毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~   作:ケ・セラ・セラ

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エピローグ「特になんてことない日々」

 

 

 

「晴れてよし 降ってよし 生きてよし 死んで良し」

 

 

                    ――不詳――

 

 

 

 

 幸い村や畑にはほぼ被害はなかった。

 戻ってきた村人たち(モリィがひとっ走り行って来た)への対応はリアスに任せ、ヒョウエは部屋に引き取る。ベッドに入ってすぐ、寝息を立て始めた。

 しばらく後、ノックされるヒョウエの部屋の扉。

 

「ほーい。開いてるぜ」

 

 振り向かないまま返事したのはベッドそばの椅子に座っていたモリィ。

 静かに扉を開けてリアスが入って来た。

 

「ん・・・なんだ、珍しいな。おチビちゃんはいないのか」

「少し用を頼みました。ヒョウエ様のご様子は?」

「よく寝てるよ。今回もかなり疲れたみたいだ。そう言えばお前さんもお疲れさまだな。よくやったよ」

「ありがとうございます・・・モリィさんはこう言う事を何度も?」

「いや、まだ二回目。この前はあたしが助けられてな」

「ですか」

 

 そこでしばらく沈黙が落ちた。

 

「ダンジョンで、ヒドラの出てくる前に言ったことを覚えてます? 手袋は投げつけた、というのを」

「え? あ、ああ、まあな」

 

 モリィが少し顔を赤らめた。

 

「あの挑戦は取り下げますわ。入り婿の話は諦めます。ヒョウエ様とモリィさんは、随分と深く結びついていらっしゃいますもの」

「いや別にそんなんじゃ・・・」

 

 更に顔を赤らめる。そっぽを向いて、誤魔化すためにコップに口をつけた。

 

「ですので! 私とモリィさんと、二人してヒョウエ様に嫁入りする方向で話を進めたいと思いますわ!」

「ブーッ!?」

 

 盛大にモリィが吹いた。

 顔がベッドの方を向いていなかったのがせめてもの幸いだろう。

 

「ゲホッゲホッ・・・いきなり何言ってやがんだ! 諦めたんじゃないのか!?」

「『入り婿を』諦めたと言ったのですわ。ヒョウエ様を諦めたといった覚えはかけらもありませんでしてよ」

「ぬ・・ぬぬ・・・」

 

 にっこりと笑って顔をずいっと近づける。圧が強い。

 モリィが思わずのけぞった。

 

「まあその場合でもヒョウエ様が承諾下さるなら入り婿にお迎えしてもよいでしょう。

 モリィさんにも公認愛人の座を差し上げますわよ」

「誰が愛人だこのクソアマ!?」

 

 少女たちのかしましい会話は、戻ってきたカスミに二人揃ってお説教されるまで続いた。

 ヒョウエが目を覚まさなかったのは色々な意味で幸運というほかない。

 

 

 

 一日休養をとった後、一行はメットーに帰還した。

 ささやかな礼として宿泊費をただにして貰ったので、多少赤字を補填できている。

 ローレンスは傷は回復したものの、体力の静養を兼ねてまだ医神の神殿にいた。

 

「お爺様も叔父様もあの狼藉は妖刀のせいだったと言うことで、勘当を解くとおっしゃってます。そう言うわけで家に戻って頂きたいのですが・・・」

「それで、お前も帰るのか?」

「それは」

 

 言葉に詰まり、ちらりとヒョウエを見る従妹を見て、ローレンスはニヤッと笑った。

 

「自分は好きにほっつき歩いて他人に仕事を押しつけようとは、いやはやあの小さいリアスが悪どくなったもんだなあ!」

「そ、そう言う事ではありません! みんなお兄様のお帰りを待ってるんですよ!」

「気が向いたら戻るよ。この根無し草の生活も随分気に入っててな。お前もしばらくは男の尻を追いかけていたいんだろ?」

「お兄様!」

 

 顔を真っ赤にして怒るリアスに、わっはっはと豪快に笑う。

 そこに口を挟むのはカスミ。目が少々青い。

 

「ローレンス様。少々お口が過ぎるのでは?」

「馬鹿言え、かわいい妹をいじめたりするもんか。これは家族の会話って奴さ」

「であれば、それが過ぎた時にお諫めするのは家臣のつとめかと存じます」

「ほほう」

 

