きんいろモザイク ~plus α Road Days~   作:T93

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へいお待ち。

2話しか間が無いのに久しぶりに感じる原作、アニメ回です(笑)。

しのの誕生日関係の話がこれにてやっと終わります。

西明日香さん、第一子出産おめでとうございます!

それではどうぞ。


第12話~やきもちフレンド~

 アリスとカレンの買い物に付き合った次の日。

 

 俺は今学校でトイレから教室に戻って来ている最中であった。

 

 あいつらもうプレゼント渡したかな。

 

 

 俺が教室に入ると、いつもの5人が集まって何かを話していた。

 

「……と、買い物中こんなことがあったんだけど!」

 

 アリスがそう喋り、陽子達に何かを聞いていた。

 

 昨日の買い物の時の話か?でも何のどの話だ?

 

「うーん、多分誰に聞いてもアリスの方が妹って答えると思うなー」

 

「えぇ!?」

 

 その話かー。

 

 思い出さんでいい話を…。

 

「ほらーっ妹デス!」

 

「そんなー!」

 

 あぁ。アリスのやつ、今にも泣きそうだ。どうフォローを入れるべきか…。

 

「わたしの事、シュンはお姉ちゃんだって言ってくれてたもん!!」

 

「ちょっと待て!!」

 

 アリスの突然の発言に俺は身を乗り出し、待ったをかけた。

 

「あ、峻。おかえりー」

 

「たでぇまー。…じゃなくて!アリス、俺そんなんいつ言ったっけ?」

 

「昨日生まれた順でそうだって言ってたじゃん!」

 

「あー…。いや、あれは一般的な意見として言っただけであって…」

 

「あと、前にアルバム見せた時も!」

 

「へ?アルバム?」

 

 …えー、アルバム、アルバム…………………………あぁ!

 

 

 ~回想~

 

 カレンが転校してくる数日前の時のこと。

 

「ん?この子は誰ですか?」

 

 皆でアリスのアルバムを見ているとしのが小さい頃のアリスの写真に一緒に写っているアリスより小さい女の子を見てそう言った。

 

 そこで俺がアリスにこう聞いたのだ。

 

「なんだ。妹か?」

 

「!…ふふふ、違うよ」( *¯ ꒳¯*)

 

「なんで今得意気になった?」

 

「その子はイギリスに居る友達だよ」

 

 ~回想終わり。~ (詳しくは第5話をご覧下さい)

 

 

「………あー」

 

 そうか。あの時なんかアリスが得意気になってたのはそういう事だったのね。

 

 ……いや俺、あの時はアリスがお姉ちゃんだとは言ってなくね?

 

「小さい頃はアリスの方が大きかったんですよねー」

 

「確かにあのアルバムではアリスの方がお姉さんに見えるかもなー」

 

「今は完全に立場が逆転しちゃってるけどね」

 

「おい綾、もう少し言葉にオブラートを包め」

 

「うううっ…!」

 

 ほれ見ろ、アリスが泣きそうな顔しちまった。

 

「昔は泣きながらわたしの後ろをついてきたのに!もーっ!こんなに大きくなっちゃって!」

 

 そう言ってアリスは「おねーちゃんはかなしいよ!」と喚きながら今現在のカレンの成長した姿に落胆していた。

 

 

「もうそんなに拘らんでもいいだろー。妹もそんなに悪いもんじゃないと思うぞ」

 

「そうね。可愛い妹…みたいな」

 

 俺と綾はそう言って、アリスを宥めた。

 

 するとしのが何やら目をキラキラと輝かせていた。また何か変なこと考えてたな。

 

 すると次にこう言った。

 

「全世界の妹…」

 

「全世界の…!?」

 

「しの、全世界はやり過ぎだろ。70億人もお兄ちゃんお姉ちゃんがいたらアリスが参っちまう」

 

「そういう問題じゃないよ!……ん?ちょっと待って!それだとわたし、歳下の子相手でも妹になるわけ!?」

 

「そうなるな」

 

「素敵です♪」.。゚+.(*´▽`*)゚+.゚

 

「ならないよ!嫌だよ!!」( ̄□ ̄〣)

 

 そんなアリスのシャウトが響いた後、チャイムが鳴り、早朝の休み時間は終わった。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 それからお昼休みの時間になり、俺達6人は図書室に来ていた。こないだやったテストが戻ってきて、しのと陽子、そしてカレンが赤点を取ってしまい、後日追試を受けることになったので、図書室で勉強をしようという事になったのだ。

 

 なに?テストなんて何時やったって?しのの誕生日のちょっと前だ。話に支障がなかったから描写してなかっただけで、書き忘れてたわけではない。……ホントだぞ?

