喜多ちゃんの師匠は陰キャ 作:EA門
お久しぶりの方はお久しぶりです。EA門です。
大きなレポートが終わったので設定を練り直してリメイクしました。
また見て頂けると幸いです。
今日も今日とて午前の授業を終えて何の変哲もない昼休みに入る。
大抵の人は教室で昼食を済ませてそのまま友達とおしゃべりやら何やらするんだろう。
・・・だが、僕には学校に友達がいない!!
中学生の時はいた、あぁいたさ。
ほんとに!ほんとだから!
その時は気づいたら仲良くなってたから高校もそのノリで行けるから大丈夫でしょ、って思っている自分がいました!!
自分が陰キャなのは自覚している。別に人と話すのが無理とかそういうわけではないのだが親しくもない他人と話すのは気を使いすぎて疲れるし苦手だ。特に女子なんて以ての外。どこに目を向ければいいのかわかんないし、少しでも変なこと言ったら吊し上げられそうで怖い。音楽の話題なら大丈夫そうだけど語りすぎてキモいとか言われたら泣いちゃう・・・
そんなこんなでもう秀華高校に入って3年目です、はい。
まぁ、音楽仲間(主にネット上で知り合った人)がいるし気にはしてないんだけど。
ほんとに気にしてないかって?
気にしてるよ!なんかクラスのみんなからは妙に距離取られてるし、この前なんて女の子に先生の場所聞こうとしたら悲鳴上げられるし、僕の心は実はボロボロなんです・・・
教室で1人で食べるのは精神的にきついため長期間を経て見つけた木漏れ日のある
首にかけていたヘッドホンを耳に当てて先程言った友人が作った新曲を歌いながら脳内に叩き込む。これが僕の日課だ。
ちなみに僕は動画投稿サイトで歌手活動をしている。活動し始めたのは4年前だが最近軌道に乗り始めて登録者も増え始めている。今では15万人を超えるほどになり、2年前からインディーズレーベルに所属している。初めは有名曲のカバーや弾き語りなどをしていたが最近ではオリジナル曲の配信を主としている。もちろん顔出しはしていない、バレたら色々と面倒だからね。
閑話休題
いつも通りご飯を食べて、いつも通り曲の練習をする、何の変哲もない昼休みを過ごしていた。のだが・・・
「ここで何をやっているんですか?」
「!?!?!?」
突然声をかけられて声にならない声と共に心臓と肩が上空へ吹っ飛んでいく。上空から戻ってすぐに錆びついたブリキのおもちゃのように後ろを振り向いて後方を確認する。
嘘・・・だろ・・・
今まで一度も人が来なかった我がユートピアがついに見つかってしまった。
しかも、女子に!!
見た感じ同学年ではない・・・つまり後輩!
同学年に比べれば100倍マシだが警戒は怠れない。
やばいなんて言えば正解なんだ、考えている時間はない・・・。
と、とりあえず当たり障りのないことを言えば大丈夫だ、多分。
「・・・お昼を食べてただけ、君こそどうしてここに?」
「体育の授業で忘れ物しちゃって、それを取りにきてたんです」
「忘れ物は見つかった?」
「はい!しっかり見つかりました!」
そう言って彼女はお天道様もびっくりする程のキラキラとした笑顔を見せながらふわふわの筆箱を僕に見せた。
「そう・・・ならよかった」
・・・まさかこの子、所謂一軍女子とかいうやつか!?
見ず知らずの人間に話しかけるコミュ力、クラスの陽キャに似たオーラのような物、さっき見せた一軍女子がよく持つ特有の筆箱・・・そう確信するには十分すぎる材料が揃っている。
ちょっと待て、さっきまで僕は歌っていた。そこに間髪入れずに話しかけてきた・・・ということは聞かれてたか?
