毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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02-18 小休止

 実際疲労も貯まっていたので、ここで休憩を取る事になった。

 念動で手早く魔力結晶を集めた後ヒョウエがお湯を沸かしてお茶を入れ、カスミが食事の用意をととのえる。

 リアスとカスミは何とはなしに連れだって花を摘みにその場を離れた。

 なにぶん鍾乳洞であるから石筍の影なり、そうした事に適した場所はいくらでもある。

 

「・・・一つ教えて下さいまし」

「ん? なんだ?」

 

 ただ花を摘みに来ただけだと思っていたモリィがきょとんとした顔になる。

 

「その・・・モリィさんはヒョウエ様と・・・あの、その・・・契りを交わしてらっしゃいますの?」

「ちぎ・・・?」

「こ、婚約していらっしゃるのかと言うことですわ!」

「こっ・・・お、おまむぐっ?!」

 

 モリィが硬直した。

 大声を出しかけたその口をリアスが慌てて押さえる。

 耳ざとくそれを聞きつけたか、ヒョウエとカスミがこちらに振り向いた。

 

「リアス様、どうかなさいましたか?」

「いえ、何でもありませんわ! もうちょっと待ってて下さいまし!」

「はぁ・・・」

 

 カスミがヒョウエを顔を見合わせた。

 

(まあ、何かあったんでしょうね)

(ええ、くだらないことが)

 

 小声で二人が話していたのは、動揺しているリアスとカスミには聞こえなかった。

 

「あ、あたしは別に奴とそう言う関係じゃねえし・・・」

「嘘ですわね」

 

 動揺しながらも否定するモリィ。その顔が赤い。

 それをリアスはズバッと切り捨てた。

 

「なんでだよ!?」

「だったら最初に私たちがパーティに参加するのをあれほど渋ったりはしないのではなくて?」

「うっ・・・」

 

 痛いところを突かれてのけぞるモリィだが、それでも認めようとはしない。

 

「か、関係ねえよ。あいつとあたしは相棒、それだけだ!」

「では、ヒョウエ様をニシカワ家の入り婿に迎えてもよろしいですね?」

 

 ぴしっ、とモリィが固まった。

 ふっ、とリアスが勝ち誇った笑み。

 

「まあお認めにならないならお認めにならないでも結構ですが、わたくし勝負は正々堂々とやりたいんですの・・・手袋は、もう投げつけましてよ」

「・・・」

 

 無言のまま、二人はしばらく立ち尽くしていた。

 

 

 

「長いですねえ」

「ヒョウエ様、思っていても殿方がその様なことを口に出すべきではないかと存じます」

「はーい」

 

 なお取り残されたヒョウエとカスミは勝手に食べ始めるわけにも行かず、だれて茶飲み話をしていた。

 

 

 

「うわうめえ! 何だこの・・・玉ッコロ?」

「私の一族に伝わる保存食です。オリジナル冒険者族であるご先祖様が元の世界で・・・」

 

 カスミの用意した保存食にモリィが目を丸くし。

 

「これは・・・ヒョウエ様がお淹れになったんですの?」

「カスミのお茶が美味しかったので。サナ姉・・・世話をしてもらってる人に頼んで教えて貰いました」

 

 リアスがヒョウエの手前を褒める。

 ヒョウエが小話などを披露し、和気藹々と食事は進んで行った。

 

 

 

「そーいやーさー、最初に潜ったときはこうやって休んでるときに『あれ』が来たんだよな」

 

 食事も終わり、ゆっくりと茶をすすっているときにモリィがふと口にした。

 

「『あれ』?」

地竜(リンドヴルム)です。ここのダンジョンの"守護者(ガーディアン)"でした。"守護者(ガーディアン)"は二人とも知ってますよね?」

「はい。地竜(リンドヴルム)ですか・・・!」

「高さだけでも10mはあってなあ。すげえ稲妻を出してチャージ攻撃相殺しやがった。ヒョウエがいなかったらやばかった・・・」

 

 ずん、と地面に震動が走った。

 全員が真顔になり、モリィに視線が集中する。

 

「な、なんだよ? あたしが悪いってのかよ!?」

「いえ、そういうわけではございませんが・・・」

「でもなあ・・・」

「『"瞬足神(マリーチ)"を呼んだら"瞬足神(マリーチ)"が来る』ということわざがありますし・・・」

 

 ぬぐぐ、と唸るモリィ。

 

「うるせえよ! 今はそんな事を話してる状況じゃねえだろ!」

(あ、ごまかした)

(ごまかしましたわね)

(ごまかされましたね)

 

 他の三人も内心でツッコミはするが、それ以上は何も言わない。

 ヒョウエが五徳と鍋をしまい込み、食器をカスミが手早く片付ける。

 モリィが雷光銃のセイフティを解除する。リアスが兜をかぶり、面頬がスライドしてその顔面を覆った。

 ずしん、と震動が大きくなる。

 

「!?」

 

 広間に水が流れ込んできた。

 元から濡れていた床にたちまちの内に水が溜まり、足首にまで達する。

 

「・・・! みなさん、浮かせますよ!」

「!?」

 

 ヒョウエが念じると、四人の体が宙に浮いた。

 何度も経験のあるモリィはもう慣れたもの、リアスとカスミも驚きはしたが取り乱してはいない。

 

 その間にも響く震動と流れ込む水。

 震動にざりざりという何かをこするような音が混じりだし、それと共に水が黒く濁り始めた。

 

「これは・・・なんですの!?」

「やっぱりか・・・」

「何か知ってんのかヒョウエ?」

 

 ヒョウエが答える前に「それ」が広間に入って来た。

 ゴォッ、という風が吹き抜けるような音。

 象かブロントサウルスのような太い足。しかしその先端にはトカゲのような鋭い爪。

 全身を覆う黒い鱗と、そこからしたたり落ちる黒い粘液。太い尾。

 何より特徴的なのは、トカゲのような体から生える九本の蛇の首。その頭一つだけでも1mはある。

 

「・・・毒龍(ヒドラ)!」




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