きんいろモザイク ~plus α Road Days~   作:T93

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第20話です!

ひとまず、

誠〜〜〜に!お待たせしました!!
いつもより待たせてしまいました…。


第20話~いざ、みんなで山登り~

 夏休みに入った。

 

 初日から1週間ほど経った今日、俺達は皆で集まって出かける約束をしていた。

 

 そう、夏休み前にカレンの希望で行く事になった山登りだ。

 

 と言ってもそんなガチなやつでは無く、ハイキングとかに人気で、運動音痴の奴も少々頑張れば、登頂出来る山である。

 

 

 そんなわけで俺は今、例に如くいつもの待ち合わせにしている駅前にある大きめの木の下へと向かっていたのだが。

 

「………だからお前、早いっつってんだろが。また、待ち合わせの1時間前から居たのか?」

 

「違うわ。今日は暑かったから、少し遅めにして50分前にしたわ」

 

「ほとんど変わんねーよ!!」

 

 待ち合わせ時間の20分前に着いたら、この前と同じようにまた、先に綾が来ていた。

 家から出たがらなかったクセに、こういう所はくそ真面目なんだよなこいつは。

 

「こんな炎天下の中で長時間じっとしてたら、ぶっ倒れるぞ」

 

 今日は天気も快晴で、絶好の登山日和ではあったが、真夏なのでその分蒸し暑くてしょうがなかった。

 

「木陰にいるし、麦わら帽子も被ってるから大丈夫よ。水分もちゃんと摂って気をつけているわ」

 

 そう言いながら綾はハンカチで顔の汗を拭いた後、水筒を取り出して麦茶らしき物を口に含んだ。

 

「………ったく……」

 

 そんな様子の綾を見た俺は、肩からさげていたクーラーボックスからペットボトルから小さいタイプのジュースを取り出し、それを…、

 

「ほれ」

 

「冷たっ!」

 

 綾の首筋に押し付けた。

 

「なにするのよ!セクハラで訴えるわよ!」

 

「山に行く前に水筒の中身無くなっちまうだろ。これやるよ」

 

 こんな事だろうと思って、さっき自販機で数本買っておいたのだった。

 

「……………」

 

 綾はジト目でこっちを睨んできたが、やがて何も言わずにジュースを受け取った。

 

「……小さいのなんて、ケチくさいわね」

 

「うるせえ。今は小さいのでも結構な値段するんだよ」

 

 近くにスーパーやドラッグストアなんかが無い所以外で自販機使う人、今いるのか?

 

「………まあでも…」

 

「うん?」

 

「ありがとっ」

 

 綾は口角を僅かに上げて、お礼を言ってきた。

 

「……ぶっ倒られたら困るからな」

 

 俺は照れ隠しにそう言ったのだった。

 

 

 

 

 

「あ、130円ね」

 

「お金取るの!?」Σ( ̄□ ̄;)

 

「冗談だよ」

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 それから待ち合わせの10時の3分前ぐらいに、陽子がやってきた。

 

「暑いーっ!峻、ジュース持ってたらおくれー!」

 

「ほれ」<( ˙-˙)╮ =͟͟͞͞ ▋‎‎‎

 

「わーい!元気100倍!!」▋‎‎‎و(>∀<)٩

 

「新しい顔か!!」

 

 こっちに向かってきながら要求をしてきた陽子に俺はジュースを投げ渡し、その様子に綾がツッコミを入れた。

 

「陽子、忘れ物はないでしょうね?」

 

「おう!水筒!雨具!虫除けスプレー!……水着は置いて来ました…」

 

「宜しい」

 

 どうやら事前に綾に止められていたようで、陽子は水着を持ってくる事が出来ず落ち込んだ。

 

「峻、しのとアリスは?」

 

「例によって、しのが準備にかかってる」

 

 まあ "準備" ってのは、荷物の方ではないだろうけどな。

 

「お待たせしました〜」

 

 とか話していると、しのとアリスがやって来た。

 

「「わああっ!」」

 

 綾と陽子が、しのの姿を見て驚愕していた。

 

 ……これまた変わった格好だな…。

 

「しの、暑くないの!?」

 

「どう見ても山に行く服装じゃないぞ!」

 

 今日のしのは、白を基調としたフリフリのワンピースに、ワンポイントにバラの花を付けた白いベールを頭に被せていて、全体的にもこもこした格好をしていた。

 

 陽子の言う通り、山に来て行く服装じゃない。というか、真夏に着る服装ではなかった。

 

 因みにアリスは普通の一般的な夏服姿だった。気になるところと言えば、鞄がうさぎの形をしたやつだった事ぐらい。しかし可愛いので特に問題は無い。

 

