SAO ~血塗れ戦女神(ブラッディヴァルキリー)~   作:見知らぬ誰か

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第03話 ボス会議

ラージペネントの大群に襲われ、偶然にも効率的なレベリングを果たしたボクの率いるパーティーは、の4日後、迷宮区前の拠点となる(らしい)町『トールバーナ』に来て武器の手入れをしてパーティーで迷宮区に潜るを繰り返し17日が経った。

 3週間は経っているが未だに迷宮区の最奥にあるボス部屋にはたどり着いは居ない……やはり、HPが無くなれば死ぬというのがネックになってとっつきにくいのだろう。

 そして今日、漸く『第1層フロアボス攻略会議』が第1層迷宮区最寄りの町『トールバーナ』で開かれる。

 

※─※─※

 

――47人――

 

 それがトールバーナ噴水広場に集う、プレイヤーの総数だった。

 汐耶の話では最大レイド(1パーティー最大6人を8つを纏めた連結(レイド)パーティー)人数48人と聞いていたが、これでは最大レイド人数まで持って来れていない。

 死者無しでやろうとするなら2レイド96人パーティーの交代制にするのがベストらしいが……デスゲームになってしまったこの状況でこの人数が集まったのはある意味奇跡に近いだろう。

 

「結構来てるな……人数足りて無いけど」

「……?」

 

 何か、この2人から緊張感というものを感じないんだけど大丈夫かな?

 ボクはあまり前に出ないでいるつもりだからどーでも。

 あれ?むしろボクの方が緊張感無いような……?まさか、うん、まさかね……?

 すいません、白状します。全くもって緊張感なんて物は持ち合わせて居ません。むしろ、大物をぶったぎれるという高揚感に満ち満ちております。案外バトルジャンキーかもしれないです。

 いや、案外じゃなくて本当にバトルジャンキーかも……最近、少し重く感じるオールド・ブラッドを振り回すのが愉しくて仕方ありません。どうしましょう……?

 

「はーい!それじゃ、5分遅れだけどそろそろ始めさせてもらいます!」

 

 なんか凄いイケメンの青年が進行役やってるなぁ……なんであんなイケメンがSAOに居るのか……甚だ疑問だなぁ……。

 

「今日は、オレの呼びかけに応じてくれてありがとう!知ってる人も居ると思うけど、改めて自己紹介しとくな!オレは『ディアベル』、職業は気持ち的に『ナイト』やってます!」

 

 あ、あの人βテスターだ(確信)。汐耶のフレンドリストでたしかヤケに明るい青年プレイヤーが居たらしいんだよね。イメージカラーは青って言ってた。それに汐耶の声帯模写のイントネーションとディアベルのイントネーションが同じだし。

 後でコンタクト取ってみよう。たしか汐耶のβの時の名前はアリスだったかな?いや、アリスだった。

 ていうか、『ディアベル』ってエミリア・ロマーニャ語で『悪魔』って意味だけど……明らかに字面だけで選んだ名前だよね……。

 

「……今日、オレたちのパーティーが、あの塔の最上階のボス部屋に到達した」

 

 ふぅん……たどり着いたんだ……。

 

「1ヶ月。個々まで1ヶ月も掛かったけど……それでもオレたちは示さなきゃならない。ボスを倒し、第2層に到達して、このデスゲームそのものもいつかきっとクリア出来るんだってことを、始まりの街で待ってるみんなに伝えなきゃならない。それが、今この場所にいるオレたちトッププレイヤーの義務なんだ!そうだろ、みんな!」

 

 熱血だねぇ……好きじゃない。むしろ嫌いな方だね。まったくもって大嫌いだ。

 

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 

 そこに割って入って来たのはサボテンのような尖った茶色の髪の男性プレイヤーだった。

 第一印象は最悪も最悪。話すらしたくない感じの人だった。なんか、人を全員蔑んで居るような、見下して居るような目でなんか嫌いだ。

 

「そん前にこいつだけは言わして貰わんと、仲間ごっこはでけへんな」

 

 ディアベルは余裕の笑顔を崩さずに言った。

 

「こいつってのが何かは知らないけど、まぁ……何にせよ意見は大歓迎さ。まずは名前を名乗ってからね」

 

 サボテン頭は歩いて噴水前のディアベルの隣まで来ると話し始めた。

 

「わいは『キバオウ』ってもんや」

 

 そのキバオウとかいうサボテン頭は広場を見回してからさらに口を開いた。

 

「こん中に何人かワビぃ入れなあかんやつがおるはずや」

「詫び?誰にだい?」

 

 ディアベルのその質問にキバオウは憎々しげに吐き捨てた。

 

「今までに死んでった2000人にや!奴らが何もかんも独り占めにしたから、1ヶ月で2000人も死んでしもたんや!せやろが!!」

 

 ……それってボクも入るのかなぁ……ボクはβテスターじゃないんだけどその『奴ら』に入るのかなぁ?

