毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
現場検証に付き合っている内にQBが合流してきた。
QBが現場の責任者と何やら話し、一行が解放される。
「さっきまで偉そうにしてた奴が急に物わかりがよくなったな。何か上の方とコネがあんのかい、あんた?」
「まあ蛇の道は蛇というやつだ」
ニコリとするでもなく、QBが歩き出した。
「随分時間がかかりましたね。何かあったんですか」
「それもまとめて話す」
「どちらへ向かわれるんですの?」
「取りあえず情報を交換しよう。目指すところは同じだろうからな」
ヒョウエが頷いた。
向かった先はサフィアたちのアジトだった。
「今までの資料も色々まとめてある。読んで貰ってからのほうが話がしやすいだろう」
卓に座り茶を出して早々に、QBが十枚ほどの紙の束を置く。
ヒョウエがそれを手に取り、仲間達が周囲に集まったところで後ろから声がかかった。
「私も見せてもらってかまわないかな」
「!」
後ろからかかった声に全員が咄嗟に振り向く。
「あなたは・・・」
「お久しぶりです、ヒョウエ殿下。それに」
「今はQBです、閣下」
「そうか。元気そうだな。まあ昔から殺しても死なない奴だったが」
「おかげさまで厄介な仕事ばかり押しつけられていますのでね。死んでいる暇もないんですよ」
この場でただ一人動揺していないQBが平然と対応する。
「多少はジョークのセンスも身に付けたようで何よりだ。昔のお前を知ってる連中が見たら、ひっくり返るな」
足跡はおろかドアを開く音もさせずに忽然と現れたのは、長身痩躯、彫りの深い顔立ちに禿頭の男。王国諜報機関"
驚き半分、警戒半分でヒョウエが男を見上げる。
「・・・今、何をしました? 僕の念動知覚にも反応しなかったんですが?」
「さて? 何のことでしょうかな」
僅かに笑みを浮かべて、"狩人"が余った席に腰を下ろす。
「瞬間移動でも持っているんですか?」
「殿下のところの執事ではあるまいし、そんな便利な《加護》は持っておりませんよ。
まあ一つご教授できるとするなら、人のやることには必ず穴が出来ると言うことです」
「・・・」
ヒョウエが口をつぐむ。
モリィがその脇腹を肘でつついた。
「なあ、このおっさん何者だ? ただもんじゃないオーラ出してっけどよ」
「ああそうですね。紹介しておきましょう。
こちら王国諜報機関"
「"
「あだ名ですよ、僕の知る限りでは。"狩人"、こっちは・・・って、もう知ってますか」
「ええまあ。只今ご紹介にあずかりました"狩人"です。モリィくん、リアス閣下、カスミくん、サフィアくん、よろしく」
"狩人"が軽く頭を下げる。
「お、おう。モリィだ」
「・・・リアス・ニシカワです。お噂は耳にしたことがありますわ」
「カスミです。お見知りおきを」
僅かに緊張しつつ、三人も挨拶を返した。
どこか納得した顔のサフィアが新しい茶を差し出す。
「なるほど、マネージャーが太い情報網を持ってるわけだ。あなたみたいな人と繋がりがあるんだからね。どうぞ」
「ありがとう。大半は彼が自身で築き上げたものさ。それほど頻繁に情報を流してるわけではないよ」
"
「なにか?」
「あ、ああいえ・・・」
"狩人"に物問いたげな視線を向けていたリアスが、逆に視線を返されて焦る。
呼吸を整えて一息。
「ぶしつけな質問をお許し下さい。何百年も生きていらっしゃるというのは本当ですか?」
「さて、どうでしょうな」
"狩人"は薄く笑ったのみで答えない。
ヒョウエが肩をすくめた。
「少なくとも11年前に会ったときから全く老けてないのは確かですね。
まあそれよりQBさんの調べた情報を拝見しましょう。お茶会を楽しんでいられるほど、僕たちには時間の余裕がありません」
「ですな」
"狩人"が無表情に頷いた。
しばらくの間、ヒョウエが紙をめくる音だけが部屋に響く。
それを覗き込んでいた"狩人"が頷いた。
「流石に大したものだな。こちらも掴んでいない情報がいくつかあった。写させて貰っていいか?」
「無論です」
「ああ、それなら僕が複写しましょう」
「物質変性の術はお得意なのでしたな。それでは五枚目と八枚目をお願いします」
「了解です」
ヒョウエが取り出した紙を写す原本の上に重ねる。
「―――」
精神を集中して紙の中央上から下に向かって、ゆっくりと指でなぞる。
なぞる指に沿って、白い紙に次々と文字が浮かび上がった。
「おー・・・」
「これは」
「サーワさんの時も思いましたが、便利な物ですね」
「僕の場合は字を見てそれをなぞってますが、あちらは文章という概念ごと移せますからね。手書きの筆写と活版印刷くらいの差がありますよ――っと」
術を終え、写しと原本を"狩人"に手渡す。ちなみにこの世界、活字を組んで印刷する活版印刷も木の板(版木)に文字や絵を刻んで印刷する木版印刷もあるが、金属活字が高価なこともあって活版は余り普及していない。
ざっと見比べて"狩人"が頷いた。
「問題ありませんな。きれいなものです」
「どうも」
もう一枚を複写すると、"狩人"は改めて礼を述べてから着席した。
他の面々も自分の席に戻り、緊張した空気が戻る。
口火を切ったのは"狩人"だった。
「話を始める前にお尋ねしておきたいのですが、殿下」
「うん? 何です?」
「この話をどこからお聞きになりました? この件に関しては限られた人間にしか伝えておりませんし、カレン様を含めてそうした方々と殿下にここのところ接触はなかったと記憶しております」
"狩人"の言葉にモリィがしかめ面になる。
「こいつを四六時中監視してんのかよ、おい?」
「殿下はそれだけ重要人物と言うことだ、お嬢さん。それで、どうなのです?」
「そうですね・・・"蛇の道は蛇"とでも」
先ほどのQBを思いだしてでもいるのか、ヒョウエが軽く笑みを浮かべる。
ちらり、と"狩人"の視線がモリィに向いた。
「盗賊ギルドですか」
「ノーコメントで」
「左様で」
ヒョウエがとぼける。
追求するでもなく、"
何となくむずがゆさを感じて、モリィが頭をボリボリとかいた。
「サフィアもそうだけどよ、王国の情報機関のおえらいさんがなんであたしなんかの事にそんなに詳しいんだよ。盗賊としても冒険者としても、そこまで腕利きってわけじゃねえぞあたしゃ」
「それは少々過小評価が過ぎるな。まあ確かに君個人は優秀な冒険者という程度だが、《目の加護》に加えて雷光銃はそれだけ強力で目立つ
「そんなもんかね・・・」
「そのようなものだ」
淡々と答える"狩人"にモリィが肩をすくめる。
QBがその"狩人"を見据えた。
「それで? まさか俺やヒョウエ殿下の情報網を当てにしてわざわざいらしたわけでもないでしょう。しかも我々が合流してここに戻るタイミングを見計らって」
「ああ。お前とお前の弟子、ヒョウエ殿下の
「!!!」
"狩人"を除くその場の全員が厳しい顔になった。