「おらあ!かかってこいやあ!」
「「「ギイイイイ!」」」
私のスキル"挑発"でモンスター達を惹きつける。
剣を振ればモンスターに当たる。
殺せ殺せ殺せ!領地を守れ!
ウオオオオ!と私が吠える。スキル"ウォークライ"だ。
味方には勇気を、敵には恐怖を与える。
弱気なモンスターは私の叫びを聞いただけで死んでしまう。
私が大暴れしている理由は、モンスターから奇襲を受けたからだ。
今回のスウォームの主は知恵者みたいだ。
祝福は恐らく策略系だろう。
◆
予定通りの日時に兵を集めて、兄上の指揮の元、私達はスウォームに向かった。
集落が出来ているという話だったので、そこに奇襲を掛ける手筈だった。
だったのだが、集落はもぬけの殻、逆に包囲される形となった私達は死地にいる。
スキル無しでぶっ殺すのが私の信条だったんだが、この状況ではそうも言っていられない。
1人でも多く家に返すために、私は、私に敵を集中させた。
「ボス!この辺は大体片付きました!」
「よし!ここは任せた!私はビヨルン様を助けに行く!」
「「「はっ!ご無事で!」」」
「お前達も死ぬなよ!死んだら殺す!」
「「「イエス!ボス!」」」
この場を離れ、兄上の部隊の元に進む。
雑魚は撫で切りだ。走りながら切り捨てる。
兄上には死んでもらっては困る。私が楽できないから。
ガキンと剣が折れる音がした。チッ、剣が逝ったか。
半ばで折れた剣を投げ捨て、拳でモンスターの顔を潰す。
幸い武器はそこら中に落ちている。
ファルシオンだかシミターだかを拾い、更に進む。
魔法は使えるが乱戦だと微妙だ。味方に当たってしまう。
モンスターを蹴散らしながら進んでいると兄上の姿が見えた。
モンスターが集っているな。
ここが踏ん張りどころだぞ。
「臆したか皆のもの!我の声を聞け!我は剛勇のアイラ!」
戦場に私の声が響き渡る。
兵士の顔に生気が戻る。もうひと押しだ。
「雑魚共!私が怖いか!大将首はここだぞ!」
「「「グイアアアアア!」」」
よし、私に注意が向いた。
モンスターが大将首を理解しているかは分からない。
恐らくスウォームの長は理解しているだろうが、末端は祝福を持たない能無しだ。
目立つ奴を優先的に襲っているだけだろう。
寄ってくるモンスターをひたすらに切り裂く。
味方は周りにはいない。魔法を使うなら今だな。
「焼け死ね!クソ共!」
「「「ギヤアアアアア!」」」
私を中心に火が迸る。火(Eldr)の魔法は強力無比。全てを焼き尽くす。
私に群がっていたモンスターは火達磨となった。
火傷を負ったモンスターなんぞ雑魚だ。
トドメは近くにいる兄上の兵士に任せよう。
「ビヨルン様!ご無事ですか?」
「いつまでも慣れんな……ああ、無事だ。助かった。」
「長の位置は掴めましたか?」
「何とかな。おい、探索魔術師、アイラに教えてやれ。」
「はっ!」
◆ ◆
スウォームの長は焦っていた。
馬鹿な人間共を罠にはめて殺すだけの筈だった。
なぜ、祝福を持ったヒューマンがいるのだ。
神は私を嵌めたのかと。そして彼の終わりがやって来た。
「やーっと見つけたぞ、クソ野郎の中の親玉ぁ。」
「ナゼココガワカッタ?」
「何で人様の言葉喋ってんだよ、てめえ?」
「グルルルル!ヒトゴトキガ、ワレニカテルモノカ!」
「でけえ体があれば勝てると思ってんの!?」
オーガ如きが図に乗るな。
お前にはスキルも魔法も使ってやらない。
スペックの違いと言うものを見せてやるよ。
・・・
剣が、拳が、長の体に突き刺さる。
その細い体から生じたとは考えられない程の威力だ。
スキルと魔法を使った形跡はない。
単純な腕力だけで長は叩き潰されていた。
「ガアアア!ナゼダ!ヒトゴトキニナゼ!」
「ピーピーうるせえなカスが!」
「てめえをぶっ殺して、さっさと女抱きに帰ってやらあ!」
アイラの袈裟斬りが長の右肩に入る。
ズルリと斜めになった長の上半身が滑り落ちた。決着だ。
勝ったのはヒューマン、負けたのはモンスター。
こうして長を失ったモンスター達は統率を失い、各個撃破されることになる。
◆ ◆ ◆
「おーい!長をぶっ殺して来てやったぞお!」
「「「うおおお!流石は剛勇!」」」
"ドサリ"とその辺に長の首を投げる。
何人死んで、何人生き残ったか。
私でも助けられる命には限界がある。
実力が無いもの、運がなかったものは優先して死んでいく。
それはしょうがない事だが、とても悲しい。
しんみりしていると兄上の先触れが来た。
ボロカスにやられたのに、いちいちそんなもの使うなよと思う。
だから実力あるのに舐められるんだよ。
今度お説教だな。兄上の嫁さんと寝ながら。
まっ、可哀想だし、一応、お出迎えの準備をしてやるか。
・・・
「皆のもの、此度はご苦労であった。」
「「「ははっ!」」」
「お前たちの尽力でスウォームによる領地への被害は未然に防がれた。」
「町に戻り次第、宴を行うゆえ、そこで各々死者への手向けを行え。以上だ!」
「「「ははっ!ヴィーキン領万歳!」」」
さーて帰って美女でも抱くかね。
死んだ部下の数だけ女を抱くのが私のポリシーだ。
女は子供を産む。
転生して戻って来れるように、抱いて寝るのさ。