毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
10-35 メットー・ウォーズ
「全ての戦いを勇者のために!」
――「ダイの大冒険」――
途中で30mを越す火竜に出くわしたがこれを瞬殺し、一行は封印の扉のある広間にたどり着いた。
広間の一面を塞ぐ、高さ100mを越す巨大な一枚岩。
術師の素養があるヒョウエやサフィアには、そこにびっしりと刻まれた術式が感じられた。
「おお・・・」
「さすが真なる魔術師、見事なものですね」
「まあここに住んでる連中を考えるとこれくらいは必要になるでな・・・開けるぞ。備えよ」
緊張が走る。
黄金の迷宮の中でヒョウエとアルテナは襲われたのだ。
この封印の扉の先には、恐らく揃えられる限りの戦力が揃えられているだろう。
ヒョウエの金属球が周囲を周回し始める。
モリィが雷光銃のセイフティを解除し、その他の面々も得物を構える。
「~~~~~~」
真の言葉ではないようだが、ヒョウエも知らない言語でメルボージャが呪文を唱える。
岩に走る術式に魔力が流れ、回路を走る。
「開くぞ」
その言葉と共に、巨岩にすうっと、丸く小さな穴が開いた。
小さいと言っても岩に比べればで、3mほどはある。
円筒形に続く通路の奥にかすかな光が見えた。
「行くぜ」
サーベージが先頭に立って進み始める。
続くのはリアスとサフィア、カスミ。更にヒョウエやメルボージャ達術師組が続いて、最後尾にモリィ達飛び道具組。
最後尾のティカーリが入り口をくぐると、岩の表面に開いた穴がスッと消えた。
予想に反して、一同が出てきた場所には何の戦力も配置されていなかった。
ただぼんやりと洞窟の岩肌が光っているだけ。
一行の後ろで岩扉に開いた穴が縮んで消える。
「ここは・・・水晶の間に続く途中にあった玄室?」
「うむ。水晶の間はここから200mくらい先じゃ。そして・・・待ち構えていたものがいないわけではなかったのう」
「!」
玄室に通じる通路に影がひとつ、ふたつ。
それらはあっという間に数を増やして実体化する。
「おまえ・・・!」
「なんじゃ、随分早い再登場じゃのう」
「その節はありがとうよ。クリス様が治してくださってなあ。すっかり元通りだぜ」
野性味溢れる笑みを浮かべて胸板を叩くのは、ついさっき戦った鹿角の悪魔、ル・ユフル。
本人の言の通り、アルテナに貫かれた胸には傷一つない。
その後ろには地上にも群れをなす"ドラゴンフライ"の群れ。
そしてヒョウエたちがそれ以上に驚いたのが、もう片方の入り口を固める人影たちだった。
「やあ、久しぶりだな、放蕩王子とその仲間ども。まさかお前が青い鎧の正体だとは、見事に一杯食ったよ!」
「ウィナー!?」
かつて戦った犯罪者。その身に纏うのはかつてと同じ、真紅の駆動甲冑。
性能ではリアスの「白の鎧」をも大きく上回るそれは、ヒョウエが知る限り最高の魔導甲冑。
最強の冒険者である星の騎士すら翻弄してみせたそれは、単体で万軍に匹敵する。
その後ろに並ぶ黒装束の軍団と具現化強化術式を装備した集団は、ウィナーの子飼いと、彼と同じく"
「ウィナー! 何故悪魔に手を貸すんです! 彼らは人類の敵ですよ!」
「あの男は私にディテクの支配権を与えると言ってくれた! 傘下に入るには十分だろう!」
「・・・そうですか」
自分でも意外なくらいに冷たい言葉が出た。
すうっ、と心が冷える。
(こいつとはもうわかり合えない)
黙り込んだヒョウエと入れ替わるように、ル・ユフルが歯ぐきをむき出しにして笑った。耳元まで裂けた口と牙が、ワイルドを通り越して、獣のような印象を与える。
「はははは! たくましいな人類! まあだからこそ俺達のつけいる隙があるわけだが!」
「それがお前さん達の望む結果に結びつくかどうかはまだわからんぞい」
メルボージャの反論に、鹿角の悪魔は哄笑で答えた。
時間を少し巻き戻して地上。
ここでもまた、異変が起きていた。
架橋に成功し、上級冒険者たちと魔導甲冑部隊が雪崩を打って離宮に侵入する。
"ハーキュリーズ"や"ドルフィン"、空が飛べるシロウやモニカたちが空中の敵に対抗し、サティが率いるエルフの戦士や黒等級冒険者たちが先頭になって地上の悪魔どもを駆逐していく。
QBやゴード、ナパティやハッシャの姿もあった。
だが突然、状況が変わる。
「なんだ、空が!?」
空が裂けた――そうとしか表現できない。
そしてその裂け目の中から出て来たのは。
「空中要塞!?」
「馬鹿な、"翼の騎士"が落としたんだぞ!」
「一体いくつあるんだよ!」
"
下部のハッチが開いて、黒い魔導甲冑の部隊が降下してくる。
空中に結ぶのはその首魁、
「ごきげんよう、愚民ども。今度はさほど間を置かずに君らと再会できて喜ばしい。
我らの理想社会を作るため、この良きタイミングを利用させて貰おう」
「してやられたっ!」
作戦卓に拳を叩き付けるのは大将軍であるヒョウエの父、ジョエリー・シーシャス・ジュリス・ドネ。
「まさかこのタイミングで・・・!」
「悪魔どもと手を組むとは、そこまで落ちたかレスタラ!」
歯ぎしりをする叔父と参謀たちを見て、同席していたカレンが口を開いた。
「・・・そもそも、レスタラと髑髏王そのものが真なる魔術師クリス・モンテヴィオラの仕込みだったのかもしれませんね。
ヒョウエたちの報告によれば、オリジナル冒険者族をこの世界に呼び込んでいたのが彼です。彼がそれらを呼び込んだ理由は判りませんが、であれば自分の戦力として使おうとしても不思議ではありません」
「髑髏王はそれに成功した例と言うことか」
「レスタラの異常な結束力と構成員の忠誠心は"
あれだけの魔導兵器に関しても、裏に真なる魔術師がいるのであれば調達は随分と容易になるでしょう」
「ぬう」
重ねた"狩人"の言葉に、ジョエリーがうなり声を上げた。
「ならば・・・」
「殿下! 水晶を!」
「何? ・・・何だと・・・!」
水晶玉の送ってくる戦場の映像。
それを見たジョエリーとカレン、"狩人"が揃って絶句した。
章タイトルは特に元ネタはありませんが、「HOLDING OUT FOR A HERO」を多少意識しています。昔のドラマ「スクールウォーズ」の主題歌「ヒーロー」の元歌で、「ヒーローを待ち続ける」のような意味。
いい歌ですよー。