 

「――キバオウさん、君の言う『奴ら』とはつまり……元βテスターの人達のこと……かな?」

 

 笑顔の消えた厳しい表情のディアベルがキバオウに確認する。

 

「決まっとるやろ」

 

 そこにキバオウは続けて言った。

 

「β上がりどもはこんクソゲームが始まったその日にダッシュで始まりの街から9千何百人のビギナーを見捨てて消えよった。

 奴らはウマい狩場やらボロいクエストを独り占めしてジブンらだけポンポン強うなって、その後もずーっと知らんぷりや。

 ……こん中にもちょっとはおるはずやで、β上がりっちゅう事を隠して、ボス攻略の仲間に入れてもらお考えてる小狡い奴らが。

 そいつらに土下座さして、溜め込んだ金やアイテムやらをこん作戦のために軒並み吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けられんし、預かれん!!」

 

 なんか、キバオウの言ってる事が、βだからって免罪符を取り付けた無茶な要求を通す為の偽善にしか聞こえないんだけど……気のせいかな?気のせいでは無いのかな?

 右の方に居るβテスターであるホリィは苦虫を100匹は噛み潰したような顔でキバオウを見ていた。βテスターも大変だね。

 

「発言、いいか」「発言いい?」

「ん?」「おっと……」

 

 うわぁ……被っちゃった……まぁ、良いや。立って前の方に行こう。

 もう1人の発言者は大柄ではあるが……何かパチリとはまるようなバランスの黒人プレイヤーだった。心なしか背中に吊ってる両手用戦斧が軽そうに見えるよ……。

 

「先にどうぞ」

「良いのか?」

「キミの次でも問題ないよ」

「そうか」

 

 黒い巨漢プレイヤーは広場に集まったプレイヤーに軽く礼をするとキバオウに向いた。

 

「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、元βテスターが面倒を見なかったからビギナーが死んだ、その責任を取って謝罪・賠償しろ、という事だな?」「そ、そうや」

 

 一瞬、片足を引きかけたキバオウはすぐに前傾姿勢を取り戻し、反論した。

 

「あいつらが見捨てへんかったら、死なずに済んだ2000人や!しかも、ただの2000人ちゃうで、ほとんどが他のMMOじゃトップ張ってたベテランやったんやぞ!アホテスター連中がちゃんと情報やらアイテムやら金やら分け合うとったら、今頃ここにはこの10倍の人数が……ちゃう、今頃は2層やら3層まで突破出来とったに違いないんや!」

 

 すかさずボクは反論する。なに、MMOプレイヤーでは当たり前の事を言うだけさ。

 

「ボクはディー。他のプレイヤーキル可能なMMOでトップPKerの『鮮血の死神女神』と呼ばれてたんだけど……今は関係ないか。

 ねぇ、キバオウさん……もし仮にキバオウさんが元βテスターだったとして……キミは本当に今言った事が出来ると思う?」

「なんやと?」

「キバオウさんは、このデスゲームと化した世界で、本当に、情報・アイテム・お金をビギナーに分け与えるだけで、それが出来ると思うの?」

 

 この世界で重要になるのが情報、プレイヤースキルだ。

 情報はアリスの伝手を使ってβテスターの情報屋『アルゴ』がしっかりと伝えた。だから必要ない……だが、プレイヤースキルは出きる者が教えなければどうにもならない。

 

「結論だけ言わせて貰えば『出来ない』としか言い様がない」

「……その根拠は?」

「ビギナーはソードスキルが使えない。つまり、戦闘能力が極端に低いんだよ?お金、アイテム、情報渡しただけでここまで来れるわけ無い。

 第一、来れたとしてレベルは恐ろしく低いだろうね」

「…………」

 

 反論しないキバオウ。穴はいくらでもあるような……。

 

