物語シリーズを東方キャラでやるやつ   作:はうでぃ

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苗字呼びも名前呼びも、しっくりこない。


このCP、扱いが難しい

 夏休みのことである。

 私は魔法使いに襲われた。

 民間人が月着陸船を打ち上げ、スマホの普及率が9割を超えたこの時代に、恥ずかしくってもう表に出られないくらいの事実だが、とにかく、私は魔法使いに襲われたのだ。

 奇妙な、女の子だった。

 ただ、知識を求める少女だった。

 日陰に生きる、少女だった。

 そんな訳で、人間を卒業した私は、外見が変化した。純日本人の両親を持つはずの私の黒い目は金色に変色し。黒い髪もこれまた金色へと、ついでにセミロングくらいの長さだったのが、ロングまで伸びた。

 そりゃあクラスメイトも驚く。普通の女の子してた私が、夏休み開けたら真っ金々になってるんだから。

 

 ちなみに、魔法使い=金髪金眼ということではない。

 紫色のアイツが言うには、

 

「魔法使いになったから姿形が変わるわけではないわ。そこに直接的な因果関係は存在しない。ただ、あなたは間違いなく人間から魔法使いになった。見えない部分は大きく変化しているのよ。だというのに、表出しているアバターに一切の変化が現れないというのは辻褄が合わないのよ。設計図が変われば、出来上がるものは当然別物になるわ。その変化は様々よ。それがあなたの場合は、眼と髪に表れた。髪が少し長くなったけれど、霧雨魔理沙のエイドスに大きな変化は起こらず、一部分のヒュレーが変質した。人間風に説明するとこういう感じかしら。むしろその程度で済んでよかったと思いなさい」

 

 だ、そうだ。

 殴りかからなかった私を褒めてほしいね。

 

 外見以外にも、本能や生態にも変化はある。むしろこっちの方が大きい。今の私に睡眠と食事は必要のないものだ。不老になったから子孫を残す本能もない、つまり性欲も消えたと思われる。三大欲求がないってことは、人間じゃないってことの証明になるかな。

 ちなみに三大欲求っていうのは日本特有の表現だ。世界では五大欲求とか七つの大罪とかが有名だな。私が海外に行けば、半分くらいは人間になる、と言えるかもしれない。

 

 閑話休題。

 

 紫の魔女に襲われた私だったが、胡散臭いスキマ女に助けられた。助けられた、というのはしっくりこないが。正確に言うなら、彼女の縄張りで、彼女の法律に違反したから、違反者は取り締まりを受けた。それだけの話。私は勝手に助かっただけだ。

 命は助かったが、人間に戻ることはできなかった。

 

「――八雲?」

「ああ。八雲紫(やくもゆかり)

「八雲紫、ね。まるで人間みたいな名前をしているのね」

「......言われてみれば確かにそうだな。なんでだ?」

「知らないわよ。自分で考えなさい」

「苗字があるってことは家族とか、同じ姓を名乗るものがいるのか?それとも人間の真似をしているのか」

「考えてないでさっさと行くわよ。もう、いつになったら着くのよ」

「お前が言ったんだろ......。もうすぐそこだ」

 

 博麗から凶器を取り上げた後。

 彼女の症状に1つ心当たりがあった私は、彼女に付いて来るように言って学校を後にした。

 私たちが通う御伽(おとぎ)高校から歩いて二十分くらい行った先、町から少し外れた位置にあるのは、廃品回収場だ。

 トラックが入るところは見たことが無いし、おそらくはもう使われていない放置された場所と思われる。辺りには本棚や冷蔵庫、電子レンジ、ソファなどの粗大ごみが山積みにされていて、ゴミの山が敷地内にいくつも出来上がっている。

 板囲いにある看板やフェンスが、中に入るなと言っているが、そんなものに効力は一切ない。人もめったに立ち寄らないここは、自由に出入りできる。

 この廃品回収場に――八雲紫は住んでいる。

 と言っても、実際にここで暮らしているわけではない。ここはいわば玄関のようなものだ。

 

「ほれ、着いたぞ」

「ただのゴミ置き場じゃない。悪の結社の秘密基地にしてはダサいわね」

「用があるときは此処に来いって言われてんだよ。てか、黒幕云々の話はもうやめろよ」

「いいわ。仕切り直しね。私の武器を返してもらおうかしら」

「なにもよくねえよ!イーブンな状況に戻してから再戦しようとするな。面の皮厚過ぎだろ」

「これで1対1。どう?降参する?」

「これまでずっと私たちしかしなかっただろ。なんなら、これから一人増えるから2対1だっての」

「くっ!嵌められた!」

「お前さては余裕あるな?」

 

 あの時垣間見えた焦りはどこへ行ってしまったのか。

 

「ああ、そうだ」

 

 飛び出た骨組みやささくれ立った木製の家具に服をひっかけないように気を付けて歩く。そこかしこに散らばるゴミや木材の破片を避けて、()()()()()を見つけたところで、私は博麗を振り向いた。

 

「お前、あのゴツイ針以外に武器持ってないだろうな」

「え?」

「預かるから、出せ」

「は?あ?」

 

 法外な要求を受けたという顔をする博麗だった。あんた頭おかしいの?何?あ?やんのかこら?あ?とでも言いたげな感じだ。

 

「八雲紫は、なんというか、胡散臭いやつだけど、一応、私の恩人だ」

 

 恩()じゃないけど。細かいことはどうでもいい。

 

「その恩人に、危険人物を合わせるわけにはいかないから、なんか持ってるなら出せ。私が預かる」

「ここに来てそんなことを言うなんて」

 

 博麗は私を睨む。

 

「あなた、やっぱり私を嵌めたわね」

 

 そこまで言われるようなことかあ?

