へんたい賢者はメイド幼女に踏まれたい   作:ももいっぷ

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VS メスガキ②

 

 金髪サイドテールにフリフリの漆黒ドレス。大人を挑発するような表情――メスガキは、確かに存在した。

 しかし油断ばかりしてられない。気を抜けばあっという間に持っていかれそうだ。

 

 そんなの、そんなの……勿体ない!

 

「ねぇお兄さん? もしかして、こんな子供相手に緊張しちゃってるの~?」

「フ……どうかな」

 

 早速こちらを挑発するフリフリちゃんを軽くいなす。

 目的は一つ、出来るだけ耐えて出来るだけ楽しむこと……!

 

「ぼくはそこらの素人とは違う。君はやり過ぎたんだ、あまり大人を舐めない方がいいと思うけどね?」

「ふーん。じゃあ、試してあげるっ」

 

 彼女がそう言うと――瞬き一つしない内に懐に潜り込まれる。

 予想外に驚異的な身体能力に驚く間もなく、ふにふにと柔らかそうな唇をぼくの耳元に近付け、

 

「ほんとはこーふんしてるんでしょ? へーんたい♡」

 

 ふ――――――――――――――――――――。

 

「ダメだ。全然響かないね」

「……せめて腰の震えを抑えてから言わないと格好つかないと思う♡」

 

 ぼくの足腰は生まれたての小鹿の様に震えていたが、まだかろうじて立っている。大人の威厳は保てているつもりだ。

 

 確かに、興奮はする……。けど、普段からアリスちゃんに似たような事言わせてるせいか、まだ耐えられる。

 それにぼくだって考え無しにここに立っている訳じゃない。

 

 ふん。

 少し全身に力を加えると、悠々と興奮も収まり徐々に震えも引いていく。

 代わりに漲ってくるのは昨晩ひたすら放出した魔力。

 

「なっ……! 他の人はみんな、これで堕とせたのにっ」

 

 フリフリちゃんの悔しそうな声。弱すぎるだろこの町の男ども!

 全く、同じ大人として情けない。不本意ながらここはぼくが分からせてしまう事にしよう。

 

「しかたない、こうなったらさっきの奴みたく――」

「だめだめ、こういうのは没収ね」

「へっ? ……あっ、返してっ!」

 

 ぼくの手には先ほどまで彼女の手に握られていた、小さな身体には不釣り合いな古びた剣が収まっている。

 

 フリフリちゃんの手が届かないように高く掲げると、ぴょんぴょんと一生懸命高くジャンプしている。かわいい……。

 

「子供がこんなの持っていたら危ないよ? いくら鞘が付いているからって、うっかり怪我でもしたら」

「う、うるさいっ! かえして、かえして!」

 

 先程までの威勢はどこへやら。こうしてみると、アリスちゃんをからかうのとそう変わらないようにも思えるね。

 

「あはは。そんなちっちゃな身体じゃさすがに届かないよ!」

「だめ、ほんとに返して……!」

「まあぼくは小さくても良いというか、むしろその方が良いというか」

「かえして……よぉ……」

 

 途端に落ち込んだ様子を見せ、ついにはぴょんぴょんと飛ぶ事もやめその場にへたり込むフリフリちゃん。

 

 ううん、さすがに幼女からおもちゃを取り上げるのはやり過ぎだったかな?

 ぼくはいじめられるのは好きでも、逆はそうじゃない。

 この子も反省しているみたいだし、と仕方なく剣を返す。

 

「……ばーか♡」

 

 しかし、その時を待っていたとばかりに剣をひったくると、再び距離を取られる。

 

「警戒心よわよわ♡ こんな泣き真似ひとつで騙せちゃうなんて甘すぎっ」

 

 やはりその身体能力は子供には余るものだ。ギルドでだって、鞘付きの剣を片手にこんな華麗な身のこなしをする冒険者は見たことが無いってくらいに。

 

「……君の望みは? 一体何者で、どうして町の大人を、それもぼくの様な同士(へんたい)ばかり襲うんだい?」

「わたしに勝てたら教えてあげるっ」

「ふむ」

 

 彼女はやはり、鞘付きのまま剣を構える。

 相手が子供だとか、そんな事実とは関係なく実力者だ。しかし子供相手に手を出すなんて言語道断。二つのジレンマがぼくをせめぎ合う。

 

 うぅ、でもやっぱり、アリスちゃんくらいの子に手を出すなんてぼくには……。

 戦う気満々のフリフリちゃんには悪いけど、今すぐ睡眠魔法を使用して眠らせちゃおうかな。

 

「……ちなみに、ぼくが負けたら?」

「んー? じゃあ、わたしのワンちゃんとして首輪着けて飼っちゃおうかな~♡」

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

「さあ! どこからでも掛かって来い!」

 

 睡眠魔法? そんなの外道だ! 一人の男としてこの勝負、正々堂々と受け止める! それが大人だろう!?

 

 ……次の瞬間には大きく跳躍して剣を振りかざしてきたフリフリちゃんを、ぼくは大手を広げ余裕の表情で迎え討つ――

 

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