毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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第三章「世界を引き裂く蜘蛛」
09-22 東山三十六方


 

「さぁ貴方も死んで、私の幸福の一部となって下さい」

 

     ――クモオーグ、『シン・仮面ライダー』――

 

 

 

 

「うまい! こりゃうまいっ!」

「スケイルズ、もう少し静かに喰え! ・・・申し訳ありません、サナさん」

「いえいえ、わたくしどもの料理を喜んで頂けるのはうれしいですよ」

 

 ガツガツムシャムシャモリモリと、テーブルの上に山盛りになった料理をもの凄い勢いで腹に詰め込んでいくスケイルズ。

 謝るソルに、くすくす笑うサナ。一緒に作ったリーザやイサミ、カスミも同様だ。

 古代レベルの世界から来たスケイルズにとっては、現代日本のレシピや様々な品種改良された食材で作られたこの世界の料理はそれこそ天上の美味であろう。

 閑話休題(それはさておき)

 

 あれから二日が経ち、ソルとスケイルズ、そして眠り続ける金龍(アルテナ)は未だに物質界のヒョウエ邸に滞在していた。

 ヒョウエの師匠のメルボージャ曰く、

 

小僧(ヒョウエ)はともかくそちらの二人まで連れて来たのはこのチビ龍じゃな。こいつの目がさめないことにはどうしようもない」

 

 と言うことで、二人はメルボージャの作ったかりそめの肉体と共にしばらく滞在することになったのである。

 ちなみにヒョウエが寝ていたのは三日間。

 向こうとこちらでは時間の流れがまるで違うようだ。

 

「・・・しかし、こいつ一体何なんですか師匠?」

 

 食卓の上、クッションを敷いた手提げ籠の中で眠り続ける金色の塊を見ながらヒョウエが師に問う。

 

「これまでの話を聞いて全く見当が付いてないなら、古代神話を一から履修させ直すぞ」

 

 器用に片眉だけを上げてうろんな目を向けてくる老婆に、こちらはまじめな顔でヒョウエが頷いた。

 

「原初の八つの島の元になった黄金の虹竜の生まれ変わり・・・もしくは娘というところですか」

「そう言う事じゃ。つまりこいつはな、今やこの世に少なくなった真の龍なんじゃよ」

「うお・・・」

「真の龍・・・!」

 

 食卓にざわめきが走り、眠る小竜に視線が集中する。

 当然だろう。真の龍など、ほとんど神話の中にしか出てこないようなしろもの。

 もっとも新しい目撃例でも1200年前のディテク王国建国にさかのぼる。

 エルフでも当時を知るものは既にない。いるとすれば不老不死を授かった〈百神〉の使徒だけだろう。

 その一方でソルとスケイルズはきょとんとしていた。

 

「なあソル、龍に本物も偽物もあるのか?」

「いや・・・そんなことは聞いたことがない」

「だよな。俺だって故郷の村で沖を飛んでるのを二回ばかり見たことがあるぜ」

「だろうな。俺の地元での師匠、父に仕えていた術師が龍と交渉した事があってな。その時のことを話してくれた」

「マジかすげえ!」

「・・・」

 

 盛上がる二人にヒョウエは無言。

 ちらりと師匠のほうを見ると、メルボージャが頷く。

 無言のまま、ヒョウエは食事に戻った。

 

 

 

 それから更に数日、ヒョウエは友人二人にメットーを観光案内していた。

 三人娘と、珍しいことにリーザも一緒である。

 

「うわ、すげえ・・・」

「黒瑪瑙の都も凄かったが、ここは更にだな・・・」

 

 人の数そのものと、とにかく広い王都に驚愕したり。

 

「・・・」

「・・・」

 

 王城"青銅の刃(ブロンズ・エッジ)"城の巨大さに絶句したり。

 

「うまい! こりゃうまいっ!」

「だからもう少し静かに喰えと・・・!」

 

 評判のレストラン「プラ・クリプ」で二人に御馳走したり。

 