 

 とにかく俺達はそこに来て勉強をしたり、調べ物をしたり、ラノベ…小説などの本を読んだりしていた。

 

「英語では姉も妹もシスターって言いますね」

 

 本を読んでたしのが突然口を開いてそう言った。

 

「そうだねー」

 

 しのの発言にアリスが反応した。

 

「文化の違いかな。あんまり年齢は気にしないんだよ」

 

「へ〜っ。そうなんですかー」

 

「さっきのやり取り見てる分にはとてもそうには思えないんだが」

 

「そっ、それとこれとは話が別なの!」

 

 俺の発言にアリスはたじろぎながら反論した。

 

 なにが別なんだよ。英語圏出身であるお前に思いっきり関係のある話だったろうが。

 

 

「アリスー」

 

 アリスの隣で、戻ってきた自分のテストの答案としばらく睨めっこをしていたカレンがアリスに話しかけてきた。

 

「勉強教えて下サイー」

 

「いいよ。何の教科?」

 

「英語」

 

 ………………………。

 

「「えぇ━━━!?」」

 

「アリス、峻君、声が…」

 

「あ、やべ」

 

「すみません…!」

 

 図書室に居るにも関わらずアリスと揃って思わず驚きの声を上げてしまった。いやだってね?1番信じられない教科がカレンの口から発せられたもんだからさ。

 

 

 カレンの英語の答案を見てみると、そこには19点と記されていた。赤点じゃねぇか…。

 

 1番驚いてるの多分英語担当教師なんじゃねこれ?英語担当は確か烏丸先生か。…あの人あんま驚かなさそうだな。せいぜい「あら〜?」で終わる程度だと思う。

 

「おいカレン、どうした?なにかあったか?」

 

「最近日本語に慣れすぎて、英語がカタコトなんデスよー」

 

 カレンは笑いながらそう言った。

 

「そんなことあんのか?」

 

 ていうかお前、日本語だって未だにカタコトだろうが。何語ならうまく喋れるんだ。

 

「あーっ!カレンったら解答欄ずれて、答え書いちゃってるよー。せっかく合ってるのに!」

 

 アリスがカレンの答案を見るとそう指摘した。

 

「どれどれ…。あ、ほんとだ」

 

 改めて答案をよく見ると、確かに所々問題に対して書く解答が別の所になっていた。

 

「よく気づいたな」

 

「アリスは頭良いんですよねー。こないだのテストも100点でしたし!」

 

「最近だと国語も平均点以上取るようになったしな」

 

「アリス、スゴ〜イ!」

 

「!」

 

 しの、俺、カレンでアリスを褒め称えた。

 

「えへへ…」( ˶≖ᴗ‎≖)

 

 するとアリスが何やら何かに勝ったような、黒い笑みをこぼしていた。

 おそらく、成績なら自分の方がカレンよりも上だって思っているのだろう。そういうとこだぞアリス。

 

「カレン、私も一緒に勉強します!」

 

 しのも自分の答案を取り出し、勉強を始めた。

 

「カレン、私と同じ点数ですね!」

 

「シノ、私と同じところ間違ってマス!」

 

「本当ですね!」

 

 何のんきな事言ってんだコイツらは。

 

 ん?あっ。

 

「………」=͟͟͞͞( ´ ゚ - ゚)

 

 同レベルな事で、きゃあきゃあと仲良さげにしているしのとカレンを見て、アリスの心は沈んでいた。

 

「……えーと、その、まぁあれだ。しのが成績上げれば、お前ともお揃いになるぞ?……かなり難しいだろうけど」

 

「………辞書とってくる…」

 

 俺の慰めになってない慰めの言葉をうけたアリスは辞書を取りに席を立っていった。

 

 なんつーか、あいつはしょっちゅう何かに負けているような気がする。……………おかしいな。今なんか胸が痛くなったぞ?

