毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
「シロウさん!?」
「やあ、久しぶりだなヒョウエくん。いやヒョウエ王子」
来客があるというので図書館から出てくると、見覚えのある顔が待っていた。
苦行僧じみた簡素な衣に額の黄金の環、後ろには同様の装束の数人が控えている。
先の大陸横断レースで共闘したアグナムの行者、シロウであった。
「ヒョウエで結構ですよ。しかしまたよく動けましたね。お国のお偉いさんたちから何かなかったんですか」
「知っての通り私の一族の使命は悪魔と戦うことなのでね。加えてホツマの家――ああ、例のレースの時に大使としてこちらに来ていた御仁だ――の方々とは親しくさせて頂いているが、宮廷に仕えているわけでもない。
差配を受けない立場ゆえ、こちらに来させて貰った」
「なるほど。それにしてもありがたいですね、エルフの皆さんに加えてシロウさんが助っ人とは。
後ろにいるのも金剛眼の一族の方々ですよね? みなさんかなりの実力者のようですし、これで勝ち目が見えてきましたよ」
「そう言ってくれると嬉しいね。右から月光大師、奔鉾女仙、蘭光、金剛、公佗児。いずれも達者の術師だ、期待してくれていい」
「よろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
それぞれと挨拶をした後、ヒョウエが声を潜める。
「お国の方は大丈夫ですか? どこもかなり混乱していると聞きましたが」
「実害はほぼ出ていないからな。正面切って攻め込んできているのはこの国だけだ。
・・・やはり他の国からの援軍は芳しくないか」
「ライタイムは少数の精鋭を送ってくれるようですが、"星の騎士"らの切り札は温存。
彼らの立場からすればやむを得ないところでしょうね」
「まつりごとというのは難しいものだな」
「まったくです」
一緒に溜息をついて、ふと思い出す。
モリィも同様に思い出したらしく、口を挟んできた。
「そう言えばムーナの姐さんたちはどうした? あの後、シロウの兄さんを追いかけてアグナムまでいっちまったんだけどよ」
その名前を出すと、シロウと後ろの人々が一斉に苦笑を浮かべた。
「ああ、彼女たちもこちらに来てるよ。というか、彼女らのポッドで連れて来て貰ったんだ。余り動き回るのも何だろうから、宿屋で大人しくして貰っている」
「でしたか・・・何かあったんですの?」
リアスが怪訝そうな顔で問うと、シロウたちの苦笑がいっそう濃くなった。
「まあ何と言うか気の良い連中なんだが、やはり色々と文化が違うからね。
ああそうそう、スイネンさんはうちの村の後家さんと結婚して所帯を持ったよ」
「まあ」
ムーナのお付きの片方である。細身のチョビ髭を生やしたおっさん臭い男だ。
何故か目をキラキラさせるカスミ。
「それはそれは。ちなみにムーナさまとシロウさまはどうなんでしょう?」
「お付き合いには至っていない・・・とだけ言っておこうか」
肩をすくめるシロウに対し、今度はヒョウエが苦笑を浮かべた。
しばらく談笑してシロウたちが退出しようとしたとき、居間の扉がノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
入って来たのは宮殿の衛士。僅かに汗を浮かべている。
「何か?」
「はい、只今首都防衛隊からの報告がありまして」
首都の周辺を守備する部隊である。同時に首都の周辺に存在するダンジョンの警備も担当している。嫌な予感がした。
「まさか"
「はい、最深部のものと思われる強力なモンスターが大挙して地上にあふれ出しております。
既に被害が出ており、ダンジョンマスターであるヒョウエ殿下にお出まし願えないかと依頼が」
言葉を最後まで聞く前にヒョウエが立ち上がっていた。
「モリィ、リアス、カスミ、行きますよ! シロウさんすいません、ここで失礼します」
「いや、そう言う事なら私たちも行こう。君も病み上がりのようだし、万が一があるとまずい」
「ありがとうございます」
礼を述べた後、サナとリーザの方を振り返って頷く。
「気を付けてね、ヒョウエくん!」
「無事のお帰りをお待ちしております」
リーザが拳を握り、サナが深々と頭を下げた。
騎馬の一団がメットーの街路を駆ける。
馬にまたがったヒョウエとリアス、モリィとカスミはそれぞれはヒョウエとリアスの後ろ。
ヒョウエの護衛であるディグ達"
王都を東西に貫くブルース大通りを駆け抜け、西門を通過。
そのまま"
途中で何人か、逃げ出して来た冒険者やギルド職員、商人らしい人々と遭遇する。いずれの顔も恐怖の色に染まり、負傷しているものも少なくない。
王宮を出て十分、あと2,3分でダンジョンの入り口に出ようかと言うところで悲鳴と剣戟の音、怪物の咆哮が聞こえてきた。
「行きますよ、皆さん!」
「殿下は突出しないで下さい! あくまでもダンジョン・コアの操作を優先に!」
「わかってます!」
((((ホントにわかってんのかな!))))
モリィ、リアス、カスミ、ディグ、加えてシロウ達の思念が一致する。
ともあれそのまま一同は"
ぐん、と速度を上げてシロウ達が馬を追い抜き、前に出た。
「露払いは我らにお任せを!」
「お願いします! 僕達はギルド支部に突入しますよ!」
「了解です!」
モリィが雷光銃を抜き、リアスが手綱を放して刀と盾を構えた。王宮の軍馬が優秀なのもあるだろうが、初めて乗る馬ながら両足と体重移動だけで馬を制御する馬術はかなりのものだ。
「お嬢様、私は下から」
「お願いしますね」
リアスが頷くと、カスミは全力疾走中の馬から無造作に飛び降りる。
そのまま危なげなく着地して、シロウ達同様馬と併走を始めた。その手にはいつの間にか忍者刀と棒手裏剣。
「行きますよ!」
ヒョウエたちがダンジョン前広場に突入したとき、そこは既に戦場だった。
軍人、冒険者、民間人問わず死体が散らばり、人で賑わっていた屋台の列は大半が粉々の木片と化している。
5mから10mクラスの大型モンスターが十数体、人間大のものがその倍ほど。
駐屯していた首都防衛隊が何とか新たな怪物の出現を止めようと入り口付近で陣を敷いており、冒険者たちがあふれ出た怪物達と戦っている。
「シャアーッ!」
体長10mはあろうかという、角と巨大な牙を持つ蛇。とぐろの中には締め付けられて悲鳴も上げられない金属鎧の冒険者。
彼の体中の骨が粉々になる直前、空を駆けたシロウの蹴りが大蛇の頭を直撃し、大蛇がたまらずとぐろを解いて跳躍する。倒れた戦士に仲間らしき冒険者が慌てて駆け寄った。
他の金剛眼の一族も同様に格闘や術であっという間に中型モンスターたちを駆逐していく。
「頼もしいですね」
「あっちは任せておいて良さそうだな」
黒等級のパーティにも劣らない戦闘力に安堵の笑みをこぼすと、ヒョウエは半壊したギルドハウスに馬首を向けた。
シロウの仲間の名前は、いずれもレインボーマン原作者である川内康範氏が手がけたテレビ作品かその登場人物のもじりです。
(月光仮面、ぽんぽこ、七色仮面主人公、ダイヤモンドアイ、コンドールマン(公佗児=コンドル))
それから報告の方にも書きましたが、三が日はお休みを頂いて四日から再開させて頂きたく思います。
それでは良いお年を。