毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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06-31 髑髏王の正体

 逆落としに叩き付けられた髑髏王(トーテンコプフ)

 その頭のあたりからボギッ、と不吉な音がした。

 サフィアがいやな予感を覚える間もなく、ごろごろと重い音を響かせて何かが転がる。

 

「え・・・?」

 

 髑髏王の頭だった。中身入り。

 

「わーっ!?」

「「「「「わーっ!!??!?!??!」」」」」

 

 司令室に残っていたレスタラの士官たちと、サフィアの悲鳴がハモる。

 

「と、髑髏王(トーテンコプフ)様の首がもげたー!?」

「陛下がヒーローに殺られた!」

「退却だ! 退却しろー!」

「ちょ、ちょっと待ってこれは何かの間違い・・・」

「逃げろ! 俺達もやられるぞ!」

 

 サフィアが必死で無実を訴えるも、恐慌に陥った彼らは聞く耳を持たない。

 あっけなく士気を崩壊させ、蜘蛛の子を散らすように司令室から姿を消した。

 

「あ・・・ああああ・・・・・」

 

 呆然と、開きっぱなしの扉を見つめるサフィア。

 伸ばした左手がむなしく宙をさまよっている。

 

『フハハハハハ、愚かな奴らだ。わしが死んだなどと、いつ言った?』

「う、うわああああああ!?」

 

 司令室に――首がもげて死んだはずの――髑髏王の声が響いた。

 思わず数歩も後ずさるサフィアの視線の先で、地面に転がった髑髏王の頭が愉快そうに身を――体はないからそう言うのもなんだが――震わせている。

 

『フハハハハ、愉快愉快。貴様のその顔で多少なりとも溜飲が下がろうと言うものよ』

「く、首が喋って・・・」

 

 そこでハッと気付く。

 

「そうか! 妙に体重が重いし動きも変だと思ったら・・・オマエ、髑髏王じゃなくて替え玉の魔法人形か何かか!」

『ようやく気付きおったか、愚物が。何故わし自らがお前達の前に立つ必要がある? 貴様らの相手など、デク人形で十分よ』

 

 哄笑が響く。

 

「!」

 

 "探偵"の仮面がその声に含まれた成分を読み取り、一つの直感を導いた。

 

『だが、単身で空中戦艦を落としたその実力・・・やはり認めぬ訳には行くまい。

 その艦はくれてやろう・・・・貴様の棺としてな!』

 

 

 

 空中要塞が爆発した。

 敵も味方も一瞬動きが止まる。

 

「ああっ!?」

 

 王国兵士が悲鳴を上げる。

 

「・・・!?」

 

 レスタラの魔導化兵達が愕然と後ろを振り返る。

 

「・・・・・・・・・!」

 

 折れるほどに、カレンが扇を握りしめ。

 

「白百合の騎士ッ!」

 

 "狩人"が絶叫した。

 

 

 

『うろたえるな、わが復古軍(レスタウラツィオン)の精鋭達よ』

「陛下だ!」

「髑髏王様の声だ!」

 

 どこからか戦場に響く機械音声。

 指導者の声にレスタラの兵達が沸く。

 

『空中戦艦が落ちたとは言え、私は健在である! だがヒーロー気取りの小娘は死んだ! 諸君、勝利まで後一歩だ!』

 

 レスタラ兵達の間から歓声が上がる。

 

番人(ワーデン)を出せ!』

「はっ!」

 

 髑髏王の命令に従い、先ほど空中戦艦から投下されていた10個ほどのコンテナが展開する。

 ざわり、と王国陣営に動揺が走った。

 

 開いた箱の中から立ち上がってきたのは盾と剣を構えたマッシブな魔導甲冑。

 ただし、その身長は4mにも達する。

 

「て、てぇーっ!」

 

 空中要塞に火線を集中していた魔導砲部隊が目標を変更し、巨大魔導甲冑に一斉に発砲する。

 まばゆい光芒が数体の『番人(ワーデン)』に集中し、魔力光が弾けた。

 

「・・・っ・・・」

 

 砲兵達が絶句する。

 家屋を一撃で破壊する魔導砲の直撃を受けながら、『番人(ワーデン)』には傷一つなかった。

 隊伍を組んで前進する『番人(ワーデン)』。

 魔導砲に加えて強化具現化術式部隊も火力を集中させるが、魔導砲の火力で抜けない装甲を手持ちの火器で抜けるわけがない。魔導砲の直撃で時折揺らぎはするものの、具現化術式部隊の攻撃は雨粒ほどにも効いていない。

 

「!」

 

 レスタラの魔導兵たちが並ぶ前線にまでやってきたそれの、盾の表面が左右に展開する。

 装甲板の下から現れたのは50センチほどの青い宝珠。

 

「! 壁術師、全力で壁を強化しろ!」

 

 前線指揮官の悲鳴のような声。

 それに一呼吸遅れて青い宝珠が赤く染まったかと思うと、紅蓮の炎を吹きだした。

 

「うわーっ?!」

「ぎゃあああああああああああああああああああああ」

 

 炎のように見えるだけで、恐らくは通常の火炎ではないだろう。

 岩をも燃やす魔法の炎。

 壁術師たちの術の発動が間に合った範囲の部隊は何とか生き延びたが、そうでなかったものたちは障壁ごと焼かれた。

 生きたまま焼かれる人間の悲鳴が響き、肉の焼ける臭いが充満する。

 

「撃て! 撃て撃て撃て撃て!」

 

 魔導砲部隊が砲撃を集中し、さすがの『番人(ワーデン)』も体勢が揺らぐ。

 それでもエネルギーを放出して青に戻った宝珠が少しずつ赤く染まっていく。

 

「壁術師、魔力が尽きるまで壁を作れっ!」

 

 がくり、と壁術師の一人が倒れた。

 魔力の練りすぎで体力を使い尽くしたのだ。

 魔炎に灼かれて崩れた障壁の穴から見える、真っ赤になった宝珠。

 

「――――!」

 

 真紅に染まった宝珠が再び魔炎を発しようとした瞬間。

 『番人(ワーデン)』の頭部が爆発した。

 

 首のなくなった『番人(ワーデン)』がぐらりと傾き、倒れる。

 その前に立つ華麗な影一つ。

 

「白百合の騎士・・・」

「白百合の騎士・・・!」

「白百合の騎士っ!」

 

 銀の翼を広げ、剣を構えた男装の麗人。

 緑等級冒険者、《白百合の騎士》サフィア・ヴァーサイルがそこにいた。

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