きんいろモザイク ~plus α Road Days~   作:T93

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もうタイトルで言っちゃってますが、あの子が出ます。


第6話~カレン襲来~

 5月も下旬になり、心なしか気温が高くなってきた今日この頃。

 

 俺達は今日もいつもの様に学校に五人揃って行く為に、例の駅前で待ち合わせをしていた。

 

 今日は珍しく、しのとアリスが早く起きてきて早く家を出る事が出来たので、俺達三人が一番最初に着いていた。次に綾、そして陽子が来た。

 

 その最後に来た陽子からこんな話が振られた。

 

「最近よく外国人を見かける気がする」

 

 確かによく見ると今その辺りに何処かの国の外人さんが居た。

 

「アリスが来てから意識するようになったのかもですねー」

 

 しのがそう言う。それは一理あるかもしれない。

 

 …まあ、先週みたいな出会い方する事はそんなに無いだろうけど。

 

「そーいえば、こないだもこの辺りで金髪少女に会ったよ」

 

 俺が遠い目をしてると不意に陽子がそんな話をしだした。その発言にしのは「ええっ!?」と興味津々に目を輝かせていた。

 

 金髪少女ねぇ…。

 

「俺も先週、ここじゃあねぇけど金髪少女に会ったな」

 

 同じ話題だったので、俺も話に乗っかった。その発言にしのは「はぁ〜!」と更に興奮していた。

 

「その話、詳しく聞かせて下さいっ!」

 

 追求をしてきたしのに、陽子は話し始めた。

 

「んー、背はそんなに高くなかったなー。金髪ロングに灰色の瞳、パーカーを着てて…」

 

 ………………ん?

 

「なあ陽子。その金髪少女、ツリ目でお団子でヘアピンを十字にクロスして付けてたりした?」

 

「え?ああ!うん、付けてた付けてた!何?峻もその子見たの?」

 

 俺は陽子の言う金髪少女の特徴にデジャヴを感じていた。パーカーは知らんが、他の条件が一致しすぎていた。

 

 

「そうそう、ちょうどこんな感じで」

 

 陽子はそう言って、ベンチに座ってる子に紹介する様に手を向けた。

 

 その子は、金髪ロングに灰色の瞳、ユニオンジャック柄のパーカーを着ててツリ目でお団子でヘアピンを十字にクロスして付けてた金髪少女だった。

 

 …………つーか……。

 

「ていうか、その子本人じゃないの!?」

 

 綾が陽子にツッコミを入れるが、俺は今それどころじゃない。

 

 

 この子完全に、俺が先週会った女の子だーっ!?

 

 家が近所だったとはいえ、まさかこんなに早くまた会うとは思わなかった…。

 

 俺が驚いていると、しのはその金髪少女に見とれていて、アリスはというと、

 

「え…、カレン!?」

 

 そう言って金髪少女に驚いていた。

 

 ん?カレン?はて…、どっかで聞いた様な…。

 

「!アリス!!」

 

 俺が考えていると、金髪少女はアリスを見るとぱあっと笑顔を輝かせ、アリスに抱きついた。

 

「アリス、アリスー♡」

 

「カレン!!」

 

 金髪少女は嬉しそうにして、アリスは少し困惑していた。

 

 …そしてその二人に何故かしのが満足そうに抱きついていた。

 

「?誰?」

 

 金髪少女の疑問は当然だった。

 

「しのは関係ないだろ!」

 

 陽子がそう言って、俺がしのを引き剥がした。

 

「こらしの、いい金髪だったからって、いきなり初対面の人間に抱きつくんじゃない。通報されても知らんぞ」

 

「では、その時は峻君が弁護して下さい」

 

「「彼女は金髪が好きだっただけなんです」なんて弁護したくねえよ」

 

 それで許されるかどうかも怪しいが。

 

 ふと、金髪少女、アリスに"カレン"と呼ばれていた子を見ると、その子は俺の顔を見ていた。この子も俺に気づいたな。

 

「…………!」

 

 カレンはさっきアリスに向けたのと同じくらいの笑顔を見せて、次の瞬間。

 

 

「私の"王子様"ーっ!!」

 

 

 そう言って俺に抱きついて来た。

 

 

 ………………今なんて?

