毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~ 作:ケ・セラ・セラ
六人で同じ卓について作戦会議。もっとも、サーベージは飲んでいるだけだ。
「まあ、まずは
「モリィの《目の加護》で足跡を追えば、多分日が暮れる前には片付くでしょう。ただ、その途中で偶発的に
「良ければ俺も同行させてくれ。リアス程じゃあないが剣には自信がある」
「ええ、知ってますよ。目の前で見てましたからね」
ヒョウエとしては特に他意のない言葉だったが、ローレンスとリアス、カスミが盛大に苦笑した。
「あー失礼」
「構わんよ。まあ多分あの時は妖刀の力もあったから、あれよりは下がると思うがな」
「それでも一族随一の使い手と言われてましたし、きっとヒョウエ様のお役に立つと思います!」
「ヒョウエ様、ねえ」
再び苦笑してヒョウエに微妙な視線を送る。
気付かないふりをしてヒョウエが話を進めた。
「それじゃあまあ、行きましょうか。日が暮れる前に依頼の方は片付けておきたいですからね」
サーベージの追加注文の分まで銅貨を置いて、ヒョウエが席を立った。
「すげえな、《目の加護》ってな、これほどのもんか」
「モリィのは特別製ですよ」
「後は技量って奴だな。まあ本物の名人に比べりゃ《加護》におんぶに抱っこだけどよ」
森の中。
例によってヒョウエの杖に鈴なりにまたがりつつ、モリィの《目の加護》で足跡を追跡する。長さ180cmの長杖とは言え、五人もまたがるとさすがにせせこましい。ローレンスは大柄なので尚更だ。
行ったり来たりして足跡をごまかす野性の知恵を加護というチートで粉砕しつつ、一行は二時間ほどで群れを見つけた。
「ウォフッ?!」
警戒して叫び声を上げた瞬間、見張り役のプリズミーア・キャットが動けなくなる。
しかしその周囲が薄闇に包まれたかと思うと、次の瞬間レーザーのような光を撃ち出してきた。
続けて動けなくなった群れの他のプリズミーア・キャットも同様に光を撃ち出してくる。
「プリズム」の名の通り、光を吸収して撃ち出すプリズミーア・キャットの奥の手だ。
しかし、今回ばかりは相手が悪かった。
「フギャッ!?」
プリズミーア・キャットの虹彩が最大限に開かれ、文字通り目が丸くなった。
ヒョウエの体表に命中した光線が曲げられたのだ。
「ちょっとコツがあるんですけどね。念動の術でも光は曲げられるんですよ」
ちっち、と指を振りながら楽しそうに語る。
これはいけないと見たか、後続のプリズミーア・キャットたちが目標をカスミに変える。しかし、これも一歩遅かった。
「
カスミの姿が消える。次の瞬間、カスミのいるだろう空間をプリズミーア・キャットたちの光線が素通りしていった。
「え、どういう事ですの?」
「透明になると言うことは、光を素通りすると言うことです。光である以上、当然あの攻撃も効きません」
こうなるとプリズミーア・キャットにはもはや打つ手もなく、ヒョウエの防御術をかけて貰ったリアスとローレンス、そしてカスミの手によって機械的にとどめを刺された。
「おまえらすげえな、いつもこんな楽に仕事してんのか・・・」
ローレンスが呆れと羨望が半々くらいの溜息をついた。
「わ、わたくしもこうした依頼は今日が初めてでして・・・」
「反則的なのは間違いございませんね。エブリンガーは異常な数の依頼をこなされているという話は調べておりましたが・・・こんな事がお出来になるなら、それは他のパーティの数十倍の速度で依頼を達成されてもおかしくはございませんでしょう・・・」
うろたえるリアスに、ローレンスと同種の溜息をつくカスミ。
さすが忍者、情報収集は手抜かりないなとヒョウエなどは感心していたりする。
「んじゃ耳切り取って帰ろうぜ」
