毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
レスタラの空中要塞が爆発した。
"星の騎士"の鋭敏な感覚は、その寸前にいくつかの影が飛び出した事を察知している。
「やってくれたか!」
サティ、シロウ、モニカ・・・突入メンバー全員の健在を確認してその口元が緩む。
「今少しだ! 戦友たちよ、最後の力を振り絞ってくれ!」
戦場に響く号令に、あちこちから歓声と雄叫びが上がる。
そしてもう一つの戦いにも決着がつきつつあった。
「チャージ完了したわあなた!」
「了解!
"ハーキュリーズ"胴体の「目」から、それぞれ光の輪を何重にも重ねたようなエネルギーの球体が発射される。
それは
「
「装填!」
ハーキュリーズの右腕から、剣呑な巨大杭が姿を現す。
『・・・・! ・・・!』
ザイフリートがもがくが、水の巨猿に継続して浴びせられた堀の水にそのエネルギーを大きく削られており、拘束を振り切るほどの出力を出せない。
そこに突き込まれるハーキュリーズ右手の杭。
「H.E.A.T.ショック!」
轟音が轟いた。
魔力爆発によって撃ち出された杭は拘束フィールドを抵抗なく貫き、中のザイフリートと共に大爆発を起こす。
「よし、成功だ!」
イサミが快哉を上げ、隣の妻とハイタッチする。
アンドロメダの顔にはほっとしたような笑顔。
炎の魔神が起こしたはずの大爆発は拘束フィールドの中に留まり、周囲に一切影響を与えていなかった。
ヒョウエの協力を得てイサミが術式を設計し、妻と共に実装した
つまり、周囲をフィールドで覆って内部の爆発から周囲を守るための装備だ。
内部で止めきれない場合は上部に力を逃がして、爆風やエネルギーが最低限周囲に及ばないように設計されている。
「うまくいったわね、あなた」
「こんなに早く使うことになるとは思わなかったがな。それもあれ相手に」
こちらも安堵の溜息をつくイサミ。
前回のザイフリートを見て開発した装備だが、間に合って良かったと心底思う。
夫婦で和んでいると外から声がかかった。
『けけけけ、やるじゃねえか。まあ俺のおかげだがな』
「ああ、お前のおかげだ。ありがとうな、バーリー」
ニヤニヤするバーリーの顔が、一瞬あっけにとられたそれになる。
アンドロメダが吹き出した。
『て、てめえ何言ってやがんだ!? 悪いものでも食ったかよ!!』
「さてな」
混乱するバーリーにニヤリと笑いつつ、周囲を見渡す。
空中要塞と炎の魔神は破壊し、
それでも緑の悪魔と魔導甲冑はまだ残っていた。
「こっちは残敵掃討にかかるぞ、メディ!」
「はい! バーリー、あなたは治癒術で重傷者の支援に回ってください!」
『お、おう』
歓声に送られながら離宮の奥の主戦場に踏み込んでいく
「決めるぞご老体!」
「おうよ!」
「「
真紅の
二人の霊術師が精神を融合させて放った術式が、動きを封じられた瘴気の巨人に命中する。
「■■■■■■■――!」
怒りの思念をまき散らし、黒い瘴気が渦を巻き始める。
それはあっという間に加速し、渦に巻き込まれた瘴気が穴に吸い込まれる水のように消えていく。最後の瘴気が吸い込まれた後、数瞬ほど黒い穴が空中に留まっていたが、ぱちんと音を立てて消失した。
「よし」
「お見事」
「ご老体もな」
絞り出した魔力の大きさに息を荒くしつつ、二人の術師は頷きあった。
「緑の障壁!」
「シーク・ハイ!」
空中から落下する空中戦艦の残骸。多くは堀や離宮に落ちるが、市街地に落下するものもある。敵戦力が半減し戦力に余裕が出てきたのを幸い、障壁の術を得意とする術師たちが大きな破片から町を守っていた。
「
「駆けろ、"
「ヒヒィン!」
一方でドワーフの突撃隊やアグナムのサムライ達、ダルクの騎兵たちが残敵を掃討している。
空中に飛び上がった悪魔達も投げ鎚や投げ槍に落とされ、叩きつぶされ、切り刻まれ、馬蹄に踏みつぶされていった。
「ディテク万歳! 王家万歳!」
「星の騎士万歳! "不朽なるもの"万歳!」
十数分後、ついに地上の敵が掃討された。
空中で剣を掲げる星の騎士に孔雀鷲が近づいてくる。背中には老齢のエルフが乗っていた。
「やったの」
「お疲れさまでした、シャンドラどの。・・・アイアン・スカルは?」
「いつの間にか姿を消したわ。『ここは我の居場所ではない』とさ」