 

 

「「「「え──────っ!!?」」」」

 

 俺を含めた陽子、アリス、綾はカレンの行動と台詞に絶叫した。

 

 すると綾は震えながら携帯を取り出した。

 

「つ…、通報しなくちゃ…!!」

 

「ちょっと待てーっ!!」

 

 どうやら弁護が必要だったのは、しのではなく俺だったようだ。

 

 

 

九条(くじょう)カレンと申すデス」

 

 カレンと名乗る少女は自己紹介をした。

 

 カレンはなんと、アリスの幼馴染だったのだ。ていうか、この間アリスに見せてもらったアルバムに載ってた女の子だった。それで最初に会った時、何処かで見た事がある様な気がしたのか。確か日本人とイギリス人のハーフって言ってたっけ。

 

「で、貴方はこの男とどういった経緯で知り合ったの?」

 

「人を犯罪者みたいな風に言うんじゃねえっ!!」

 

 綾が失礼な事を言ってきたので俺は慌てて否認した。

 

「シュン、カレンと知り合いだったの?」

 

 ちゃんと話を聞いてくれるアリスが、穂乃花じゃねえけど天使に見えてきた。

 

「いや、知り合いって程じゃあねぇよ。こないだバイトに行く途中迷子になってたのを俺が助けたんだ。それだけだ」

 

「そうだったんだ」

 

「あの時はアリガトウデシタ!アナタがいなかったら私はあそこでロトウに迷ってまシタ…!」

 

「外人ってやつは、そういう日本語どこで覚えてくるわけ?まったく、大袈裟だって。まあ、あの時間帯に女の子一人は確かに危ないけどさ」

 

 カレンは俺に改まってお礼をしてきた。

 

 

「それで、カレンは峻の事を"王子様"って言ってたけど、まさかそれで助けられたから?」

 

 陽子がカレンに聞いた。そうだ、そこが問題だ。

 

「えーとね君?」

 

「カレンデス」

 

「じゃあカレン、あの程度の親切で王子様になれるんなら、彼女いない男なんてこの世に存在しないからね?」

 

「でも私、こういう事がきっかけでラブコメに発展していくの日本の漫画でよく見たデス!」

 

「ねぇから!漫画と現実一緒にすんな!迷子助けて恋愛に発展なん……て………………」

 

「?どうしたデス?」

 

 ………そういえば、俺がしのと会ったきっかけって、しのが迷子になってたのを助けたからだったっけ…。

 

「アヤ、シュンが何か突然遠い目しだしたよ!?」

 

「気にしなくていいわ。あれは自分で言った発言で勝手に自爆しただけだから」

 

 綾が何か言ってたが俺の耳は今、言語を上手く聴き取れていない状態である。

 

 やっぱもう少し俺、しのにアピールとかするべきだろうか…。

 

 そのしのは、俺が他の女子に抱きつかれたにも関わらず、今俺の目の前にいるカレンの後方で微動だにもせずカレンの方じっと見てるだけだし…。

 少しは気にしてくれよ。俺よりも金髪か。金髪だろうな。しのだもの。

 

 

「…えーとカレン、そろそろ聞いていい?何で日本に来たの?」

 

 微妙な空気になって堪えかねたアリスがカレンに日本にいる理由を聞いた。

 

 するとカレンは両腕を横に広げ「ブーンブーン」と言いながら小回りした。

 

「乗ってきた乗り物じゃなくて!!」

 

「船?」

 

「飛行機だろ!今ので何で船なんだよ」

 

「タイ○ニック」

 

「沈んじゃうじゃん」

 

 アリスがカレンにツッコミを入れている間、復活した俺が陽子と一通りのコントをしていると、カレンは自分が日本に来た理由を話し始めた。

 

