毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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04-26 神授魔法と精霊魔法

 広間が驚きでざわめく。セーナが思わず立ち上がった。

 他のエルフ達と同じく、ヒョウエも驚愕で動きを止めていた。

 エルフの老族長トゥラーナが口を開く。

 

「それでじゃな。良ければ顔を見せてはくれぬか、ローラの息子ヒョウエよ」

 

 祖父が孫に語りかけるような口調。

 一瞬躊躇したあとヒョウエは立ち上がり、青い鎧を解除した。

 甲冑に幾何学的なひびが入り、無数の細かいブロックになって周囲に渦巻く。

 ふわり、と着地したヒョウエの手が形を変えた杖を握った。

 

「あ・・・え・・・!?」

 

 あんぐりと口を開けてヒョウエを指さすのはセーナ。

 言いたい事はあるのだが、驚きの余り言葉にならないらしい。

 ヒョウエが肩をすくめる。

 

「想像と違っていて申し訳ありませんが、これが本当の僕です。余り失望させたのでなかったらいいんですけど」

「い、いや、失望とかではないが・・・その」

 

 口ごもる。

 ヒョウエが苦笑する。

 

「言いたい事があったら言って下さって結構ですよ。慣れてますし」

「では言葉に甘えて言わせて貰うが・・・お前、その体であの甲冑をどうやって動かしてたんだ? サイズが違いすぎるだろう!」

「あ、そこですか」

 

 青い鎧は身長190cmほど、対してヒョウエは身長150cmあまり。

 どう考えても中に入ってまともに動かせるサイズではない。

 

(そう言えば昔そう言うロボットの超合金がありましたねえ)

 

 毎回名前を名乗らずに登場する主人公を思い出しつつ、肩をすくめる。

 

「まあ、魔法ですので。余り深く考えない方がよろしいかと」

「神授魔法は我らのそれに比べて単純な魔法系統と聞いたが、中々侮れないな・・・」

「そのへんはまあ、ものによりけりじゃないですかね」

 

 神授魔法、ないし系統魔法と言われるものはかつての真なる魔術師、今の《百神》が真なる魔法をデチューンして生みだしたものだ。

 「念じて現実を改変する」という単純にして至難の術である真なる魔法を呪文ごとに切り分けたもの。

 習得しやすいがその分天候制御や呪い、運命や魂、予知と言った複合的・概念的な術は苦手だ。

 

 対してエルフが使うのは妖精魔法、精霊魔法、あるいは呪術と呼ばれるものだ。

 基本的には真なる魔法の系譜を継ぐものだが、万能である真なる魔法と違い、使い手の種族や流派によって大きく得手不得手がある。

 

「例えば俗に魔女と呼ばれる人間の呪術師ならば霊との交信、癒し、呪いとかですか」

「ドワーフの精霊使い(スピリット・シャーマン)であれば大地や食物、酒などに特化していると聞くな」

「エルフの使う妖精魔法は、人間はもちろん他の妖精族に比べても一線を画す強大なものだそうですが」

「・・・言っただろう。私は魔術は苦手なのだ」

 

 恥ずかしそうにそっぽを向くセーナ。

 

(エルフとしては、ってことなんだろうなー)

 

 見事な「エルフの隠れマント」の術を思い出し、ヒョウエがひとりごちた。

 

 なお、人間の神官たちの使う魔法も基本的には術師たちと変わらない。神殿で神の教えにそった魔法を教えているから特定の魔法系統に偏るだけで、事実上彼らは魔術師である。

 ただそれとは別に神官は神から直接魔法を授かることもある。これは神授魔法の呪文と同様の効果を持つが、概ね通常より強力であり、魔力もほとんど消費しない。

 例えば、通常数十人で儀式を行う天候操作の魔法を一人で発動させたりするのがこれに当たる。授かるものも非常に少なく、言ってみれば魔法というより《加護》の一種だ。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

「ふむ」

 