 

 

「あ、峻」

 

「お、綾。何してるんだ?」

 

 俺はラノベの続き、じゃなくて参考書を探そうと図書室内を歩いていると綾と遭遇した。

 

「ち、ちょっと、『動物の赤ちゃん』って本を見てただけよ。なによ、似合わなくって悪かったわね!」

 

「誰も何も言ってねぇだろ、そんな事。別に、んな事言わねぇし思いもしねぇよっ」

 

「………そう…」(˶⩌ _⩌)

 

「陽子は?」

 

「その辺に居ると思うわ」

 

「ふーん。…あ、いた」

 

 綾と話してると隣の隣の棚の所に陽子が居るのを見つけた。

 

 何かの本を開いてそれを読んでいる様子だった。

 

「なに読んでるんだろうなあいつ?」

 

「さあ…。それにしても何だか陽子、凄く真剣な表情してないかしら?」

 

「確かに。どうしたんだろう?…ん?」

 

 そう話していると、陽子がこちらに気づき向かって来た。

 

 そして綾の目の前に来ると、両手で綾の両肩を掴み綾に迫った。

 

「!!?」Σ(;(;(//Д//););)

 

 陽子のその行動で、綾は一瞬で顔を真っ赤にした。

 

「綾………。私、もう我慢出来ない…」

 

「えっ!?ちょっ、陽子!?」

 

「ずっと耐えてきたけど、もう限界なんだ……っ!」

 

「まっ、ままままま待って!私、貴方とは健全な関係でいたいというか…!でも…!陽子がそう言うなら私──!!」

 

 陽子の言い放った発言に綾が慌てふためきながら返答しようとした次の瞬間──!!

 

 ぐぅうううううっ!

 

 陽子から凄い音の腹の虫が鳴った。

 

「今日、早弁しちゃったうえに、財布と菓子パン忘れて来ちゃったから、お昼何も食べれなかったんだよーっ!」

 

 うん知ってた。こういう展開なんだろうなって。

 

「しかもー、この「世界の料理全集」って本の中身の料理眺めてたら、余計にお腹が空いてきちゃってさー!もう我慢の限界なんだぁっ!ねー綾、授業始まる前にダッシュで買ってくるから、お金貸してー…」

 

 あ。案の定、綾の顔が暗くなってきてら。

 

 更に体を小刻みに震えさせて…。

 

「……………よ…………」

 

「?」

 

「陽子のバカ━━━━ッ!!!!」ε=٩(//̀Д/́/#)۶

 

 綾の怒りが爆発した。

 

「えーっ!なんでーっ!?」

 

「そんな本読んでる暇があるなら、真面目に補習の勉強しなさーいっ!!」

 

「えー、なんだよーっ!ちょっと息抜きしようと思って読んでただけだったのに、そんなに怒んなくてもいいだろーっ!?」

 

「おい綾。図書室では静かにな。あと陽子お前も」

 

 怒る気持ちは分かるが一旦落ち着け。

 それと陽子、綾が怒ってる原因の八割は別の理由だからな?

 

 

「あら?アリスとカレン、何やってるのかしら?」

 

「へ?」

 

「あん?」

 

 多少落ち着いた綾が、向こうの棚の方でアリスとカレンが何かしているのを見つけた。

 

 あれは……、肩車…か?

 

「これで取れマス!」

 

 下がカレンで上にアリスが乗っていた。

 おい、まさかあれで高い所の本取ろうとしてるのか?

 

「あぶっ、あぶない!」

 

 って、思いっきりふらついてるじゃねぇか!