「ソル・・・俺は今生まれて初めて喜んで人を殺す!」

「ステイッ! スケイルズ、ステイッ!」

 

 リーザ達といちゃつく(スケイルズ主観)ヒョウエを見たスケイルズが、血の涙を流して咆哮したり。

 

「クロウ・・・ヒョウエくんのお姉さんですかっ! わたくし弟さんの友人でスケイルズと申します! よろしければお付き合いを」

「落ち着けスケイルズ! どう見ても身分違いだぞ!」

「残念、姉と妹だけどいとこなの・・・つまり結婚できるって事よ」

「できるってことなの!」

「なん・・・だと・・・」

 

 カレン・カーラ姉妹と出くわしたスケイルズが己の立場を思い知らされたり。

 そんなことをやっている間に、小竜を目覚めさせようとする人々の胸を打つ熱い人間ドラマも、秘薬を作るための聖水を採取しに伝説の泉を目指す冒険とかも特になく、アルテナがあっさりと目覚めた。

 

 

 

「ンキュ?」

「きゃーっ、かわいい!」

 

 手提げ籠の中でキョロキョロするチビ龍に、周囲の少女たちから黄色い声がする。

 籠から這い出そうとして、へりからこてんと落ち、コロコロと転がる。また黄色い声。

 テーブルの上をトテトテと歩いてくるのをヒョウエが抱き上げてやると、目を閉じてヒョウエの胸に頭をこすりつける。

 ただ、そこから先が普通の小動物とは違った。

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■(どうなっているのだ、クロウ?)

「喋った?!」

「いや喋ってないよ! でも意味がわかる・・・まるで心の声みたい・・・」

 

 「真の言葉」に驚愕する面々を横目で見ながら、ヒョウエがアルテナにこれまでの事情を説明してやる。

 

■■■■■■■■■■■■■■■(ではここがお前の家か)

「そうなんだけど、まさか世界を跳び越えるとはね」

「お前は幻夢界で『クロウ』という存在を確立させはしたが、クロウとしてのバックボーン・・・それまで生きてきた年月とか、故郷とか、そう言うものまでは用意できなかっただろうからの。

 このチビ龍はおまえが家と認識するここに連れて来たんじゃよ。気を失ったのはまだ未熟で力を使いすぎたのと、そこの余分な荷物二人のせいじゃな」

 

 荷物扱いされたソルとスケイルズが苦笑する。

 

「つーとあれか、俺達こいつに掴まってれば元の世界に戻れるのか? えらくちっちゃくなってるけど」

「どうだ?」

『多分出来る、と思う。でもおなか減った』

「サナ姉、お願いします」

「かしこまりました、ヒョウエ様」

 

 そう言う事になった。

 

 

 

 翌日、大広間。

 ヒョウエが再び魔法陣の中央に横たわり、メルボージャをはじめとした面々がそれを見守っている。

 

「それではみなさん、行って来ます」

「頼むぞ。亀裂はまだ塞がっておらん。まだやらねばならぬ事があるはずじゃ」

「それじゃ、みんなありがとう。楽しかったぜ!」

「良い思い出になりました。皆さんに感謝を」

 

 スケイルズとソルが挨拶すると、リーザ達も口々に別れの言葉を述べた。

 目を閉じ精神集中したヒョウエが幽体離脱するのと同時に、メルボージャが指を鳴らす。

 呪文で形作られたかりそめの肉体がほどけ、スケイルズとソルの姿が消えた。

 ヒョウエとスケイルズ、ソル、そしてメルボージャとアルテナ、モリィの目には幽体となった三人が映っている。

 

『ではいくぞ』

 

 アルテナの真なる言葉と共に物質界でのアルテナの姿が消え、それと同時に幽界に10mほどの巨大な金の龍が現れる。

 三人が竜の背にまたがるとメルボージャが頷き、同時に周囲の風景が流れて消え去った。




クモーーーーーンンンンンン・・・(ぉ
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