毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
「これはこれはヒョウエ殿下、ご立派になられましたな。スラムのお噂は聞いておりますぞ」
「お久しぶりですショウ侯爵。閣下も随分と恰幅がよろしくなられましたようで」
「ははは、これは手厳しい。趣味のクラブの活動がここのところ途切れがちでしてなあ・・・」
純粋に挨拶に来た者。
「どうも、ダーシャ
「もちろん覚えておりますわ、子爵夫人。継承の儀にもおいでいただきましたし」
「それは嬉しいですわ、閣下。それにしてもヒョウエ殿下と並ぶと、何とも映えますこと。一体どこで仲良くなられたのかしら?
「あ、え、それはその・・・」
血縁を生かして何とかチャンスを捉えようとするもの。
「初めまして、ヒョウエ殿下。ナルド男爵ピアースと申します。友人には"《
「ええと、確かコーストの北の方の方でいらっしゃいましたか。こちらこそよろしく」
「おお、存じて頂けていたとは嬉しい限り。それでですな、殿下がスラムでやっておられること、まこと高きお志と存じまする。つきましては炊き出しなどに資金援助を・・・」
「それはありがたいお話ですね(スラムの商業活動に一枚噛みたいのかな)」
善意の皮をかぶって縁を繋ごうとするもの。
「お初にお目にかかります殿下。ナルド男爵の友人でハリ男爵リランドと申します。実はわたくしのあだ名も"《
「おや、ではそれだとどうやって区別するんです?」
「髪の色からあちらが白司教、私が黒司教などと呼ばれておりますな。時にヒョウエ殿下、スラムのペリエという男をご存じで?」
「ええ、スラムのまとめをして頂いてる人たちの一人ですが」
「そうですかそうですか。では余り殿下にまとわりついても他の者達に恨まれましょうからな、これで失礼致します」
「お心遣い感謝しますよ(何が目的だったんだろう? でも何が目的にせよ、それは達成したみたいですね)」
雑談に交えて、情報を引き出そうとするもの。
そうしたディテク貴族達の相手を一通りこなしたころにはリアスは見るからに疲労困憊していた。
ヒョウエも慣れない仕事にかなり疲労を感じてはいたものの、その手の教育は受けているのでそこまでではない。
リアスも当主の後継として育てられた以上そうした教育は受けているはずなのだが、それはそれである。
「疲れているようですね」
「あ、いえ・・・」
「少し休みましょう。僕も疲れました」
「はい、ありがとうございます」
頬を染めるリアス。そのまま二人は会場の端の長椅子が並べられた一角に腰を下ろした。
サナがヒョウエに、カスミがリアスに飲み物を持ってきてくれるのに、それぞれ礼を言って口にする。
「肝心のゲマイの人たちに全然接触できませんでしたね・・・ヒョウエ様とお嬢様の周りが凄い人だかりでした」
「クソにたかるハエみてーだったな」
「モリィさん、こういうところでそう言う言葉を使わないで!」
「とと、悪い」
モリィの下品な言葉にこちらも眉をしかめながらも、リーザが肩をすくめる。
「ヒョウエくん、これが実質社交デビューみたいなものだからねー。そりゃみんな挨拶くらいはしにくるよ。そういう意味ではリアスさんが単独で来た方がよかったかも」
「まあそうですけどね」
「へー」
さりげなく貴族社会への造詣の深さを見せるリーザに三人娘が尊敬の眼を向ける。リーザの母は下級貴族の娘でヒョウエの母の友人でもあり、リーザ自身ヒョウエの側近候補でもあったから、相応の教育は受けている。
(それを差し引いてもモリィとカスミはともかくリアスが感心してどうするんだとは思いますが)
そんな事を考えるヒョウエ。むろん口には出さないが。
しばらく休んでいるとアンドロメダたちもやって来た。イサミの目元にはやや疲労の色があるが、足取りはしっかりしている。
「ほらモリィさん、アンドロメダ様たちに飲み物を」
「お、おう」
慌てて彼女たちの「侍女」であるモリィが動き、二人に飲み物を乗せた盆を差し出す。
礼を言って口をつけると、アンドロメダたちも長椅子に腰掛けた。
ヒョウエが無言で沈黙の結界を張る。
「で、どうでした姉さん」
「うまく接触できましたよ。幸いディテク貴族の方々は誰かさんに群がってましたからね」
くすくすと笑うアンドロメダに、モリィが呆れた顔になる。
「なんだよ姐さん、こいつを撒き餌にしたのか?」
「囮と言うべきでしょうかね。本命はエサによってくる人たちではありませんから。
