SAO ~血塗れ戦女神(ブラッディヴァルキリー)~   作:見知らぬ誰か

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『銃の喝采の鳴る仮想の地で』……略称『ののの』の外伝!!始まります!!


第01話 あくむのはじまり

「ねぇ、ソードアート・オンラインって面白いの?」

 

 沙耶が俺と昼食を食べている時にいきなりそんな事を聞いてきた。

 面白いか面白く無いか……と、聞かれれば当然答えは……

 

「ああ、面白いよ。これまで無い新感覚MMOだ」

 

 イエスに決まってる。

 

「へぇ、そうなんだ……」

「やりたいならやろうか?正式版SAOのソフト。ナーヴギアは持ってたよな?」

「良いの!?」

「女子に買いに行かせられる訳ないだろ。幸いにも俺はβ当選で買いに行く必要無いし、後からゆっくりやり始めるつもりだったしな」

「ありがとう!!」

 

 沙耶が抱き付いてきそうになったのを俺は沙耶の頭を手で掴んで止める。

 

「はーなーせー!」

 

 指の隙間から見える紅い瞳で俺を睨みながら沙耶はなんとか抜け出そうとするがうまく行かない。

 とは言えこのままでは昼食を食べられないので、沙耶の椅子に沙耶を押し付けてから俺は手を放す。

 全く、止めて欲しい。何で学校でまでこいつと一緒に居なけりゃならないんだ……アイツの容姿は特異で目を惹くし、何気に可愛いから告白されることもザラだ。それでも誰かと付き合わないのは俺の事が好きだからか。

 まぁ、それでもSAOを引き取ってくれるなら良いだろう。俺はちょっと正式版をやる気力が少し薄れていたからな……。

 

「楽しみだなぁ……」

 

 そして、これが沙耶を苦しめる選択になろうとは、俺はこの時知る由も無かった……。

 

※─※─※

 

 2022年11月6日、日曜日。午後12時23分。

 

「ふーふふん♪」

 

 沙耶は鼻歌を口ずさみながら自分の部屋でSAOについて色々考えていた。

 使う武器、取得するスキル、戦術……SAOでやれるありとあらゆる事を思い出し、プレイスタイルを決めた。

 情報については全て汐耶から教えて貰っているため、現状情報だ(・)け(・)ならばSAOβテスターと同じ立場だ。

 そうして迎えた午後12時59分……沙耶は頭にナーヴギアを被り、ベッドに寝て視界右上にある時間表示が13:00になった瞬間に異世界へ飛び立つ魔法の言葉を紡いだ。

 

「リンクスタート」

 

※─※─※

 

――Full Dive Conform Phase(フルダイブ適合判定フェイズ)――

Touch(体感覚)――Clear

Sight(視覚)――Clear

Hearing(聴覚)――Clear

Smell(嗅覚)――Clear

Taste(味覚)――Clear

All Clear

 

――Log In Phase(ログインフェイズ)――

ID:―――――――

PASS:**********

Character Name“Die”Log In

 

 この次は本来ならばアバター作成フェイズだが、沙耶は2日程前にアバターを作成したためそれを飛ばし……

 

――Wellcom To “Sword Art Online”(『ソードアート・オンライン』の世界へようこそ)!!――

 

 SAOの舞台『アインクラッド』に立った。

 

※─※─※

 

 足許は現実と間違う程に精緻な石畳、視界に映る自分の手、周囲にある如何にもファンタジーな建物、そして次々と青い光に包まれログインして来るプレイヤー達。

 沙耶……いや、ディーは仮想の現実を噛み締めながら第1層主街区『始まりの街』を散策し始めた。

 

「へぇー……凄い精緻な作りだなぁ……」

 

 ディーは始まりの街の市場を見ながらそんな感想を漏らす。

 街の建物のディテールや若干の汚れ、市場に出ている屋台に並べられている様々な商品……どれを取っても現実にはありもしないのにとても現実くさい。

 

「じゃ、先ずは武器からかな……戦斧、戦斧っと」

 

 ディーはそう口ずさみながら路地裏に入っていく。汐耶から貰った情報で、表の市場で武器を買うより路地裏の武器の方が若干ながら武器のレアリティが高く且つ安く設定されているらしいのだ。