「話せば長い話デス…」

 

 

 ~カレンの回想~

 

 

 ハワイ旅行からイギリスに帰った私は、おみやげを渡しにアリスを訪ねたら…。

 

『アリスは日本に留学に行ってるのー。ごめんねー』

 

 と、アリスママから聞かされました。

 

 アリスに会えなかった私は、仕方なく自宅に戻りまシタ。

 

 そこで私はパパにこう聞いてみまシタ。

 

『パパ、日本ってどんな所?行ったことない』

 

『日本?日本はいいぞー。パパの故郷だからな。よし、しばらく皆で日本に住んでみるか!』

 

 こうして、パパの発案で私は家族と一緒に日本に引っ越して来まシタ!

 

 

 ~カレンの回想、完。~

 

 

「という訳デス!」

 

「そんな簡単に!!」

 

「文章いくつか抜けてんじゃねえか!?」

 

 カレンの飄々とした説明に綾と俺はツッコミを入れた。

 

「因みにすぐ来れなかったのは、手続きとかに時間が掛かったからデス」

 

「そこは別にいいわ!!…つーか、アリス。お前友達に何も言わずに日本に来たのか?」

 

「だ、だって!カレン、旅行に行ってて伝えようがなかったんだもん!帰ってきたかと思えばまたすぐ別の所に行ってたし!」

 

 なるほど。アリスは携帯も持ってないみたいだしそれなら仕方ないか。

 

 それにしても、ほいほい旅行に行くといい、簡単に日本に引っ越してくるといい、住所の高級マンションといい、カレンってお嬢様なのか。……あの時結構本気で危なかったのでは。

 

「あ!シノ、そろそろ学校へ行かなきゃ」

 

 アリスが駅前の時計を見てそう言った。

 

「はっ!そ、そうですねー」

 

 アリスの言葉にしのは意識が戻ったかのように反応した。

 こいつずっとカレンの金髪ばっか見てたのか?

 

「私も今日からご学友デース!」

 

「えっ」

 

「あっ!制服!」

 

 よく見るとカレンのパーカーの下の服は、俺達が通っているもえぎ高校の制服だった。

 

「その通りデス!編入して来ましたデース!」

 

 知り合った外国人が同じ高校だったってどこまで漫画だよ。まあ、カレンはアリスを追って日本に来た様なものだから、アリスと同じ高校に通うのも不思議ではないよな。うん、俺は関係ないな。うん。

 

 

 そういう訳で、カレンは俺達と一緒に学校まで歩いていく事になった。

 

 道中何やらアリスが暗い顔をしていた。どうやら隣でしのがカレンの金髪をきらきらした顔で眺めていた事に落ち込むというか、危機感を感じていたっぽい。

 

 気持ちはわかるが数ヶ月とはいえ、友人との久々の再開にもう少し喜ぶとかないのか。

 

 そう思っていると、前を歩いていたカレンが突然こっちを振り向いた。

 

「アナタとも同じ高校だったなんて、やっぱり運命感じマス!」

 

「だから、そーいうのやめろ!!」

 

 名前は言えない特定の誰かにそう思われる危険性は御免だ!思わないだろうけど!!あっやべ、泣けてきた。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 学校に着いて、職員室に入っていったカレンが戻ってくると浮かない顔をしていた。どうやらクラスが俺達とは違ったようだ。

 まあ、この短期間に同じクラスに転校生、ましてや留学生が入ったら偏るというか贔屓みたいになってしまうから仕方がない。

 

 カレンは俺達B組の隣のA組になったらしい。ん?A組って確か穂乃花のクラスだったな。良かったな穂乃花、金髪少女とお近付きになれるぞ。だが、変にこじらせてないといいが。あいつの頭が。

 

 

 

「あれ?アリス何だか元気ないですね」

 

「そ、そんなことないよ」

 

 四時限目が終わってお昼休みになると、しのは元気のないアリスを気にかけていた。しの、原因はお前だよ。

 

