毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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06-13 ダンジョン「踏破」

「そう言えばヒョウエ様。レスタラの構成員かどうかはどう区別するんでしょう。顔が割れている相手ばかりでもありませんよね?」

「ダンジョン・コアはべらぼうな魔力の塊ですから、持っていれば見分けが付きます。それ以外は・・・ちょっと難しいですね」

「観察していればある程度はわかると思うよ。君たちみたいな規格外はともかく、ダンジョンで戦っていればそれなりの痕跡はあちこちに残るものだ。

 君たちでさえ、前衛のリアスさんには返り血なり何なりの痕跡が残っているわけだからね

 対して連中は急いで脱出してくるわけだから、妙に小綺麗な格好の冒険者をチェックすればいい」

「なるほど」

 

 知力と観察力に特化した仮面である"探偵(ショルメス)"。それをつけたサフィの言葉に、一同が頷く。

 ふう、とリアスが溜息をついた。

 

「面倒ですわね。出てくる冒険者を全員捕縛すればよろしいではありませんの」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」

「な、何ですのその視線は?」

 

 はぁぁぁぁぁぁぁ、とカスミが深い溜息をついた。

 目が黒いままである。もはや怒る気にもなれないらしい。

 

「お嬢様。繰り返しになりますが一般冒険者の方々と区別が付かないのですよ? 巻き込まれたらどうなさるおつもりです。無用の戦闘が起きる可能性もございますよ」

「そ、それはわかりますが、捕縛なのですし取り返しが付かなくなる危険性は低いでしょう? 今回は取り逃すリスクが大きすぎますわ。巻き込まれる一般冒険者の方々に不自由を強いることになりますが、この場合はそれを押してご理解を頂くべきでは?

 それにこう言っては何ですが、この程度のダンジョンに潜る方々ならヒョウエ様お一人で無力化できるのではありませんか」

「「「「・・・」」」」

 

 再び沈黙。

 ただ、先ほどのそれとは少し意味が違う。

 

「お前、意外と物を考えてたんだな」

「失礼な?!」

 

 顔を真っ赤にして怒るリアスに、悪い悪いと笑いながらそれをなだめるモリィ。

 カスミがもう一度溜息をついた。

 

「お嬢様。日頃の行いが悪いからそのように言われるのです。猛省なされませ」

「カスミ!?」

 

 がっくりと肩を落とすリアスを見て、ヒョウエとサフィアが苦笑をかわした。

 

 ちなみにこの迷宮「"迷宮と豹(ラビリンス&レパーズ)"」(ややこしい)は中級レベルのダンジョンであるが、階層の深化によるモンスターの強化の度合いはそれほどでもない。

 一方でヒョウエの所有する「郊外の保養地(サバーブ・リゾート)」は浅いところでは初級者向けのモンスターが出てくるが、深く潜るにつれて飛躍的にモンスターの強さが上昇する。

 初心者から上級者まで利用できる便利なダンジョンであるが、書物を調べても他に類例のない極端な強化傾向に、やはり何かあるのではないかとヒョウエは疑念を深くしていた。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 レスタラ構成員たちの捕縛については余り語る事もない。

 冒険者ギルドの力も借り、ダンジョンへの立ち入りを一時禁止。

 雑貨屋店主の連絡以降出てきた冒険者パーティを「呪いに汚染されている可能性がある」と口実を設けて隔離する。

 ヒョウエの魔力感知によってダンジョン・コアを持って出て来た冒険者たちも一目で判別して、そちらは最初から実力行使で捕縛した。

 

 ざっと尋問した限りではダンジョンの最深層に繋がるテレポートの魔法陣を、構造を変化させて隠していたとのことだ。

 厚さ10mを越す壁の中の魔法陣を感知するのは、さすがのヒョウエでも難しかったということだろう。透視の術も、今ヒョウエが習得しているものは範囲2mがせいぜいで、そこまで奥を見通すことは出来なかった(術式の限界であるので、術力が高くてもこれを大きく強化することは難しい)。

 