(あっ)

 

 ローレンスの目がきらりと光った。

 

「つまり、ヒョウエと一緒に露天風呂を楽しんだりするのも家臣のつとめなわけだな?」

「ファーッ!? ろ、ローレンス様それは・・・」

「うううううう裏切りものーっ! まさかカスミ、あなたまで・・・!」

 

 リアスが絶叫し、カスミがぶんぶんと首を振る。

 

「誤解です! お嬢様、ローレンス様がおふざけになっておられるだけです!」

「でも一緒に風呂に入ってたのは事実だよな?」

「ローレンス様ーっ!」

「カスミーッ! あなたは、あなただけは信じてたのに!」

「ふ、二人とも落ち着いて!」

 

 もはや阿鼻叫喚であった。

 泣くリアス、うろたえるカスミ、仲裁しようとしてできていないヒョウエ、大笑いするローレンス。

 その中でモリィは一人、呆れた顔で溜息をついた。

 

「あんたさ、あいつらをからかって楽しいか?」

「ああ、とても楽しい!」

 

 満面の笑みでローレンスは言ってのけた。

 後ろからヒョウエの悲鳴のような救援要請。

 

「ちょっとモリィ! だべってないで助けて下さいよ!」

「あーもー、しょーがねーな!」

 

 毎日戦隊は毎日が毎日日和。

 雨の日も風の日も、それはそれで毎日日和。

 かたつむり枝に這い、神空にしろしめす。

 全て世はこともなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけその1

 

「おい、引きずるなよリアス!」

「いいえ、少なくとも一度は顔を出して頂きます! その後のことは叔父様とよく話しあって下さい!」

「お前、さっきのこと絶対根に持ってるだろ!? あれはちょっとしたお茶目・・・あいたたたたた!?」

「あーら、何のことかわかりませんわねお兄様。さ、きりきりお歩きなさい!」

 

 あの後大騒ぎした一行はまとめて叩き出され、結局ローレンスは青筋を立てたリアスに伯爵家まで連行されていった。

 いくら鍛えていても、魔導甲冑の膂力に勝てるものではない。

 ひどく疲れた顔のカスミが二人の後からとぼとぼと歩いていった。

 

 

 

おまけその2

 

「あの剣速が出せない・・・! 怪人と戦った時はあんなに自在に扱えたのに!」

「ひょっとして師匠、三日目にタイミングを合わせて、一時的にあの領域に達するようにリアスさんの体と精神を整えていたんじゃ」

「あの境地に自在に達するにはまだ技量が足りてないと言うことですわね・・・」

「ま、まあ、二度も達したんですし、修行を重ねればいずれは・・・」

 

 ムラマサと戦った時の境地が火事場のクソ力、それもサーベージによる人為的なものだと気付いてリアスはがっくりとうなだれる。

 ヒョウエが必死に慰めているがあまり効果はないようだった。

 

 

 

おまけその3

 

「しかし白甲冑が・・・なんてこと・・・」

「術式が仕込んでありますから普通の鍛冶屋じゃ無理ですね。僕でも修理はできますけど、装甲排除とか使ってますし一度オーバーホールしましょう」

「おーばーほーる?」

「部品一つ一つをチェックして、細かいところまで全部点検修理することです。

 腕のいい鍛冶師と細工師に心当たりがありますので、彼らの手も借ります。よろしいですか?」

「ヒョウエ様が紹介して下さるのでしたら何なりと」

「では決まりで」

 

 白の甲冑の修理がどうなるのか、それはまた別のお話。

 

 

 

おまけその4

 

「敏捷の腕輪壊したのか?!」

「あれは高いのよ。ツケておくから六十万ダコック、耳を揃えて払ってね」

「ノォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」

 

 ヒョウエの借金返済行はまだまだ続く。




 タイトルの言葉、何か元ネタがあるようなのですが拾った画像が元なのでその辺は不明です。
 原語は「rain or shine, live or die;everything on this world is beyond our intention(雨も晴れも生も死も、全ては人の意志の及ばぬ所なり)」ですが、
 それを「晴れてよし 降ってよし 生きてよし 死んで良し」と訳するのはいかにもセンスがあるなと。

 作者のモチベーションは読者の皆様の評価と感想です。
 評価と感想よろしくお願いします。
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