毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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05-02 白黒大熊猫

 謁見の間。

 ひざまずいた一行に族長であるトゥラーナが重々しく頷く。

 

「このようなおりではあるがよくぞ参った。力を貸してくれ、ヒョウエと仲間達よ」

 

 ブフッ、とモリィとリアスが吹き出した。

 顔を真っ赤にして笑い出すのを我慢している。

 カスミも吹き出してこそいないが、プルプルと細かく震えていた。

 

「微力を尽くしましょう」

 

 一方でヒョウエは平静そのものの様子で頭を垂れる。

 セーナは複雑な表情で無言。

 トゥラーナが溜息をつく。

 

「あー、なんじゃ。我慢しないでよいぞ。ここにいる者どもも、一度は笑いおったからの」

 

 周囲にいたエルフ達・・・セーナの父親や司書のサーワ達が気まずそうに顔を背ける。

 

「ぶ・・・・はははははははは!」

「あは、あはははははは!」

 

 モリィ達三人が一斉に笑い出す。

 それを見て玉座に座る冠と族長の衣を身につけた見事なジャイアントパンダ――セーナの祖父にしてズールーフの森のエルフの族長、トゥラーナは深く溜息をつき、ヒョウエが肩をすくめた。

 

 

 

「あー、なんだ、悪ぃ・・・」

「申し訳ありませんでした・・・」

「まったくもって・・・」

「気にするな。同族どころか家族でも吹き出したのだ、おまえたちを責める筋合いではない」

 

 言いつつもセーナの顔には憂鬱そうな色があった。

 そのセーナがふとヒョウエを見下ろす。

 

「そう言えばお前だけは全く平気な顔をしていたな。さすがの自制心だ」

 

 セーナの言葉にはかなり本気の称賛がこめられていたが、褒められた当人は苦笑するばかりであった。

 

「いやまあその。オリジナル冒険者族(アラーキック)だからと言っておきましょうか。奇妙な事件には慣れていますので」

「そう言うものか・・・ニホン、だったか? そこではこれくらいの異変など珍しくもないのか。恐ろしい場所だな」

「そう言うわけでもないんですが・・・」

 

 遠い目になるヒョウエの脳裏に、中国拳法を使うパンダのヴィジョンが浮かんでいた。

 

 

 

「ところでサーワさん」

「はい」

 

 パンダの横にはべる女官に視線を向ける。

 

「今回の件について、何か手掛かりはないのですか?」

「残念ながら。族長様にも言われて捜してみてはいるのですが・・・類似の事例は見つかりませんでした」

怪人(ヴィラン)の仕業でしょうか」

「それも何とも。可能性は高いかと思われますが」

 

 まあ手掛かりがつかめていれば、自分のところにセーナが来たりはすまい、と頷いて納得する。

 

「ありがとうございました。何かあればよろしくおねがいします」

「それはもう」

 

 最後に一礼してヒョウエはきびすを返した。

 

 

 

 王宮の外に出る。

 頭の上で笑う巨大な人面ヒマワリを努めて無視しながら歩く一行。

 

「サーワさんはああおっしゃいましたが、この件については何かわかっているんですか?」

「それがさっぱりでな・・・ああそうだ、変異が起こる時刻は常に太陽が中天に上るときだ。それ以外でも発生しているかも知れないが、変異が起きたと確認されたのはどれも正午だった」

「ふーむ・・・?」

 

 考えたが答えは出ない。ヒョウエ達は森に分け入った。

 

 

 

「buzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz!」

 

 魚が空を飛び、セミの声で鳴く。

 

「りんご りんご りんごの樹♪ おいしく食べてねりんごの実♪」

 

 梨の木に鈴なりになった顔のあるトマトが深みのあるバリトンで合唱する。

 森の中もやはり狂気の世界だった。

 

「確認しておきますが、場所などは関係ないんですよね?」

「ない。同胞に限っても家にいたものもいれば、狩りに出ていたものもいる。

 獣や鳥、木々や草も同様だ」

「うーん」

 

 普段なら空からモリィの《目の加護》で捜索をかけるところだが、森の中ではそうも行かない。加えてこの森には結界が張ってあり、上空に飛び上がればどうなるかわからないと言う理由もあった。

 エルフ達は孔雀鷲に乗って上空を飛んでいるが、エルフではないヒョウエたちがそれをやって無事でいられるかどうかはわからない。

 結局地道に森を探索するしかなかった。

 

「けどこれって当てずっぽうじゃね?」

「そうとも言いますね。まあ手掛かりがないんだからしょうがないんですけど・・・」

 

 王宮で複写して貰った森の地図を手に、森の中を飛行して回る。

 結局のところはモリィの《目の加護》頼りではあるが、それでもしらみつぶしに捜して回るしか手はない。

 そして二日目、日もかなり傾いてきてそろそろ今日の探索を打ち切ろうかと言うときに彼らにかかった声があった。

 

「ほうい、お前さん達ぃ。ひょっとして『ニンゲン』かねぇ?」

「!?」

 

 振り向くと、3mほどはある岩に巨大な人の顔らしきものがついていた。

 思わず杖を止めたヒョウエたちに、岩が嬉しそうに語りかける。

 

「ああ、やっぱりエルフじゃないなぁ。やっぱり『ニンゲン』なのかねぇ? それとも『どわーふ』かなぁ?」

「ご明察通り、僕たちは人間ですよ。あなたは?」

 

 そう訊くと、岩はゴロゴロと笑い声のようなものを立てた。

 

「ただの喋る岩だよぉ。名前なんかあるもんかねぇ」

「それじゃ呼びにくいですね・・・(ロック)・・・エルビスさん、でどうです?」

 

 岩が目に当たる部分を大きく開いた。どうやら驚いているらしい。

 

「ほう、そうかぁ! それはわしの『名前』かねぇ?」

「ええ。お気に召しませんか?」

「とぉんでもない! 気ぃに入ったともぉ! そうだなぁ、わしは今日から『エルビス』じゃぁ」

「お気に召して頂けたなら幸いですよ」

 

 ヒョウエがにっこり笑った。

 

 

 

 岩だけあってエルビスはのんびりしていた。どうやら以前にも何度かエルフ達と出会って話をしていたようだった。

 日が暮れてもヒョウエは話に付き合っている。

 既にモリィはだれてごろりと転がり、リアスたちも手持ちぶさたにしていた。

 

「しかしこの森でエルフ以外の『ヒト』を見たのは二度目じゃよぉ。エルフも獣も鳥たちも見ていて楽しいがぁ、たまには変化が欲しいからのぅ」

「変化ねえ」

 

 少なくとも今現在この森には変化しかないのでは、と言いかけたが、この岩にとっては変異した後の森が「普通」なのだろう。

 苦笑しかけてふと引っかかる。

 

「エルフ以外の『ヒト』と言いましたね? 一回目も人間でしたか?」

「うんにゃあ? なんつったかのう・・・ちっこくて羽が生えてて空を飛ぶ・・・そうそう、ピクシーじゃよぉ」

「ピクシー?」

 

 ちらりとセーナを見る。

 エルフの護り手は、真剣な顔で首を横に振った。




「ピクシー」で画像検索してみましたけど、ポケモン多すぎるだろw
なおポケモン除外したらガンダム一色だった件。
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