毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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09-12 スターダストボーイズ

 世界を司る指輪の片割れをクロウ達に探しに行って貰う。

 そんな衝撃的な言葉が会議室に沈黙をもたらした。

 

「・・・何のご冗談で? 話を聞く限りでは、それこそ学院の教師方の中から手練れを揃えて挑むべき探索行(クエスト)じゃないですか。

 何故わざわざ生徒に過ぎない僕達に?」

「そうね。道理だわ。でも理由はある。一つには、あなたたちが優秀であると言うこと。霊界から現れた死の影を退け、古代の妖魔をも打ち滅ぼすなんて、私たち教師でも簡単にできる事じゃない」

 

 副学長がぴっ、と指を一本立てる。更にもう一本。

 

「もう一つはこの指輪があなたたちと運命によって結びつけられている可能性」

 

 言霊の術の教師と、因果学の教師が頷いた。

 この世界では「運命」や「因果」、あるいは「運不運」といった眼に見えない力が魔術的にある程度観測・解明されている。

 当たったり外れたりする占いのようなものだが、そうしたものが存在していること自体は魔術師ならば誰も否定出来ない。

 

「そしてみっつめ」

 

 三本目の指が立てられる。

 

「あなたと、あなたの影がその指輪と関わっている可能性」

「・・・確かにあいつは『もう少し力を蓄えてから』と言っていました。それが?」

 

 白皙の美貌が頷く。

 

「あいつには力を蓄える当てがあったと言う事よ。その指輪と関係があるかどうかはわからないけどね」

「・・・」

 

 僅かな沈黙。

 

「僕達が適任と言うことですね?」

「少なくともある意味ではそうよ。加えて例の召霊による霊界の穴の影響がまだ無視できないの。戦力外であるあなたたちを当てたいという目論見がないこともないわ」

「そう言ういい方はずるいと思いませんか?」

「諦めるのだな少年。それが歳の功という奴だよ」

 

 教師の一人が脇から口を挟んだ。

 ぎろりと、ライオンも睨み殺せそうな眼で白い魔女が睨むと、彼は満面の笑みを浮かべて頭を下げる。

 和やかな笑い声。それらを上げた連中も睨みつけると、副学長は溜息をついて表情を戻した。

 

「そういう事で、頼まれてくれないかしら?」

 

 まっすぐにこちらを射貫いてくる視線。

 今度はクロウが溜息をついた。

 

「わかりました。自分の尻ぬぐいの続きと言うことでもあるみたいですし」

「ありがとう」

 

 副学長が微笑んだ。

 

 

 

 翌日、再び三人の姿は港にあった。

 つい数日前まで乗っていた船なのに、もう懐かしく感じる。

 

「そう言えばこの船名前あるのか?」

「このサイズの船に普通名前はつけないんじゃないかな」

「よーし、これからまた長い航海に出るんだし、いっちょかっこいい名前付けてやろうぜ! アルゴー号とかどうよ!」

「悪くはないが、俺はドーントレーダー(あさびらき)とかいいんじゃないかと思う。東に出航するわけだし」

「乗ってる連中のことを考えるとサジタリウスあたりが分相応な気が・・・」

 

 ぼそっと呟いたクロウに、スケイルズが耳ざとく反応する。

 

射手座(サジタリウス)か、かっこいい名前じゃないか! 確かにオレ達にぴったりだぜ!」

「まあ・・・そうだな・・・」

 

 星屑(スターダスト)少年隊(ボーイズ)というか、犬と蛙とキリンとサボテンというかラザニアというか、そんなイメージを脳裏によぎらせつつ曖昧な笑みを浮かべるクロウ。

 

冒険(エンタープライズ)!」

「サンタマリア!」

「タートル!」

「ロシナンテ!」

「レッドドワーフ!」

理想郷(アルカディア)!」

「ブリュンヒルト!」

「タイタニック!」

「エスポワール!」

 

 船名で盛上がるスケイルズとソルの二人。

 クロウはしばらく放っておくことにした。

 

 

 

「・・・で。決まったか?」

「いやー。どれも悪くはないんだけどなあ」

「いまいち決め手がない感じだな」

「そうか。だけどタイタニックとエスポワールはやめとけ」

「なんで? "巨神の如きもの(タイタニック)"とかかっこいいじゃん」

「これから先の見えない探索の旅に乗り出すんだし、"希望(エスポワール)"も悪くはないと思うんだが」

「縁起が悪いからダメ!」

 

 きっぱりとクロウが拒否すると、流石に二人も諦めたようだった。

 

「んじゃ何にするのさ?」

「そうだな・・・黄金の竜の眼から削り出された指輪を探しに行くんだ、『竜の眼(ドラゴンズ・アイ)』号でどうだ?」

「まあ・・・それでいいか」

「悪くはないな」

 

 同意を得たところで三人は船のもやい綱を解き、再び東の海へ向かって出発した。

 

