毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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10-47 金色の宇宙

■■■■■(おのれ)

 

 魔王からいらだちの気配が漏れた。

 それまで機械的に――あるいは人類に理解出来ない思考パターンで――攻撃を繰り返していた魔王の、初の反応。

 それを引き出せたことに、兜の下で笑みを浮かべる。

 

「魔力の対消滅反応とでも言いましょうか。そちらの世界では違うのかも知れませんが、こちらの世界ではそうなんですよ。対霊術式を施していなくても、ある程度強力な魔力なら霊体を傷つけることが出来るのも同じ理屈でしてね」

 

 それに対する返答は、暗黒轟洞の無言の連打。光を飲み込み、空間すら歪めるこの世でもっとも「重い」攻撃。世界を歪め破壊する太陽のなれの果て。

 

「・・・!」

 

 もはや青い鎧も軽口を叩く余裕はない。

 事象を切り裂く光の剣を縦横に振るい、擬似的に再現されたブラックホールを切り裂いていく。

 切り裂かれた無色の超重力が破片となってばらまかれ、月面のクレーターを無数に増やす。

 

「ぐっ・・・くっ・・・」

 

 声が漏れる。歯を食いしばる。

 それでも飛来するブラックホールを後ろに抜かせはしない。

 この場であれば月面がえぐれる程度だが、放置してしまえば周囲の物質を吸収して本物のブラックホールになってしまう危険がある。

 そうなれば惑星サイモック、今のヒョウエの生きる世界も危うい。

 

「■■■■■■■■」

 

 人間には理解出来ない感情の波動が魔王から漏れる。

 あるいは笑ったのかも知れない。

 

「!」

 

 一際巨大な暗黒轟洞。

 斬撃が間に合わず、青い鎧がまともにそれに飲み込まれた。

 

「ヒョウエッ!」

「ヒョウエ様!」

 

 声が上がる。

 モリィでなくともわかる異変。巨大な無に飲み込まれる魔力の輝点。

 

 魔王が手を突き出す。

 無のうろが更に密度を増す。

 印を組むセレスが顔をこわばらせた。

 

「いけません、このままでは魔王本人にすら制御できなくなる恐れが・・・!」

「それは・・・世界そのものが吹っ飛ぶのではないのか? 何を考えているのだあれは!?」

「根本的に物質界(ここ)は奴の世界ではありません。場合によっては世界が消えるリスクよりヒョウエを倒すことを優先する可能性は・・・!」

「!」

 

 疑問を唱えたセーナを始め一同が絶句する。 

 更に魔力を注ぎ轟洞の密度を上げる魔王。

 

「・・・・・・・・!」

 

 誰かの奥歯がぎりっと鳴った次の瞬間。全てを飲み込む無の球体に光が走った。

 

「!」

 

 風船が割れるように消滅する暗黒轟洞。

 その中から現れたのは、光の剣を握った青い鎧。

 

「ヒョウッ・・・」

 

 歓喜の声を上げようとしてモリィが絶句する。

 視覚を強化したメルボージャと光の術で望遠鏡を作っていたカスミ、桁外れの身体能力を持つサーベージもまた。

 

「馬鹿な、青い鎧が・・・」

「砕けています・・・!」

「!?」

 

 戦いが始まって何度目の絶句であろうか。

 今度のそれは恐怖の色が濃かった。

 

 ひび割れた胸当て。

 ひしゃげた籠手とすね当て。

 ちぎれた草摺り。

 そして面頬は左半分が割れ落ちて、ヒョウエの顔が半ばむき出しになっている。

 

■■■(しぶとい)

 

 魔王から放たれる気配。今度はその場の誰もがそれを理解出来た。

 いらだち。叩けば死ぬはずの羽虫がここまで自身の攻撃に耐えている不快感。

 

「■■■・・・!」

 

 そして更なる不快感が発せられる。

 笑ったのだ。ヒョウエが。半分欠けた面頬の奥から。

 そして青い鎧の全身を魔力と術式が走る。

 術式の再具現化。鎧の欠けた部位が一瞬にして元に戻る。

 

■■■(しぶとい)■■■(しぶとい)■■■(しぶとい)■■■(しぶとい)・・・!

 ■■■■■■■■(我が勝利は揺るがぬ)■■■■■■■■■(しかるに何故負けを認めぬ)!」

「そりゃあなた、僕が勝つからに決まっているじゃないですか」

 

 にやり、と兜の下で更なる笑みが漏れた。

 それを鋭く察したか、魔王から不快感を通り越した怒りの気配。

 

「怒りましたね? ですが現実です。現実(リアル)世界法則(リアリティ)に打ちのめされ、この世界から消えてもらいましょう」

■■(!?)