 

「おいこら、危ねぇ!」

 

 俺はアリス達の元へ急いで行き、支えようとした。

 

「うわぁっ!」

 

 だが、ちょっと遅かったらしく俺が2人の後ろに来た所でアリスが後ろに倒れてきて、

 

「ふぎゃっ!」

 

「ぐあっはっ!」

 

 アリスの後頭部が俺の額にぶつかり、その反動で俺は後ろに倒れて行ってしまい、

 

「ごッッほぁっ!!」

 

 後ろにあった棚の、棚板の側面の角に俺の後頭部がぶつかってしまった。

 

「~~~~~~~っ!!」ヽ(>ДХ`;≡;´☆Д<)丿

 

 俺は痛みでのたうち回った。

 

「痛た…。うん?あぁっ!!シュン!?」

 

「おい、3人とも大丈夫かっ!?」

 

 心配するアリスに次いで、陽子と綾が駆け寄って来た。

 

「峻!大丈夫!?」

 

「…俺が牛乳嫌いだったら、危なかったわ」

 

「ふぅ…、大丈夫そうね。でも念の為、後で保健室に行きなさいね?」

 

「そうするわ」

 

「シュン、ごめんね〜っ!」

 

「sorryデス」

 

「大丈夫だって。それより、お前ら何肩車してたんだ?」

 

「アリスの本を取ろうと思いマシテ…」

 

「どの本?」

 

「あの上から2列目の棚の辞書らしいデス」

 

「んー?あそこだったら、カレンの身長でも届いたんじゃ…?」

 

 確かに、1番上の棚は無理だが、2番目の棚ならカレンの身長でも届く高さだ。

 

「私も、最初はそうしようと思ったんデスガ…」

 

 カレンがそう言った瞬間、

 

「ううっ!わたしが見栄を張ったばっかりにシュンが……!!」

 

 アリスが震えながら涙目でそう呟いた。

 

「どゆこと?」

 

「お前らの会話はいつも途中から聞くと訳分からん」

 

 

 というわけで俺達は、アリスとカレンからこうなった経緯を聞いてみた。

 

 最初に、アリスがその辞書を取ろうとしたけど背が低いから届かなくって、そこにカレンが自分がと名乗り出たがアリスが自分で取るからいいと断ったそうな。どうやらこの時アリスはさっきのしのとのやり取りの事をまだ根に持ってたらしく、意地になってたらしい。

 そこで、カレンは自分が取るのではなく肩を貸してアリスに取らせようと提案をし、そしてああいう状態になったんだとか。

 

「わたしが素直にカレンに頼まなかったばっかりに、シュンがこんな事に……!」。 °(°´ᯅ`°)° 。

 

「だから、大した事ねぇから気にすんなって。な?」

 

 俺はそう言うが、アリスの泣き顔は直らない。どうしようか。

 

 そう考えていると、陽子がアリスとカレンの前に出た。

 

「ったくもう…。2人とも、反省してるんなら、もうこんな危ない事しない事!いいな?」

 

 陽子はそう言いながら、床に座り込んでいたアリスに手を差し伸べ、アリスを立ちあがらせた。

 さっきの情けない様子とは違って、今の陽子は頼れる姉の様な佇まいになっている。

 

「う、うん…!」

 

 陽子の言葉にアリスは素直に頷いた。

 

「よし!峻もそれでいいだろ?」

 

「あ、ああ」

 

 流石、曲がりなりにも3人姉弟の長女なだけあって、陽子はこういう時の宥め方が上手いな。こういう所は見習いたい。

 綾もさっきの怒りは何処へやら、隣で陽子の事を関心しながら見ていた。

 

「カレンも、わかったな?」

 

「ハイ!私、今度やる時マデに危なくならないよう、足腰をちゃんと鍛えておくデス!」

 

「お前の反省の仕方、なにか違くないか!?」Σ( ̄□ ̄;

 

 カレンのズレた反省に陽子がツッコミを入れた。

 

 

 

「ほら、アリス」

 

「ありがとう、シュン!」

 

 俺はアリスに本を取ってあげた。

 

「あ、そうだ。なぁアリス、カレン」

 

 俺は小声で2人に訊いた。

 

「ん?」

 

「なんデス?」

 

「しのにプレゼント、もう渡したのか?」

 

