きんいろモザイク ~plus α Road Days~   作:T93

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陽子は峻と喋り方似てるから、一番説明をいちいち入れなきゃならないキャラでもあるんですよねー。


第5話~カントリーメモリー~

「から揚げ定食一つにアイスコーヒー一つですね。少々お待ち下さい」

 

 俺は今、バイトの真っ最中だ。チェーン店ではない個人経営のお店で、『Restaurant Mathubara』と言う名の飲食店だ。

 

「松原さん!から揚げ定食一つに、アイスコーヒー一つ!」

 

「はーい!」

 

 俺の号令に女店主さんの松原さんが呼び応える。

 

「峻君、これ運ぶの手伝ってくれる?」

 

「あ、はい!」

 

 そしてこの店にはもう一人、俺と同い年の子が働いていた。

 

 名前は松原(まつばら)穂乃花(ほのか)。なんと俺と同じ学校で隣のクラスの女子だった。

 何を隠そう、この店はその穂乃花の家でもあったのだ。普段から家の手伝いがてら休日等の日は、この店で働いているらしい。

 

 同じ学校の同級生がいると知った時、俺はやめようかと思っていたが、穂乃花も自分の家がレストランで、自分も働いている事は恥ずかしいからクラスメイトにも内緒にしているらしい。

 

 それなら俺も穂乃花の事は内緒にしとくから、俺がこの店で働いている事も内緒にしてほしいと頼んだ。

 

 こうして、シフトが合う日(主に休みの日)は穂乃花と一緒に働いていた。

 

 因みに穂乃花とはこの店で最初に会った時にほぼ初めてまともに会話をしたぐらいにお互い知らなかった仲なのに名前で呼んでいるのは、『松原さん』だとこの店だとややこしいので、穂乃花自ら「名前でいい」と言ってきて、そういう事ならと名前で呼んでいる。

 

 で、なんで穂乃花が俺を名前で呼ぶのか。こっちが呼ばせてるのに悪いからだとかなんとか。気にしなくてもいいのだが。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 午後の四時。今日のバイトが終了した。

 

 俺は帰る前に休憩室で少し座って休んでいた。

 

 そこに穂乃花がやってきた。

 

「峻君、お疲れ様」

 

「おう穂乃花。お前は休憩か?」

 

「うん。峻君も大分慣れてきたね。まだ二週間なのに凄いよ」

 

「いや、そんなもんじゃねえか?」

 

 この二週間で穂乃花とは、こんな具合のたわいも無い話をする仲にもなった。

 

「そういえば峻君のクラスには、金髪の女の子がいるんだよね」

 

「あー、アリス?」

 

「そう!あんな可愛くて綺麗な金髪を持ってる子とお近付きになれてて、羨ましいな〜」

 

「別にお前も普通にアリスに話しかければいいじゃねえか。違うクラスとか気にしないで」

 

「そそそそそ、そんな!私ごときがアリスちゃんみたいな天使の様な存在に話しかけるなんて、おこがまし過ぎるよ〜!!」

 

「お前の発想の方がおこがましいわ」

 

 なんつーか穂乃花は、想像力豊かな奴だ。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 とある平日。この日の天気は雨だった。

 

 俺や陽子、綾が教室で退屈していると、しのが話しかけてきた。

 

「峻君、峻君」

 

「なんだい、しの君」

 

「なんだか、アリスの元気が無いみたいなんです」

 

「アリスが?」

 

 そう聞き、アリスの方を見てみると、確かにどこか元気が無さそうだった。

 

 手には何か、少し大きめの本を持っていた。

 

「何やらイギリスの写真のアルバムを見ては憂鬱そうにしているんです。写真を撮って欲しいのかと思ったのですが、違ったらしくて」

 

 故郷のアルバムを見て元気がない……。なるほど、しのは分からなかったみたいだがそういう事か。

 

「イギリスのアルバムを見ているわ。これにヒントがあるはずよ。答えは…」

 

 綾も気づいたらしく、答えを挙げようとした。

 

「時差ボケね!」

 

 ドンガラガッシャン!!

