毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
王宮を背に、1kmほどを挟んで青い鎧と"ブラゴール"がにらみ合いをしている。
(これは・・・恐らく単純に熱変化に強いんでしょうね。あの表面の脂なりなんなりで弾いたわけではない。"
大気を集めて過冷却し、極低温の冷気として叩き付ける"
拡散させなければそもそも冷気が発生しないためだ。
(となると・・・いや、まずはもう一つ試してみるか)
青い鎧が閃光と化して突貫する。
角を生やした巨大な女体型の口が、真っ赤に裂けて笑みの形を作った。
どん、と"ブラゴール"のへそ、女体型とトカゲの継ぎ目あたりに青い鎧が飛び込んだ。
周囲の黒い肉が流体のようになって鎧をすり潰そうとするが、"
それでも注意を怠らず、全身で魔力波動を知覚する。
魔力の波動を放ち、その反射を感知する
(・・・核がない・・・"
「むん!」
『!?』
念動の力を無制御に、全方向に放つ。
"ブラゴール"の肉が内側からはじけ、女体がちぎれて地面に落ちる。
その中から青い鎧が飛び出して先ほどと同じ位置に戻るが、その時には液体化した女体部分がトカゲと再融合し、数秒で元通りの半人半獣型になる。
「・・・」
『・・・』
ふりだしに戻ったな、と言いたげにブラゴールが口を歪ませる。
(いいや、違うね)
だが兜の下で、ヒョウエもまた笑みを浮かべた。
しばしにらみ合いが続く。
追いついて来たリアスとモリィ、ミトリカとアディーシャたち。
王宮の周辺に展開した衛士達もスケールの違う戦いを前に、見守ることしかできない。
「!」
ブラゴールが体中から触手を射出した。
一キロの距離を瞬時に詰めて、数十本の黒い槍が青い鎧に殺到する。
「ふっ!」
青い鎧がそれらを両手で払う。
吹き飛ばされた触手の先が液体化して、下の広場に黒い水たまりを作った。
いくらかは防ぎきれずに騎士甲冑に当たるが、傷一つ負わす事もできずに弾かれる。
「・・・ヒョウエは何故動かない?」
「わかんねえ。何かあるんだろうとは思うが・・・いや待て」
モリィの目には、僅かながら魔力が鎧の隙間から洩れているのがわかった。
(こいつぁ・・・何か待ってるんだな?)
触手が次々と射出される。
次第にさばききれなくなる青い鎧を見ながら、モリィが強く唇を噛んだ。
(もう少し・・・もう少しだ)
両手ならず両足をもフルに使い、触手を叩きつぶす青い鎧。
広場には黒い液体となった触手の残骸が雨のように降り注ぐ。
誰もが空を仰いでいた。
青い鎧は触手を払い、ブラゴールを睨み付けている。
ゆえに、誰も気がつかなかった。
「・・・!? 全員、構え! 前方に敵だ!」
「!?」
衛士の一人の叫びに、全員が地上を見た。
これまで地上に降り注いだ触手の破片が、最初に見た黒トカゲの姿になってにじり寄ってきていた。
その数は百近い。
「やべえ、援護するぞ!」
「言われずとも!」
モリィ達が一斉に走り出す。
エルフの衛士達は槍を構えて横列を組み、衛士隊の中に小数いる術師が援護の術に集中し始める。
そこに、一気に速度を上げたブラゴールの分体の群れが激突した。
「うわあああーっ!」
「怯むな! 耐えろ!」
3mを越す巨獣の体当たりにも、エルフの衛士たちは耐えた。
精霊魔法を用いて人間を越えた身体能力を得ている上で、術師たちの護りの呪文を受けてかろうじてではあるが。
「このっ!」
「おおっ!?」
「怯むな! あやつが本体を倒すまで耐えるのだ!」
「セーナ様!」
刀を構えたリアスと、得物を槍に持ち替えたセーナが斬り込み、モリィとカスミがそれを援護する。アディーシャ達も術での援護に加わった。
だが、それでも数が違う。
基本のスペックが違った。その上分体たちはほぼ不死身だ。
リアスが切り裂こうとも、液体からすぐに元の黒トカゲに再生する。
モリィが雷光銃のフルチャージで吹き飛ばしても、多少体積が減る程度で、ほとんどダメージを受けているようには見えなかった。
「くっ、もう少し・・・!」
面頬の下でヒョウエが歯がみする。鎧の隙間から洩れる魔力が一段と強くなっていた。