毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

356 / 374
10-34 合流

「とりあえずこれ羽織って!」

「まあお主らが着ろと言うなら着るがのう」

 

 サフィアが自分のマントをかぶせて取りあえず裸身を隠す。

 真なる龍は自然の化身そのものであるがゆえに、自分の司る自然の力を介した攻撃はほぼ無効化出来る。原初の龍である黄金の虹竜ともなれば尚更だ。

 ただしその力は着ている衣服にまで及ぶわけではない。

 

 今着ていたのはヒョウエの実家の侍女頭のカニア(世話のために出張してきている)が娘のお古を仕立て直したものだったが、悪魔の雷撃を浴びて完全に消滅分解し、今のアルテナは髪の飾り紐を除けば生まれたままの姿だった。

 まあ龍であるアルテナがこの姿で生まれたのかどうかは議論の余地があるだろうがそれはさておき。

 

「あー、これでいいか。ちょっとこれ、頭からかぶって下さい」

「何じゃこれは。わらわは小麦ではないぞ」

「今調整しますから!」

 

 ヒョウエが「隠しポケット」のかばんから取りだしたのは大きめの麻のずだ袋。

 戦利品やら何やらを詰め込むために用意しておいたものだ。

 それに穴を三つ開けて、逆さにかぶらせて頭と両腕を出させる。

 

「"物質変形(シェイプ・マテリアル)"」

「ほう」

「おおー」

 

 続けてヒョウエが術を発動すると、ずだ袋が膝丈までの貫頭衣(ワンピース)になった。

 日本人には弥生時代の農民が着ているような、というとイメージしやすいかもしれない。

 裸足だが取りあえず真っ当な服には見えるし、目の荒いちくちくする布もそれなりに肌触りのよい、きめ細かいものになっている。

 

「ふむ」

 

 アルテナが自分の新しい格好を見下ろした後、嬉しそうに飛び跳ねた。

 

「よいな、これは! 前のよりよい! 動きやすいし、ごてごてした飾りも付いておらぬからのう! ほめてとらすぞヒョウエ!」

「お褒めにあずかり恐悦至極にぞんじます、女王陛下」

 

 苦笑しながらヒョウエ。

 内心ではカニアが聞いたらがっくりくるだろうなあと思っている。

 

(孫娘みたいにかわいがって着飾らせてたからなあ)

 

 カスミにファッションショーをやらせたリアスやねんどろいどになった自分を着せ替えさせたがった女性陣もそうだが、女性というのはそう言うのが好きなのだろうかとちょっと遠い目になるヒョウエであった。

 

 

 

 「黄金の迷宮」、水晶の間に通じる封印の少し手前の大広間。

 ばらけたらここで待ち合わせと申し合わせてあった場所に、ヒョウエたち以外の突入メンバーが揃っている。

 

「お、来たぞ! おせぇんだよ!」

「やっとか、待たせおって!」

 

 最初に気付いたのは《目の加護》を持つモリィと、それに次ぐ視力を誇るエルフのセーナであった。

 悪態を突いてはいるが、顔に浮かぶほっとした表情は打ち消せない。

 リアスやカスミ、ティカーリやメルボージャがそっと微笑んだ。

 

 

 

「遅ぇよ! ・・・サフィア姐さん、大丈夫か?」

 

 ヒョウエたち三人が近づいてくると、モリィ達が駆け寄った。

 笑顔で悪態をついた後、ヒョウエの背中に背負われたサフィアに心配そうな顔になる。

 

「まあなんとかね。不覚をとったよ・・・ヒョウエくん、もう大丈夫だ。降ろしてくれ」

「本当に大丈夫でしょうね?」

「疑り深いなあ。治癒してくれたのはキミだろう? キミの術力を信じたまえよ」

「まあそうですが」

 

 小柄なヒョウエの背中から降りしなに、サフィアの白い指がつつっとその頬をなぞる。

 ヒョウエが微妙な表情で肩をすくめた。

 

「・・・」

 