 

 俺は盛大にズッコケた。

 

「アリスに今度、時差ボケに効くアロマオイルをプレゼントするわ!」

 

「そうか、俺も今度お前の頭に効くアロマオイル送ってやるよ」

 

「失礼ね、そんな人をボケてるみたいに!」

 

「そう言ったつもりなんだが」

 

 あいつもう、日本に来て随分経つぞ。来たばっかりならともかく、なんで今になって発症するんだよ。

 

 

「フツーに考えてホームシックってやつだろうが」

 

「「「ええっ!?」」」

 

 おれの言葉にしの、綾、陽子の三人は驚愕した。

 

「この間、治ったと思ったのにもう再発を!?」

 

「だから、なんの話だ」

 

 聞くと、前にアリスが窓の外を見て黄昏てる(実際はただ眠かっただけ)のを目撃した三人は、アリスがホームシックになっていたのだと思っていたらしい。なるほど、それであの日は途中からこいつらの様子がおかしかったのか。あ、あん時の謎の視線はこいつらだったのね。

 

「そうだったのですか、アリス!」

 

「うっ」(-_-;)

 

 アリスがホームシックになっている事を知ってしのはアリスに問いかけた。

 

「ちょっと行って帰ってくればいいじゃん。飛行機ならすぐだよ」

 

 落ち込んでるアリスに陽子が楽観的に言った。

 

「お前そんな簡単に言うなよ」

 

「直行便でも、12時間はかかるよ。そもそも色々準備が…。」

 

「!まじか!」

 

 アリスの言葉に陽子は酷く驚いた。

 

「飛行機って雲の中でワープ出来るんじゃないの!?」

 

「えぇ━━!」

 

「そんなわけあるか」

 

 いくら乗ったことがないからってそれはないだろ。そこまで科学は進んでねえよ。

 

 

「でもアリス、突然だな。なにかあったか?」

 

 俺はアリスに聞いてみた。

 

「実は昨日、マムと電話で話したら懐かしくなっちゃって」

 

「マム!?何だかおいしそうな響きっ。」

 

「お母さんのことよ。」

 

「まあ、あのお菓子の名前の由来は"田舎のお母さん"らしいがな。」

 

 俺が某お菓子のどうでもいい知識を言っていると、しのが意を決したかのような顔でアリスの前に立った。

 

「分かりました!今日から私がお母さんの代わりですよ!アリ〜スや〜」

 

 いやしの、それはちょっと無理あんじゃねーの?

 

「ポピーは元気にしてるかなあ…」

 

 不意にアリスはそう呟いた。

 

「誰!?」

 

「あー、あの帽子被って爆弾持った…」

 

「それはカー○ィの敵キャラでしょう。多分、犬の名前ね」

 

 俺がボケて綾がツッコんでいる間、しのは困った様な顔をしていると、

 

「わ…、わんわん!!」

 

 しのは母親から犬へとジョブチェンジした。

 

 そんなしのを見たアリスは、

 

「ごめんね心配かけて…。もう大丈夫、元気出たよ!」

 

 申し訳なさそうにそう言った。

 

「本当か?俺達に気ぃ使ってんじゃねえか?」

 

「本当に大丈夫。日本にはみんながいるし、毎日楽しいよ」

 

「アリス…、何ていい子!」( ;∀;)ほろっ

 

 アリスの言葉に、しのは感動して涙を流した。

 

「そうだ、私達は独りじゃない」

 

 陽子がそう言って手を前に出すと、

 

「力を合わせて〜」

 

「そうだよね!」

 

 続いてしのとアリスが陽子の手に自分の手を合わせて、円陣を組んだ。なにこれ。

 

「頑張れアリス!」

 

「「「お━━━━っ!」」」

 

「何なのあれ…」

 

「熱苦しい…」

 

 陽子達の訳分からんノリを、俺と綾は少し離れた所から不思議な物でも見るかのような目で見てた。

 

