないまでも聞いてはいたクロージャは本気でそう思った。

 

「それはそれでどうなんです?いや俺はヴィクトリアでちゃんとしたレストランとか行ったことないんで知らないんですけども。」

 

 そしてどうやらエリモスも同じことを思ったらしい。

 

「…昔士官学校で外から来た人が『食事が美味しく無い』って言ってた気持ちが今なら分かるわ…。」

「そんなにですか。」

 

 まあどんなに不味くても食えるだけマシですけどね、と言いながらチラリと壁の時計を見た。時刻は昼前。そろそろ食堂が混み合う頃合いだろう。

 

「こんな時間か…俺今から昼休憩取りますけど、ホルンさん一緒にどうです?」

「あら。お誘いは嬉しいけど、この後はドクターに呼ばれているの。また今度お願い。」

「それは残念。ではまた今度。」

 

 その後も少し2人は話していたが、キリの良いところでホルンが事務室を後にした。それを見送ったエリモスは一つ大きなノビをして、椅子から立ち上がった。

 

「お、エリモス休憩?」

「おう。ちょっと行ってくるわ。今日って日替わりセットなんだっけ?知ってるか?」

「知らなーい。」

 

 まだしばらくは作業を続けるつもりのクロージャはそう言ってマグカップを傾けた。ぬるくなったコーヒーが喉を通っていく。

 

「てかさあ、エリモス。」

「なんだ?」

「エリモスってホルンさんと仲良いよね。」

「どうした急に。」

 

 急な話題の展開に眉を顰めながら、エリモスはクロージャの方へと視線を向けた。

 

「いや気になってさ。まあヴィクトリアで色々あったんだろうしそんな急な話では無いんだろうけど。」

「分かってんじゃねえか。マジでその縁だわ。」

「ふーん。ならさあ。」

 

 カタカタとキーボードを高速で叩きながら、エリモスに視線を欠片も向けずにクロージャは口を開いた。

 

 

「マドロックとどっちが好きなの?」

 

 

「……あ?」

 

 クロージャの質問に、エリモスの顔が不可解なものを見る時のそれに変わる。

 

「いやちょっと気になってさ。ほら、ホルンさんってエリモスの好みど真ん中じゃん?」

「…まあ否定はしねえけどってちょい待て。なんでお前が俺の好み知ってんだ。」

「なんでって。この情報はだいぶ前から出回ってるよ。飲み会ででも誰かに言ったことあるでしょ?」

 

 そう言われたら心当たりしかなかった。

 

「…仮に100歩譲ってそうだとしても、プライバシーってものはないのか。」

「こんな狭い(ふね)でそんなのあるわけないじゃん。で、どうなの?」

 

 どうにか話題を逸らそうとしている中、再び切り込んできたクロージャにエリモスは大きく舌打ちをした。仮にも上司にしていい態度ではない。

 

「いやそんな舌打ちしても無駄だよ。ほらキリキリ吐きなよ。」

「…お前そんな恋愛事情に興味あるタイプだったか?」

「そりゃああたしも乙女だからね。恋バナへの興味はあるに決まってるよ。」

 

 嘘である。このクロージャ、自分が主催しているトトカルチョが、かなりの金額が動いていたにも関わらず中止になってしまったので、その腹いせに聞いているだけなのである。

 

「いやまあ聞かれても答えないけどな。」

「そんな!?」

「いやそうそう教えるわけないだろ。」

 

 社員証を乱暴にポケットに突っ込んで、エリモスは扉の方へと歩き出した。その背中にクロージャの恨めしそうな視線が突き刺さるが、彼はそれを無視できるだけの胆力を有していた。

 

「じゃ、お先に。」

「うええ…後でまた聞くからね…。」

「聞かれても教えんぞ。」

 

 その一言を最後に締められた扉を見て、クロージャはため息を一つついた後、ペースを上げてキーボードを叩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 いつ頃からだろうか。視界の隅に銀色が映るようになったのは。食堂までの、混雑した廊下を歩きながら考える。

 

 いつだ?白でも、灰でもないあの色の髪を、紅玉(ルビー)のような瞳を探すようになったのは。ヴィクトリア行った時から?その前からか?ちょっとだけ考えて、わかんねえや、と考えるのをやめた。要は気がついたら探すようになってた、と言うことだろう。

 

 まあ、確かにクロージャが言った通り、ホルンさんがドストライクってのは否定しねえけど。それはそれとしてってやつなんだろうか。ほらよく言うだろう?『好みのタイプと好きになるタイプは違う』ってのは。いや別にマドロックは中身も見た目も最高なんだけどさ。

 

 奇跡的に食堂までの道では誰にも会わなかった。グムに日替わり(今日は鱗獣のフライだった)を頼んで、そのまま席に着く。

 

 まあでもこれを本人に伝えることはないんだろうな。

 

 そんなことを思いながらフライに齧り付いた。流石と言うべきか、大量に作っているはずなのにサクサクに揚がっている。

 

 先に、それも、割とすぐに死ぬ俺じゃあいつを幸せにできないから。あいつを置いて行ってしまうから。ならあいつの横にいるのは俺よりも、もっとあいつを幸せにできる奴がいい。マドロックより長く生きて、マドロックを支えられるくらい強い奴がいい。そんな奴がいればいいんだけど。

 

 昼食を平らげて、トレイを返却口へと持って行くと、まだ時間があることを確認して歩き出した。この時間なら購買で缶コーヒーを買っても間に合うだろう。

 

 ああ、でも。

 

 目の前を走っていく子供達をみながら、ぼんやりと思った。

 

 それが俺ならよかったのに。

 

 無駄に長く生きているくせに、いやだからこそか?あまりにも面倒な自分に嫌気が差して、横の窓から外を見た。タイミングがいいのか悪いのか、丁度横を通った羽獣とすれ違う。

 

 窓の外には、曇天が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 





すっげえ余談なんですが、エリモスは最初の段階ではアスランではなくアビサルハンターでした。スカジとかの後輩枠。

てか皆さん。フィギュア注文しました?僕はしました。いやーありがたい。届くのが来年なのが今から待ち遠しいですね。この調子でマドロックに新コーデお願いします。個人的には私服系の…縦セタでお願いします。
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