 するとしのは自分の鞄から何かを取り出した。

 

「アリス、夏バテですか?夏バテには夏野菜ですよ!?」

 

「なんで生野菜持ってきてるの!?」

 

 突然生のきゅうりとトマトを取り出したしのにアリスはツッこんだ。

 

「お弁当に持ってきました」

 

「雑食すぎるわ。つーか今まだ一応5月だぞ」

 

 夏より先に来る夏バテってなんだ。

 

「アリスー!」

 

「あ!」

 

「お」

 

 廊下から元気な声が聞こえ、そこには弁当を持ったカレンが手を振っていた。

 

「アリス、来ター!」

 

 

 

 いつものメンバーに加え、カレンと一緒に昼飯を食べることになった。

 

「カレン、日本語上達したねー」

 

「毎日勉強頑張ったデスよ」

 

 アリスとカレンがそんな話をした。

 ということは、カレンはアリスと別れた僅か数ヶ月で、日本に住むために勉強して、カタコトでもアリスが称賛する程に上手くなったのか。

 なんだかんだでカレンはアリスの事大好きなんだな。

 

「カレンはイギリスで育ったの?ハーフにしてはカタコトだけど」

 

「ウン。普段はパパも英語喋ってたカラ」

 

「なるほど」

 

 ということはもしかしたらカレンのお母さんは日本語は喋れないのかもな。あの時会話に参加してなかったし。

 

「アリスくらい日本語ペラペラになりたいデス」

 

「カタコトがいいんですよ。可愛いじゃないですか!」

 

「わたしもまだまだデス。日本語難しいデス☆てへっ」

 

 カレンのカタコトにしのが気に入ってることに対抗意識を燃やしたのか、アリスがいつもの流暢な日本語はどこへやらとカタコトでわざとらしく喋りだした。

 

「アリス、お前はそのままでいいから。似たような喋り方のやつがいるといちいち文章で説明する手間が増えてしまう」

 

「わたし、たまにシュンが何の話をしているのかわからない時があるよ!?」

 

「気にするな」

 

「そういえばさ、ハーフの子って日本名でも外国名でも通じる名前の子が多いよね。リサとかナオミとか」

 

 陽子がカレンに質問した。…やっぱりいちいちめんどくせえ。

 

「パパが名付けてくれまシタ。漢字では「かれんな花だ」のカレンと書くデス。ムズかしい字デス」

 

「「可憐」ね。きれいな名前」

 

「「可憐な女の子に育つように」って意味を込めてつけたのですよきっと」

 

「シノ、わたしは?」

 

「アリスは「リスのように小さく可愛らしく」という意味ですね!」

 

「リスかー。そっかー」

 

「「あ、リス」じゃないわよ」

 

 しのの話に普通に納得するアリスに綾がツッコミを入れた。

 つーかアリス、お前はハーフじゃないだろ。

 

「峻、今誰が喋っているのかの説明少しサボってなかったかしら」

 

「あれ?結構わかるもんだと思ったがダメだった?」

 

「だからアヤもシュンも何の話をしてるの!?」

 

「アリスの台詞は色んな意味で分かりやすいから俺好きだ」

 

「どういう事!?」

 

 

 

 それから俺達は、カレンに改めて自己紹介をした。

 

「ヨーコ、シノブ、シュン、えっとー」

 

「綾よ」

 

「アヤヤ?」

 

「1文字多いわ。綾よ」

 

「……」

 

 綾の指摘にカレンは一拍置いた後、

 

「アヤヤ!アヤヤ!」

 

 気に入ったのかアヤヤと連呼し始めた。

 

「「アヤヤ!アヤヤ!アヤヤ!アヤヤ!」」

 

 そして陽子も一緒に悪ノリした。そして綾はなんかダメージを受けていた。

 

「や…やめて…」(´д`|||)

 

「しっかりしろって、アヤヤ(笑)」

 