 リーザを介してヒョウエが心の声でメットーと連絡を取る。

 一時間ほどして、"片隅の垂れ幕(コーナー・ヴェール)"の人員がやってきた。

 どんな手段を使っているのかヒョウエがしきりに知りたがったが、カレンに直接釘を刺されている隊員たちの口は固かった。

 

 それはともかく、派遣部隊に混じっていた"片隅の垂れ幕(コーナー・ヴェール)"の心術師が隔離捕縛した冒険者たちの尋問を執り行う。

 出て来た冒険者の数は二十一人。大半がレスタラの構成員だった。

 名簿によれば現在ダンジョンに入っている冒険者はいないので、これ以降出てくる冒険者がいればそれはレスタラの構成員と言うことになる。

 

「まあ封鎖はもう解いてよろしいかと。人をおいて名簿と突き合わせするのはしばらく続ける必要があるでしょうが」

「ああ。そちらは任せる」

 

 部下の言葉に頷いたのは"狩人"。

 この王国諜報機関の副長官は自ら部隊を率いてここに来ていた。

 

「あんたも大概腰が軽いな・・・」

「それだけ重大事態と言うことだ。ついでにヒョウエ殿下、一つよろしいでしょうか」

「なんでしょう」

 

 "狩人"が小箱の中から取り出したのは、くるみほどのトパーズのような、正二十面体の黄色味のかった魔力結晶だった。

 

「このダンジョン・コアですが、現状ではレスタラ構成員の制御下にあります。

 放置しておけばまたやっかいな事になりかねません――たしか、ダンジョン・コアの所有権は上書きできるのでしたな?」

「ええ。僕にやれと?」

「お願いできますか」

「構いませんよ。確かに物騒ですし・・・」

 

 と、そこでヒョウエがニヤリと笑った。

 

「僕がコアの所有権を持つという事は、以降このダンジョンの所有者は僕と言うことになりますが?」

「公式には未踏破ですから、踏破の褒賞も殿下と殿下の(パーティ)のものと言うことになりましょうな」

 

 こちらはニコリともせずに"狩人"がうなずく。

 

「オーケイ、ではそれで」

 

 晴れ晴れとした顔でヒョウエがダンジョン・コアを受け取った。

 サフィアが「おっ」という顔になる。

 

「というと、ひょっとしてボクも分け前にあずかれると思っていいのかな?」

「もちろん。僕たち五人でダンジョンを『踏破』したわけですしね」

「ヒャッホウ! ヒョウエくん愛してるよ!」

 

 ヒョウエに抱きついて頬ずりするサフィア。喜びようが結構尋常ではない。

 苦笑しながらヒョウエがサフィアを押しのける。何気に慣れた手つきであるのは、どこかの人なつこい娼婦のお姉さんのおかげであろう。

 

「はいはいどうも。・・・しかし、そんなに金銭事情が厳しいので?」

「"犯罪と戦うもの(クライムファイター)"は厳しいんだよ。その辺をパトロールして犯罪者を捕まえるだけでもろくに稼げないのに、潜入捜査とか調査とか始めると根本的に割に合わない。その辺の苦労なら丸一日でも語れるけど?」

「アッハイ」

 

 割と地雷っぽい話題だったことに気付き、ヒョウエが真顔になった。

 大きく息をつくと、手の中のダンジョン・コアに意識を集中させる。

 

「・・・」

 

 周囲の注目が集まる中、ダンジョン・コアがおぼろげな光を放ち始める。

 

「・・・?」

「!」

 

 しばらくヒョウエが集中していたが、突然光が強くなる。

 モリィ、カスミなどコアに精神を飲み込まれた経験者の顔色が変わった。

 

「おい、まさか・・・やべえぞこりゃ!」

「これは、コアに精神が・・・」

「え、ではついにわたくしもヒョウエ様と精神を繋げることができるんですの?」

「お嬢様、そこは喜ぶところでは――!」

 

 カスミがリアスにツッコミを入れようとしたところで、まばゆい光が全てを覆い尽くした。

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