 

 魔王から放たれたのは驚愕の気配。

 突如青い鎧の周囲に渦巻いたのは強大な、強大すぎる魔力。

 身の丈3000mを越す魔王と互角、いやそれを凌駕するほどの。

 

「"双心共鳴(ツインハート・ドライブ)"・・・やっと馴染みましたよ」

 

 青い鎧の胸の中で唸りを上げるのは元から彼のうちにあった"隠された水晶の心臓(クリプトス・クリスタル・ハート)"。そして青い鎧を素体として作り上げた、もう一つの"隠された水晶の心臓(クリプトス・クリスタル・ハート)"。

 先ほど魔王が出現するまでの間にヒョウエがしていたのは、クリスから奪い返した水晶の心臓を自らに埋め込む行為。今までの戦いは肉体への融合と再接続、そして二つの水晶の心臓を共鳴させるためのウォーミングアップ。

 

「ひやひやものではありましたが、凌げる程度の攻撃でよかった」

「■■■■■■・・・・!」

 

 魔王から更に発せられる気配。

 言葉はわからないが、何であるかは明白にわかる。

 怒りだ。人間などと言う小生物に舐められた怒り。

 神と成った〈百神〉であればまだしも、肉の体を持つ低級な生命体に!

 

「■■■■■■■■■■!」

 

 魔王の魔力もまた爆発的に膨れあがる。

 これまで抑えていた本気の力。

 それでもヒョウエの笑みは揺らがない。

 

「"我、世界(コスモス)を守るものなり"」

 

 その言葉(コマンドワード)と共に、手に握っていた鋼鉄色の杖が分解した。

 青い鎧に変化するときのように渦を巻いて青い鎧の更に上から覆い被さる。

 一瞬にして再着装は完了した。おおよその形は変わらぬながら全身黄金色に輝くそれは、あたかもこの世全ての光を集めたかのよう。

 

「これが世界の力を集めた鎧(コズミックアーマー)。あなたを討つための最後の武器」

「■■■■■■―――!」

 

 もはや意味を為さぬ怒りの波動。

 それに呼応するかのように、黄金の甲冑の右拳に光が集まっていく。

 

「直線に収束させてすら暗黒轟洞を切り裂き消滅させた高密度魔力。

 さて、それを一点に集中させたらどうなると思います?」

 

 応えはない。ひたすらに怒りの波動が放たれる。

 恐らくセレスの精神防御がなければ、サーベージやアルテナですら絶息する精神の暴風。

 それをそよ風と受け流し、右拳の光はもはや正視できないほどに高まっていく。

 対して魔王の前に生み出されるは槍。暗黒と混沌の魔力から生み出した、恐らくは摂理すらねじ曲げ、存在自体を消去する魔王の切り札。

 一瞬だけ互いの視線が交錯した。

 

「■■■■■■―――!」

「受けろ――!」

 

 滅びの槍が放たれる。

 黄金の拳が光って唸る。

 

至高の(プライム・)百万の光(ワンミリオン)!」

 

 

 

 モリィ達が身構えたような、大爆発や世界の崩壊は起こらなかった。

 ただ一筋の黄金の流星が黒い滅びの槍を正面から打ち砕き、山ほどもある魔王の体を貫いた。

 魔王の体は貫かれたその一点に吸い込まれ、消滅する。同時に中空に輝く黄金の星も姿を消した。

 

「モリィ! ばーさん! ヒョウエのヤツどうなったんだよ!?」

「・・・」

 

 騒ぐミトリカ。

 それに取り合わず、ふうと息をついて緊張を解くセレス。サーベージもだ。

 

「おいモリィ!」

 

 必死のミトリカに、ニヤリと笑みを返してやるモリィ。

 

「心配するこたぁねえさ。ほら」

「!」

 

 セレスが結界を解除する。

 その彼らの目の前で、鎧を解除したヒョウエがゆっくりと地表に降り立った。




コズミックアーマーは巨大なスーパーマン型のロボット(傍目には巨大化したスーパーマンにしか見えない)。中にスーパーマンが入ってて宇宙を救った。
スーパーマン・プライムワンミリオンは黄金のスーパーマン。大体ハイパーモードで明鏡止水(ぉ
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