「アンタはアヤヤ言うな!!笑うな!!」

 

 

 

「カレン、私のことは「しの」と呼んでくださいー。仲良しのあだ名です」

 

「!!」ガ━l||l(0Δ0)l||l━ン

 

 綾がアヤヤになっていた時、しのがカレンに言った一言でアリスがショックを受けていた。

 

「しゅん…」(_ _|||)

 

「呼んだ?」

 

「"シュン"の事じゃないよ!!」

 

 知ってた。

 

 アリスの時はしののあだ名はアリス自身が呼ぶって言ったのに対し、カレンはしの本人にそう言って欲しいと言われてしまったからな。それも直ぐに。ナチュラルに地雷踏むなあいつ。

 

「シノはニンジャ?壁あるける?」

 

「あー、「(しのび)」な」

 

「それはちょっと…」(´ヮ`;)

 

 しのは、かくれんぼなら得意だったがな。

 

「エー、シノできないデスかー。」

 

「そんなことないよ!シノはスゴイから何でも出来るよ!」

 

「突然どうしたアリス!」

 

「さあシノ、壁を歩いて!」

 

「ムチャブリ!!」Σ(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)

 

「落ち着け!!」

 

 アリスのやつ、切羽詰まり過ぎて混乱してやがる!

 

「どうしたのアリス…、何だか様子が変よ」

 

「えっ。変ってどんな風に?」

 

「自覚なしか」

 

「アリスはカレンに妬いてるんだよー。なー」

 

「!!」

 

 陽子がアリスに抱きついてそう言った。

 

「そうなんですか?」

 

「お前こういう時だけ鋭いのな」

 

「こういう時だけってなんだよー!」

 

「なんだろうなー。なあ綾」

 

「こっちに振らないで!」(///□///)

 

「?」

 

 三人で騒いでいると、しのは優しい微笑みで落ち込んでいるアリスの前に立つ。

 

「確かにカレンは身長も平均的ですし、アリスよりも外国人らしくて(カタコトが)魅力的です。でもアリスにはアリスの良い所がいっぱいありますよ!自身持ってください!」

 

 しのはアリスに諭すようにそう言った。

 …"ように言った"だけであった。

 

「おい綾、今のフォローになってたか?」

 

「まったくなってないわ…」

 

 だよなぁ。

 現にアリスの顔色は殆ど直っていなかった。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「うぅ…しのがカレンに取られる…」

 

 俺とアリスが自販機でジュースを買っていると、アリスがそんなことを呟いていた。

 

 しのを取り合う(?)話っぽいから、俺的には複雑な感じなんだが、落ち込んでるアリスをこのままほおっておく訳にはいかない。

 

「大丈夫だってアリス。しのは新しい金髪の子が来たらお前の事をどうでもよく思う様なやつじゃない。アリスの事も大切に思ってるよ」

 

「シュン…」

 

「それよりお前、カレン自身の事はいいのか?」

 

「え?」

 

「伝える事が出来なかったからとはいえ、お前から何の挨拶も無しにカレンはアリスと別れる事になっちまったんだ。でもあいつはお前を追っかける様に日本にやって来た。そんだけカレンは、寂しい思いをしてたんじゃねえのか?」

 

「!」

 

 俺の言葉にアリスは、ハッと気づいた様な反応をした。

 

「…お前、まだちゃんとカレンと話してないんじゃないか?」

 

「…………わたし、しのの事ばかり頭にあって、カレンの気持ち全然考えてなかったかも…」

 

 アリスは反省する様に顔を下に向けてカレンの事を考えたら。

 

「アリース!シュンー!」

 

「!カレン!」

 

 向こうからカレンが走ってきた。廊下は走るなよ。

 

「ワオ!自販機あるデス!『サー○ィーワン』あるデスカ?」

 

「『セ○ンティーン』な。ない」

 

「エ〜ッ」( -᷄ д-᷅ )

 

 カレンがガッカリしていると、アリスが意を決したようにカレンと向き合った。

 