まあそれはさておき・・・残念ながらファーレン家の当主は真っ黒ですね。お付きの方々も明らかに
「やっぱりですか・・・」
アンドロメダの眼鏡は魔道具であり、様々な視界強化と感知能力を有する。
そこに仕込まれた"
「それと気になる事が一つ。彼ら以外にも
「マジで?!」
「一体誰ですの、アンドロメダ様?」
「既に洗脳が始まっているということですか?」
口々に問い詰める面々をアンドロメダが手で制する。
「コネル殿下です」
「!」
コネル・ジョナレイン・ボッツ・ドネ。
現国王マイアの次男で、第二夫人の子。
「そもそもコネル兄がこんなところに出て来てたんですか? こう言っては何ですが、滅多に調薬室から出てこないような人なのに」
「滅多に書庫から出てこないヒョウエくんが言うと説得力があるね?」
「・・・まあその話は後にして」
にこやかなリーザの指摘にあさっての方を向いて冷や汗を流すヒョウエ。
コネルは当年とって二十才。次男であり、現状では第二王位継承者だ。
王太子のアレックスに何かあれば後を継ぐ立場であるが、政治や公務には興味を持たず薬学の研究に没頭している。
ぶっきらぼうで人付き合いは苦手、王族なら本来しているはずの結婚もしていない。次男だから許されているところもあるが、つまるところは重度のオタクである。
オタク同士の共感ゆえかヒョウエとも仲がよく、薬剤に魔力を込めた
「・・・どうしますか、ヒョウエ?」
「とりあえず僕が一人で接触させてもらっていいでしょうか? この目で確認したいんです」
その場の全員が無言で頷く。
それを確認してヒョウエは席を立った。
「コネル兄、久しぶり」
「ヒョウエか。大きくなったなあ」
懐かしそうに笑みを浮かべるのは、見た目20才ほどの小柄な青年だった。
大きくなったなどと言ってはいるが、体格はヒョウエとさして変わらない。
顔立ちは整っているが、覇気と愛想に欠ける表情がその魅力を大きく減じている。
普段はぼさぼさで適当にまとめていた長髪が、今日は流石に整えられていた。
「冒険者をやってるとは聞いていたが、今日はどうしたんだ?」
「親にたまにはこう言うところに顔を出せと言われてさ」
「はは、お互い様か。ところで先ほど一緒にいたご婦人は?」
「ああ、彼女は・・・」
笑顔の会話。家族であるから、ヒョウエの言葉遣いも普段より柔らかい。
そうして家族の会話を交わしながら、詠唱も身振りも無しに"
(・・・!)
果たして、従兄の体を駆け巡っていたのはまぎれもない
反応を押し殺すヒョウエを見てコネルが笑う。
「顔に出るところは相変わらずだな。カレンに何度も言われてるだろうに」
「コネル兄」
「言っておくけど、俺は連中に洗脳されていないぞ。強いて言うなら俺は自分で自分を洗脳したんだ」
「・・・一つだけ聞かせてよ。何故?」
ヒョウエが尋ねると、コネルは遠い目をした。
「俺が薬学に打ち込むようになったのはいつごろからか、覚えているか」
「? それは割と昔からじゃなかったっけ? 少なくとも七つか八つの時には実験の手伝いをした記憶があるけど」
「まあな。昔から薬学には興味があった。けど、何もかも捨ててこの道に打ち込むようになったのはどんな病気でも治せる薬を作りたかったからだ。病気に苦しむ全ての人を救いたかったからだ。
――いや、違う。お前に対してだけは嘘をついちゃいけないな」
「どういう、こと?」
「俺が救いたかったのはローラ叔母上だ。俺は・・・お前の母親を助けたかったんだよ、ヒョウエ」
「・・・!」
ヒョウエが目を見開いた。
冒頭のショウさんたちはX-MENの懐かしの悪役ヘルファイヤークラブの面々。
「ヘルファイヤーとかベタすぎてださいな」と思ってたら、英語でもださい響きらしくて草w
英語だと「伯爵の妻」と「女伯爵」を区別しません。どっちも「カウンテス」です。(女公爵/公爵夫人とかも同様)
リアスはもちろん独身で本人が爵位を持っていますが、日本語訳だと「伯爵夫人」でも別におかしくないんですね。
この作品ではイメージ的にも「女伯爵」にしていますが。
ヒョウエくんとリアスが結婚したら伯爵だけど、大公を継いだヒョウエと結婚したらあなたは大公妃ですね、とフロストさんは言ってるわけです。
コネル君の外観は初期もこっちを男性化したような感じで。
名前はコン・エルとジョナ・レインのもじり。
いずれもスーパーボーイ(スーパーマンのサブヒーロー)経験者です。