蛮族クズエルフ(ハーフ)   作:おもちぴん様

2 / 8
第2話 女を抱くまで死ねない

「おらあ!かかってこいやあ!」

「「「ギイイイイ!」」」

 

 私のスキル"挑発"でモンスター達を惹きつける。

剣を振ればモンスターに当たる。

殺せ殺せ殺せ!領地を守れ!

ウオオオオ!と私が吠える。スキル"ウォークライ"だ。

味方には勇気を、敵には恐怖を与える。

弱気なモンスターは私の叫びを聞いただけで死んでしまう。

私が大暴れしている理由は、モンスターから奇襲を受けたからだ。

今回のスウォームの主は知恵者みたいだ。

祝福は恐らく策略系だろう。

 

 予定通りの日時に兵を集めて、兄上の指揮の元、私達はスウォームに向かった。

集落が出来ているという話だったので、そこに奇襲を掛ける手筈だった。

だったのだが、集落はもぬけの殻、逆に包囲される形となった私達は死地にいる。

 

 スキル無しでぶっ殺すのが私の信条だったんだが、この状況ではそうも言っていられない。

1人でも多く家に返すために、私は、私に敵を集中させた。

 

「ボス!この辺は大体片付きました!」

「よし!ここは任せた!私はビヨルン様を助けに行く!」

「「「はっ!ご無事で!」」」

「お前達も死ぬなよ!死んだら殺す!」

「「「イエス!ボス!」」」

 

 この場を離れ、兄上の部隊の元に進む。

雑魚は撫で切りだ。走りながら切り捨てる。

兄上には死んでもらっては困る。私が楽できないから。

 

 ガキンと剣が折れる音がした。チッ、剣が逝ったか。

半ばで折れた剣を投げ捨て、拳でモンスターの顔を潰す。

幸い武器はそこら中に落ちている。

ファルシオンだかシミターだかを拾い、更に進む。

魔法は使えるが乱戦だと微妙だ。味方に当たってしまう。

 

 モンスターを蹴散らしながら進んでいると兄上の姿が見えた。

モンスターが集っているな。

ここが踏ん張りどころだぞ。

 

「臆したか皆のもの!我の声を聞け!我は剛勇のアイラ!」

 

 戦場に私の声が響き渡る。

兵士の顔に生気が戻る。もうひと押しだ。

 

「雑魚共!私が怖いか!大将首はここだぞ!」

「「「グイアアアアア!」」」

 

 よし、私に注意が向いた。

モンスターが大将首を理解しているかは分からない。

恐らくスウォームの長は理解しているだろうが、末端は祝福を持たない能無しだ。

目立つ奴を優先的に襲っているだけだろう。

 

 寄ってくるモンスターをひたすらに切り裂く。

味方は周りにはいない。魔法を使うなら今だな。

 

「焼け死ね!クソ共!」

「「「ギヤアアアアア!」」」

 

 私を中心に火が迸る。火(Eldr)の魔法は強力無比。全てを焼き尽くす。

私に群がっていたモンスターは火達磨となった。

火傷を負ったモンスターなんぞ雑魚だ。

トドメは近くにいる兄上の兵士に任せよう。

 

「ビヨルン様!ご無事ですか?」

「いつまでも慣れんな……ああ、無事だ。助かった。」

「長の位置は掴めましたか?」

「何とかな。おい、探索魔術師、アイラに教えてやれ。」

「はっ!」

 

◆ ◆

 スウォームの長は焦っていた。

馬鹿な人間共を罠にはめて殺すだけの筈だった。

なぜ、祝福を持ったヒューマンがいるのだ。

神は私を嵌めたのかと。そして彼の終わりがやって来た。

 

「やーっと見つけたぞ、クソ野郎の中の親玉ぁ。」

「ナゼココガワカッタ?」

「何で人様の言葉喋ってんだよ、てめえ?」

「グルルルル!ヒトゴトキガ、ワレニカテルモノカ!」

「でけえ体があれば勝てると思ってんの!?」

 

 オーガ如きが図に乗るな。

お前にはスキルも魔法も使ってやらない。

スペックの違いと言うものを見せてやるよ。

 

・・・

 

 剣が、拳が、長の体に突き刺さる。

その細い体から生じたとは考えられない程の威力だ。

スキルと魔法を使った形跡はない。

単純な腕力だけで長は叩き潰されていた。

 

「ガアアア!ナゼダ!ヒトゴトキニナゼ!」

「ピーピーうるせえなカスが!」

「てめえをぶっ殺して、さっさと女抱きに帰ってやらあ!」

 

 アイラの袈裟斬りが長の右肩に入る。

ズルリと斜めになった長の上半身が滑り落ちた。決着だ。

勝ったのはヒューマン、負けたのはモンスター。

こうして長を失ったモンスター達は統率を失い、各個撃破されることになる。

 

◆ ◆ ◆

「おーい!長をぶっ殺して来てやったぞお!」

「「「うおおお!流石は剛勇!」」」

 

 "ドサリ"とその辺に長の首を投げる。

何人死んで、何人生き残ったか。

私でも助けられる命には限界がある。

実力が無いもの、運がなかったものは優先して死んでいく。

それはしょうがない事だが、とても悲しい。

 

 しんみりしていると兄上の先触れが来た。

ボロカスにやられたのに、いちいちそんなもの使うなよと思う。

だから実力あるのに舐められるんだよ。

今度お説教だな。兄上の嫁さんと寝ながら。

まっ、可哀想だし、一応、お出迎えの準備をしてやるか。

 

・・・

 

「皆のもの、此度はご苦労であった。」

「「「ははっ!」」」

「お前たちの尽力でスウォームによる領地への被害は未然に防がれた。」

「町に戻り次第、宴を行うゆえ、そこで各々死者への手向けを行え。以上だ!」

「「「ははっ!ヴィーキン領万歳!」」」

 

 さーて帰って美女でも抱くかね。

死んだ部下の数だけ女を抱くのが私のポリシーだ。

女は子供を産む。

転生して戻って来れるように、抱いて寝るのさ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。