毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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04-25 エルフの族長

「こちらだ」

「それがしが降りていって問題なかろうか?」

「騒ぎにはなるだろうな。だが必要な事だ」

 

 エルフの森の中の開けた空間。

 大きく翼を羽ばたかせる孔雀鷲(モチール)に従って、ゆっくりと降りていく。

 広場でエルフ達がこちらを指さして騒いでいるのが見えた。

 降下するにつれ数が増え、中には武器を構えているものもいる。

 

騒ぐな(マト・キャロ)! こやつは敵ではない(ヤー・アダシュ・ナヒン・ハイ)!」

 

 だが地面に降り立ったセーナが一喝すると、エルフ達は一斉に武器を引き、両手の拳を合わせた。これが彼らの礼なのはヒョウエも知っている。

 

「ほう」

「こっちだ、ついてこい」

 

 戦士の一人と何やら会話を交わすと、セーナは身振りでついてくるように促した。

 

 

 

「ほぉぉ・・・」

 

 思わず素が出そうになり、ヒョウエは気を引き締め直した。

 とは言え無理もないだろう。エルフの里に入り込んだ人間など、歴史を見てもそういるものではない。

 森の中、木と寄り添うように立つ家は木製のようだが、その表面は磨いたように滑らかで継ぎ目も釘の跡もない。

 

("木変形(シェイプ・ウッド)"の呪文で作ってるんでしょうか)

 

 鋼鉄の面頬で視線がわからないのをいいことに周囲に視線を飛ばす。

 大人から子供から老人から、道ばたや家の窓からエルフたちが目を丸くしてこちらを眺めていた。多くは褐色の肌に金属光沢のある水色や薄緑の髪。赤みのかった銅色やくすんだ金色の髪もあった。

 

(カラフルだなあ。そしてエルフでも老けるんですねえ)

 

 知ってはいても本で読むのと自分の目で見るのとは違う。

 師の教えを思い起こし、ヒョウエは僅かに感慨にふけった。

 

 

 

 森の奥に踏み込んでいくと、ある所で雰囲気が変わった。

 

「これは・・・?」

「わかるか。さすがだな」

「結界の一種か」

「その様なものだ」

 

 そこから五分も歩くと、再び雰囲気が変わった。

 森の中の一本道と見えたのが大きく開けた草原となり、その中央に巨大な木があった。

 地球の菩提樹に似ているが幹はジュリス宮殿ほどにも広く、先端は雲の中に消えている。

 木の表面にはいくつもコブのようなものがあり、良く見ればそこには窓や中で動く人影が見て取れた。恐らく、この木の表面に"木変形(シェイプ・ウッド)"呪文か同種の効果で建築物を建て増しているのだろう。

 

「なんと・・・!」

「驚いたであろう。人間がここに入るのは数十年ぶりだ、"来たりし者(アラーキック)"よ。我らが"魂の住処なる樹(パラカー・カ・ヴルシュ)"へようこそ」

 

 流石に驚きを隠せないヒョウエを見て、セーナが愉快そうに笑った。

 

 

 

 恐らく彼らの王宮に相当するのだろう、巨木の中へ入っていく。

 

(ドライブスルー・ツリーなんか目じゃありませんねこれは)

 

 メットーの王宮にも負けないほど大きな正門を通り抜け、感嘆に首を振る。

 門衛が手に持った槍を立ててセーナに礼を捧げた。

 

 そのまま奥に進むと、玉座の間らしき場所に出た。

 意外に狭い。幅も奥行きも10m、メットーの王宮の半分から三分の一ほどだ。

 

(ああ、あくまで樹の隙間に居住空間を確保してるから、当然と言えば当然ですか)

 

 そんな事を考えている間にもセーナはずんずんと奥に進んでいく。

 玉座の周囲の廷臣や兵士達がこちらを見てざわめいていた。

 セーナが声を上げた。

 

「お爺様、お話があります!」

「控えよ、セーナ! いまだ《護り手》でしかないお前が軽々しく立ち入るで・・・」

 

 玉座に座る銀髪の老人の傍にいた、人間で言えば40才ほどに見えるこれも銀髪の男がセーナを叱責しようとして絶句した。その視線がヒョウエから離れない。

 

「よい。ナタラ。見てわかるとおり、軽々しき事態ではないのだろう」

「はい、父上」

 

 動揺しながらも中年男が頷く。驚愕と警戒の視線はやはりヒョウエから離れない。その額に目を模した意匠の頭飾り。

 セーナがひざまずく。

 

「わたくしでは判断できないことが起こりましたゆえ、この者をお爺様の前に連れて参りました。詳しい話はこの者からお聞き下さい」

「うむ」

 

 頷く銀髪の老人。頭には四つの顔を彫刻した金の冠。

 

「青い鎧よ、あちらにおわすのがズールーフの森の長、トゥラーナ。お爺様、こちらが"来たりし者(アラーキック)"、人族の護り手である青い鎧です」

「王女だったのか・・・」

 

 驚きつつも、紹介を受けたヒョウエが同様に膝をつき、騎士の礼を取る。

 今の外見は青い騎士甲冑の巨漢なので非常に様になっていた。

 

「それがし、ご紹介にあずかった青い鎧と申すもの。顔を見せられぬ訳がござるゆえご寛恕いただきたい」

「その必要はない。立つがよい、ローラの息子ヒョウエ、最も新しき"来たりし者(アラーキック)"よ。汝がことは生まれた時から知っておる」

「!?」

 

 謁見の間に驚愕が走った。




ナパティがそうですが、ズールーフの森のエルフは割とインド系のイメージで書いてます。
インド人に銀髪や水色の髪はいないって? 知らん、そんな事は俺の管轄外だ。


ドライブスルー・ツリーはカリフォルニアにあったメタセコイアの巨木です。高さ80m、車が通れる穴が根元に開いていました。2017年の大嵐で倒れたそうです。


謁見の間が結構狭いとか書きましたが、例えばヴェルサイユ宮殿だと玉座の間(アポロンの間)は差し渡し10mあるかないかですね。
日本人は大広間の奥に玉座があるのをイメージしますが、そうでない宮殿もあったようです。
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