「いえ、丸ごと持って帰りますよ。村に渡せば毛皮の分、依頼料に多少色がつきますし」
「十匹以上の群れをか。本当に便利だなお前・・・」
「"
えっへんとヒョウエが胸を張った。
「なんかとどめを刺しただけなのに分け前もらうの悪いな」
「そこはきっちりしませんとね。金を粗末に扱うのは縁を粗末に扱うも同じだと、
「あってるような違うような・・・」
「そもそもそんな事言ってたっけ?」
村長に依頼達成を報告し、ついでに毛皮をそれなりの値段で売りつけて一行は宿屋に向かっていた。
意外なようだがこう言う時の価格交渉はヒョウエの役目である。
本人の意志と実家の教育方針で、大概の技能は初歩的ながら身につけているからだ。
「いざというときに頼れるのが愛と勇気だけってのも困りますからね。せめて手に職はつけておきませんと」
「何の話だか」
モリィのぼやきに、他の三人がうんうんと頷いた。
酒場に河岸を移して、夕食を取りながら作戦会議。
とは言っても余り話すことはない。
空中から地道に妖刀と怪人の魔力を探すと言うことで話はまとまって、後は酒盛りになった。飲んでいるのは主にサーベージ老人だったが。
そして酒盛りが一段落すれば、後はお楽しみの温泉である。
「さーて、温泉だ! ひとっ風呂浴びてこうぜ!」
「いいですわね、温泉! わたしちょっと憧れてましたの!」
「楽しそうですねえ、二人とも」
「なんだお前入らないのか?」
「明日の準備もありますのでね、後で入りますよ」
「そうかい」
肩をすくめる。そのままモリィとリアスは連れだって温泉に行ってしまった。いつの間にか結構仲良くなっている。
そのままヒョウエは自室で作業を始め、一段落ついた時にはもう随分夜も更けていた。
「んー・・・まあ、ついでですし入っておきますか。入らないとサナ姉やリーザがうるさいですしねえ・・・」
懐中時計のふたをパチンと閉じて立ち上がる。
彼自身は研究や作業をしていれば食事も風呂もトイレも気にしないタイプの人間だが、家族二人に口うるさく言われているため、多少は気を付けている。
うーん、と伸びをして、着替えをひっつかんで部屋を出た。
温泉は露天の岩風呂だった。
湯気の煙る中、折しも良く晴れた夜空に大きな月がかかり、黒くこんもりとした山と森を照らしている。
(名月や お湯を巡りて 夜もすがら・・・うん、うまくもなんともないですね)
馬鹿な事を考えつつお湯をかけようと腰をかがめて、その瞬間風が吹いた。
湯気が吹き払われ、水面があらわになる。
「え」
「え・・・?」
3m程の距離で、裸身のカスミとヒョウエが見つめ合っていた。
「あ・・・」
「うわああああああ!? し、失礼しました!」
大声を上げたのはヒョウエだった。
慌てて身を翻したところで後ろから声が掛かる。
「お、お待ち下さいヒョウエ様!」
ヒョウエが振り向こうとして慌てて首を戻す。
「な、なんでしょう?」
「その、わたくしのことでしたらお気になさらずに・・・体は手ぬぐいで隠しておりますし、その、まだ子供ですからお気になさることはないかと・・・」
顔を赤らめながらもカスミが言う。
「いやまあ・・・そうかもしれませんけど・・・」
実際カスミはこの世界ではまだ子供と見なされる年齢ではある。
来年になったらかなりアウトだし、何なら今でもギリギリだが。
「明日からは妖刀を持った怪人の捜索です。どちらか片方だけでも強敵なのに、双方が揃っているとなったら間違っても侮れる相手ではありませんっ。
いいからお入りになって下さい! お気になるならわたくしが出て行きますから!」
「あ、はい」
正論と勢いに負けてヒョウエが頷いた。
作者のモチベーションは読者の皆様の評価と感想です。
評価と感想よろしくお願いします。