 ディーは路地裏のかなり奥の方に進むとフードを深く被った商人NPCを見つけた。広げているかなり大きな敷物には幾つかの武器が置いてある。

 

「すいません」

「……おう、嬢ちゃん。こんな暗い路地裏に1人で来るなんて珍しいの……どうじゃ?武器でも見ていくかい?かなり良いモン揃えとるぞ」

「ん~……んじゃ、戦斧とかハルバードとかある?」

「……ほう?なら、こんなのはどうかね?」

 

 NPCはメニューらしき物を開いて一振りの戦斧を出した。

 

「ちょいと重いがかなり使える逸品じゃ。どうじゃ?」

「ちょっと持たせて貰っても良い?」

「品定めは大切じゃからの」

 

 ディーが受け取った戦斧はずっしりと重かった。

 ディーはその戦斧を人差し指でトントンと叩いてメニューを表示させる。

 

名前:オールド・ブラッド

必要筋力:20(赤紫の文字)

 

 その他のステータスは見えないが、装備する上で重要な部分は見えるようになっている親切設定だ。

 刃の部分は固まった血のように黒茶で、刃は一部刃こぼれしている。流石オールドと付くだけあってそこそこ年季が入っているように見える。

 筋力も軽々と振るう分には少し足りないが、普通に使う分には問題ない量だった。

 

「おじさん、これいくら?」

「大特価、1130コルじゃよ、買うかの?」

「んじゃ、この剣買い取りで」「あいよ」

 

 ディーは初期装備の剣を売って、必要なコルを手に入れると購入のために表示されたメニューに金額を入力しそれ分を払った。

 

「毎度あり。毎日手入れをするんじゃぞ」

「ありがとね~」

 

 ディーは『毎日手入れをする』という言葉を疑問に思いながら、汐耶から聞いた事を思い出していた。

 

――偶によく分からない事を言うNPCが居るが、そういうNPCの言う事は聞いといた方が良い――

 

「なら、肝に銘じようかな?」

 

 ディーはそう言いながら表の市場に戻ると、体力回復用のポーションを3つ程買い、始まりの街から出て、少し戦って見ることにした。

 スキルは2つあるが、今のところは両手斧スキルだけを入れておいた。もう1つは後々ゆっくりと考えていく予定だ。

 ディーは街を出たすぐの所でメニューを開き、両手斧のソードスキルを確認した。

 

・単発ソードスキル『アクトダウン』

・単発ソードスキル『ワールウィンド』

 

 今のところはこの2つだけだが、この先両手斧スキルを育てれば増えるだろうと思い、試しにアクトダウンとワールウィンドを素振りして見る。

 アクトダウンは肩に担ぐようにして溜めを入れ、キィィィィン……と特殊なソードスキル発動音が一番高くなると、システムアシストの動きに任せて放った。青のライトエフェクトを纏ったオールド・ブラッドは地面ギリギリ止まったが、ディーにはこれが十分使えるのが分かった。

 次にワールウィンド、捻り抱え込むようにして溜めを入れると再びソードスキルの発動音が響き、それを解放すると緑のライトエフェクトを纏ったオールド・ブラッドがシステムアシストによって右斜め上方向に攻撃が放たれた。

 

「これは……良いかもね……」

 ディーはそう漏らしながら適当にモンスターを探す。

 

「お、居た居た♪」

 

 ディーは青イノシシことフレンジーボアに向かって走りながらワールウィンドの溜めに入り、溜めが終わった瞬間に自分の速度を乗せ、ソードスキルの軌道に合わせてワールウィンドを放ち青イノシシを空に打ち上げる。

 

「ピギィッ!?」

「お~……飛んだなぁ……」

 

 そんな悠長なことを言っている間にディーはもう既にアクトダウンの溜めに入っており、青イノシシが攻撃範囲内に落ちてきた瞬間、振り下ろした。

 その瞬間青イノシシのHPが0になったのか真っ二つに割れて、ガラスが砕けるような音を出しつつポリゴンの破片となって散った。

 視界にリザルトが表示され、獲得経験値や獲得コル、獲得素材が表示されている。

 