 

 

「アルバム見ていい?」

 

 変なノリが終わって、陽子はアリスにそう聞いた。

 

「いいよー」

 

「俺もいいかー?」

 

「うん」

 

 お許しが出たので俺もアルバムを拝見する。

 

「えーと、この辺は何歳頃?」

 

「6歳かな」

 

 幼稚園~小一ぐらいか。

 

「わっ、この人アリスのお母さん?」

 

 陽子が小さいアリスと一緒に写っている女性の写真を見つけた。

 

「おー、綺麗な人だ」

 

 お世辞とかでなく本当に綺麗だった。アリスと同じ金髪で、アリスを大人っぽくしたらこんな風になるのではって感じだった。ただ…。

 

「…アリスは父ちゃん似かなー」

 

「えっ。そんなこと初めて言われたよー」

 

 陽子がそう言った訳は、おそらくアリス母のスタイル…というか、胸を見たからであろう。幼児体型なアリスに対して、アリス母はとてもスタイルが良かったのである。

 

 そう思っていると、突然俺の横から綾が出てきた。

 笑ってるのに笑ってない顔で。

 

「峻…、貴方今どこを見たのかしら?」

 

「何で俺!?」

 

 言ったの陽子(あいつ)だよねえ!?

 

 

 

「ん?この子は誰ですか?」

 

 俺が綾に理不尽な問い詰めを受けていると、しのがとある写真に写っている、アリスより背が低い金髪少女に気づいた。

 

「なんだ。妹か?」

 

「!…ふふふ、違うよ」( *¯ ꒳¯*)

 

「なんで今得意気になった?」

 

「その子はイギリスに居る友達だよ」

 

「…友達!?アリスの!?」

 

 アリスの友達の存在にしのは驚いていた。

 

「そうだよ」

 

「フレンド!?」

 

「イ、イエス」

 

 なんで一回英語を挟んだかは知らんがアリスに確認を取った後、しのは何故か落ち込んだ。

 

「アリスにイギリスの友達が居たなんて、何かちょっと切ないです」

 

「何で!?」

 

「人を勝手にぼっちにすんなよ」

 

 おそらくしのは嫉妬的な意味合いで言ったんだろうけど、はたから聞くとそういう意味にしか聞こえん。

 

「名前はカレンって言って、パパが日本人のハーフなの。カレンのパパはわたしの日本語の先生なんだよ」

 

「へー」

 

「なるほど。日本人から教わったら、まさに鬼に金棒だな」

 

 アリスが流暢に日本語が喋れる秘密が分かった気がした。まあ、本人の努力の方が大きいのだろうが。

 

「もし会ったら、シノも仲良くなれると思うよ」

 

「アリスの友達の金髪少女…」

 

 しのはまだ嫉妬してるのかな?珍しい。

 

「私も友達になれたら…、両手に花じゃないですか!」

 

 違った。

 

 いや、"金髪少女"ってワードを口にした時点でなんかそんな気はしてた。

 

「あー、いつものしのだ」

 

 嬉しそうにしているしのを見て陽子は俺と同じ感想を口にした。

 

 

 

「これは家のそばの川で釣りをしてる所だよー」

 

「ほー。川なんてあったんですねぇ」

 

「シノが来た時は行かなかったね。いっぱい釣れるよー」

 

「おー」

 

 近場にこういう所があるってちょっと憧れるな。隣の芝生は青く見えるってやつだと思うが。

 

「私の知っているアリスは、本当にほんの一部なのですね」

 

 アルバムを見てしのは、遠くを見るかのような目をして……、その後なんだか何かを企んでるような黒い顔になった。

 

「何だかアリスの裏の顔が見えてくるようです…」

 

「アリス、恐ろしい子」

 

 俺も悪ノリしてみた。

 

「そんな悪役みたいに!!」Σ( ̄ロ ̄lll)

 

 

 

 暫くページをめくっていると。

 

「お、しのが写ってる」

 

「これはホームステイの時の写真ね」

 