「ボクもビギナーだよ。この世界では。情報はβテスター並だけどね」

「なんや、それ……」

「ビギナーのキミに言っても分からないさ。アライス……これでβテスターは理解出来るけど……その人に教えて貰った」

 

――Alice――

 汐耶曰わく読み方は『アリス』ではなく『アライス』らしいけど隠語に使う為にそうしたらしい。

 βでは汐耶の思惑通り、アライスではなく、アリスで名前は通ったらしい。

 

「アライス……?」

「ディアベルさん、なんか知ってるなら言ってよ。

 ついでにキミの秘密も教えて欲しいな」

「……見破られてたのか」

「さ、どうぞ?情報屋アライスが右腕ディーがキミをサポートしよう」

 

 ディアベルは1度深呼吸してから話し始めた。

 

「……俺は元βテスターだ。別に隠すつもりは無かった。第1層フロアボスを攻略した暁には自分がβテスターであることを打ち明けようと思っていた。

 ま、ディーさんに見破られてしまったけどね。

 そして彼女の言う『情報屋アライス』……通り名アリスはSAOβテスト時の情報全てを記録、収集したβテスターだ。

 まぁ、彼は居ないようで替わりに彼女が居るようだが……」

「ナメないでよ?こんなこと明かす必要ないし、信じないと思うけど完全記憶能力もってるんだからね。

 アライス/アリスからはβテスト時のボス、モンスター、クエスト、アイテム……etc.の情報全部教えて貰ったよ」

 

 ボクのある時からの『呪い』……『完全記憶能力』。ライトノベルじゃ、よく使われる体の良い特殊体質だ。

 みんなコレを羨ましいとか言うけどこの体質の恐ろしさ(デメリット)は『何でも簡単に覚えられる』という優越感(メリット)を軽々と上回る。

 デメリット、それは『忘れられない』ということだ。言葉にするならメリットによって生じたデメリット。最悪にも程がある。

 忘れられない……つまり、覚えたこと全てを忘れられないのだ。失敗、羞恥、憎しみ……ありとあらゆるものが頭の中でフラッシュバックしリフレインされるのだ。メリットなんて一切感じない。

 

「別に信じて貰おうなんて思ってないから安心しなよ」

「別に信じないなんて言ってない。まぁ、にわかに信じられはしないが……。

 まぁ、それはともかくとして、恐らくこの中にまたβテスターは居るだろう。良ければ出て来て欲しいな」

 

 ディアベルはキバオウをチラリと見てからそう言った。

 そして人混みの中から2人出て来る。

 1人はボクのパーティーメンバー、ホリィ。もう1人は中性的な顔の盾無し片手直剣使いの男性プレイヤー……名前は知らん。

 

「先ずは自己紹介を」

「ホリィだ。ディーのパーティーメンバー」

「……キリト、ソロだ」

 

 盾無し片手剣でソロとはスゴいね……てか、キリトって汐耶から宜しくするように言われたプレイヤーじゃん。

 

「キバオウさん、別にオレ達が悪くないとは言わないけど、せめて信じる位はして欲しいな。

 本来なら、この場ですぐに明かすべきだったんだろうけど……。すまない、糾弾されるのが怖くてどうしても明かせなかった。

 更にに言うならオレは始まりの街でビギナーの育成をしたかったが、その分攻略に行けなくなってしまう……自分が置いて行かれるのではという思いに捕らわれてしまってやむなく1パーティー分だけ育成しながら引っ張って此処まできた……本当に済まない…………」

 

 そう言って深く頭を下げるディアベルの言葉に毒気を抜かれたようにキバオウは言った。

 

「いいんや、わいも少し言い過ぎたし……」

 

 これで団結力が強まると良いなぁ……。

 

「さて、ディーさん。βテスト時のフロアボスの情報を出して欲しいんだけど……」

 

 こんな使われ方は嫌だ……ここは、アルゴを立てるとしよう。ボクは情報屋をやってやるつもりはないからね。




デ「原作沿いで行く予定じゃなかったっけ?」
作「いや、書いている内にキミが暴れてね、こうなっちゃったよ」
デ「……『ののの』はSAO、ALOは原作のままって方向性で書いてたんじゃないの?」
作「まあ、その予定だったんだけど……狂っちゃった。少しずつ変えながらやっていこうかと考えてるよ」
デ「そうなの?まぁ、いいや……てなわけで……」

デ・作「「これからも、よろしく!!」」
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