きんいろモザイク ~plus α Road Days~   作:T93

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アニメ第3話分、ラストです。


第8話~どんなともだちできるかな~

『そっかぁ。じゃあそのお友達とは、仲直りできたんだね!』

 

「ああ。お前にも世話になった。ありがとな」

 

 しのとの一件が済み、家に帰って来ていた俺は今、携帯で、穂乃花とこんな感じのやり取りをしていた。

 

 相談にのってもらっていたので、穂乃花には伝えとこうと思っていたのだが、今日はバイトの日じゃなかったし、学校で話すと怪しまれてバイト先があいつらにバレる可能性があったので、家に帰ってきてから携帯で伝えることになった。

 

 因みに穂乃花ん家の電話番号を俺が知っているのは、バイト先に連絡したりする時の為である。

 

「今度、お礼に何かお返しするよ」

 

『そんないいよ、お礼だなんて。私は特に大した事何もしてないよ?』

 

「いや、あの時穂乃花が話を聞いてくれて、俺結構気持ちが救われたんだぜ?」

 

 今回の事は綾とアリス、そして穂乃花のおかげで仲直り出来たようなもんだ。きっちりお礼はしたい。

 

 綾とアリスには、学校の帰りに人気店のスイーツをご馳走した。結構な値段だったが、これぐらい安いもんだ。

 

『でも……、あっ。それなら峻君、今度は私の相談にのってくれないかな』

 

「ん?俺でよければ。なんだ?」

 

『九条カレンちゃんの事でなんだけど…』

 

「カレン?ああ、そういえばあいつお前のクラスに入ったんだっけな」

 

 カレンが転校してきた日にバイトが終わった後、穂乃花にカレンがクラスに入った事について聞こうと思っていたんだが、例の騒動で聞けないままだったのだ。

 

「カレンがどうかしたか?」

 

『それがね、私あの子と隣の席同士になって…』

 

「ほー、そらよかったな。お前の念願の金髪少女だぞ」

 

『その言い方、なんだか語弊があるよ!?』

 

「それで?どうした」

 

『…せっかく隣になれたんだから、仲良くなりたいと思ってるんだけど、上手く出来ないというか…』

 

「なんで?あいつ俺のとある友人と違って、人見知りする様なタイプじゃないぞ?」

 

『峻君の友人さんの突然のディスりについては置いといて…、なんだか緊張するというか、話しかけられないというか…』

 

「普通に休み時間、話してみろよ」

 

『でもカレンちゃん、休み時間とかお昼休み、どこかへ言っちゃってるし…』

 

「……あぁ……」

 

 そういえばあいつ、俺達というかアリスに会いに俺達のクラスにばっか来てたなあ。

 

「なあ、あいつお前のクラスの他の誰かとは交流してるのか?」

 

『ううん。皆も緊張してたり、話しかけるタイミングをなくしてるのかも』

 

 うーん。それ、あいつ自身にも問題があるなあ。

 

「わかった。明日カレンとちょっと話してみるよ」

 

『ありがとう!ごめんね峻君、わざわざ』

 

「気にすんな。じゃなー」

 

 俺は穂乃花との通話を終えて、明日の支度をした。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 翌日。

 

 午前の授業が終わり、お昼休みになってカレンが来たので、俺はカレンに昨日の穂乃花との話をカレンに話そうと思ったのだが、

 

「実は、クラスの子と仲良くしたいケド、うまく出来ないのデス」

 

 カレンの方からこんな悩みを打ち明けだした。

 

 カレン本人も困っていたらしい。

 

「転校生の辛い所だな」

 

「外国の方ってだけで話しかけづらいのかもです。カレンはハーフですけど、見た目は外国人オーラがバンバン出てますし」

 

 しのがカレンにそう告げる。

 

「ああ。昨日、A組にいる俺の知り合いの奴もそんな事言ってた」

 

「やはり!きっとカレンは皆さんには、動物に例えると鹿の群れにライオンがいるみたいで──……に…逃げなきゃ…」

 

「しの、その例えは間違ってる!」

 

 自分で言って勝手に怯えだしたしのを綾が宥めた。

 

「アレ?今シノが、カレンは外国人オーラで話しかけづらいって言ってたけど、それならわたしは?」

 