 そこにはイギリスの地で楽しそうにしているしのとアリスが映っている写真が何枚もあった。

 

「一度でいいから、私も海外に行ってみたいわ」

 

「綾、お前飛行機乗れるの?」

 

「…………乗れるわ」

 

「今結構、間があったぞ?」

 

 こりゃ、もし乗る機会あったら一悶着ありそうだ。

 

「アリスの家ってどんな所かなー」

 

 陽子がそう言ったので、俺達はちょっと想像してみた。

 

 

 綾の想像。

 

「草原の中を裸足で駆けるアリス…」

 

 

 陽子の想像。

 

「湖上に浮かぶ城…、姫の名はアリス…」

 

 

 俺の想像。

 

「テ○ルズオブデスティニー2のオープニングのリ○ラの如く、湖の水面に波紋を作りつつ、滑り歩いていくアリス…」

 

 

「大体そんな感じです」

 

「全然違う!シュンに至っては、もはや人間業じゃないよ!!」

 

 俺達の想像にしのは肯定し、アリスは「写真ちゃんと見て!!」と言いながら全力で否定した。

 

 

 

 それから、一通りアルバムに目を通した。

 

「見せてくれてありがとう。楽しかったわ」

 

 綾はそう言って、アリスにアルバムを返した。

 

「今度みんなのアルバムも見せてね」

 

「俺なんかのでも良いなら…」

 

「嫌よ!!」( º言º)くわっ

 

「「「「!?」」」」

 

 アリスのお願いに俺が肯定の言葉を言い切る前に綾が断固とした勢いで拒否反応を示した。

 

 いきなり大きい声で叫ぶからアリスはおろか、しのまで怯えてるじゃねぇか。

 

「ちょ…お前どんだけKY…」

 

「!」

 

 陽子の一言に綾は我に返り、あわあわと慌てだした。

 

「ごめんなさいっ。でもだって…!」

 

「だって?」

 

「裸が写っているんだものっ!」

 

「赤ちゃんの時だろ!!」

 

「あ、なんだビックリした」

 

 陽子が即ツッコミを入れてくれたから助かった。

 

「俺ぁ、てっきりお前にそっちの趣味でもあんのかと思ったわ」

 

 俺の一言に綾は顔を真っ赤にさせた。

 

「しゅ…、峻のヘンタイ!!」

 

「てめぇがそんな言い方するからだろうが!!」

 

 俺は悪くねえ!!

 

 

 

「でもアリス。本当に寂しくなったら、何時でも言って良いんだからな?」

 

「うん。ありがとうシュン」

 

 俺の気遣いにアリスは素直に頷く。やっぱりちょっと妹っぽい。

 

「少しでも気分を味わう為に、私が時々英語で喋るわね」

 

「え」

 

 綾もアリスに気遣って、そんな事を言う。

 

「ええっ、すごい!」

 

 アリスは素直に驚いていたが、大丈夫かよ。

 

 

 

 ~昼休み。~

 

「アリスは卵焼きが好きですよねー」

 

「うん」

 

「A…」

 

「一個あげるよ」

 

「アリスは甘い派か?しょっぱい派か?」

 

 

 

 

 ~休憩時間。~

 

「次は英語ですねっ!」(>▽<)♡♡

 

「EN…」

 

「しのは本当にからすちゃんが好きだな」

 

「アリス、『This is a pen.(これはペンです)』って英語、使う事あるのか?」

 

「う〜ん、『my(私の)』を付ける事はあるかな?」

 

 

 

 ~放課後。~

 

「シュンは今日もバイト?」

 

「まあな」

 

「ちょっと最近、寂しいですね」

 

「基本的には火、木、土だけだから、そんな寂しがる事ないってば」

 

「Uh…、U…」(lll⩌△⩌lll;)

 

「はっ!綾ちゃんが!!」

 

「何であんなこと言ったんだ、あいつ!」

 

 やっぱりこうなったか。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「あっ、雨やんでる」

 

「本当ですねー」

 