(無駄な時間を・・・いやまあいいか)

 

 こう言うのもこれはこれで楽しいなあと思ってしまうのはこいつらに毒されたせいかとクロウは思う。

 他の二人に聞かれたら、絶対元からだと反論されるだろうが。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

          《熊》

 

        《針》

            《雌馬》   《雄牛》

    《祭壇》

          《エーテル》

 

          《足跡》    《使命》

 

 

 

 大雑把に記せば、この世界の島の位置関係は上のようになる。

 一つ一つの島は最大で本州の倍くらい、小さいものでも北海道くらいはある。

 島の間の距離はそれぞれ数百~千キロほどだ。

 

 《針の島》の、河をさかのぼって行ける場所からほど近いところに"影"がいたのは結構な幸運だったと言えるだろう。

 そうでなければいくらクロウが"影"を感じられると言っても、島中を歩き回って半年くらいはかかっておかしくなかったはずだ。

 

「それで、どこ行くんだ?」

「例の城の地下で東やや南と言っていたか? 今はどうだ?」

「先生たちによれば大体間違ってないらしい。《針の島》から東南東だから、《祭壇の島》からは東北東。《雌馬の島》か《雄牛の島》じゃないかって話だった。さっきも少しやってみたけど、ここから東北東で間違ってないと思う」

「じゃあまた《針の島》を経由してそれから《雌馬の島》か」

「だな」

 

 そう言う事になった。

 

 

 

 船はゆく。

 相変わらずソルが風を呼び、スケイルズが釣り竿を垂らし、クロウが海図を見て料理を作ると言う役割分担だ。

 前回は幸い出くわさなかった嵐にも出くわしたが、「ヒョウエ」に戻ったクロウにしてみれば何と言う事もなかった。

 嵐が通り過ぎるまで十時間ほど、『竜の眼(ドラゴンズ・アイ)』号の周囲をすっぽりと念動障壁で覆い、中の物品や人間を固定し続ける。

 嵐の中で料理(しかもブイヤベース)まで作ってしまうのだから、世の船乗りが聞けば土下座してでも自分の船に乗って貰おうとするだろう。

 

「・・・しかしどういう理屈なんだ? いや見えない壁で雨や水しぶきが船に入ってこないのはわかるんだよ。でもこれだけ揺れてるのに、何で中のオレ達は・・・この料理も・・・跳んだり跳ねたりしないんだ?」

「うーん、何と言おうか、この船が丸ごと念動で固定されている感じ? 外部からの力は影響しないように固定しているけど、中の人間や物が下に落ちる力は有効にしてあるというか」

「うんさっぱりわからねえ」

「やはりお前は化け物だな・・・」

 

 あっさり思考を放棄するスケイルズと、理解してしまい冷や汗を流すソル。

 肩をすくめつつ、クロウはほどよく煮えた新鮮な魚肉を口にした。




「宇宙船サジタリウス」は80年代の名作SFアニメ。
ただしNHKのアニメはほとんど再放送しないので世代以外の知名度は異常に低い。
キャプテンフューチャーとか太陽の子エステバンとかアニメ三銃士とかモンタナ・ジョーンズとか飛べ!イサミとか。
ナディアとか未来少年の方のコナンとかはまだマシな方。

サジタリウスの内容? 大体トラベラー(TRPG)でおk。じつにせちがらいw
ドラゴンズ・アイはとくに元ネタはありません。他の元ネタは以下の通り。

エンタープライズ ・・・ 「スタートレック」の主役艦USSエンタープライズ。もしくは米軍の伝統的艦名。
サンタマリア ・・・ コロンブスの船。ただし実際には途中で沈んで乗り捨てられた模様w
タートル ・・・ 寺沢武一の「コブラ」。宇宙最速なので逆に「亀」と命名。
ロシナンテ ・・・ 「スプリガン」から。更に元ネタはドン・キホーテの愛馬(愛ロバ)で、「のろま野郎」のニュアンスがある。超快速船にこう言う名前をつける辺り、タートル号と通じる物が。
レッドドワーフ ・・・ 連続SFドラマ「宇宙船レッドドワーフ号」。頭おかしい。なおこのレッドドワーフは赤色矮星の意。
アルカディア ・・・ 宇宙海賊キャプテンハーロックの船。更に元ネタはギリシャの理想郷伝説。
ブリュンヒルト ・・・ 「銀河英雄伝説」の皇帝ラインハルトの船。
タイタニック ・・・ 多分世界で一番有名な沈没船。
エスポワール ・・・ 「カイジ」シリーズに出てくるギャンブル船。借金背負った貧乏人が必死にギャンブルする様子を見て金持ちが楽しむ悪趣味な船。

なお船名に関しては自動翻訳機能がかかっており、現地語の単語が英語や日本語やフランス語に聞こえるようになっております。ご了承下さい(ぉ
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