毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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05-20 友達

 ヒョウエの周囲に人々が集まった。

 もとのSDサイズに戻ったヒョウエ。その後ろに今のヒョウエの半分くらいのミトリカが隠れた。

 

「あ・・・」

「ヒョウエ様、その娘は・・・」

「そう言えば正式な紹介はまだでしたね。彼女はミトリカ。僕の友達ですよ」

「友達・・・でございますか」

「・・・」

 

 慎重に言葉を選ぶカスミ、無言のセーナ。

 ヒョウエが後ろを振り向いて、しがみついているミトリカの肩を抱く。

 

「ミトリカ、黒髪の革上下がモリィ、白い鎧がリアス、メイド服がカスミ、銀髪のエルフがセーナ。みんな僕の友達です。良かったら友達になって上げて下さい」

「・・・まあ、ヒョウエが言うんなら大丈夫なんだろ。あたしはモリィ、よろしくな」

「リアス・エヌオ・ニシカワです。リアスと呼んで下さって結構ですわ」

「カスミと申します」

「セーナだ」

「あ、ありがと・・・」

 

 ミトリカの精神世界で過去を見ていた面々が、笑顔でミトリカに挨拶する。

 おずおずとそれに応じるピクシーの少女を、エルフの術師たちが笑顔で見守っていた。

 

 

 

「・・・さて、ちょっといいかしら?」

 

 挨拶が一段落したところで、アディーシャがずいっと割り込んできた。

 微笑みが普段より大きく、頬が紅潮しているようにも見える。

 

「ひっ!?」

 

 おびえたミトリカがヒョウエの後ろに隠れた。

 

「あらあら、そんなに怖がらなくてもいいのよ」

「いや、怖いぞお前」

 

 セーナのツッコミにその場の大半が頷くが、興奮した美魔女は気にも止めない。

 

「わたしはアディーシャ、ズールーフの森の術師よ。あなたドータボルカスなんですってね。素晴らしい魔力だわ! こうして見ているだけでも、放つ霊気の綾がまるで虹のよう!」

「そ、そんないいもんじゃねーよ・・・」

 

 ヒョウエの袖を掴み、ミトリカが弱々しく呟く。

 アディーシャの笑みは変わらない。

 

「ええ、ええ、その通りね。あなたは魔力の制御を学ばないといけない。でもそうすれば、もう誰かを無意味に傷つける事は無くなるのよ」

 

 ぴくり、とミトリカの肩が動いた。

 ヒョウエの影から、顔半分を出してアディーシャの顔を覗き込む。

 

「ほ、ほんとか・・・?」

「もちろん。事情は大体聞いたわ・・・たぶん、あなたの森にはあなた(ドータボルカス)にそれを教えられるだけの術者がいなかったんでしょうね」

 

 笑みを消して真剣な顔になるアディーシャ。

 エルフに比べてピクシーは小規模な、場合によっては家族単位のコミュニティを形成することが多い。

 ピクシーが魔術に優れた種族とはいえ、術師の質にも大きなムラが生まれるのは当然だった。

 

「ヒョウエ殿でもいいでしょうけど、私には術師として積んできた長い経験があるわ。こと教えることに関しては私の方が向いてると思うのだけれど・・・どうかしら」

 

 アディーシャの視線にヒョウエが頷く。

 それを見たミトリカが考え込むような顔になった。

 

「ヒョウエがそう言うなら・・・」

「ほんとう!?」

「ひっ!?」

 

 凄い勢いで笑顔を近づけるアディーシャ。ミトリカが再びヒョウエの後ろに逃げ込む。

 

「ハイストップストップ。ミトリカは人付き合いが苦手なんですから、アディーシャさんも慎重にね」

「アディーシャ、やりすぎだ」

「ああん」

 

 小さい手のひらで押しとどめられ、セーナに肩を掴んで引き戻され、残念そうな声を出すアディーシャ。

 ヒョウエが再びミトリカのほうを振り向く。

 

「どうします? ミトリカが良ければ僕が教えてもいいですけど」

「・・・」

 

 しばらく考え込んだ後、ミトリカが顔を上げた。

 

「いや、やっぱりアディーシャに頼む。悪い奴じゃないみたいだし、それに・・・」

「それに?」

 

 ニヤリと笑う。

 

「こいつなら吹っ飛ばしてもあんま気に病まないですむだろ?」

「あなたね・・・」

「ありがとう! 嬉しいわミトリカ!」

「わっ!?」

 

 苦笑するヒョウエの言葉を遮って、アディーシャが割り込む。

 

「アディーシャ、そこ喜ぶところじゃないぞ」

 

 処置なし、と言った風にセーナが天を仰いだ。

 

 

 

「! ヒョウエっ!」

「ヒョウエ様っ!」

 

 モリィ、リアス、カスミ、セーナが一瞬で表情を変え、振り向いた。

 

「わかってます!」

「え、え?」

 

 同時に一行を包む念動障壁。

 一瞬遅れて黒い巨体が不可視の障壁に前足を叩き付ける。

 

「ひえっ!?」

 

 エルフの術師たちは、その時点で初めてその存在に気付いた。

 悲鳴を上げ、中には腰を抜かしてしまうものもいる。

 かろうじて動揺していないのはアディーシャだけだった。

 

「ちっ、情けねえな。エルフの術師なんだろうに」

「彼らは護り手ではない術師だ。実戦慣れしているものは少ない」

 

 悪態をつき、あるいはフォローをしながら雷光と矢を放つ二人だが、ヒョウエの念動障壁をすり抜けたそれも、やはり黒く滑らかな表皮に滑って弾かれてしまう。

 

「脂・・・でしょうか?」

「余り斬りかかりたくはありませんわね」

 

 てらてらと濡れ光る表皮を見てヒョウエ。

 刀と盾を構えて待機していたリアスが嫌そうに顔をしかめた。

 

「ひぃっ!? う、後ろ!」

「!?」

 

 エルフの術師の一人が上げた悲鳴に、ヒョウエたちが振り向く。

 後ろから、同じ黒いオオトカゲが忍びよってきていた。

 いや、後ろからだけではない。いつの間にか、四方八方から同じ怪物どもがジリジリと近づいて来ていた。

 

「ヒョウエ、あれっ!」

「!」

 

 ミトリカの指さした方に、5mを越す一際巨大なオオトカゲがいた。

 その背中に生えているのは、女性の上半身のようなシルエット。ただし、その表面はオオトカゲの表皮と同じぬらぬらした皮膜で覆われており、顔には目も鼻もない。

 口に当たる部分が裂け、笑みの形を作った。

 

「あいつは・・・」

「まさか、ミトリカを操っていた奴ですか?」

「わ、わかんない・・・けど凄く魔力が似てる・・・!」

 

 ぎりっ、とミトリカが歯を鳴らした。

 その体に魔力が集中する。

 

「あいつは・・・オレが・・・っ!?」

 

 ぽん、とヒョウエがミトリカの肩に手を置いた。

 

「ヒョウエ・・・?」

「あなたはまだ魔力の制御を会得していないでしょう。

 どうやら、僕の出番のようです」

 

 「隠れ里」から脱出したときとはまるで違う、不敵な笑顔をヒョウエが浮かべた。

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