毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
「お前の突入、私たちも協力させて貰うぞ。なに、特に問題はない」
「問題ないぞ!」
「ありまくりだよ!?」
胸を張るのはセーナとミトリカ、悲鳴を上げるのはお付きのティカーリ。
セーナは礼服からいつもの戦装束に着替え、ヒョウエと共に戦う気まんまんである。
「だがティカーリ、そうでなくてもアイズナー離宮の攻略には参加するんだぞ?
母様だって出張ってこられるんだからな」
若かりし頃はセーナが霞んで見えるほどの猛女だったという母親である。
ズールーフの森を騒がせた一連の事件で、サーワに化けた異界の魔を圧倒的武力で叩き伏せたのは記憶に新しい。
「うう、セーナといいサティ様といい、何でみんなそんなに血の気が多いのよう・・・」
頭を抱えるティカーリの肩を、同情のまなざしでぽんぽんとリーザが叩いてやる。
「同病相憐れむという奴じゃな」
遠慮など微塵も無いアルテナの一言にサナが苦笑し、ヒョウエが視線を逸らす。
「この忙しいときに何を騒いでおるのじゃお主らは」
そこにどやどやと入ってきたのはメルボージャとサーベージ、カレンと"狩人"、サフィア。
話を聞いてメルボージャの顔がほころぶ。
「おう、手伝ってくれるのか? それはありがたいなエルフの姫よ」
「我らエルフは元より世界の安定を使命とする種族。あなた方と志を同じくするものだ。"
「無理はせんようにな・・・と言いたいところじゃが、今はそんな事を言っておれる状況でもない。頼むぞ、セーナ、ミトリカ、ティカーリ」
真剣な表情のメルボージャに、セーナが同じく真剣な表情で頷く。
「無論だ。全力を尽くすことを祖なる大樹に誓おう」
「誓うぞ!」
「うう、私まで頭数に入れられちゃってるよう・・・」
意気軒昂な二人に比べて、明らかに泣きの入っているティカーリ。
サーベージがちょっと困ったような顔で口を挟む。
「何なら残ってもいいんだぞ? こう言っちゃ何だが、その程度の腕で着いてくるのはきちぃだろう」
「出来るわけないじゃないですか! こんな熟れすぎた
「・・・」
逃げたいけど義務感と友情と義理に縛られて逃げる事もできないまじめな娘。
半泣きのティカーリの頭を、この傍若無人な老人が今だけは優しく撫でてやった。
「・・・」
一方で顔を僅かに引きつらせているのは爆弾呼ばわりされたセーナだ。
ミトリカはよくわからないようできょとんとしている。
「・・・」
頭を撫でられていたティカーリが恨めしげな顔で親友を見つめると、それでも自覚はあったのか、セーナが視線を逸らした。
「いずこも同じだねー」
ティカーリの肩を抱いてやっていたリーザの言葉に、ヒョウエも視線を逸らす。
「はいはい、
カレンがぱんぱんと手を打つと、緩んでいた空気が多少なりともまじめなものに戻った。
が、それに異を唱えるものが一人。
「お言葉ですが、カレン様」
「あら、サナ。何かしら?」
「その女が何故ここにいるのでしょう?」
「うっ」
冷たい視線を向けられたのはカレンに随行してきたサフィア。
親友の視線に思わず身を縮こまらせる。
「カレン様相手とは言え、ヒョウエ様の重大な秘密を暴露しておいて、私の前によくのうのうと顔を出せたものですね、サフィア?」
「だ、だからカレン様が相手じゃどうしようもないって言ってるじゃないかぁ!」
「知りませんね」
懇願するサフィアに、この忠義一徹の女執事はとりつく島もない。
「大体ボクはヒョウエくんが青い鎧だなんて一言も言ってないよ!
『気になる事でもあるのかしら?』
『何か隠していることがあるわね』
『ひょっとしてヒョウエのこと?』
『あなたもヒョウエが・・・でも青い鎧の
『・・・まさか、あれが青い鎧とでも言うの?!』
『なるほど、本当なのね・・・』
って、ボクが一言も言ってないのにそれだけで特定されちゃったんだよ!」
「うわぉ」
「まあ姉上ならそれくらいできても不思議とは思いませんが」
周囲が唖然とする中、深く嘆息するのはヒョウエだ。
ヒョウエの知っている中でもひょっとしたら一番回転の速い頭脳と、表情から内心を読み取る読心魔法並みの技術があれば、それは大概の事は暴き立ててしまえるだろう。
(天は何故地上にこのような悪魔を遣わしたのか)
同様の目にさんざん遭ってきた慨嘆をため息に込めると、手袋に包まれた繊手がその頬をつねり上げる。
「ヒョウエ? 今何を考えたのかしら?」
「痛い痛い痛い」
見かねた"狩人"がおほんと咳をすると、暴君はつまらなそうに手を離した。
「まあそう言うわけだサナ嬢。腹立ちが収まらないのはわかるが本当に相手が悪い。
今回は許してやれ」
「そうですよ、これはしょうがないです。姉上にかかったらサナ姉でも秘密は守れませんよ」
「まあ私が言うのもなんだけど、彼女には罪はないから、ね?」
「・・・」
苦笑する"狩人"、ヒョウエとカレンから萎縮する親友に視線を移す。
「ううっ」
「・・・」
しばらく冷たい視線でにらんだ後、サナが溜息をついた。
「いいでしょう。ですが今回だけですからね?」
「ああ、助かった。ありがとうサナ・・・」
がっくりと肩を落とし、安堵の息をつく男装の女剣士。
周囲から一斉に苦笑が漏れた。
「それじゃ本題に入りましょうか。やれやれ、とんだ寄り道をしたものだわ」
「大体姉上が原因じゃないですかね」
「あなたが秘密を持ったのが悪いのよ。叔父様に言えなくても私には伝えておきなさい。私はあなたの姉なんですからね」
「・・・」
愛されているのか何なのか、この四歳年長の従姉をしげしげと見た後、ヒョウエは今日で何度目かの深い溜息をついた。