完全に町役場の一画は夜空の星々輝く異様な空気のフィールド魔法に包まれる。
その中天に輝く星座に、アクエリアンエイジをやっていた人間なら
すっかりスリーブの下の、カードゲームのタイトルロゴの下にあり、
存在を忘れがちな宝瓶宮が線で結ばれながら輝いている。
「出し惜しみはしない、さらにモンスターを通常召喚、現われろソロネ!」
ソロネ
レベル4闇属性
【機械族/通常】
攻撃力2000守備力500
やらなきゃダメですか?
SF感溢れる服装に十字架型の武装を背負い、ヤルときはやりそうな
機械化された兵装の天使が舞い降りる。
「攻撃力2000、超最強じゃん!!あのおじさんプロデュエリストだったのかよ!」
「僕のオシロ・ヒーローじゃ手も足も出ないよ……」
「こんなアイドルカード入れてるし、さっきの宇宙船もだし秋葉系だな
デュエル慣れしてないしプロというより動画配信企画?」
「ダークゾーンで攻撃力、2500!これもはや下級アタッカーの数字じゃないよ。」
一気に周りがヒートアップする空気、その中心で熱気に当てられて
エクストラのカードを引き出し天に掲げて宣言する。
「闇属性モンスターが自分の場に一体存在する条件を満たし、
水瓶座時代の➀の効果発動!1体の自分または相手のモンスターを指定して
エクシーズ召喚を行う!対象は機械族モンスターカード、コマンダー!」
渦巻く銀河ににコマンダーの武器から次々に取り込まれこれは無理だと
両手を開いて挙げ投降の意思を示すコマンダーが取り込まれた直後に爆音が
宝瓶宮が光り輝く宙を切り裂き、先の痛宇宙船とは打って変わって
剣呑な空気を纏った宇宙軍艦が天より現れる。
「俺のモンスターが!?これが一体で行うオーバーレイ……実に恐ろしいな!」
「うぉースゲー!夜空に出てきた銀河にモンスターが取り込まれて!」
「テレビでみたやつだ!オーバーレイネットワーク構築ってやつ出てるね!!」
このカードのフレーバーテキストは、アクエリアンエイジの
ブレイクカードから、エクシーズ効果モンスターに変質した
このカードには最早存在しないだからこそ言うべきだという
義務感さえ感じながら口上をのたまう。
「全艦に告ぐ。命令はただひとつ。殲滅せよ」
相手側にこの艦のランクと攻守のステータスが表示される。
「ランク弐!駆逐艦、抜錨しマ…スッ。」
駆逐艦
ランク2闇属性機械族効果・ブレイク
攻撃力2000守備力1000
闇属性機械族レベル2モンスター✕3
➀このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
➁このカードの攻撃宣言時に発動する。このカードのX素材を1枚選んで手札に戻す。
③自分のターン終了時に発動出来る、手札を任意の数だけ選んでX素材としてこのカードにセット出来る
テンションがおかしくなった自分は、町役場のど真ん中にあるまじき口上を
のたまってる内に羞恥心でしどろもどろになってしまう。
思考回路はショート寸前状態で、精神的に自爆してしまった。
「ええい、そのままバトルフェイズ!2体のモンスターは
ダーク・ゾーンの指定する闇属性!共に攻撃力2500!」
自爆してもデュエルは続く、強引に続ける自分に丸谷さんは力強く答える。
「発破掛けすぎたな、まあいい顔になったし悪くねぇぞ!」
「余裕が何処まで保つか心配です!まずはソロネの攻撃、ヤルトキバスター!」
ソロネが背負う巨大十字架型兵装が構えられ、極太ビームが発射される。
凄まじい攻撃がソロネを壁際にまで吹き飛ばし打ちつける、
ビームにより割れる悪魔の鏡とその余波を受ける丸谷氏よりも痛々しい
ソロネの捨て身の闘いぶりに観客は目を覆うがイレイザー勢力を
知るものなら彼女達の末端の捨鉢ぶりは今に始まったことではないと
理解出来る光景が展開される。
「これは堪えたなぁ!」
LP4000→2700
駆逐艦の砲門が構えられる、攻撃力はダークゾーンで同じく2500の大台になる!
「さらに駆逐艦でダイレクトアタック、艦砲射撃!着弾……今!」
「ぐぬぬぬ!」
LP2700→200
ライフポイントと連動して受ける衝撃に歯を食いしばって
少々よろめいて何とか踏みとどまる丸谷さん、よし!もう一押しだ!