 下校する為に校舎から出ると、朝から降ってた雨はすっかりやんでいた。これからバイトだったから助かった。

 

「雨だからナーバスになってたのかもな」

 

「なるほど」

 

「そうかもねー。…あ!虹だー!」

 

 アリスがそう言って、空を見上げてみると大きな虹がハッキリとかかっていた。

 

「おー、デケー」

 

 俺がデカい虹に感心してると、アリスが「わーい!」と水たまりを長靴でパシャパシャしながらはしゃいでいた。本当に同い年かこいつと思ったが、可愛いからいいや。

 

「あの虹の向こうにイギリスはあるよ〜」

 

「詩人ねー」

 

 はしゃぎながら詩を詠むアリスに、俺達はほっこりした。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 俺はバイト先に行く為に住宅路を歩いていた。

 

「ん?あれは…」

 

 すると、住宅路の真ん中で女の子がウロウロしていた。何やら困っている様子だった。

 

 こういう時、漫画の主人公とかなら迷わず声を掛けるのだろうが生憎、俺にそんな度胸はなかった。

 

 しのの時は、子供の頃だったから別に大丈夫だった。でも俺はもう高校生。迂闊に声を掛けて変に思われるかもしれない。それにもしかしたら、あの子は誰かを待っているだけなのかもしれないし。

 

 俺は自分にそう言い聞かせる様にし、女の子の横を通り過ぎようとした。

 

 俺がその子の丁度真横に来た時、

 

「パパ…、ママ…、ア……ス……」

 

 女の子はすすり泣きながら震えるような声でそう呟いていた。

 

 ………………。

 

「君、どうしたの?」

 

「!……what's?」

 

 俺は女の子に話しかけた。

 

 変に思われるのがなんだ。

 

 ここは今の時間、あまり一通りが少ない。そんな所にこんな女の子を一人にさせておくわけにはいかない。

 

「えっと、君、日本語分かる?」

 

 意を決して話しかけたはいいが、この子言葉が通じるのだろうか…。

 

 灰色の瞳にツリ目で、どこか日本人離れした顔付き。ヘアピンを付け、一箇所をお団子ヘアにしている彼女のロングヘアは、綺麗な金色をしていた。

 

 明らかにこの子は外国人だった。アリスが来てから縁があるな。いや、まだアリスとこの子だけだが。

 

「だ、大丈夫デス、分かりマス」

 

 彼女は涙を拭いながら片言な日本語でそう答えた。

 

 アリスみたいに流暢ではないが、話せるだけでも有難い。そうじゃなかったら、100%不審者としか見られない恐れがあった。

 

 俺は改めて女の子に聞いた。

 

「えーと、君こんな所でどうしたの?」

 

「……私今日、日本に引っ越して来まシテ、日本の街を探検していたら、帰り道、分からなくなりまシタ…」

 

 薄々思ってはいたが、やっぱり迷子か。

 

「えーと、じゃあお家の人に連絡は取れないのか?」

 

「携帯、ゲームやったり写真いっぱい撮ったりしてタラ、画面真っ暗になってうんともすんとも言わなくなっちゃいまシタ…」

 

 女の子は落ち込みながらそう言った。

 

 電池が切れちゃってたのか…。

 

 俺は自分の学校指定鞄を開いて携帯充電器を彼女に渡した。

 

「これ繋げば、また使える様になる筈だよ。それ多種機に対応してる筈だから」

 

「…………!」

 

 彼女は希望の光を見るかのように、表情を明るくさせた。

 

 そして彼女は自分の携帯に充電器を挿して携帯が使える様になるのを暫く待ち、そして携帯が使える様になり、彼女は家に電話した。

 

 

 

 その15分後。彼女の両親が迎えに来た。

 

「うちの娘がどうもお世話になりました」

 

 彼女の父親が、俺に頭を下げてお礼を言ってきた。

 

 あの子は向こうで母親に英語で激しく叱られていて涙目になっていた。まあ、それだけ心配されてたんだろうから大人しく怒られてあげな。

 

