モンスター征伐から1週間。私はいつも通り訓練の日々だ。
5人だ、5人。あれから5人の女を抱いた。
虚しさは残ったが、きっと祈りは届いただろう。
現金な事だが部隊の補充をしないといけない。
領内のゴロツキを集めてみたもののクズ揃いだ。
鍛えても役に立たない。
こうなりゃ余所から補充するかあ。
◆
「略奪部隊集合!」
「「「イエス!ボス!」」」
領地の外から欲しいものを奪う。
これはディナヴィアに住む者の常識だ。味方からは奪わないけどね。
海を渡り、エングランドとかいう名前の国から人と物資を奪って来るのが今回のミッション。
先に仕掛けて来たのは奴らだ。
奴らは講和と見せかけて、ディナヴィアの長であるラグナルを誘い出し、
卑怯にも蛇の巣穴に落として殺した。
やられたらやり返すのが我らディナヴィアの民。
未だにラグナルの息子達はエングランドと戦争をしている。
話が逸れたけど、要は戦争中の隙を狙って略奪するって訳よ。
海は我らの故郷。いざ行かん彼の地へ。
・・・
ここはディナヴィアの玄関口"オルボー"。
ここで最後の準備を整えて、エングランドに向かう。
いやあ各地から略奪品が集まるから、いつ来ても、ここは発展してるなあ。
おっ可愛子ちゃん見っけ。遊ばない?
いてっ!部下にどつかれた。略奪終わるまで禁欲だったね。
ごめんごめん。反省してまーす。
酒場で情勢調べてから出航しますかね。
「聞いたか?エングランドのアルフレッドのことを?」
「アルフレッドぉ?うちの父上の名前に似てるね。」
「多分ちげえやつだ。兎に角だ、アルフレッドとかいう奴が強えのなんのでビヨールやシグルドの奴が劣勢らしい。」
「はー、音に聞くあの2人がねえ……まあ私の方が強いけどね。」
「……姉ちゃん誰だ?」
「よくぞ聞いてくれました!剛勇のアイラとは私のことだ!」
「アイラか……聞いたことがあるな。」
「でしょでしょ。」
「でも剛勇とかけったいな名前じゃなくて、スケコマシとかそんなんだったぞ。」
「え、いやそうなんだけど、納得いかねえ!」
「まっ、エングランドに略奪行くなら気をつけるこった。」
「ほいほい。そんなことなら、ちゃちゃっと略奪して帰るわ。」
◆ ◆
海を渡った私達はノレッジと呼ばれている土地に来ていた。
沿岸部に町がある略奪してくださいと言っている様な土地である。
陸に上がったら早速警備隊のお出ましだ。
鎧袖一触、鍛え上げられた私達の敵ではない。
私は金とかいらないから使えそうな奴も女を攫うぞ。
こっちの子は黒髪とか赤髪の子とかいるんだよね。
ディナビアはパツキンばっかりだからな。
数時間ほど略奪した頃、領主軍が現れた。
人数が多ければ勝てるとでも思ってんのかな。
ヴィーキン領の戦士を舐めるなよ!
・・・
ノレッジ領の軍は楽観視していた。
こちらの軍勢を見れば、その人数差に奴らは怯み、許しを乞うだろうと。
現実は違った。奴らは、ディナビアの気狂い共は、逆にこちらに攻めて来たのだ。
強い、強過ぎる。特にあのエルフの女は何だ?
叫ぶ度に味方が死んでいく。
ああ、ああ、次は私の番……。
「ボス!こいつら大したことないっすね。」
「私達は日頃からモンスターと戦ってるからねえ、ヒューマン如きに遅れは取らないよ。と言うか取ったら訓練厳しくするわ。」
「それだけは勘弁!おらあ!みんなやるぞお!」
領主軍も1時間程で全滅だ。
暗くなってきたし、今日は町で寝てから、明日帰るか。
今日は誰を抱こうかなあ。あー楽しみだ。
◆ ◆ ◆
朝が来た。いつも日が昇る前に私達は目覚める。
今日も同じ様に目覚め、軍備を整える。
町の外から凄い気配が近づいているな。
アルフレッドとかいう奴か。
このまま逃げることも出来るが、それではディナビアの戦士の名折れ。
私が帰る船と船員だけ残して、後は撤退しろ。
私は挨拶に行く!
・・・
「ちっ!間に合わなかったか。」
遠くに見えるディナビア共の船を見て、私は毒づいた。
ウエスク家の5男として生まれた私は、幸運なことに上の兄達がディナビアとの戦争で戦死し、
当主となった。
そこから急速にエングランドをまとめ上げ、奴らと戦う体制を整えることが出来たが、
それは偏に祝福のお陰だ。
─戦略家の祝福、それは率いる軍を何倍にも強くする。
屈強なディナビアの戦士に太刀打ち出来る程に。
天運だと思った。私がこの島をまとめ上げろと神が言っているのだ。
考え事をしていると遠くで叫び声が聞こえる。
ふむ、あれはディナビア人か、単騎でくるとは何事だろう。
・・・
「我は剛勇のアイラ!アルフレッドとやらの顔を拝みに来た!」
「何を言うかこの野蛮人が!弓兵!弓を放て!」
顔を見に来ただけなのにご挨拶だな。
剣を軽く振り払い矢を躱す。開いた口が塞がらない様だ。
何でこんな奴らにビヨールとシグルドは苦戦しているんだ?
理解に苦しむね。それともスキルが強いのかな?
「な、なんでディナビア人は揃いも揃って化物なのだ?」
「あれは化物の中の化物ですよ!意味が分からない!」
「君たち弓を放つのを辞め給え。」
「アルフレッド閣下!分かりました!弓兵下がれ!」
あれがアルフレッドと言う奴か。
めっちゃ好みだ。女の子みたいに可愛い。欲しいなあ。
まあ、無理かなあ。
「やあ、ディナビアの戦士さん。私がアルフレッドだ。」
「アイラだ、素敵な方。私の男にならないか?」
「それは遠慮しておくよ。逆に私の女にならないかな?」
「魅力的な提案だけど、私は誰の物にもならない。」
「交渉決裂だね。」
「ああ、私は領地に帰るよ。」
「許すとでも?」
「誰にも許しは乞わない。それがディナビア人の戦士だ。」
「だろうね。いつか戦場で。」
「戦場で。」
こうして、アルフレッドとの短い邂逅は終わった。
私は町に留めてある船に戻り、領地に帰りましたとさ。
戦果は上々。女に労働力(男)、剣に鎧、色々だ。
オルボーで換金して、暇な戦士達を買ってきた。
え?エングランド人を使わないのかって?
あいつら弱兵だから、金に変えてディナビアの戦士を雇った方が良いんだよ。
ちなみに女の子達は父上に没収された。メイドにするらしい。
怒りで気が狂いそうだったけど、父上のメイドは私のメイドでもあるから許してやった。