毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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09-36 毎日戦隊見参

「ヒャッハァァァァァ! 入れ食いだぜ!」

 

 流星雨の如く空を駆ける無数の雷光。

 目も止まらぬ乱射によって次々打ち倒されていくクワガタの生き残り。

 雷光銃、伝説のアーティファクトは閃光の女射手の絶技をもってその威力を存分に発揮する。

 

「チェアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 袈裟切り。逆袈裟。袈裟切り。逆袈裟。袈裟切り逆袈裟袈裟切り逆袈裟袈裟切り逆袈裟袈裟切り逆袈裟・・・

 一太刀ごとに怪物が切り倒されていく。咆哮と共に「∞」の字に振るわれる連続斬撃。その一つ一つが相手の攻撃に対する正確無比なるカウンター。

 

(あれは・・・柳生新陰流逆風の太刀!?)

 

 記憶から前世で見た武術関係の動画が引っ張り出される。

 江戸柳生の開祖柳生但馬守宗矩の兄、五郎右衛門宗章が鎧武者十八人を討ち果たしたという乱戦の剣。

 但馬守自身も大阪夏の陣において、この逆風の太刀を用いて鎧武者七人を斬り伏せたと言う。

 

 伝説の剣豪にも並ぶ天賦の才、超人の力を与える白の甲冑、代を重ね継がれ磨き抜かれた業。

 その三者が合一し、立ちはだかるもの全てを斬り伏せる修羅の颶風(ぐふう)となる。

 

「・・・」

 

 そして白武者の後に続くは七色の光放つ七つの影。

 主の影となり付き従う影の一族、その当代一の手練れ。

 虚と見えて実、実と見えて虚。

 怪物どもを牽制し、目くらまし、切り裂き、主をフォローする。

 影とは思えない派手さも、童の年齢も侍女の姿も全ては敵を欺くために。

 血の繋がった姉を守り、助けるために。

 彼女は忍び。刃の下に心と書いて忍びだ。

 

 

 

 三人娘によって次々に駆逐されていく怪物ども。

 

「ぬりゃああああ!」

 

 もっとも、助けられたほうもそれに見入っている暇はない。

 目の前には別の怪物達がいて、それから目を離したら最後がぶりとやられておしまいだ。

 驚きはしたものの何とか攻撃を受け流し、気付くと怪物達は全滅していた。

 

「助かったぁ・・・」

 

 スケイルズがへたり込む。ソルは息を荒くしながらも何とか立っていた。

 もっとも先ほどまでずっと前衛を務めていたのがスケイルズであるから、一概に彼が貧弱というわけでもない。

 体についた生傷も、ダントツで彼が一番多かった(同様に前衛に立っていたクロウに最低限の戦闘技能があったのも理由だが)。

 

「大丈夫ですか、スケイルズ!」

「もーダメ、死ぬ」

「死ぬ死ぬっつって本当に死んだやつぁいねえよ。まあ良くやったよお前ら、褒めてやる」

 

 ぐったりくずおれるスケイルズの傷を治療し、疲労回復の術もかけるクロウ。

 モリィが苦笑しながらも少年二人の奮戦を褒めた。

 

 

 

「さてと」

 

 一通り治療その他が終わって落ち着いたところでクロウ=ヒョウエが口を開いた。

 車座になり、カスミの入れてくれた香草茶をすすりながらである。ちなみにお茶請けは携帯食でもあるメナディのドライフルーツ入りビスケットだ。

 

「色々聞きたいことはありますが、どうやってここに来れたんです? そもそも高度な修行を積んだ霊術師か僕くらいの馬鹿魔力の持ち主じゃないと幻夢界ではまともに活動できないはず。

 となるとここは幻夢界ではないと言うことになりますね」

 

 クロウの疑問に答えたのはカスミだった。

 

「おっしゃるとおりです、ヒョウエ様。メルボージャ師の説明はほとんどわかりませんでしたが、ここは物質界と幻夢界の間に作られた場所で、ここであれば私たちも赴けるということでした。

 もちろん高度な魔術が必要になるそうですが」

「ふむ・・・ひょっとしてここに黒幕が?」

「可能性は高いって言ってたぜ」

 

 考え込むクロウに代わってソルが口を開く。

 

「ひょっとしたらそれとも関係ある話だが、俺も気になったことがある。

 クロウがここへ来て最初に発動しようとしたのは物質変性の術だよな? この弓やスケイルズの銛を作ったのと同じ」

「ええ」

 

 ちなみにソルの弓矢もスケイルズの銛も、それなりに作りはしっかりしている。

 ヒョウエが修めた数多くの技術の中には木工や鍛冶、矢師のそれなども含まれているからだ。

 それがなければ尖った棒であれば何とかなる銛はともかく、精度が要求される弓や矢は使い物にならなかったろう。

 

「アルテナの鞍にかけた時は普通に発動したのに、何故だ? この洞窟の岩・・・岩?が魔法的な何かだからか」

「ああ、それは多分・・・」

「正解と言えなくもないが少し違うの」

 

 クロウの言葉をアルテナが遮った。

 

「ここの岩と見える物は全て物質ではない。"霊的物質(エクトプラズム)"・・・物質界に吹き出した霊的な半霊半物質、その凝固したものじゃ」

「・・・!」

「えーと・・・?」

 

 目を見開くソル。三人娘とスケイルズはよくわからないようで混乱している。

 

「つまりですね、物質変性はあくまで物質から別の物質に構造を組み替える術なんですよ。この洞窟の素材は全て霊的物質(エクトプラズム)なので、本質的には物質ではありません。固形化しただけの霊体です。だから物質に作用する術は効かないんですね。

 この場合必要なのは霊的物質を一時的にでも実体化させるたぐいの術だったわけですが、その方面は僕もうといので・・・」

「なるほど」

 

 魔術とは俗に魔法百統と言われるほど極めて広範囲にわたり、かつ深い学問である。

 いかに天才とは言え、それらを全て修得するにはヒョウエ=クロウレベルの才能をもってしても膨大な時間が必要となる。

 残念ながら彼には才能があっても学習の時間が足りていない。

 それでも念動と物質変性をほぼ極め、その他の系統もかなりのレベルで習得している時点でとんでもないのであるが、まあそれはさておき。

 

「つまりそちらの娘が言うたとおり、ここは物質界と霊界の中間のような場所だということじゃ。そうでなければこんな広範囲に、霊的物質が安定して存在するはずもない」

「なるほどなあ・・・あいてっ」

 

 したり顔で頷くのはスケイルズ。もちろんよくわかってはいない。

 その頭をクロウが軽くこづく。

 

「知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなせ、ですよスケイルズ。知ったかぶりは学問の大敵です。

 それはさておきこれからのことですが・・・お師匠からは何か?」

 

 クロウの問いに三人娘が困ったように顔を見合わせた。

 

(あ、嫌な予感)

 

「汝の為したいように為すがよい、だとよ」

「邪神かあのクソババァ! ・・・コホン、いや失礼。まあ無茶ぶりはいつものことですけど、何かヒントでもないんですか」

 

 一縷の望みを託してすがるような目でモリィ達を見るが、三人とも痛ましそうな顔で首を横に振った。

 

「地獄に堕ちろ因業ババァ」

 

 ぼそっと呟いた言葉に、スケイルズとソルがおののいたようにのけぞった。




今更だけど「騎兵隊」ってミーム、西部劇が常識な状態じゃないとミームたり得ませんよね(ぉ
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