 先程のしのの話にアリスが疑問を感じた。

 

「アリスにもそういうオーラがあると思うが、それを気にしなくなる何かを皆、感じ取ってるんだよ」

 

「何かって何?」

 

「え」

 

 小動物とか妹って言ったら、きっとふてくされてしまう。

 

「えーと…?ほら、あの…あれだ、その……、話しかけていいよオーラ?」

 

「話しかけていいよオーラって何!?」

 

「アリス!そのオーラの出し方、私にも教えて欲しいデス!」

 

「わたし、そんなの出してる覚えないよ!」

 

 

「あ!そういえば」

 

「しの?」

 

「峻君と綾ちゃんは転校経験者なんですよ」

 

「あー。峻が小3の時で、綾が中1の時にこっちに引っ越してきたんだよな」

 

「ああ」

 

「う、うん…」

 

 陽子の問いかけに俺と綾は頷いた。

 

「oh!先輩デス!クラスの子と仲良くなるアドバイス、お願いしマス!」

 

 カレンが交流方法を「ゼヒー!」と俺達二人に求めてきた。

 

「つっても俺、転入する前にしの達と知り合ってたから、どう交流すればいいかとか分かんねえぞ?陽子達との会話の流れとかで、他の奴とも話したし。…という訳で綾、頼んだ」

 

「丸投げ!?…えーと、そ…そうね。一番大事なのは…」

 

 俺の投げやりに戸惑いつつ、綾はカレンお願いに答えようとした。

 

「…空気を読むこと」

 

「……あー…」

 

「カザミドリデスね!明日持ってきマス!」

 

「風じゃないわ、空気よ!」

 

「どうやって持って来んだ。てゆーか、なんで持ってんだ」

 

 あのマンションの何処に取り付けるんだ?

 

「でも空気を読む、か。なるほど、お前が言うと説得力あるな」

 

「シュンがそう言うってことは、アヤって空気凄く読めてたの?」

 

「いや、ああしてはいけないというお手本だったな」

 

「反面教師の方!?」Σ( ̄ロ ̄〣)

 

「転入してきたばかりの頃のあいつは終始緊張しっぱなしで、しの達の気遣いにも遠慮がちで却って距離作っちまってたんだよなあ」

 

「ゔっ。ふ、古傷が…」(_ _〣)

 

「なんかアヤが突然青ざめて震えだしたよ!?」

 

「綾ちゃん、どうしたんですか!?」

 

「あー、トラウマスイッチ入っちまったか」

 

 綾のメンドくさいモードの数ある中の一つだ。なんで幾つもあるんだよ。せめて一つにしてくれや。

 

 この後、綾が元に戻るのに3分掛かった。

 

 

 

「ごめんなさい、全然参考にならなくて」

 

「そんな事ねえよ。お前の身を削った無様な教訓はカレン達にも伝わったって」

 

「慰めてるのか、おちょくってるのか、どっちなのよ!!」

 

 綾の叱咤を受け流しつつ、俺たちは綾の転入の時の話を続けた。

 

「それであの後、陽子ちゃんが無理やり校内案内に引っ張って行ったんですよね?」

 

 しのの言う通り、転入して間もない時、孤独の道を進みかけた綾を救ったのは他でもない陽子だった。

 

 綾が(本人の意思とは別に)作ってしまった心の壁に他の人が躊躇して話しかけられなかった中、それをものともせずに陽子は綾に近づき話しかけ、綾の手を引いて学校案内をした。それはもう、まるで何処かの国の白馬に乗った王子が不幸な姫をかっ攫うかの如く。

 

 それから綾は陽子と仲良くなり、しのや周りの人達とも打ち解けるようになった。

 

「そうそう。学校に慣れるまで、ずっと私の側に居てさ」

 

「傍から見るとカルガモみてぇだった。確かお前ら、学校の帰りの途中までも一緒にいたよな?」

 

「そうなんだよ。それで綾のやつ、帰り道で別れると私の方凄く寂しそうに見つめてたし!何かもう捨てられた子犬状態で!」

 

「嘘よ!デタラメ言わないでっ!!」(*`Д´*)=3

 

 俺と陽子が綾との昔話で「アッハッハ」と談笑していると、綾が顔を真っ赤っかにさせて否定してきた。

 