「あ!ううん、まだだよ」

 

「これから渡すデス!」

 

「そうなのか」

 

「じゃあカレン、教室に戻る時に渡そっか」

 

「リョーカイデース!」

 

 アリスとカレンはそう言って、図書室の机に戻って行った。

 

「おーい峻。なんの話してたんだ?」

 

「ああ陽子。いや実は、しのの誕生日プレゼントを2人が渡そうとしてたんだよ」

 

「あー、2人とも渡せてなかったからなー。しののやつ喜ぶだろうなー」

 

「ああ」

 

「……ん?綾?」

 

 陽子が何かに気づき、見てみると綾が棚から本を取ろうとしてるのが見えた。

 1番上の本を取りたいのだろうが、綾が背伸びをしても少々届いてない様子だった。

 

 すると陽子が綾の所へと向かっていった。

 

「綾、取れないの?」

 

「え。……………!」

 

 陽子が声を掛けた後、綾は何を思ったのか急に顔を赤くした。さっきの怒りでも思い出したのだろうか。

 

「じっ自分で取れるわよ!肩車なんかしなくても!」

 

「やらねーよっ!?さっきの手前あるし!」

 

 どうやら綾は陽子と肩車フラグの展開が起こるとでも思ったらしい。肩車フラグってなんだ。

 

 本は陽子が1人で普通に取って綾に渡した。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 俺、しの、アリス、カレンの4人は図書室を出て、教室に戻ろうと廊下を歩いていた。陽子と綾はまだ勉強をしていて図書室に残っている。

 

「シノ、ちょっといい?」

 

「デス!」

 

「?なんですかアリス?カレンも?」

 

 アリスとカレンが立ち止まってしのに話しかけた。

 おっ、遂に渡すのか。

 

「実は昨日3人で出かけた時に、わたしとカレンはシノにプレゼントを買ってきたの!」

 

「えーっ!そんな!ありがとうございます!」

 

 アリスの発表にしのは嬉しそうにした。

 

 そしてアリスとカレンはプレゼントを取り出した。

 

「わたしは扇子だよ」

 

 アリスは例の桜模様の扇子を差し出した。

 

「わあ~、ステキ!」

 

 アリスのプレゼントをしのは喜んで受け取った。

 

「私は、外国の切手デス」

 

 カレンは普段あまり見かけないような、様々な洋風の絵や写真が描かれた切手シート数枚を差し出した。

 

 そのプレゼントにしのは…。

 

「!!きゃああー!カ、カ、カレン!どうして私の欲しい物が分かったんですか!?エスパーみたいですー!」

 

 先程とは比べ物にならない程の喜びを見せ、感激していた。

 

 そんなしのの様子に、

 

「ガーン!! ガーン ガーン…(エコー)」〣(꒪⌓꒪〣)〣

 

 アリスは物凄い勢いで落ち込んだ。

 

 いくら何でもこれは酷すぎる。

 

「おい、こら、ボケナスこけし」

 

「ボケナスこけし!?なんですか峻君、その不名誉な呼び名は!?」

 

「こんなアリス見たら、そう呼びたくもなるわ」

 

「アリス?……あああっ!?アリス!!」

 

 落ち込んでいるアリスの様子を見て、しのはやっと自分の失態に気がついた。

 

「すみません!舞い上がってしまって!」

 

 しのはアリスに謝罪をした。

 

 するとアリスはぷるぷると震えだして…。

 

「シノ…」

 

「アリス?」

 

「シノは…カレンの方が好きなの!?」

 

 泣きながらとんでもない問いかけをしだした。

 

「え…えっと?」

 

 アリスの突然の発言にしのは困惑していた。

 

「ねぇ峻」

 

「あ、綾。陽子も」

 

 俺の後ろの物陰に、いつの間にか綾と陽子が来ていた。

 

「何だ、この修羅場」

 

 陽子が今のしの達の様子に困惑しながらそう反応した。

 

 すると、アリスはしのの右腕を掴み、カレンに「しのは渡さない」とでも言いたそうにしてた。

 そんなアリスの様子を見て、今度はカレンがアリスの反対側のしのの左腕を掴んでこの展開に乗っかった。

 まるでラブコメの好きな人同士を取り合うヒロイン達みたいな絵面だ。

 