それなら尚更まずい、陽キャ女子の情報網は早いと聞く。昼休みに忘れ物を取りに来たらぼっちの陰キャが体育館裏で歌ってた〜、なんて話題として十分すぎるし、それが学校中に広まってあらゆる生徒に指を刺されながら笑われるんだ・・・。いや落ち着け、まだ聞かれてたと決まったわけじゃないそう決めつけるのはまだ早い、素数を数えr
「あの、さっき歌ってましたよね?」
「あぁ・・・そうだよ」
聞かれてました☆もう詰みです☆
あぁ、さよなら僕の平穏な高校生活・・・
僕はもうダメです。来世でまた頑張ります。
彼女から目を背けながら顔を見上げる木漏れ日を浴びる。非常な現実と共にどんどんと視界が虚になっていき、黄泉の世界っぽいのが見えてきた。
「曲は聴いたことなかったんですけど、すごく上手で惹きつけられる感じでした!」
「あ、ありがとう」
彼女からの褒め言葉によって圧倒的な絶望感で意識が飛びそうだったが現世に戻ってくる。やっぱり承認欲求ってやつはすごい。
「よろしければなんですけど・・・私に歌の指導をお願いできませんか?」
「・・・・・・え、は?」
突然の話題転換とその内容に驚きすぎて思わず言葉が出てしまう。
歌を教える?ドユコト?
「実は私、バンドでギターボーカルやっているんですけど」
「あ、うん」
「ギターはバンドの子に教えてもらってて上達しているんですが歌の方は・・・」
「あんまり上達してない、あるいは上達してる実感がないってとこかな」
やべ、思わず口を挟んじゃった。
まぁでもすごいわかる、自分じゃわかりづらいよねそれ。
僕もそれ系統でスランプになったことあるからとても共感できる。
「そうなんです、だから」
「いいよ・・・その話受けてあげる」
「え?本当ですか!?」
悩める後輩の頼みだし、歌の楽しさを知ってもらった方がこの子にとってもこの子のバンドにとっても有益だ。
決して口止めするための交渉材料ではないです。はい。
「別に問題ないよ。それくらいなら」
「ありがとうございます!あ、自己紹介がまだでしたね。私、喜多って言います!1年生です」
「
「え」
「ん?どうかした?」
何だ今の「え」は?
もしかして僕が友達のいないやべー奴ってことが学校中に広まっているのか?
いや、流石にない・・・とは言い切れないかも・・・
「あ、いえ、何でもありません・・・これからご教授よろしくお願いします!えっと〜」
「雨林でいいよ、あと先輩だからってそんなに気張らなくて大丈夫・・・喜多ちゃんって呼べば良い?」
「はい!それで大丈夫です!」
すごく嬉しそうな笑顔でこちらを見てくる。
ていうか喜多ちゃんめちゃめちゃかわいいなおい。
「あ、そうだ!雨林先輩、ロイン交換しましょう!」
「え、あぁ・・・そうだね」
音楽友達と家族以外の人がついにロインに追加された。
しかもそれが後輩の陽キャ女子。
人生って何があるかわからんなぁ・・・
ロインを交換してすぐ「空いてる日連絡しますね!」と言うと喜多はすぐに教室に戻っていった。
久しぶりに学校で他の生徒と話した疲労からか大きめのため息が出る。それと同時に予鈴が鳴り、教室へと足を運ぶ。
午後の授業は憂鬱だが放課後の楽しみが一つ増えた。バンドでボーカルをやっているということは歌がそれなりに上手いと思われる。教え甲斐がありそうだし、とても楽しみだ。
だけどそれと同時に不安な部分もある喜多ちゃんはいい子そうだがバンドメンバーがとても気になってしまう。変な男に引っかかってないといいけど・・・
そんなことを考えながら教室に入り、自分の席について
午後の授業の一番初めに
今ここに僕と睡魔戦いの火蓋が切られる!!
「あ、口止めするの忘れた」
古文の授業は珍しく余裕で乗り切れた。
雨林蒼真
秀華高校3年 身長168cm
話を振られればそれなりに会話はできるタイプの陰キャ
基本的に自分から話しかけないというかかけられない
動画投稿サイトで歌を配信しており、それなりに人気があるが顔出しはしてない
自覚はないが顔はいい
まさか弟子ができるなんて
喜多郁代
みんな大好きの喜多ちゃん
ここでは中指を立てない
ボーカルとして自身の成長を感じず悩んでいたところ蒼真に指導を求める
あれが噂の雨林先輩・・・