「えーっ、本当だろ?なあ峻」

 

「ああ。あ、そういえばその間も無い時に陽子が風邪ひいて休んだ時に綾、この世の終わりみたいな顔をして…」

 

「わーっ!!わーっ!!黙らっしゃい!!」

 

「え?何?"黙らっしゃい"?呼び込みでもしてるの?お店でも始めたの?」

 

「ち、違うわ!!黙らっしゃいは客を追っ払う呼びかけよ!!」

 

「何の対抗してるんだお前は」

 

 俺の弄りに綾が変な抵抗を見せ、陽子が冷静にツッコんだ。

 

 

「あ。でも綾ちゃん、確かあの頃は峻君とは中々話す事が出来ませんでしたよね」

 

「ぎくっ」

 

 しのの今の一言に俺はちょっと嫌な予感がした。

 

「そうそう。綾、男子相手だと余計に緊張してたからなあ。峻が一緒の時は目も合わせること出来なかったよな」

 

 うん、そこまではいい。この話はそこまでで…。

 

「じゃあ、二人はどうやって仲良くなったの?」

 

 アリスうぅぅぅぅぅぅうっ!!悪気は無いんだろうけどっ!!

 

「あー、なんか一ヶ月ぐらいした頃急に綾、峻と普通に喋るようになったんだよなー。なんかあったのか?」

 

 陽子!お前もちょっと待て!!

 

 俺が慌てふためいていて、ふと横を見ると、綾がさっきの反撃をすると言わんばかりにニヤついた顔をしていた。おいバカちょやめ…!!

 

「ああ、それはね。私が日直の当番で朝早く学校に来た日に、同じく当番で先に登校していた峻が使われなくなった旧音楽室で告白の台詞を練習して」

 

「あ"あ"あ"あ"あ"っっ!!!!お黙らっしゃい!!」

 

「あら、峻も"黙らっしゃい"を使うのね」(¬ ͜ ¬)

 

「"黙らっしゃい"じゃねえ!"お黙らっしゃい"だっ!俺が今働いてるバイト先の挨拶じゃあ!!」

 

「嫌な挨拶ね(笑)」

 

「うっせえ!お黙らっしゃい!!」(*`Д´)ノ

 

「あんたの方こそ、黙らっしゃい!!」ヽ(`Д´)ノ

 

「峻君、告白の練習って何の告白だったんですか?」

 

「しのにだけは絶対言わん!!」

 

「ガーン!!」Σ( ꒪д꒪ lll)

 

「あ、ちょっ!違くて!」(;゜Д゜)

 

「あーあ。峻がしのを虐めた〜」( ¯▽¯ )

 

「うるせえ陽子!!」

 

「皆さん、仲良しさんデスネ〜」

 

「あははは…」

 

 俺達のやり取りにカレンはしみじみと感想を述べながら、苦笑いしているアリスと一緒に見ていた。

 

 

 

「ま、ようするにだ。空気読めない奴に空気読めない奴をぶつけたのが良かったって事だ」

 

「ひでえ言い草だ!!」

 

 俺はとりあえず、綾の転校時の話に戻して結論づけた。陽子が何か言っているがまあ無視しても問題ないだろう。

 

「まあ綾の言う通り、できるだけでも空気は読めた方がいいかもな」

 

「ナルホド!私、空気をバッチリ読んでみせるデース!」

 

「いや多分もう手遅れだよ」

 

「What's!?ナゼ!?」Σ(゜Д゜ノ)ノ

 

「隣のクラスの知り合いがこうも言ってたぞ。休憩時間やお昼休みに自分のクラスでお前の姿が見えないって」

 

「それってカレン、わたし達の教室にばっかきてるって事じゃない!」

 

「オーマイガーッ!!」ガ━∑( ̄□ ̄;)━ン!!