 一方で、待っていた面々の間にはぴりっとした空気が走った。

 

「おい・・・」

「サフィアさんってば・・・」

「明らかに空気というか距離感が違いますね・・・」

「やはり・・・サフィアよ、お前もか」

「?」

 

 緊張感を走らせたのがモリィ、リアス、カスミ、セーナ。

 ミトリカはよくわかっていない顔。ティカーリが深い溜息をつき、メルボージャは微笑ましそうなものを見る目になっていた。

 

「そう言えば師匠。サフィアさんの腕を接合したんですが、診て貰えますか?」

「ほう」

「動きに違和感はないし大丈夫だと思うけどね。よろしくお願いします」

「うむ、ちょいと動かずに・・・これはうまくやったのう。これなら傷痕も残らんわ。腕を上げたの」

 

 サフィアの腕をポンポン叩いて笑顔を浮かべるメルボージャ。

 

「だってさ、ヒョウエくん。やったじゃないか」

「ええ」

「切り口が鋭かったのもあるが、水晶の心臓なしでこれは中々のものじゃ。お前、むしろ水晶の心臓がない方がいい術師になれるんじゃないかの」

「ええ・・・」

 

 喜びの顔から一転、けけけと笑う師にからかわれてヒョウエがくさる。

 とは言えスペックに任せてごり押ししていた自覚はあるので余り反論できない。

 

「しかし僕達が最後ですか。お待たせしてしまいましたかね」

「まあ結構な」

「正直心配しましたわ」

「みんなは余り苦労もせずにここまでこれたんですか?」

「大した苦労はしなかったぜ」

「サーベージ師匠の大した苦労じゃないは信用できませんねえ・・・」

 

 ちらりと他の面々に目をやると、カスミとセーナが苦笑を浮かべる。

 

「わたくしどもはお二方とご一緒させて頂きましたから、苦労らしい苦労は」

「まあ"最初の戦士(パハーラ・ヨッダ)"の基準はともかく、私とカスミだけでも何とか切り抜けられたか?という程度の敵に2,3回ほど出くわしただけだったな」

「ふむ。モリィ達は?」

「あたしらもそんな感じだな。リアスの足跡を見つけたんで、追いかけて合流できた。ティカーリはあたしと、ミトリカがリアスと一緒だったからそれほど苦労はしなかったぜ」

「なるほど」

 

 どうやら次から次へと苦難に遭っていたのは自分たちだけらしいと知り、ヒョウエとサフィアが溜息をついた。

 

「やっぱりあいつの仕業だったんでしょうかね」

「じゃないかなあ」

「ヒョウエ様? サフィアさん?」

「ああ、実はだね・・・」

 

 サフィアが手早く事情を説明すると、一同の口から溜息が漏れた。

 

「その鹿角の悪魔、ル・ユフルか。そいつがあたしらを分散させたのか?」

「分散させたのはクリス先生の術で、鹿角さんは分断したところで僕なりアルテナなりを狙って襲ってきたんじゃないですかねえ」

「まあよい。アルテナが胸を貫いたあと、そいつは体が崩れたりはしなかったのじゃな?」

「うむ、多分死んではおらぬな。霊体が崩れた感触はなかった」

 

 メルボージャの質問に頷くアルテナ。

 

「まあ深手じゃし、復帰するかどうかは五分五分かの。しかしまがりなりにも上位悪魔に魔力比べで勝ったと言うことは・・・ふむ?」

「何か?」

 

 探るような師匠の目つきに、僅かに笑みを含ませて答えるヒョウエ。

 しばしその目を見たあと、老婆がふっと笑う。

 

「何でもないわい。では行くぞ。水晶の間に続く封印の扉はすぐそこじゃ」

 

 頷いて一行は歩き始めた。

 




水晶の心臓があるヒョウエくん → 全力力押し一辺倒の大人ギルガメッシュ
水晶の心臓がないヒョウエくん → 魔力量は劣るけどその分効率的に宝具を使いこなす子ギルくん

大体そんな感じ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。