「丸谷さんが、これもしかして負ける!?」
「エクシーズモンスターってこんなにヤバいんだ!!」
そして駆逐艦から何かが蹴り出される、さっき取り込まれたコマンダーだった。
開いた駆逐艦の気密扉から射出され、尻もちをついて尻をさすりながら立ち上がる。
「駆逐艦の効果➁の強制効果でエクシーズ素材を1枚手札に
戻さなければならない、どうぞ丸谷さん。」
丸谷さん側に戻るコマンダー、そして手渡したコマンダーのカードを
受け取る丸谷さんはまだまだ余裕を崩さない。
「いやはや、一気に形勢逆転、デュエルはこうじゃなくちゃな!」
良い笑顔してる、もしLP200だぞと直接口頭で侮るのは、
最早自分の負けフラグにしかならないだろうと思わせる油断ならない表情だ。
「バトルフェイズを終了、メインフェイズは……」
手札を確認する。遊戯王もアクエリアンエイジもやってる身からしたら
あまりにも唐突に、デッキを組み直す場所も時間も確保できない
根無し草な状態がここに来て悪い方向に作用している。
特殊召喚効果なぞそもそも無いモンスターカードと化した
元アクエリアンエイジのキャラクターカード達が3枚、
そしてプロジェクトカードから今払えないコストを要求する魔法カードに
変質した彗星爆弾とパニッシュメント、全て手札として腐る方向だ。
「メインフェイズを終了してそのままターンエンドしたいです。
その、伏せカードの発動等ありますか?」
手札は腐っても、これで建て直せると本当に思っていた。
自分は遊戯王世界の住人をこの時は、世界危機を救う主人公側の
主要人物以外の大人は、大半はそこまで強くないだろうと
高を括っていた。そしてそのしっぺ返しが今始まる。
「無いね、そのまま俺のターン、ドロー!警戒を怠らないのは結構だが
今回は俺の勝ちだな?」
手札から魔法カードを出して宣言する丸谷さんに疑問を投げかける。
「それはどういう、あ!あのカードは!」
疑問はとうとう、様子見をやめた丸谷さんの本気という形で答えが出る。
「手札から地割れを発動!まずはその宇宙人からだ!」
地割れ
通常魔法
①:相手フィールドの攻撃力が一番低いモンスター1体を破壊する。
「ああ、ソロネ!」
突然割れた地面に足を取られるソロネ、アクエリアンエイジでは
天使の羽のアイコンを持っていたが、空を飛ぶ羽が体にあるようには
見えなかった為かソロネは真っ逆さまに落ちてゆく。
「お前がエクストラから出すならこっちはデッキからだ!手札から
魔法カード予想GUY!!」
反撃したい、だが歯痒いことにこちらは手札誘発の概念さえ存在しない
カードゲームのデッキ、まったく足止め出来ないし
やろうとしても大半のカードは『捨て札する』という遊戯王視点では
銃と弾丸理論の銃破壊しか出来ない、アクエリアンエイジのテキストでは
悲しいことに対抗手段がかなり限られるし、出来るカードもリュックの中だ。
予想GUY
①:自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。
デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。
「デッキからホワイト・ダストンを攻撃表示で特殊召喚!さらに
魔法カード鹵獲装置を発動!このホコリと駆逐艦を交換してもらおうか!」
ホワイト・ダストン
レベル1光属性
【悪魔族/通常】
攻撃力0守備力1000
ちっちゃな悪魔、ダストンズの白いヤツ。自身でも驚きの白さである事をホコリに思っているらしい。
鹵獲装置
お互いが自分フィールド上モンスターを1体ずつ選択し、そのモンスターのコントロールを入れ替える。
ただしこのカードのコントローラーは自分フィールド上に表側表示で存在する通常モンスターを選択しなければならない。
「ああ!こっちの駆逐艦が!」
言わずもがな自分のフィールドには駆逐艦しかいない。
リビデ等急に支配モンスターを増やすなんて芸当
アクエリアンエイジではかなり限られている。
「横取りするならお前もされる可能性がある、デュエルは常に
自分と相手に逆転の一手がある。そうだろう?そして止めにサイクロン
勿論その厄介なフィールド魔法を破壊する!」
サイクロン
①:フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
輝いていた偽りの星空が霧散してダークゾーンだけが渦巻く町役場に戻る。