「カレン!」

 

「?アリス?」

 

「何も言わずに日本に来て、ごめんね!どうしても日本で勉強したくて…。あとシノに会いたくて…」

 

 来日理由が絶対後者の方が本音なんだろうが、今は気にしない。

 

「カレン、会いに来てくれてありがとう。わたし、凄く嬉しかったよ」

 

「アリス…!…私も、アリスに会えてスッゴク嬉しいデース!!」

 

「わわっ!もうカレンったら〜」(*´Δ`*)

 

 アリスとカレンの二人は嬉しさを伝え、抱き合った。

 うんうん。美しきかな友情。

 

「あ、そうデス!小さい頃の約束、渡すの忘れてました!」

 

「約束?」

 

「そうデス!その心残りもあってアリス追いかけて日本に来まシタ」

 

 おお、なんか感動的な展開に。

 

「アリスからずっと借りっパナシだった鉛筆返したくて」

 

「なんじゃそりゃ!!」

 

「はげしくどうでもいいわ!!」

 

「って綾!お前いつから居た!?」

 

 いつの間にか居たらしい綾と共に俺はツッこんだ。

 

 吉○新喜劇とかだったらその場にいる全員がズッコケてたぞ。

 

「あ…ありがと…カレン…」( ̄▽ ̄;)

 

 アリスは困った様子で鉛筆を受け取った。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 放課後になり、俺達はカレンと一緒に下校していた。

 

「お家こっちデスー」

 

 途中でカレンが俺達の家の方角とは違う方を指し、そう言った。

 

「お、そっか。じゃーな」

 

「また明日ね」

 

「また」

 

「また迷子になんなよー」

 

「そうだよカレン、気をつけてねー」

 

「ハイ!」

 

 俺達はそれぞれカレンに挨拶し、それにカレンが答えた。

 

 するとカレンは何やら俺の横に近づいて来て…。

 

 

「マタ明日!ちゅ」

 

 

 カレンは俺の頬に自分の唇で触れた。

 

 

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「おい峻!戻って来い!!」

 

「これ以上ずっと「…」が続くのは、なんだかまずい気がするわ!しっかりなさい!!」

 

「はっ!?」Σ(゚□゚;)

 

 陽子と綾の呼びかけに俺は意識を取り戻した。

 

「カレン!何してるの!?」

 

 アリスがカレンに叫ぶように問いかけた。

 

「お別れのキスデス」

 

「日本人の挨拶は軽く手を振って「さようなら」だよ!もーっ!」

 

「オー、分かりまシター。でも…」

 

 俺が心を落ち着けていると、カレンが俺の方を向いていた。

 

「今のはあの時のお礼でもあるデス。シュン、皆もバイバイデース!」

 

 カレンはニッコリと笑ってそう言った後、手を振って帰路へ向かって行った。

 

「「「…………」」」

 

 俺と綾、アリスが途方に暮れていると、

 

「峻〜、役得だったな〜?」( ¯▽¯ )

 

「なっ!バッ!んな訳ねえだろ!!」

 

 陽子がからかう様に言ってきたので俺は慌てて弁解した。

 

 ……あれ?そういえばさっきから、しののやつが大人しいというか会話に入ってきてなかったというか…。

 

 辺りを見渡してみると、少し離れた位置にしのが居てこっちを見ていた。

 

 

 ………なんか、顔の影が凄く暗く、いや黒くなっている様な…?

 

 ま、まさか自分が大好きな金髪少女が俺にキスした事に怒ってるんじゃ……。

 

「お…おい、しn」

 

「峻君なんかもう知りません」

 

「(絶句)」バタン

 

「ああ!?峻が無言で倒れた!!」

 

「シュン、しっかりしてー!!」

 

「これは…修羅場なのかしら…?」

 

 ~See you, next time!~




というわけで、次回に続くカンジです。
次回はほぼオリジナルの話になります。
大丈夫かな。峻と私の文力。

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