「また、何かのコスプレ!?」

 

「森の妖精…ですよ?はぁ、はぁ」

 

「何言ってんだ、大丈夫か!?」

 

 しのの、この炎天下の中、正気を疑う格好と発言に綾と陽子は心配と同様を隠せなかった。

 

「俺ぁ、てっきり今日の天気を晴れにしたくてそんな格好してきたのかと思ったぞ。シルエットと色で」

 

「てるてる坊主じゃないですよ!?森ガールです!はぁ、はぁ」

 

「森ガールってこんなだったっけ?」

 

「知らん」

 

「どうして山ガールじゃないの?」

 

「森の方がかわいいからです!はぁ、はぁ」

 

 山に失礼だぞ。

 

「………ていうかお前、さっきからはぁはぁ言ってるから絶対暑がってるだろ。無理すんな?」

 

「女の子はオシャレの為なら、ちょっとの我慢はいとわないのですよ!お姉ちゃんが言ってました!」

 

「しのの格好はともかく、さすが勇さん…!人気モデルだから意識も言う事も違うわね!」

 

 しのの発言に綾は感激を受けていた。

 

「………………」

 

 だが俺はここで、つい先日の事を思い出していた。

 

 

 

 ~数日ほど前。~

 

「勇さーん、ス○カバー買ってきましたよー」

 

「ありがとー。小皿も持ってきてくれると嬉しいわー。汁がこぼれるからー」

 

「……………」

 

 俺は勇さんにスイ○バーと小皿を渡すと、食べ始めた勇さんの様子を見ていた。

 

「はむちゅぷ。はぁ、あっつ〜。………ん?なに峻君?」

 

「………勇さん、もっとしゃんとしてください!」

 

 今の勇さんは、タンクトップ姿でソファに寝っ転がっている状態だった。

 

「え〜、別にいいじゃない。今日は仕事休みだし。それに暑いし」

 

「無防備すぎます!ちょっとは俺という男が目の前にいる事を気にしてください!」

 

 ただでさえ、あんたは一般の女性よりも身体のスタイルがいいんだから!陽子じゃないが、グラビアだっていけそうな体付きしてるから、目のやり場に困る。

 

「峻君は弟みたいなものだし〜?家の中でくらい好きにさせてよ」

 

「じゃあ、姿勢を正すか、上に1枚着るかして下さい!」

 

「嫌」

 

 この人は……。

 

 ~回想終わり。~

 

 

「なにが、ちょっとの我慢もいとわない、だよ…」

 

「峻、どうかしたの?」

 

「なんでもねぇ」

 

「シノ、かわいいよ!妖精にしか見えないよ!」

 

「えへへ、そーですか?はー、はー」

 

「こんな苦しそうな妖精、嫌だ」

 

 いつものように、しのの奇抜な格好にアリスは絶賛し、それで嬉しそうにするしの。そしてそれを見た陽子が不評の言葉を発した。

 

「ほらしの。これ飲んでちったぁ涼め。アリスも」

 

「あ、ありがとうございます!峻君」

 

「ありがとう!」

 

 俺は今にも虫の息のしの、それとアリスの2人にも買ったジュースをあげた。

 

「それにしても、カレン遅いわね」

 

「パパと来るはずだけど…」

 

「もうあとちょっとで15分過ぎるな」

 

 今回は引率として、カレンのお父さんが来てくれる事になったのだ。山の麓までは、カレンのお父さんが車で送ってくれるそうだ。

 

 でも、この前カレンの家でガレージを見せて貰った時、どれも高級な車ばかりだったから、いずれにしてもちょっと落ち着かなそうだ。

 

「あっ、来たー!」

 

 そう言ってアリスが指を指す方向を俺達は見た。すると…。

 

 

 

 

 巨大な鉄の塊が近づいてきた。

 

 

 

 

 いや、何言ってんだ?ってなるかもしれねーが、ホントにそれが迫ってきてたんだよ!

 

「何だ何だ!?」

 

 俺だけじゃなく、アリス以外の全員がそれを見ては驚いていた。

 

 やがてその鉄の塊は、俺達の目の前で横付けになって停止した。

 

 それはよく見ると、巨大な車…いや、キャンピングカーだった。それは、普通の大型トラックが余裕ですっぽり入りそうなくらいの大きさだった。あまりにもデカすぎたんで最初これが車だとわからなかった。

 

 すると助手席の窓からカレンが顔を出してきて、呑気に笑顔でこっちに手を振ってきた。

 

「ハーイ!皆、乗って下サイ!」

 

「お前、何者だ!?」

 

 カレンのリッチっぷりにあまり慣れていない陽子は声を上げてそう叫んだ。

 

 ……これ日本の道交法に引っかかったりしないか?