「良い感じなのかな?分からないけど」

 

 それからディーは周囲に湧出した青イノシシの悉くを狩りに狩りまくった。

 

※─※─※

 

 仮想の太陽が傾き、階層の間から夕日が差し込んで来た頃、ディーは少しお腹が空いている事に気が付いた。

 

「ん……ここでも食事は出来るんだよね……」

 

 ディーはオールド・ブラッドを背中に担ぎ、始まりの街へ向かった。

 

 街に着くと、ログインしたときとは空気が少し違う気がした。何やら困惑したように様々な人が何か話しているようだがディーにはよく聞こえない。

 まぁ、良いかなとディーは特に気にせずピンク色のタコスのような食べ物を買い、一口かじった。そして口に広がったのは……

 

「いえぇ…………」

 

 甘味、酸味、渋味、苦味……ありとあらゆる味を混ぜた味だった。

 それを買った屋台を見てみれば……

 

『初恋の味、絶賛発売中!!』

 

「……飲み物ならまだイケたかも知れないのに……何でこんなのに手を出したんだろ……?ボクは……」

 

 ディーはチミチミと初恋タコスなる食べ物をまた口に入れる。捨てはしない、食べ物は大事に……データであろうともそれは変わらない。食べ物は大事に(重要なのでry)。

 

「(まだ自分で作った料理の方が美味しいな……)」

 

 現実の沙耶はかなり料理が下手ではあるが、まだ自分で作った料理の方が美味しいと思える味だったようだ。

 そして30分掛けてようやく食べ終わった頃……

 

リンゴーン、リンゴーン……

 

 突然に鐘のような大音量サウンドが流れ周囲のプレイヤーが青い柱に包まれ消えていく。

 それはディーも例外ではなく、ディー自身も青い柱に包まれてそれが強く輝いた瞬間、気付けば始まりの街の中央広場に居た。

 

「……転移?アイテムを使った訳じゃ無いし、何かしたわけでもない……と、いう事は運営側からの働きかけ?」

 

 ディーは適当な推測をしてみるがよくは分からない。

 そしてディーの耳に入った言葉がディーにこれから何が起こるのかなんとなく理解した。

 

「おい!ログアウトさせろ!!」

 

 ディーはそれを聞いた瞬間、右手でメニューを開きログアウトのある階層まで来るが。

 

「無い……?」

 

 欄自体はある、あるのだが肝心の『Log Out』の表示が無い。

 つまり、この空白の欄は意味を成さず、ディー自身を含めた約1万人はこの鋼鉄の城からの自発的離脱は不可能だという事を示していた。

 

「(……ゲームプログラムの信頼性に関わるこのミスは絶対に無い。そんなミスがあったらβの時点で発覚して即時修正が加えられるはず……ましてや正式版であるはずがない)」

 

 その直後、空……正しくは100メートル上空の第2層の底が真紅が染め上げる。

 よくよく注視してみればそれは『Warning』と『System Announcement』とがパターン表示されたものだった。

 そしてその後に続いたのは真紅のパターン表示中央から落ちる巨大な血液の雫のようにしたたり、それが形を変えて真紅のフード次ローブを纏った巨大な人……いや、そのローブの中身は無く、巨大なローブのみだった。

 

「GMか……」

 

 そして、そのローブの右袖と純白の手袋が動いたが、袖と手袋は繋がっておらず、肉体も存在しなかった。

 その直後、低く落ち着いたよく通る声が遥か高みから降り注いだ。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

 ディー……いや、沙耶はこの時理解した。

 

――この世界は有り様を完全に永久に変えたのだと……――




沙耶/ディー(以下『デ』)「さて、始まったね」
作者(以下『作』)「始まったな……初の外伝作品だけど」
デ「まだ、のののは8話ぐらいじゃなかったっけ?」
作「まぁ、そうなんだけど……唐突にSAOのssを書きたくなったんだよ」
デ「大丈夫なの?」
作「多分大丈夫」
デ「期待出来ない大丈夫だね……」
作「まぁ、努力するよ。この先も……」
デ「頑張って。ボクは頑張って演じるからさ」
作「メタい発言は置いといて……」

作・デ「これからもよろしく!!」
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