 お母さんは見たところ丸っきり外国人だが、お父さんは髭を生やしているが普通に日本人顔だったので、おそらくあの子はハーフってやつなのだろう。

 

「なにかお礼をしたいのですが」

 

「いえいえ!そんな大した事してないですから、いいですよ」

 

 彼女のお父さんがそう言ってきたが、俺は慌てて遠慮した。

 

「しかし、このまま何もしないというのも…。」

 

 この人の言い分も分かる。でも俺がやった事は彼女に充電器貸しただけで、それだけでお高そうな菓子折りなんか貰っても困ってしまう。

 

 すると、あの子が近くに寄って来た。

 

「それでしタラ、私と友達になってくれませんか?私の、日本の最初のお友達になって下サイ!」

 

 彼女は笑顔でそう言った。

 

 まあ、それくらいなら。

 

「俺なんかが最初で良いのかって思うが、わかった。機会があったらこの辺の紹介ぐらいはしてあげるから」

 

「本当デスカー!?アリガトデース!!」

 

 彼女はとても嬉しそうにそう言った。

 

「ハイ!コレ、私のおウチの住所デス!遊びに来て下サイネ!」

 

 彼女はお母さんに聞いて、自分の住所名を書いた紙を俺に渡してきた。

 ここって確か高級マンションがある所じゃなかったっけ?

 

 そして一家三人は車に乗って、家に帰って行った。あの子は車を発進させるまで窓から顔を出して手を振っていた。

 

「……それにしてもあの子、なんかつい最近どこかで見た事があったような顔してた気が…、気のせいか…?」

 

 俺はそう思ったが、そろそろバイトの時間に急がないと間に合わなくなる事に気づき、その考えを放棄してバイト先へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 [おまけショートこぼれ話]

 

 

 土曜日の夕方。バイトが終わった帰りに俺は夕飯の買い出しにスーパーまで来ていた。

 

「あれ?あそこにいるのは…」

 

「あ、シュン!」

 

 スーパーの中にアリスが居た。

 

「アリスも買い出しか?」

 

「えーっと、シノ、それにヨーコとアヤも一緒だったんだけど、わたしがまだ日本に慣れていないって言ったら、みんなが経験がものを言うって言って、それならわたし一人でおつかいを任せてみようって話になっちゃって…」

 

「はぁ…、なるほど」

 

 あ。よく見たら向こうに、しの達が居た。

 

「そういう事なら俺はお邪魔だな。頑張れよー」

 

「うん。まあ買う物はもう全部カゴに入れてあるから、後はレジに行ってお会計するだけなんだけどね」

 

 そう言ってアリスはレジに向かって行った。

 

 すると、アリスが何か紙きれを落とした。

 

「おーいアリス、これ落ちたぞー!」

 

 俺はすかさず紙きれを拾って、アリスに呼び掛けた。

 

「あ!ゴメン、ありがとうシュン」

 

「いいっていいって。気をつけろよ。…ん?」

 

 俺はふと、アリスの持ってるカゴの中を見た。

 

「なあアリス」

 

「何?」

 

「そのメモに書いてあるのカレールーだよな?」

 

 拾ったメモを見ると、買う物の絵にそれぞれ個数で表現されてあり、大根、玉ねぎ、ジャガイモ、そしてカレールーが書いてあった。

 おそらくこれは、しのが書いたのであろう。

 

 まあ、それはいいとして。

 

「……お前のカゴに入ってるの、シチュのルーだぞ?」

 

「…………」

 

 俺がそう言うとアリスは感情を無にして、

 

「わたし、実はカレー得意じゃないんだよ…」

 

 目を逸らしながらそう言った。

 

 アリスは辛いのがダメだったらしい。

 

 勇さん確か凄い辛党だった気がしたけど、これから大丈夫だろうか。

 

 ~See you, next time!~




峻が出会った金髪少女とは、一体どこの誰なんでしょうかねー(すっとぼけ)
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