 

 

 

「それでは皆さん、車に乗って山へレッツゴーです!」

 

 比較的あまり動じなかったしのが率先してキャンピングカーに乗り込もうとしていた。

 

 ………。

 

「………ちょっといいか?」

 

「?峻君?」

 

「どうしたんだ?」

 

「デス?」

 

 俺が突如、待ったをかけた事でその場にいた全員が疑問符を浮かべていた。

 

「車に乗って、山に行く前に…」

 

 俺はそう言って、ズボンのポケットから、ある物(・・・)を取り出した。

 

「……あっ!デジカメ!」

 

「おお!峻もついに買ったのかー!」

 

 そう。俺はついこの前、夏休みに入ったばかりの時に最寄りの電気屋で、自分のデジカメを買ったのである。

 

「これで、私達全員がデジカメを持ってる事になりましたね!」

 

「でも、なんで今取り出したのよ?」

 

「この車撮りたいのか?」

 

「オー!エンリョなく、どーぞデース!」

 

「いやそれはそれとして、後で撮らせてほしいなとは思うが…」

 

「「「「「?」」」」」

 

「……お、俺が初めて使うデジカメには、……その、み、皆で一緒に写った写真を1番最初に撮りたいっつーか……」

 

「「「「「…………」」」」」

 

 俺が口篭りながら言った後その場に一瞬沈黙が流れ、セミの鳴き声しか聴こえなくなったと思うと…。

 

「「「「「〜〜〜♪」」」」」

 

 全員がこちらを見ながら、ある者は微笑み、ある者はニマニマしていた。

 

「な、なんだよ!」

 

「別に〜?可愛いとこあるわねってちょっと思っただけよ〜?」

 

「う、うるせえ!!」

 

「シュンもアヤヤに負けず劣らずのツンデレデスネ〜♪」

 

「やかましい!!」

 

「あはははっ!ほら皆、峻の希望通り、一緒に撮るぞー!」

 

「アリス、行きましょう!」

 

「うん!カレンパパ、撮影お願い!」

 

 こうして俺のデジカメに入った初の写真は、皆が笑顔で写っているとても良い写真になった。俺の顔が真っ赤に染まって俯いている事を除けば。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 さて、あの写真撮影の後、改めてカレン(のお父さんが運転して)が持ってきたドデカキャンピングカーに俺達は乗り、山へと向かった。

 

 日本の公道を普通に走ってただけあって、キャンピングカーの横幅は大型トラックと大差ない大きさだった。でも高さが外国のドラマとかで見る二階建てのバスぐらいあるから、カーブ曲がる時とかバランス的におっかなく感じる。カレン父の運転技術と車の構造的には大丈夫なのだとわかってはいるのだが。

 

 因みにこの車、俺がカレンの家のガレージでは見かけなかった事をカレンに聞いたら、九条家が所有している第三倉庫に保管してあったやつだという解答が返ってきたので、俺はもう何も考えない事にした。窓からの景色を無邪気に楽しんでいるアリスでも眺めて和もう。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 そんなこんなありつつ、目的地の山の麓へと着いた。

 ここからは自分達の足で山登りをする。どっちにしろあのドデカい車じゃ通れんが。

 

「山デース!ヤッホー!!」

 

「元気なやっちゃなあ」

 

「あ…暑い…。できるだけ日陰に…」

 

「日焼け止め、汗で流れそう…。この暑い中、何で山なんかに」

 

「おーいカレン。綾が今度山に登る時は寒い冬がいいってさ」

 

「わかりまシタ!」

 

「誰もそんな事言ってない!冬でも嫌ぁ!!」

 

 こんな感じで綾をからかいつつ、元気いっぱいなカレンが先を走って行き、俺達は山を登り続ける。

 

「ふー、ふー」

 

「ふー、ふー」

 

「ん?」

 

 俺のすぐ後ろをついてきていたしのとアリスが何やらふーふー言っていた。

 

「どうした2人とも、息切れか?大丈夫か?」

 

「ああ、いえ。アリス発案の空気冷ましを行ってたんです」

 

「なんだそれ?」

 

「ほら、おでんとかを食べる時、冷ます為にふーふーってするでしょ?だからこうすれば暑い空気が冷めるかなあって思って!」

 

「こんな妹が欲しかった」

 

「突然なに!?」

 

 おっといかんいかん。内なる欲望が漏れ出てた。

 

 もうさっきからアリスを愛でた過ぎてしょうがないんだけど。ほんとにこいつ同級生か?

