毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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第二章「二の辻・メットー壊滅計画」
04-06 実家


「我が忠実なるデストロンの諸君、プルトンロケットを東京に撃ち込むゼロアワーが近付いて来た。

 いよいよ我々の世紀が始まるのだ」

 

                          ――デストロン首領、仮面ライダーV3――

 

 

 

「おお、良く帰ってきたなバカ息子――で、どれがお前の嫁だ?」

「このクソ親父が何をおっしゃいますかね。サナみたいな事を」

 

 ヒョウエの実家であるジュリス宮殿、玄関先の階段。

 一行を迎えたヒョウエの父、ジョエリーが開口一番放ったのが上のセリフだった。

 カレン達と同じくすんだ金髪、ヒゲを整えた30代半ばのハンサムで、王国の軍事を統括する大将軍でもある。

 その若々しい顔付きが満足げな表情を浮かべて頷いた。

 

「うむうむ、サナも心配してくれているのだな。やはりあれをお前につけて良かった。

 で、もう一度聞くが誰がお前の嫁だ?

 ああ、もちろんカレンやカーラや、何だったらサナやリーザでも構わんぞ?」

 

 ジョエリーの視線が一同の間をすり抜ける。

 モリィが思わず目をそらし、リアスが恥ずかしげに笑う。

 カスミは無表情を装っているが、他の二人と同じく僅かに頬を染めていた。

 満足そうにうむうむと父親が頷く。

 

「あのですね・・・」

「だめ! ヒョウエ兄様は私と結婚するの!」

 

 ヒョウエが何かを言う前にカーラが力強く宣言する。

 ヒョウエの左腕をしっかりと抱え込んで、離すものかと全身で主張していた。

 

「ははは、そうだな! 今日はヒョウエはカーラのものということでいいだろう!」

「わーい!」

 

 破顔一笑するジョエリー。嬉しそうにヒョウエの腕にしがみつくカーラ。

 ヒョウエが笑い続ける父親をじろりと睨む。

 

「勝手に息子を売り飛ばさないでいただけますかねえ」

「子供の結婚なんぞ親が決めるものだろうが」

「そりゃそうですが」

 

 この世界では正論ではある・・・とは言え。

 

「そう言うわけでさっさと孫の顔を見せろ。子孫を作るのは王侯のつとめだ・・・おっと、カーラが相手なら後七、八年は待たなきゃならんかな」

「親の決めた結婚をぶっちぎって身分違いの娘と結婚した上に、子供を一人作っただけで母上が死んだ後再婚も側室も置かないような人に言われたくはありませんが?」

 

 ヒョウエのカウンターに動じる風もなく、再びジョエリーが大笑する。

 

「はは! そりゃあしょうがないだろう、お前! ローラ以上の女がこの世にいるわけがあるまい! 後添えなんぞ貰う気にもならん!」

「・・・」

 

 もの凄く何か言いたげだが何も言えないヒョウエ。

 くすくすと、口元を隠してカレンが笑った。

 

「叔父様に一点ね、ヒョウエ?」

「姉上?」

「おお、こわいこわい」

 

 大げさに怖がる振りをして身を翻すカレン。

 憮然とした顔付きのヒョウエを見て、ジョエリーがまた笑った。

 

 

 

 いい加減立ち話も何だろうと言うことで、互いの紹介を済ませた後、一同は宮殿の廊下を歩いていた。

 モリィなどは「へー」と感嘆して廊下の装飾などを眺めている。

 隣で繰り広げられる、暖かい親子の会話から目をそらす目的もあったかもしれない。

 

「大体暇なんですか父上は。わざわざ玄関先まで出迎えに来て」

「誰がお前なんぞ出迎えるか。かわいい姪っ子が飛び出していったからに決まっているだろうが」

「?」

「父上はカーラとカレン姉上が大好きと言うことですよ」

「うん、私も叔父様が大好き! お父様とお母様とヒョウエ兄様の次位に!」

「ははは、ありがとうカーラ」

 

 そこでジョエリーが首をかしげた。

 

「ん? カレンのことは好きじゃないのかな?」

「お姉様は嫌い!」

「あああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 ふんっ!と勢いよく顔を背ける妹に、姉が頭を抑えて悶える。