 

「全然読めてないわね…」

 

「話す以前の問題だったか…」

 

「転校初日に転校生に質問して話すきっかけを作るというチャンスを失っちまってた訳だ。クラスのやつもお前も」

 

「うう〜っ……」

 

 俺から聞いた事実にカレンはショックを受けていた。

 

「まあ、それで全く話せないって訳じゃあない。さっきしのが言ってた通り、お前が外国人だから距離感がまだ掴めてないってだけかもしんないぞ」

 

「そうだよ。諦めるには早いぞ!私達もいい案考えてみるから。な、皆?」

 

「ええ」

 

「カレン、頑張って!」

 

「ファイトです!」

 

「うう、アリス…。皆さん、アリガトデ〜ス!」

 

 そろそろ掃除の時間になるので、この話はひとまず終わりにして、俺達は残った弁当を食べた。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「あ、穂乃花」

 

「え?あ!峻君」

 

 掃除が終わり、五時限目の授業まで廊下を歩き暇を持て余していると、穂乃花が柱の影に居たのを見かけた。

 

「お前何してんだこんな所で」

 

「あはは、その、カレンちゃんが」

 

 穂乃花が指を指す方にアリスと話してるカレンが居た。

 

「あ、そうだ。カレンもクラスのやつと話せなくて困ってたらしいぞ」

 

「え?そうなの?」

 

「あいつも皆に話して欲しいって。会話に混ざってきたらどうだ?友達になれるきっかけになるかもしれんぞ」

 

「えええ!?そ、そんな私ごときがあの中に混ざるなんて分不相応過ぎるよ〜!それに…」

 

「それに?」

 

「二人とも、英語で喋ってるし…」

 

「……あー…」

 

 どうやらアリスとカレンは二人で喋る時は英語らしい。

 

「凄い有名人オーラみたいなのを感じるよ〜!」

 

「まあ、分からんでもない」

 

 それで隠れてたわけか。

 

 カレンのやつ、かえって話せなくしてないか?

 

「きっと私達みたいな下々の者には理解出来ないような高貴な話をしているんだろうな〜」

 

「お前はあいつらをなんだと思ってるんだ」

 

 いや、カレンは確かにお嬢様だが。

 

 それにしても、こりゃカレン自身が何とかしないと話せないかもしれないなぁ。

 

 因みにあいつらの会話(主にカレン)から「たこ焼き」とか「たい焼き」とかって単語が聞こえた気がしたから多分そんな大した話はしていないと思う。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「それでアリスったら、恥ずかしがって私と一緒にお風呂に入ってくれないんですよ。どうしたらいいですかね?」

 

「そういう話は俺じゃなくて、綾か陽子とかに聞いてくれ」

 

 そんな話をしながら、俺はしのと中庭に繋がっている渡り廊下を歩いていた。

 

「あ、カレンです!」

 

「お?ホントだ」

 

 するとしのが中庭のベンチでカレンが一人で座っているのを見つけた。

 何やら手鏡を持って、自分の顔をいじっていたようだった。

 

「おーい、カレン」

 

「!シュン、シノ」

 

「何してるんですか?」

 

「顔のマッサージか?」

 

「イエ、ツリ目だから話しかけ辛いのかナーって」

 

「なんだそりゃ」

 

 カレンから話を聞くと、しのや烏丸先生とかが周りの人からよく話しかけられてるのを見て、二人共タレ目で、ほわほわふわふわしてるから話しかけられやすいと思い、自分はそうじゃないから話しかけられないんじゃないかと思ったのだとか。

 

「シノは穏やかで話しかけやすい感じでいいデスねー」

 

「分かり合うには時間が掛かりますよ」

 

「持ってないもんに嘆くより、カレンの持ってるもんでどうにかしたらどうだ?」

 

「それです峻君!カレンは笑顔がとっても素敵!その笑顔をどんどん振りまいてみましょう!スマイル0円!」

 

「ファストフードか!でも、悪くないかもな」

 

「友達100人も夢じゃないですよ!」

 

「シノ……!」

 

 しのの言葉にカレンは感銘を受けていた。

 

「…えへ。皆、優しくて大好きだケド、シノは特別な感じするデス」

 

「!?」Σ(-д-!!)

 

「えー、テレますねぇ」(*´꒳`*)

 

 カレンの言葉に俺は動揺していた。

 

 お、おい、ま、まさかアリスに続いてカレンまでもがしのの事を……!?