 

「同級生だよ!!」

 

「あれ?また漏れ出てた?」

 

「表情でわかる!!」

 

 マジか。気をつけよ。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 それから30分ほど歩き続け…。

 

「皆遅いデス」

 

 "山頂"と書かれた看板の道標が突き刺さってある所の前でカレンが待っていた。

 

「おー、お待たせー」

 

「もうすぐですか?」

 

「暑いけど登りきったら達成感ありそう!」

 

「そうね」

 

「がんばろー!」

 

 各々発言を述べ、改めて山頂への道を歩み始める。

 

「?Hey、そっちじゃないデスヨ、こっちデス!」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 するとカレンが道標の上の方を指さした。

 

 よく見るとそこには、"渓流"の文字が書かれた看板もあった。

 

 

 その道標の方向へと俺達はカレンに連れられるまま、登山道から外れた道を進んでいくと…。

 

「「「「「わぁ〜〜!」」」」」

 

 森林を抜けた所で、大きな川がある所に出た。あまりに水が澄んでて、水面も逆光でキラキラしてて綺麗だったもんだから、思わず歓喜の声が出てしまった。

 

「ここでは渓流釣りが楽しめマス!釣りの準備も用意してマス〜、パパが!」

 

 カレンのお父さん、意外とアクティブだな!

 

「釣った魚でお昼ご飯デース!」

 

「こっちが目的だったのか」

 

 陽子がそう言い皆で苦笑するが、せっかくなんで釣りを楽しもうという事になった。

 

 

 

「俺、釣りなんて小四の教育実習の時以来だなあ」

 

 しの達と竿の準備をしている最中、俺はそんな事を呟いた。

 

「そうなの?」

 

「ああ。だからあんま上手く釣れないかもなあ」

 

「だったらわたしが教えてあげるよ!釣りのことならまかせて!」

 

 アリスが得意げに竿を握って言ってきた。

 

「確かアリスの家の近くには川があるんですよねー」

 

「ああ、前にアルバムで見たなそういや。て事は釣り得意なのかアリス」

 

「うん!イギリスにいた頃はちょっとぶいぶい言わせてたんだよ!」

 

「ぶいぶい?」

 

「ぶいぶいって今日日(きょうび)聞かねえなあ」

 

 どうも外国人は日本語の流行語と死語の区別がつかない傾向があるっぽいな。

 

 

「私も釣るデスー。大きいの狙いマース!」

 

 アリスに教えてもらいながら川に向かって竿を振るう練習をしていると、カレンも横に来て釣りの準備を始めた。

 

 ん?なんかアリスがカレンを見て気を引き締めたような顔つきになったな。

 さてはしのにいい所見せたくて、またカレンに対抗意識を持っているな。別にいいがよくやるなあ。

 

 もう気合いが入りすぎて金髪が逆立って(スーパー)イギリス人と化してる。熱気までこっちに伝わってくる。

 

「し、峻君…。アリスが、暑いです…」

 

「そんな格好してたら尚更な」

 

 しの(森ガール衣装装着)もアリスの熱気にあてられ、暑がっていた。

 

 

 ~5分後。~

 

 

「わーい」

 

 カレン、1匹目を釣り上げる。

 

 俺、アリスはゼロ。

 

 

 ~それから3分後。~

 

 

「また釣れまシター♪」

 

 カレン、2匹目を釣り上げる。

 

 俺、アリスはまだゼロ。

 

 

 ~更に1分後。~

 

 

「大物ゲットー♡」

 

 カレン、3匹目を釣り上げる。

 

 ……俺、アリスは未だゼロ。

 

 

 

「わぁ〜っ、カレンすごいです!」

 

「えへーっ、釣りは小さい頃カラ得意だったデス〜」

 

「…………」

 

 俺はともかく、アリスがわかりやすいほど落ち込んでいる。感情の落差が激しいなおい。

 

「き、気にすんなアリス。誰にでも調子のいい時と悪い時ってあるもんさ。俺だって未だに釣れないしさ」

 

「ごめんね…。わたしが教えたから上手く釣れなくて…」

 

「いやいや。俺は素人同然だから、ちょっと教わったぐらいじゃ直ぐ釣れるようにはならないって」

 

「あっ、峻君!」

 

「なんだ?しの」

 

「峻君の竿、引いてますよ!」

 

「なにっ!?ぐぬぬぬっ……!うおりゃあっ!!」

 

「わあっ、釣れましたね!峻君凄いです!」

 

「ワオ!私のより大きいデス!シュン、なかなかやりマスネ!」

 

「いやあ、それほどでも………。あっ」

 

「…………………」

 

