毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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05-07 スーパーヒョウエシスターズ

 幸いなことに大樹の壁を越えても新たな壁が現れることはなく、一行は追跡を続ける。

 30分ほど歩いたところで、森が途切れた。

 木々が途切れて平原が見えたという意味ではない。

 大地そのものが途切れていた。

 

 先ほどの大樹の壁と同じく、左右見える限り垂直の断崖絶壁。数キロより先はもやに包まれて見えない。

 深い谷は幅50mはあり、底に見えるのは暗闇だけだ。

 

「セーナ、念のために聞いておきますがズールーフの森にこのような場所は・・・」

「あるわけないだろう!?」

「ですよねー」

 

 笑うしかないと言う表情のヒョウエ。

 セーナは勘弁してくれとばかりに頭を抱えて唸っている。

 

「まあ、さっきのに比べりゃ簡単じゃねえか。お前なら杖無しでもあたしら全員向こうに渡せるだろ?」

「うーん・・・だといいんですが」

「? どゆこったよ?」

 

 難しい顔をするヒョウエ。セーナも似たような表情になっていた。

 

「なんというか・・・谷の上空に魔力の空白というか、そんな感じが」

「それは私も感じるな。精霊の力が妙に薄い気がする」

「うーん?」

 

 《加護》を受けた目を凝らしてみるが、モリィにはよくわからない。

 

「言われてみりゃあ、なんか空気が希薄な気がするけど・・・」

「視覚ではわかりづらいのかもしれませんね。ともあれちょっと試してみましょう。カスミ、ロープを僕の腰に結びつけてくれますか。もう片方はその辺の木に」

「かしこまりました」

 

 このパーティの荷物持ち担当は大容量の「隠しポケット」リュックを背負い、それらの道具の扱いにも慣れたカスミである。

 ロープを取り出した彼女は手際よく片方をヒョウエの腰に結び、もう片方を太い木に結びつけた。

 念のためにロープを肩に回したリアスがそれを少しずつ繰り出す形にする。

 

「それじゃ行きますよ。リアス、お願いします」 

「お任せ下さい!」

 

 意気込むリアスに苦笑すると、ヒョウエは谷に向かって移動し始めた。

 

 5メートル、10メートル。

 異常はない。

 

 15メートル、20メートル。

 やや速度が落ちてきた気がする。

 

 25メートル。谷の真ん中ほどでヒョウエの表情が変わった。

 方向転換して戻ろうとするが遅い。

 吊り糸がぷっつり切れたかのように、突然落下した。

 

「ヒョウエっ!?」

「大丈夫です、支え・・・重いっ!?」

 

 ロープを回したリアスの肩と腰に、ずしりと重みがかかる。

 身長30センチの今のヒョウエではあり得ない重量。

 咄嗟にセーナが後ろから支えるが、それでも引きずり込まれないようにするのがやっと。

 そしてモリィが目を見張る。

 

「おい、何か下から黒いのが絡みついて来てたぞ!」

 

 雷光銃を抜いたところで逡巡する。

 下から絡みついている黒い「何か」は、ヒョウエの体の影になってここからでは狙えない。谷風がロープをゆらしているから尚更だ。

 脇に走って横から狙うか、それともリアスを支えるのに加わるか。

 考え込んだところで光が爆発した。

 

「光よ!」

「うわっぷ!?」

 

 直視ではなかったが、モリィの真横に駆け寄ったカスミの手からまばゆい光が放たれる。

 光にひるんだか、ヒョウエの体に絡みついていた黒い「なにか」が離れた。

 

「"念動(サイコキネシス)"!」

 

 ヒョウエもそれを感じたか、念動の術を再起動して全力で上昇する。

 ロープを引っ張っていたリアスとセーナが尻餅をついて倒れ、それと同時にヒョウエが崖の上に姿を現した。

 

 

 

「ふう・・・ありがとうございます、助かりましたみなさん」

「いいって事よ。仲間だろ」

「今回モリィさんだけ何もしてらっしゃらなかったような?」

「うるせーな、黒いアレのことを教えたろ」

 