星の騎士の溜息。
「そうですか・・・改めて礼を言いたかったのですが」
「かっかっか! お前さんに礼を言われても困るだろうよ! そう言う間柄じゃろう、お主ら?」
星の騎士の言葉を笑い飛ばすシャンドラ。
世界最高の英雄と呼ばれた男も、これには苦笑するしかなかった。
同じ頃、地下でも決着がついていた。
サヌバヌールによってウィナーの真紅の衣は砕かれ、いくらかの犠牲者を出しながらも彼の部下たちはトンボ悪魔を全滅させた。
鹿角の悪魔ル・ユフルもバリントンによって討ち取られ、"
ウィナーに忠実だった部下たちも、捕縛され、あるいは討ち倒されていった。
「ぐふっ!」
倒れたウィナーをサヌバヌールが踏みつける。
「さて、ウィナーとか言ったか。貴様小物ではあるが魔導技術においては見るべきものがある。囚人共々我に従うなら命は助けてやろう。我がために働くがよい」
「・・・」
みしり、と足に力がこもる。
「答えを聞こうか?」
「・・・わかった。貴様の軍門に下ろう」
サヌバヌールが足をどけた。ゴリラの様な顔に満面の笑み。その後ろから近づく足音。
「うーん、まあ当人同士で話が付いたならいいけどさあ。そいつ絶対また何かやらかすよ、サヌバヌール卿?」
バリントンであった。胴鎧は傷だらけ、自前の右腕は籠手を切られてだらんと垂れ下がり、鎧の義手は左側が半ばから断ち落とされていた。
笑みを浮かべたままサヌバヌールが振り返る。
「それはそれでよい。そやつがより強きものであれば、我を倒して高みを目指せばよい。それが世の理というもの」
バリントンが無言で肩をすくめる。
「しかし、ミロヴァの支援があったとは言えあの悪魔を一人で討ち果たすとはお前にも見るべきところがある。どうだ、我に仕える気はないか。
自前のそれはともかく、その魔導鎧の腕はそう簡単には修理できぬぞ?」
「うっ」
痛いところを突かれたか、バリントンが顔をしかめた。
実際金を積めば
バリントンが溜息をついてがっくりと頭を落とした。
「やれやれ、ヒョウエくんにメレンゲの借りを返しに来たのに、また新しい借りができちゃうとはねえ」
「それも人生というものじゃ、若人よ」
ふぇっふぇっふぇ、と老術師ミロヴァが笑った。
最後の
報告が入った司令部が歓声に包まれる。
総司令官のジョエリーとカレン、"狩人"や参謀たちがほっと息をついた。
「髑髏王はどうした? 報告は入っていないか」
「アグナムのシロウ殿によると、本物らしき何かを発見し、とどめを刺したとのことです。詳しくは言葉を濁されていましたが・・・」
「恐らく聞いて楽しい話でもないでしょうが・・・一応こちらで聞いておきますわ、叔父様」
「頼む」
「はい。・・・!」
頷いたところでカレンが胸に手を当てる。
ジョエリーも僅かに目を見張った。
「叔父様、今・・・」
「ああ、俺の所にも来た。やりおったな、ヒョウエ・・・!」
破顔する叔父に、開いた扇から覗くいたずらっぽい目。
「あら、黒幕を倒したのは復活した青い鎧だったそうですが?」
「そうだったな。だとしてもあいつの功績が大きいことには違いない」
にやにやと笑みを交わす叔父と姪。
「・・・」
それらを微妙に醒めた目で見下ろすのは"狩人"。内心何を考えているのかは察して余りある。
ジョエリーが声を張り上げた。
「全軍に通達! 黒幕の魔術師を青い鎧と我が息子ヒョウエが討ち倒した! 戦いは我々の勝利だ!」
「はっ!」
最高の報告が通信網を駆け巡る。
数分後、首都の一角は歓声と凱歌に満たされた。
ハーキュリーズは巨大ロボですが、今回の必殺技の元ネタは80年代のヒーロー漫画「ウイングマン」です。
本当はデルタエンド(三体に分身してフィールドの中に封じ込め、相手を爆発させる必殺技)をやりたかったのですが、さすがに巨大ロボが分裂するのは無理臭いかなあと思って断念しました。
パーツ分割すりゃええじゃんと思うかも知れませんが、三体で「ショック!」ってやるのがかっこええんやw
・・・今考えるとこれHxHのゲンスルー達の「起爆!」に通じるものがあるな?指の形とか三つ同時にとか、デルタエンド裏返しにした様な感じ。
ちなみに「デスボール」は「Dimension Enclosure Anything Tenable Halmless Ball」の略。
10分で考えた。