 ジョエリーが呆れた顔になった。

 

「察するところ、何かお前をからかうつもりでカーラに流れ矢が飛んだのか」

「良くおわかりで」

「伊達に十年以上もお前達の父親や叔父をやってはおらん」

 

 カーラのしがみついてない方の肩だけで、器用にヒョウエが肩をすくめた。

 

 

 

 広い応接間、大きなソファにそれぞれが腰を下ろす。

 もちろんカーラはヒョウエの膝の上でご満悦だ。

 手回し良く用意されていた香草茶を一口飲んで、ふう、とジョエリーが息をついた。

 

「それで、誰が本命なんだ?」

「いつまで続けるんですかそれ?」

 

 息子の白い目にはっはっはと笑う。

 

「四年も顔を出さない放蕩息子だ、これくらい言っても悪い事はあるまい。

 んじゃまあご要望に応えてまじめな話をしようか」

「・・・」

 

 父親が笑みを消す。ヒョウエもまじめな顔になった。

 

「この四年のスラムの改善、見事なものだった。『青い鎧』の活躍を差し引いても大したものだ。陛下に奏上した甲斐もあったというものだ。お前を誇りに思うぞ、ヒョウエ」

「はい、父上。ありがとうございます」

 

 ヒョウエが静かに頭を下げる。

 周囲の人々が笑みを漏らす。そばにはべるベテランの侍従や侍女たちも、一見してそうとは見えないくらい、ほんの僅かに唇をゆるめた。

 

 

 

 その後はにこやかな歓談になった。

 "白のサムライ"の話、"雷光のフランコ"の話。

 雷光銃の実物にカーラはもとよりジョエリーやカレンも目を輝かせる。

 ヒョウエが冒険譚をいくつか披露し、拍手が起こった。

 

「ねえ、お兄様・・・」

 

 目を輝かせて、カーラが何か言おうとしたときにそれが来た。

 

「!」

 

 ぐらり、と部屋が揺れた。

 大きい。震度で言えば五か六はあるだろうか。

 悲鳴が上がり、飾られていた陶器(アリタ)が落ちて割れる。

 

「ひっ!」

「きゃあっ!?」

「・・・!」

 

 しがみついてくるカーラを左手で抱きつつ、床を杖で強く突く。

 

念響探知(サイコキネティックロケーション)!)

 

 特大の念動波が離宮全てに波及する。

 

「ぬんっ!」

 

 それで把握した宮殿とその中の構造物、加えて人間までをも全て"念動"の呪文で固定化する。

 

「え・・・」

「あれ・・・?」

 

 波が引くように混乱が収まっていく。

 揺れは感じるが、皿一つ棚から落ちはしない。

 人間の周囲には見えない壁のようなものがあって、転倒するのを防いでくれていた。

 

 それから一分ほど経って揺れは収まった。

 もう一度念響探知をかけて宮殿内に怪我人のいないことを確認すると、カーラを抱き上げてカレンに渡す。

 

「それではスラムが心配なので戻ります。申し訳ありません」

「うむ。俺も王宮に参内する。カレンとカーラも一緒に帰ろう」

「はい、叔父様」

 

 カーラを抱きしめて、カレンも頷いた。

 身を翻そうとして、カーラのすがるような目に気付く。

 杖から手を離し、その頬を両手でそっと包み込んだ。

 

「兄様、行っちゃうの・・・?」

「すぐにまた会えますよ。約束します」

「うん・・・」

「ほら、小指を出して」

 

 小指をからめて唱えるのはおまじないの言葉。

 

「「指を切り、千本の針にかけて我らは誓う。汝が願い、けして違える事なし」」

 

 からめた指を離し、不安そうな妹の額に口づけする。

 直立し続けていた杖を再び手に取った。

 

「モリィ、リアス、カスミ、悪いけど『野暮用』なので先に戻ります。屋敷で合流って事で」

「おう」

 

 言葉短く四人が頷きあう。それは「青い鎧」の出番を示す符丁。

 

「では失礼」

「あ、おい、どこから・・・」

 

 父の戸惑ったような声を無視して窓を開き、ぴょんと飛び出す。

 次の瞬間、ヒョウエの姿はもうどこにもなかった。

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