ですよねー!!実戦で②の効果を使われる前に崩されるに決まってる。
対策カードは絶対揃えたいんだが③の効果がその選択肢を狭める
と半ば現実逃避しつつも事態は増々悪化する。
「改めてコマンダーを再度出撃、バトルフェイズだ!」
コマンダー
レベル2闇属性
【機械族/通常】
攻撃力750守備力700
ロケットランチャーとバズーカ砲を装備した実戦部隊。
「ダークゾーンの効果で攻撃力1250のコマンダーで
ホワイト・ダストンに攻撃!ダーク・ランチャー!」
禍々しい渦が、スパークしながらコマンダーに闇の力を付加させ
強烈な一撃をダストンにお見舞いする、と思いきやホコリだからか
スッと上空へ巻き上げられ攻撃のインパクトは余すことなく
自分へとお見舞いされる。
「うわぁあああああぁぁぁーー!?」
LP2800→1550
悲鳴というか絶叫を上げる、もう音圧と衝撃で色々グロッキーだ。
「止めだ!駆逐艦、一!斉!射!」
駆逐艦のダメ押しの攻撃力2500、これが殺到した所で
自分の意識がついに保てない状態となり。
「…あ、あがっ!」
LP1550→0
白目を向いたところで、こんなヤバイ衝撃あるのにSTマーク取得出来たのかな
いや大人も仕事に使うからこれはSPマークSGマークわかんねぇな
と思いながら意識が薄れていった。
そして、時間は夕方だったと思う、薄暗い町役場の宿直室の仮眠室だったか
そこで目を覚ました。隣には様子を診ててくれたのか、受付のお姉さん
居てくれて嬉しいが彼女は安堵の後少し怒った表情をして話し出す。
「あ!目が覚めましたね?私です、先程デュエルディスクについて
説明をした嘉島です。途中から初めてのデュエルだから色々反応が
オーバーだなーって思ったら……説明を最後まで聞いてませんでしたね!」
え?自分はガチ恋距離を見てデッキ装填とフィールド展開の説明受けて
ガチ恋距離にトキメイテモンスターと魔法罠のセット方法聞いてガチ恋(ry
って色々雑念はあったがちゃんとデュエル出来てたので不備はないはず。
「どの部分の話ですかね?」
そう言うとお姉さん改め嘉島さんは、デュエルディスクの液晶周辺のボタンを
指差して。あ、そういえば途中からいい匂いの可能性ばかり考えて説明された
視覚記憶だけはぼんやりとある。
「デュエル中の演出やフィールドバック、振動を全く調整
してないじゃないですか!も~カードの出し入れだけ聞いて他は聞き流して!
丸谷さんはちゃんと抑えた設定だったから、丸谷さんのモンスターの
攻撃は耐えられましたけど、貴方のモンスターは貴方の無調整が
直接響いたんですよ!」
やっと合点がいった。そらぁ知らないうちに音量MAXで聞いてたら
普通のラジオやテレビでも近所迷惑の前にこっちの体がおかしくなるよ。
「音圧やばい鼓膜壊れると感じたのは、そうかぁ確かにやっちゃいました。
聞き逃した挙句こんなに手間かけさせてすみません。」
まあ、皆が皆あんな闇のゲームスレスレの闘いなわけないよねそらそうだよね。
と納得したし、自分の自業自得で救急車呼ばれなくて良かった。
話してる内に自分のデッキを持って来て丸谷さんが話してくれた。
あ!?気絶した時手札落したし、カードが折れてなければいいんだけど!
「気が付いたようだな、これは倒れた時に落とした手札と山札だ、それと。」
デッキと手札を持って来てくれた丸谷さんは唐突に頭を下げて話続けた。
「初使用者に対して配慮が足りなかった。渡したのは古い型の
デュエルディスクで緊急停止の自主規格が古い、
怖い思いをさせて本当にすまなかった!」
頭を上げてください自分も違和感を感じて伝えなかったのもあります。
いやいや俺がとひと悶着して体勢を戻させたが、続けて。
「お詫びと言っては難だが、お前さん今日寝泊まりする場所はあるのか?」
おお完全に忘れてた。駆逐艦の砲撃で目的がすっかり頭からイレイザーされてた。
「実はそれも含めて、生活相談窓口で聞きたかったのですが、
こういう時って負けたら門前払いですか?」
おずおずと切り出すと、力いっぱい否定の言葉が返ってくる。
「そんな外道なことしねぇよ!俺が知ってる民宿があるから、
金は気にせず暫くそこで泊まってきな!働き口も町役場では移住希望者は
斡旋するから、体調と準備が済んだらまたここに来いってことだ!」
怪我の功名とはこのこと、二つ返事で寝床と職業斡旋の幸運に与ることにした。
(超遅報)捏造設定タグ追加しました。