毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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二の巻「青い眼のサムライ」
プロローグ「天下御免」


 

 

 

 

プロローグ「天下御免」

 

 

 

「サムライって何かって? 片刃の剣持ってりゃ大体サムライだよ」

 

 

                     ――とある兵士崩れ――

 

 

 

 サムライという言葉には色々な意味がある。

 原義通りの異世界の戦士階級。

 腕の立つ人間。

 カタナを持った剣士。

 

 何しろ創世神話にも出てくる伝説の戦士だ。

 その後も継続的にオリジナル冒険者族が世界中に出現している。

 サムライという単語はこの世界のどこでも通じた。

 

 異世界では高潔な人物を指してサムライと言うこともあるが、この世界ではそうした意味はほとんどない。なので純粋に強い戦士、カタナを振るう剣士という趣が強かった。

 つまりどういう事かというと。

 

 プレートアーマーにナイトシールドを持った騎士が日本刀を提げていてもサムライだし、毛皮をまとった半裸のバーバリアンが曲刀を振るってもサムライだ。

 カタナなど全然関係ないチェインメイルのヴァイキング(これも異世界由来の単語だ)がバトルアックスで殴っても強ければサムライなのである。

 

 そして今、そうした「サムライ」の一人が六虎亭の扉をくぐった。

 奇妙な純白のプレートアーマーに異世界風の装飾。

 有り体に言えば外国人が勘違いした武士の鎧のような。

 

 背中にはやはり異世界風の天を駆ける龍の意匠を施した菱形の騎士盾。腰には、これは見事な純異世界作りの黒鞘の日本刀を差している。

 お供なのか、旅行用侍女服を着て黒髪をシニョンにした12才ほどの少女が一歩後ろに続いていた。

 

 「サムライ」が騒がしい酒場の中を見渡した。

 鎧と同じ白色の面頬をつけているために表情はうかがえない。

 しばらく視線をさまよわせているふうだったが、やがて兜の向きが一点で止まる。

 その視線の先に、青いローブをまとった少年と雷光銃を提げた少女がいた。

 

 

 

 モリィの朝は遅い。割と朝寝坊な上に一時間ほどを雷光銃の修練に当てるからだ。

 八時くらいに起きて、九時頃掃除のおばちゃんに部屋を追い出される。

 下に降りていくと既にヒョウエが待っていて、モリィは朝食を、屋敷で朝食をとってきたヒョウエは軽く何かつまみながらその日の作戦会議をするのが常であった。

 

「で、新しい呪文を覚えたって?」

「ええ。遭難した時に水がないと困るので"水生成(クリエイト・ウォーター)"に"水創造(イグジスト・ウォーター)"、後ついでに水や感知の術をいくつか」

「創造と生成ってどう違うんだよ」

「空気の中の水蒸気から水分を集めるのが"水生成(クリエイト・ウォーター)"、自分の魔力だけを元に無から水を作るのが"水創造(イグジスト・ウォーター)"ですね。もちろん創造の方が便利なんですが魔力消費が・・・」

「はいそこまで。お前の話は長いんだよ」

「聞いたのモリィじゃないですか・・・」

 

 ちょっとすねるヒョウエを無視して依頼の貼られる掲示板のほうを見る。

 

「今日はほとんど依頼が残ってねえな。ダンジョンいくか?」

「そうですねえ。それもいいですけど久しぶりに遠征しましょうか。新しい呪文の使い勝手も試したいですし」

 

 他の冒険者の酒場で依頼を漁ると言うことである。パーティが全滅する前日にモリィが当時の根城である冒険者の酒場でヒョウエを見かけたのがそれだ。

 

 ただでさえ目立つ上にギルドの評価が不当に上がっている(ように見える)ヒョウエはやっかみを買いやすい。

 ので、朝その日の依頼が貼られて他の冒険者が依頼を受けた後に残った依頼を全部さらっていくのがヒョウエ、今は毎日戦隊エブリンガーのスタイルであった。

 

「生活の知恵って奴ですね」

「それは違うんじゃねえかなあ・・・」

 

 そうした依頼は手間や必要経費を考えれば大体「おいしくない」ものが主なのだが、依頼料自体は比較的高い。そしてヒョウエなら依頼にかかるコストや手間は大幅に削減できる。

 加えて本来誰にも受諾されずにえんえん壁に貼られ続ける依頼を手早く片付けてくれるので、更にギルドの評価が上がり回りにやっかまれる。

 好循環と言うべきか悪循環と言うべきか・・・。

 

「まあいいや。どこに行くんだ?」

「前にモリィがねぐらにしてた西大通りは半月前に、その一月くらい前に南東広場の冒険者の酒場にも行きましたし、中央の・・・おや?」

 

 テーブルの横に奇妙な甲冑の人物が立った。

 留め金を外し、甲冑の人物が兜を脱ぐ。

 

「おっ?」

 

 モリィが軽い驚きの声を漏らす。

 長い金髪がふぁさりとこぼれた。

 兜の下から現れたのは16、7の上品そうな少女。

 

 サファイアのような深い青の瞳。背中に流れる金の髪。彫刻家が削りだしたような整った顔立ち。

 ただし深窓の令嬢ではない。馬術をたしなみ武芸を好む騎士の娘だ。

 つり目気味の目じりと勝ち気そうな眉がそれを助長している。

 それがつい、とヒョウエに近づいて、しゃがみ込んでその手を取る。

 

「ああ、ヒョウエ様! お会いしとうございましたわ!」

 

 きらきらした眼で頬を染め、少女がうっとりと叫んだ。

 お付きのメイドが困ったように笑う。モリィが唖然とし、ヒョウエが苦笑した。

 

 

 

「あなたが魔導鎧の技師ですの? そんな歳で、腕は確かなんでしょうね? しくじったら許しませんよ」

 

 二年前。

 同じ顔がヒョウエを見下ろしていた。

 冷たい声。

 傲慢な眼差し。

 ニシカワ伯爵家令嬢リアス・エヌオ・ニシカワとの、それが出会いだった。




 リアスの鎧はサムライレンジャー(アメリカ版侍戦隊シンケンジャー)のスーパーサムライショーグンモードを白色にしたところを想像して頂ければ大体あってます(ぉ
 いやまあ別に輝皇帝でもアメコミの例のあの人でもいいですけどw
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