 孫娘と会話するヒョウエを見て、トゥラーナが頬をゆるめた。

 

「ローラによう似ておるの・・・いや、生き写しじゃ」

「よく言われますけどね。母親に似ていると言われても男としては微妙な気分です」

 

 老エルフの笑みが大きくなった。

 それを複雑そうな表情で見上げる。

 

「何故、母や僕をご存じなんです?」

「さて、ローラとの約束もあるでの。いずれは話すときもあろう。星辰が満ち、運命の指が時を指し示す折りにはの」

「・・・」

 

 予言めいた言いぐさに、追求しようとしていたヒョウエが口をつぐんだ。

 その辺の誰かが言ったなら煙に巻こうとしているようにも聞こえただろうが、恐らく千年近い歳を経た老妖精の言葉には奇妙な真実味があった。

 

「ではその件はまた後日に。ただ、私が青い鎧である事はここだけの話にしておいて頂けると助かります」

「よかろう」

 

 老族長が鷹揚に頷いたのを確認して、ヒョウエが居住まいを正した。

 

「ではアクティコ大公ジョエリー・シーシャス・ジュリス・ドネが一子ヒョウエ・カレル・ジュリス・ドネ、ズールーフの森の族長トゥラーナ様に申したてまつります」

「うむ」

「人間たちの族長の一族だと・・・」

 

 再び謁見の間がざわめく。

 もう何度目か、セーナが目を丸くしてヒョウエを見下ろしてきた。

 

「お前族長の子だったのか――そうは見えないな」

「あなたも王女には見えませんよ。まあ人間の目からはという意味ですが」

「父も言ったが私はまだ《護り手》に過ぎん。族長の孫ではあるが、族長を継ぐ資格はないのだ」

「なるほど」

 

 何かしきたりがあるのだろう、何となく察してヒョウエが頷いた。

 

「まあそういう事なら僕も継承権は十位かそこら、随分と低い方ですからね。

 傍系ですし、王子と言っていいかどうか結構微妙なラインですよ」

「ふーむ」

 

 こちらも何となく納得したのだろう、セーナが頷いた。

 

 

 

「と言うわけで改めて地震を起こそうとしている勢力があり、前回よりも遥かに規模の大きい地震が起きるのは間違いないかと思われます」

 

 学者の失踪、遺跡の手掛かり、地脈の緊張、商会を脅迫しようとした末端と暗殺者、バリントンのことなどを伝える。

 

「その件でもうすぐ使者が来ると思われますので、叶うならばご協力を願いたく」

 

 そう締めくくると、老族長は重々しく頷いた。

 

「我らの中でも大地の流れを読んで再び地震が起きると察していたものは多い。言うまでもなく、大地の災いを防ぐために出来る限りの事はしよう、ヒョウエよ」

「かたじけなく」

 

 再び一礼。

 

「遺跡の位置についてだが・・・サーワ。何か心当たりはあるか?」

「地脈の上と言うことでしたら、この森にも二つはございます。森の外となると書物に当たらなければなりませんが」

 

 族長の問いかけに、傍に控えていた妙齢の女官が答える。職掌の印なのだろうか、額に三日月の頭飾り。

 

「うむ。では客人を連れてそれを調べてくれ。

 ヒョウエよ、我らが森の遺跡については我らの方で調査隊を出そう。

 セーナ、ヒョウエの世話役はそなたに任せる。人間の族長の一族であるから、礼を失さぬように」

「かしこまりました、お爺様」

「ありがとうございます、族長様」

 

 セーナが一礼する。ヒョウエも再度礼をし、二人はサーワに連れられて退出した。




ゲーム的に言うと、神授魔法はスキルポイント制で魔法を一つ一つ覚えるタイプ、精霊魔法はクラス制でレベルアップで自動的に魔法を覚えるタイプですね。
もちろん個人やクラスごとに習得魔法に差異はあります。


>名乗らない主人公とロボットの超合金 
パァァァァイル・フォォォォウメイションッ!
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