 

 そんな風に俺が思っていると、

 

「あ、ソーユー意味ではないデスので、シュン、心配は無用デスヨ?」

 

 カレンがニヤニヤと笑いながら、俺にそう言ってきた。

 

「なっ!!べ、別に俺は変な心配なんかしてねぇって!!そんな心配してたのは、そこの茂みで隠れてたやつだけだって!!」

 

「バレてた!?」Σ(□`;)

 

「アリス!?」

 

 カレンが変な事を言ってきたので、向こうの茂みで盗み聞きしてたアリスに話の方向を逸らした。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 あの後、陽子と綾と合流し、俺達は渡り廊下に戻って歩いていた。

 

「カレンは部活、入らないの?」

 

 陽子が不意にカレンにそう聞いた。

 

「ブカツデスカー」

 

「部活で交流を深めるって手も有りかもなー」

 

「アリスや皆はどこかに入ってマスか?」

 

「いやー、生憎…」

 

「私達は帰宅部…」

 

「シノぶだよ!」

 

 俺としのが申し訳なく言っていると突然アリスがそう叫んだ。

 

「どうしたアリス。突然しのの本名言って」

 

「違うよ!シノ"部"!!」

 

 ああ、そういう事ね。ややこしいな。

 

「えっ、何それ!?」

 

 アリスの言葉に、綾が疑問を抱いた。

 

 冷静に考えたら確かに、なんだ『シノ部』って。

 

「シノとお話したり、お弁当食べたりする部活だよ」

 

「えっと…つまりファンクラブ?」

 

 てゆーかそれ、ただのいつもの俺らじゃね?

 

「わぁーっ。私も入りタイ〜」

 

「部長はわたしだからね!!」

 

 カレンとアリスが変な争い(?)を始めた。

 よし、俺も乗っかってやろう。

 

「じゃあ俺は"団長"な」

 

「部長よりも役職が上っぽいんだけど!?」

 

「じゃあ私は"将軍"ー!!」

 

「更に上!?」

 

 陽子も乗っかって来た。

 

「陽子に将軍は似合わないわ。せいぜい草履取りだわ」

 

「それ殆どパシりじゃねーか!!」

 

「いいじゃねえか。ゆくゆくは出世するぞ(陽子)

 

「おいこら!!今、猿って書いて陽子って読まなかったか!?」

 

「アリス、シノ部では私はどういう立場になるんでしょうか?」

 

 しのがアリスに質問をした。

 

「それはやっぱり、部で一番崇めるべき存在だから誰よりも、わたしよりも上だよ!えーと、部長よりも団長よりも将軍よりも上の、う〜ん…そうだ!シノは世界の支配者だよ!」

 

「なんだか悪役っぽくないですかそれ!?」Σ(-д-!!)

 

「フフフ…!」

 

「ん?どうしたカレン」

 

 カレンは俺達のやり取りを見て笑っていた。

 

「何か元気が出てきまシタ!今日はクラスの皆に、思い切って話しかけてみるデス!きっと、仲良くなれると思うデス!」

 

「カレン…!」

 

「そうか」

 

「頑張って!」

 

「はいデス!」

 

 そう言ってカレンは、自分の教室の方へと向かって行った。

 

「カレンならきっと、すぐクラスに馴染めるよな!」

 

「ああ。あれならもう、何の心配もいらないと俺は思うぜ、猿」

 

「うん、私も同意見…っておい!!もう、直球で「猿」って言ってんじゃねーか!!」

 

 陽子の叫びが中庭にこだました。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 今日一日の授業が終わり、HRも終わろうとしていた時。

 

「ハイハイハイ!!」

 

「ん?なんだ?」

 

「大丈夫デス、丸腰でゴザル!!」

 

 隣のA組から、カレンの声が聞こえてきた。

 

 

「私はイギリスから来ましたケド、みんなと同じ高校生デス。みんなと仲良くなりたいデス!お気軽に話してくだサイ!私もがんばるデス!」

 

 

 そんなカレンのスピーチが聞こえ、隣のクラスは少々静かになったと思ったら、拍手の音が聞こえてきて、だんだんと大きくなっていった。

 そして、A組の皆がカレンを称賛する声が聞こえてきた。

 

 どうやらカレンの作戦は、上手くいったようだ。

 

「うわー!やるなー!」

 

「ええ!」

 

 陽子と綾もカレンを称賛した。

 

「カレンってすごいですね〜」

 