 くすくすと含み笑いをするリアスに、唇を尖らせて返すモリィ。

 どちらもじゃれあっているだけなので、周囲も笑みを浮かべる。

 

「まあ私には見えませんでしたから、モリィ様でないとわからない類のものだったのは確かでございますね」

「しかしあんなのがいるとはな」

 

 表情を戻してセーナ。ヒョウエが溜息をつく。

 

「谷の上空を進むごとに術の効力が弱くなっていって、それはまあ想定内でしたがあんなのまでいるとは。あいつらに触れられた瞬間、魔力を吸い取られる感じがしましたよ」

「やっかいですわね・・・私一人なら跳び越えられないでもないですが、ヒョウエ様はまだしも人一人抱えてとなると・・・」

「跳べるのかよ」

 

 顔を引きつらせたモリィのツッコミは全員からスルーされた。

 

「その場合でも、途中であれに下から捕まえられる可能性もありますし、できればやって頂きたくはないですね」

「そうだな・・・パラヴァニがここにいればな。魔術に頼らない飛行手段であればどうにかなるやもしれぬが」

 

 セーナの乗騎の孔雀鷲(モチール)の名前である。

 とはいえここから孔雀鷲の発着場であるあの広場に戻るとなったら、どれくらいかかるかわかったものではない。

 

「うーん、そうですね・・・ちょっとギャンブリックですが、ここは一つリアスにお願いできますか? やや危険ですが・・・」

「はい、何なりとお申し付けください!」

 

 満面の笑顔、ノータイムで即答する主に、カスミがこっそり溜息をついた。

 

 

 

 少し後、崖から10mほど離れた所にリアスの姿があった。

 後頭部にはヒョウエ、腰には命綱、背中にはカスミの背負っていたバックパック。

 足元からは崖っぷちまで一直線に、ヒョウエが作った石畳の道が続いている。

 とんとん、と足元を確かめるように足踏み。

 

「いつでも行けますわ、ヒョウエ様」

「ではお願いします」

 

 頷き、前傾姿勢。

 次の瞬間、爆発したかのような勢いでリアスの体が飛び出した。

 あっという間に距離を詰め、崖っぷちから大跳躍。

 一秒で20m以上を跳び越えて中間地点を越える。

 このままなら問題なく渡りきれると見えた時、ヒョウエが叫んだ。

 

「カスミ!」

「はい!」

 

 バックパックの口から声が聞こえ、小さな手がにゅっと突き出した。

 

「光よ!」

 

 まばゆい閃光がほとばしり、足元から無言の悲鳴が響く。

 リアスの足元を狙っていた見えない黒い何かが、底なしの暗闇の中に引っ込んでいく。

 その隙にリアスは悠々と対岸に着地した。

 

 

 

「はい、もう出てきて結構ですよ。お疲れさまでした」

 

 リアスが足下に置いたバックパック。

 声をかけるとそれがもぞもぞと動き出した。

 ぷはっと息を吐いてカスミ、モリィ、セーナが這い出てくる。

 

「あー息苦しかった」

「隠しポケットの中にどれだけ空気があるかは賭けでしたからね。今回はせいぜい一分か二分でしたから大丈夫だと思ってましたけど」

 

 つまりヒョウエ以外の三人を重量や体積の無視される「隠しポケット」に入れて、それをリアスが背負って跳躍したのだ。

 谷底からの「なにか」に備えて、カスミが呪文を放つ用意もしたうえで。

 石の舗装道路も、無論ヒョウエの物質変性の術で造った間に合わせの助走路だ。

 

「驚いたが見事な策だったぞ。それでは行こうか?」

 

 セーナが微笑みながら、無造作に弓を引く。

 放たれた矢が対岸の木の結び目に命中し、命綱がはらりとほどけて落ちた。

 




映画「スーパーマリオブラザーズ」めちゃくちゃ面白かったです。
まあスーパーマリオ遊んだ人じゃないと面白さが理解出来ないのが欠点ですけど、実際にマリオ要素抜いたら割と凡庸なアクション映画ですけど、世界人口の半数以上はマリオ知ってるから問題ないよね!で大成功した超力業映画w
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