大切な人を護るために〜元ギャルゲーの友人役が暗殺教室へ〜   作:不幸運児

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第2話

昼休みが終わり俺は授業をあくびをしながら聞き続けている。

時間割的には国語であり、今は短歌をやっている。

 

「お題に沿って短歌を作ってみましょう。ラスト7文字を触手なりけりで締めて下さい。できた者から帰って良し!!」

「「「え〜!?」」」

 

クラス中が悲鳴が聞こえてくる。まぁ課題が課題だから難しいと思うけど。

授業中は暗殺をしないことがこの学校のルールだけど実際に破っている生徒はいる。今の所は簡単な罰則で許されている。

だからあまり穏やかな先生だと思うんだけどふと疑問がある。

 

「そういえば、タコ一つだけ疑問なんだけどさ。」

「タコってなんですか?タコって。」

「いや、だからそれ。あんたの名前ってなんだよ。いい加減名前くらい教えてくれないか?地球生まれなんだから名前くらいあるんだろ?呼び方迷うし。」

「あっ!それ私も思ってた。」

「にゅや?そういえばそうですねぇ。」

 

すると、困ったようにするタコに俺は少し違和感を覚える。

 

「本当にないのか?」

「はい。名乗る名前はないですね。皆さんが決めてください。それと不知火くんは少し聞きたいことがあるのですが。」

「ん?……ってどうせ俺の素性だろ?ままぁ俺は国が雇ってきた生徒だからだろうけど。」

「「えっ?」」

「…あれ?お前らも知らなかったのか?」

「いや、だって倉橋とかと仲いいじゃん。」

「私たちは冬休みのの間にあってるから。」

 

転入生として配属されていた時に俺はこの学校に配属されている。元々理由は知らなかったが、暗殺って聞いて少しだけため息を吐

いてしまったのは少し前の話だ。

まさか依頼内容がまた戦闘に関することではなくて暗殺だとは思ってもいなかったけど

 

「えぇ。それそれは分かりますが、なんで暗殺しに来ないんですか?」

「いや、純粋に今やっても殺せないからだけど。無理矢理やっても意味はない。それは経験上から分かるんだよ、こいつは意思がありかなり頭も回る方だ。だからかなり精密な作戦がないと殺せない。これでも荒事には慣れてるからな。どちらかと言えば戦闘だけど。」

 

昼休みに説明した内容と同じ内容を話す。実際今のところ殺せる可能性は0だろう。

 

「へぇ〜。でも、戦闘ってどんなものなんだ?」

「ん?まぁ犯罪者を捕まえたり、あとは学内でCrownってやつを競っていたな。学内最強のチームを決めるために走ったり戦ったりしてたし。」

「色々突っ込みたいところはあるけどCrownって?」

「そのなの通りだよ。クラウンは学校内での最強チームを決めるものであるんだよ。まぁ、優勝したら願いを叶えてくれるってやつだけどな。今回この学校に来たのもクエストにあったからなんだよ。報酬が高いから受けたけどまさかこんな大きな揉め事になるとは思ってなかったけど。まぁ国家に隠された一つの学校って言えば分かるか?」

「国家に隠された学園?」

「まぁ、俺と学校生活を送るとしたら嫌でも分かる。ってタコ。一応できたけど。」

「にゅや?」

「短歌。」

 

俺は軽く紙を投げる。一応今年で中3なことには学校のことには変わりはないので問題はないはず。

でも一つだけ思うのは。

 

「つーかこの学校進むスピード早すぎないか?エスカレーター式の学校でももうちょっと緩やかだぞ?」

「えっ?」

「俺のところでも約一ヶ月か二ヶ月くらいは早いと思うんだけど。」

 

得意な工学系がない分尚更。外国語の数は減ってる分楽だけど。

 

「はい。不知火くん。大丈夫ですよ。」

「ん。じゃあ帰るけど、授業中の暗殺って禁止だったよな。」

「はい。許可がない限りは禁止です。」

「了解。んじゃまた明日。先生。」

 

俺はそしてとあるクラスメイトの胸元にあるとある球体に囲いをかける。

そして俺は教室を後にするのであった。

 

 

 

クラスメイトside

 

「……なんだったんだあいつ?」

「さぁ?まぁいつものことだろ?」

 

呆れた様子のクラスメイト達はいつもの護のことを首を傾げていた。

成績は正直あまり良くない。今まで学校で習っていた範囲外だったこともあり明らかに少し授業から遅れている。

そして話題が逸れた時目の前の宿題に集中し始めた時。

一人の小柄な生徒が立ち上がった。

 