「!うん!凄いんだよ、カレンは!」

 

「ん?アリス、嬉しそうだな?」

 

「えへへ、実はしのがホームステイに来た頃、その前日に緊張してたわたしに、カレンが『言葉が通じなくても、心は通じる』って言ってくれた時の事を思い出しちゃって…!」

 

「……そっか。すげーな、カレンは」

 

「うん!」

 

 アリスの返事に俺は満足気に笑った。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 放課後になり、俺達は下駄箱の所でカレンを待っていた。

 

「カレンちゃん、バイバーイ」

 

「また明日ー」

 

 カレンがA組の女子生徒達と手を振りながら別れ、こっちにやってきた。

 

「みんな話しかけてくれまシター!よかったデスー」

 

「よかったなー!」

 

「カレンは昔からハッキリした性格なんだよ。でもそこがカレンの良い所で、好きな所だよー!」

 

 アリスは誇らしげにそう言った。

 

「ありがとー!私もアリス、大スキ!」

 

 カレンはそう言って、嬉しそうにアリスに抱きついた。

 

「もちろんシノも、大大大スキー♡」

 

 今度はしのに抱きついた。なんでや。

 

「えぇーっ!ハッキリしすぎー!!」

 

 アリスは困惑した。

 しのはご満悦してた。

 

「こらカレン、あんまりアリスをからかうな」

 

 俺はカレンに注意を促した。

 

「シュンにもハグ、してあげまショーカ?」(・ω<)-☆

 

「色んな意味でやめてくれ」

 

 しのの前なのは勿論、ここは今下校する生徒でいっぱいだから、色んな人に変な目で見られてしまう。

 いや、だからって誰もいなかったら抱きついてもいいって訳でも無いのだが。

 

 

「(ん?あれは…)」

 

 俺は向こうの方で、穂乃花が少し距離がある所からこちら側を覗いているのを見つけた。

 

 ……ったく。

 

 俺は携帯で穂乃花にメールで文章を送った。

 

 穂乃花はメールに気づき、携帯を取り出して画面を見た。

 

 

『大丈夫だ。

 なんの心配も要らねえから

 勇気だしてみろ。

           by峻』

 

 

 俺が送った文章はこうだ。

 

 ちょっと余計なお世話だったかな?

 

 携帯を見た後、穂乃花は意を決したかのようにこちらに、カレンに近付いてきた。

 

「あの、カレンちゃん」

 

「ん?」

 

「……バイバイ!」

 

 穂乃花はおずおずとした感じで挨拶をして、

 

「!〜〜!バイバーイ!また明日ー!」

 

 カレンは一段と嬉しそうにして、挨拶を返した。

 

 それに穂乃花は笑顔になり、手を振って去っていった。

 

「カレン、なんかやけに嬉しそうだったな?」

 

 陽子がカレンに聞いていた。

 

「あの子……ホノカとは席が隣同士だったカラ、仲良くなりたかったデス!」

 

「へー!」

 

 ……だってさ。よかったな、穂乃花。

 

 ピロンッ

 

「ん?メール?」

 

 携帯を取り出して開くと、穂乃花からメールが来ていた。

 

 

『ありがとう。

         穂乃花』

 

 

 ……だーから俺は、なにもしてねえっつーの。

 

 

 

 

 [おまけショートこぼれ話]

 

 

 カレンがA組の皆と打ち解けてから数日経過したある日のバイトの日。

 

「それでね?カレンちゃんと一緒にファッション雑誌を読んだりしたんだー♪」

 

「そら、よかったな」

 

 俺は穂乃花と店の掃除をしながら、穂乃花からカレンとの話を聞かされていた。

 

 よっぽど嬉しかったのだろう、穂乃花は凄く生き生きと俺に話していた。

 

 それは構わないのだがただ…。

 

「それでカレンちゃんがカレンちゃんでカレンちゃんはカレンちゃんのカレンちゃんにカレンちゃんと……!」

 

 ………俺の耳にタコ…、いや、クラーケンが出来ちまいそうだったわ。

 

 ~See you, next time!~




えー、これでストックがなくなってしまったので、更新は暫くないと思います。
なるべく早く続きを投稿したいとは思ってはいますが、どうか気長にお待ち下さい。

それでは、また!
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