「………えーと…、アリス先生の教えのたまものです」

 

「わあああん!」

 

 俺の説得もむなしく、アリスは泣き出し竿を捨てて川へと走り出してしまった。

 

「アリス!?」

 

「待っててシノ!今すぐおいしい魚を捕まえるから!」

 

「手づかみで!?その気持ちだけで十分ですよ!!」

 

「浅くてもあんま奥行くと危ねーから戻ってこい!!」

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 お昼。

 

「「「「「いただきまーす!」」」」」

 

「……いただきます…」

 

 あれからカレンがもう2匹釣り上げ、人数分の魚が揃った(カレン父は自分で釣り上げた)ので、河原で焚き火をくべ、魚を焼いた。

 

「〜♪」

 

「皮パリパリで美味え!」

 

「おいしいですね、アリス」

 

「うん……」

 

 アリスは1匹も釣れなかった事をまだ引きずっていた。

 

「おい綾、なんとかしろ」

 

「突然の無茶ぶり!?………あ、そうだわ」

 

 綾は自分のトートバッグから何か大きめの包みを取り出した。

 

「皆にお弁当作ってきたの。よかったら…」

 

「わーい(棒読み)」

 

「そいつはたのしみだー(感情0)」

 

「百歩譲って陽子はいいけど、峻は無茶ぶりしといてなによその反応は!!少しは上達してるんだから!」

 

 綾はそう言って怒りながら弁当を広げた。

 

「おいしそうです〜」

 

「見た目はな」

 

「難癖つけるんだったら食べなくていいわよ」

 

「わかった、わかった。食うって。………ぱくっ。モグモグ………。おっ」

 

「ほんとだ美味い!」

 

「おいしいです綾ちゃん!」

 

「そ、そう」

 

 綾は先程文句をつけられた手前もあって、称賛されても素直に受け取らない様子だったが、心の奥ではかなり喜んでいる事をもうわりと長い付き合いの俺にはわかっていた。

 

「綾は私のあれになってほしいな〜」

 

「!」

 

 陽子の突然の一言に綾はドキッとした。

 

「あれって何よ」

 

「えっと、お母さん!おふくろの味!あはは!」

 

「…………」

 

「お前が陽子に何かしら期待すると大抵ロクな返事が返ってこないよな」

 

 

 

 

 ブ〜ンブ〜ン

 

「……」

 

 ブ〜ンブ〜ン

 

「………」

 

 ブンブブブンブ〜ン、ブンブ〜ン

 

「だああっ!!ウザってえ!!散れえっ!!」

 

 俺達の周りをブンブン飛び交う虫に俺は我慢の限界を迎えて害虫狂戦士(バーサーカー)となり、腕をぶんぶん振り回した。

 

「虫いっぱいいるね」

 

「そうですねー」

 

「夏の山はこれが嫌なんだよなあ。このっ」

 

 俺は目の前を飛ぶ虫を狙ってパンッと両手で叩くが、逃げられる。

 

「はっ!シノの近くに蚊が」

 

「なにっ!」

 

 アリスの言う通り、しのの方へと蚊が迫ってきていた。

 

「コンニャロウしのの血を狙うたあ、ふてえ野郎だ天誅!!」

 

 パンッ!!

 

「ひゃあっ!」

 

 しのの目の前を飛んでいた蚊は、空中で見事俺の両手に仕留められた。

 

「ふっ。俺様が本気になりゃあ虫の動きなんざ簡単に見抜けらあ。…ん?」

 

「び…、びびびビックリしました…!」

 

「シノの腰も抜けてマス」

 

「わーっ!すまん、しの!驚かせた!」

 

 俺は慌ててしのの手を引っ張ってしのを立ち上がらせた。

 

「いえ…、大丈夫です。ありがとうございます」

 

「悪い。もっと周りに気をつけて叩くわ。待ってろ、今虫除けスプレーを」

 

「あ!今度はシュンの近くに!危ない!!」

 

 パーンッ!!

 

「ぶべたがすっ!!」(; >˘д<⊂ 彡☆))Д≠))

 

 アリスの張り手が俺の頬にダイレクトアタックした。

 

「ぐふっ…、効いたぜ…。お前の平手打ち……ガクッ」

 

「ああ!?ごめんねシュン、蚊が、蚊があぁぁ!!」

 

 夏の大自然の中で、1人の男が河原で沈み、金髪少女の悲鳴がこだました。

 

 

 ~See you, next time!~




山登りもとい川遊び編、次回に続きます。
次話は今日か明日にあげられますのでお楽しみに。

それにしても主人公、しのより他の奴ととの絡みの方が多いなあ…(笑)
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