「おっ!できましたか渚くん。」

 

短冊を持って立ち上がった渚くんと呼ばれた生徒潮田渚に先生が感心したような声を掛け、クラスのほとんどが渚に視線を向けている。

ただ、皆が視線を向けているのは渚ではなく渚の手元に短冊と重ねるようにして隠し持っている対先生特殊ナイフである。

そして真っ正面からナイフを振りかぶり暗殺しようとすると触手によって塞がれた。

 

「言ったでしょ。もっと工夫を。」

 

といいかけた途端自然な流れで渚に抱きつこうとした時。

 

「えっ。」

 

渚はとあることに気づいた。元はというとこのクラスはエンドのE組と呼ばれ進学校でも差別されたクラス。自暴自棄になった渚が寺坂達の三人に持たされたBB弾手榴弾で暗殺しよう予定だったのだが。

その手榴弾が氷壁に囲まれていたのだ。そうとは知らず渚の持っている手榴弾は爆発をするためにクラスメイトの寺坂がボタンを押した。

手榴弾は起動した。したのだが熱エネルギーやBB弾が二人を襲うことはなかった。

もちろん氷壁が全てを通さなかったのだ。

 

「……おい。どういうことだよ。」

「寺坂、吉田、村松。首謀者は君らだな。」

 

声のドス黒さに俺と渚の視線は声の主に向けられる。天井に顔を向けると、そこにはキレて顔色が真っ黒になった先生が張り付いていた。

 

「えっ⁉︎ い、いや……渚が勝手に……」

 

先生の問い掛けに寺坂が誤魔化そうとした瞬間、突然ドアが開いたと思ったら表札を大量に抱えた先生が入ってくる。一瞬のうちに手には色々な四角いものをとって持ち帰ってきたらしい。おそらく表札だろう

何処かに行って帰ってきたらしい先生は抱えていた表札をその場にぶち撒けた。“寺坂”、“吉田”、“村松”当然クラスメイトの標識である

 

「政府との契約ですから君達に危害は加えませんが、次また今の方法で暗殺に来たらーーー君達以外には何をするか分かりませんよ?家族や友人、いや君たち以外を地球ごと消しますかねぇ。」

 

かなり殺気で怯むけどそれをできるのがこの怪物だろう。今現状は猶予があるだけ、みんなは既に思い知らされただろう。

逃げられる道はないと。

 

「な、何なんだよテメェ……迷惑なんだよォ‼︎ 迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよォ‼︎」

 

先生の脅しに恐れをなしたのか、寺坂君は腰を抜かして泣きながら怒鳴りつける。正直なところ迷惑なんてどころではない。俺だが寺坂の言葉を聞いた先生は真っ黒だった顔色を元に戻して更には明るい朱色の丸マークを浮かべていた。

 

「迷惑?とんでもない。アイディア自体はすごく良かったですよ。特に渚君。君の肉迫までのは自然な体運びは百点です。先生は見事に隙を突かれました。ただ、たった一人だけその暗殺に気づいていた人がいました。」

「えっ?」

「多分不知火くんでしょう。だからこそ授業中の暗殺をしたらいけないルールを言葉にしていた。だからこそ油断することなく私は教団に立っていられたのです。まぁどうやって手榴弾を氷漬けにしたのは分かりませんが。」

 

実際に氷漬けになっている手榴弾は明らかに層が分厚い。即ち渚に気づかれずに氷でコーティングしたとなると。

 

「まるで魔法みたい。」

 

誰かが答える。それに異論は唱える人は誰もいない。

 

「皆さん、人に笑顔で誇れる暗殺をしましょう。君達全員がそれができるだけの力を秘めた有能な暗殺者だ。暗殺対象である、先生からのアドバイスです。」

 

たった一人を除きクラスメイトに声をかける先生。その言葉に渚は、どこか焦りが消えたようにしていた。

 

「さて、では問題です。先生は皆さんと三月までエンジョイしてから地球を爆破します。それが嫌なら君達はどうしますか?」

 

先生から出された問題。しかしその答えは一択なので迷う余地はなかった。

先生の目の前に立っている渚がクラス全員を代表して回答する。

 

「……その前に、先生を殺します。」

「ならば今、殺ってみなさい。殺せた者から今日は帰って良し!!」

 

そして先生は表札を磨き始める。するとさっき考えていた茅野カエデが思いついたかのように呟いた。

 

「あっ。殺せない先生で『殺せんせー』は?」

 

そしてこの瞬間、護の知らないところで3-E担任こと殺せんせーの名前が決まったのである。


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