 その渦中にいる問題のしのはというと。

 

「見ろ、あの穏やかな表情!」

 

「幸せそうだなおい」

 

「まさに台風の目だわ!」

 

 呑気に嬉しそうな顔をしていた。

 

「ところで峻、貴方はこの状況に混ざらなくていいわけ?」

 

 綾が小声で、えらい事を聞いてきた。

 

「修羅場を増幅させてどうする。つーか、こういうのは同性だからまだ冗談とかで済んでいるのであって、異性の俺が行ったら色々取り返しがつかなくなっちまうの。元の関係に戻れなくなるのっ」

 

「そうやって油断して貴方は何もしなくて、あの3人にもしもの事があったらどうするのよ」

 

「いやいやいやいやないないないないないだろうないない」

 

「思いっきり動揺してるじゃない。語彙力なくなっているわよ」

 

 

「アリス、朝のことまだ気にしてるデス?」

 

 綾と話していると、カレンがアリスにそう問いかけていた。

 

「私が妹でもOKデスよ?」

 

「そっ、そーゆー問題じゃないのっ」

 

 どうやら、姉の座を譲られてもアリスの中では納得出来ないものがあるらしい。

 

「二人共!ケンカはだめですよ!」

 

 するとしのが2人の様子に耐えかねたのか、話に割って入った。

 

「アリスはアリス、カレンはカレンです。

 

 ──みんなちがって、みんな良いんです──

                      」

 

 しのが2人を諭す様にそう言った。

 

「しのから後光が溢れ出ている!?」

 

「2人の一触即発な雰囲気が浄化されていくわ!」

 

「何これ、『忍教(しのぶきょう)』?」

 

 なんだかよく分からない状況に俺達は、ただそれを眺めているだけであった。

 

 

「カレンはアリスを追って日本に来たのだし、アリスがカレンのこと大好きなことも、私知ってますよ!」

 

「シノ…あっ」

 

 しののその発言に、アリスは何かに気がついた様な表情を見せていた。

 

 するとアリスは、しのとカレンの間に入り、2人のそれぞれの腕を掴んでぎゅーっと抱いた。

 

「シノも好きだけど、カレンも同じくらい好き!」

 

「アリス!私もアリス大スキ!」

 

 嬉しそうなアリスにカレンも答えた。

 

 おそらくアリスはカレンだけにではなく、しのにもヤキモチを妬いていたんだと思う。自分の"好きな人"を、"両方"取られたと思って。

 

 ともかく、2人が仲直り出来たみたいで良かった。

 

 ん?今度はカレンがしのに抱きついて…。

 

「シノの事も大大大大スキ!」

 

「『大』が多いよ!!」ε٩(*>ロ< )۶з

 

 ……これって仲直りしたのか?

 

「…まあ、ケンカするほど2人とも仲良しって事だな!」

 

「そうね」

 

 陽子と綾はそう言うが、……まあそういう事にするか。

 

 

「あ。シュン」

 

「おいカレン、なんだその「あ、居たの忘れてた」みたいな反応は」

 

「!…シュンはテレパシーの使い手デスか…!?」

 

「包み隠せや」

 

 泣くぞ。

 

「ゴメンナサイデス!大丈夫、私シュンの事も大スキデスからネ!」

 

「……あんがとよ」

 

「アリスもシュン、スキデスよネー?」

 

「えっ?す……、I like you!」

 

「なんで今、英語で言ったデス?」

 

「だ、だって男の子のシュンに日本語で『好き』って言うのなんだか変な感じするんだもんっ」

 

 アリスはそう言って恥ずかしがった。まあ、気持ちは分かるな。

 

 日本語の『好き』は英語みたいにハッキリしてなくて、別の意味にも捉えられてしまいかねないからな。

 

「峻君!私も英語で伝えます!"アイライクユー"!永遠(とわ)に!です!」

 

「………『永遠に』は日本語じゃないんかーい…」=͟͟͞͞(·_·)/

 

「峻君?なんだかツッコミにいつものキレがないような?」

 

「シュンどうしたの!?心なしか、色素が薄くなってきてるよ!」

 

「ハッキリし過ぎてるのも、考えものみたいデスネー…」

 

「綾、峻は急にどうしたんだ?」

 

「……とりあえず保健室に連れて、さっきの頭の怪我を診てもらいましょう。中身も含めて…」

 

 俺は薄れてた意識の中、綾達に保健室へと連れてかれたそうな。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「ありがとうございましたー」

 

 そう言って俺は保健室から出ると、廊下でアリスとカレンが待っていた。

 因みに綾達は保健室に俺を送った後はアリス達に任せて教室に帰って行った。

 

「シュン、大丈夫?」

 

「ああ。後ろちょっとコブが出来てたぐらいだったけど、薬塗ってもらったしもう大丈夫だ」

 

「そっかー。よかった」

 

 同時に保健室の先生にカウンセリングもしてもらったのだが、それは黙っておこう。

 

「アリスさん、カレンさん!」

 

 すると廊下の向こうから、烏丸先生がやってきた。

 

「先生?」

 

「何だか今日は二人共、一触即発な雰囲気だから癒しのアイテムを作ったの!受け取って!」

 

 興奮した様子で烏丸先生はカレンの頭に………猫耳を装着した。

 

 似合うな…。じゃなくて、この人はまたこんなもんを…。ていうか、手作りだったんかい。

 

「私たち、とっくに仲直りしてるデスよ」

 

「あらぁ?」Σ(´,,•ω•,,` )

 

「先生、むやみにこんなもん学校に持ってこないで下さいよ」

 

「学校で作ったから、持ってきた物ではないわ」

 

「!凄い先生!一休さんみたい!」

 

「感心するなアリス!」

 

 先生がそんな屁理屈みたいな事言ったらアカンだろ。

 

「あ、今日は犬耳も作ってみたのー。鹿ヶ谷君、付けてみ──」

 

「ノーセンキューですっ!」

 

 

 

 [おまけショートこぼれ話]

 

 バイト先、『Restaurant Mathubara』にて。

 

「峻君、"海苔の佃煮"ってなんの事かわかる?」

 

「は?」

 

 休憩中、穂乃花がいきなりこんな事を聞いてきた。

 

「……海苔に色々材料加えて調理をして、ご飯にかけて食う……」

 

「うん、ごめん。そういう事はわかるの。ただその、カレンちゃんがね…?」

 

「?」

 

「アリスちゃんに言いたい事があるって授業中にノートにメモを書いたらしいんだけど、そこに書いてあった文字が『のりのつくだに』で、カレンちゃん本人もなんでそう書いたか覚えてなかったんだって。だから峻君、なにか心当たりあったりしないかな?」

 

 そんな事言われてもなぁ。

 

 うーん、海苔の佃煮ねぇ…。

 海苔の佃煮っつったら……………。

 

「………、『ご○んですよ』?」

 

「………カレンちゃん、アリスちゃんにお昼ご飯の事伝えたかったのかなぁ?」

 

「知らん。あいつの考える事は近くに居てもようわからん」

 

 なんせ、本人すら分かってないんだから。

 

 それからその後、穂乃花から教科書を忘れたカレンに自分の教科書を見せる時、席を近づけた際にまつ毛が長くて金髪が綺麗だった等の話を聞かされて、その日のバイトは終わった。

 

 ~See you, next time!~




綾と陽子の肩車フラグのシーン、ちょいアレンジを加えて変更しました。
この小説だと陽子とのやり取りがあまりにも少ないので…(笑)。
ていうか原作の綾×陽子の話はほぼ大体2人っきりの時でしか展開されない話が多いですし…。そこにオリ主を無理矢理挟むとただの邪魔者になるし…。話を聞いてるだけでも何でそこにいんの?みたいな感じになりますし。
でもなるべくはこの2人は原作通りで進めたいので、なんとか頑張ろうと思います。

ではまた次回、なるべく早く投稿出来るよう努力します(出来るとは言ってない(笑))。
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