 まあぶっちゃけ、いらん気遣いな気はしている。アレは一人間の手に負える存在ではない。博麗が予備の針を隠し持っていて、それを使って刺し殺すべく滅多刺しにしたところで、どうにかなる類の生物ではないのだ。

 だからこれは、そういうポーズを取っているだけな訳で。別に渡さないでも、持ってないと嘘を吐くでも私としては一向に構わなかったが、しかし、やがて博麗は、「わかったわよ」と、覚悟を決めたように、言った。

 

「受け取りなさい」

 

 そして、彼女はポケットやスカートの中のから、彼女が思う武器を取り出して、私に手渡した。

 本当に他にも持っていたらしい。

 奪った物と同じ大きさの針。縫い針よりも少し大きいくらいの針。

 そして、一見して武器には到底見えない、白黒の勾玉を組み合わせた図柄をしたビー玉サイズの玉と、朱色の墨でふにゃふにゃした字が書かれたお札も。

 ......彼女が銃刀法違反の基準を超えているのか、法律に詳しくない私は知らんふりをするとして。ビー玉とお札は、なんだ、これ。

 武器、何だろうか。

 

「勘違いしないでね。別に私は、あなたに気を許したという訳ではないのよ」

 

 すべてを渡しに渡し終えた後で、博麗は言った。

 

「気を許したわけではないって......」

「もしもあなたが私を騙し、こんな人気のない廃墟に連れ込んで、仕返しを企んでいるというのなら、それは筋違いというものよ」

「......」

 

 いや、筋はものすごく合っていると思う。

 

「大丈夫だって......余計な心配はするな」

 

 信頼関係は無いに等しいが、まあ、仕方がない。

 ここから先は、博麗一人の問題だ。

 私はただの、案内人である。

 

 預かった武器をカバンに詰め込んで、前を向き直る。そして、目的のモノに近付く。

 壊れたブラウン管テレビ。

 そのスイッチを押した。

 線はどこにも繋がっていない。繋ぐ先があっても、背面からいろいろ出てはいけないものがこぼれているコイツでは関係ないだろう。

 

「ねえ、何してるの」

「さあな」

 

 実際のところ、私も何をしているんだろうと思っている。だって、おそらくこの行為に意味はないから。

 ダイヤルを回す。

 

「奴が言うには、こーゆー演出は大事にしないといけないらしい」

 

 意味はないけど、力を持つものが、無理やり意味を与えることはできる。

 

 ――ブツッ。

 

 動くはずのない壊れた機械から音が聞こえた。

 周囲のゴミ山を反射して映していた画面に砂嵐が灯る。

 カラーバーが目まぐるしく色を変え、ザーッ、という音がクレシェンドを効かせ、視覚と聴覚がおかしくなるんじゃないかと思った時。

 

 ぐぱり、と。

 

 空間にスキマが開いて。

 私と博麗は気味の悪い裂け目に呑み込まれた。

 

 少女移動中

 

 裂け目を抜けた先が雪国、なはずもなく。薄暗い、壁も天井も無い空間だ。どこまでも広がってそうな床には、先ほど見た目玉型をした裂け目が無数にあって、それぞれが統一感の無い景色を映していた。

 空中にも、星が(またた)くように、なんていったら星に謝らないといけないかもしれない。それくらい気色悪い(まばた)きをする裂け目が、これまた数えきれないほど開いている。

 

 「ようこそ、私のスキマへ。歓迎するわ」

 

 と。

 スキマの怪物、八雲紫は、そこにいた。

  

 部屋?の真ん中に廃品置き場で見覚えがある形をした、ゴージャスなソファが一つ。

 そこに腰掛け、初めて見た時と変わらない胡散臭い笑みを浮かべる、パッと見同い年くらいの少女。

 

 対して、博麗は――。

 

「趣味悪」

 

 ――相も変わらず、マイペースな奴だ。

 一応事前に伝えてあったとはいえ、この世界観、あの怪しさを前にして己を貫く度胸とは。

 やはり私の知る人間ではないのでは......?......やっぱ異世界人なのかなあ。

 

「霧雨魔理沙。確かに私は用があったら来なさいとは言ったけれど、そうポンポンと気軽に来てもらっても困るわ。あれは一種の社交辞令よ。手土産をもって来訪する点は評価してあげるけど」

「やめろ、私をお前らと同じように言うな」

「ふうん――あら?」

 

 八雲紫は。

 博麗を、遠目に眺めるようにした。

 その背後に、ナニカを見るように。

 

「......初めまして、お嬢さん。八雲です」

「あんたがコイツの言ってた胡散臭い奴?聞いてた通りの胡散臭さね。驚いたわ」

「あら、そう」

 

 本当に物怖じしない奴だな。

 無意味に毒舌ではないと信じたかったが、誰彼構わずこの態度を貫くとは。

 

 八雲紫は、意味ありげに頷く。

 手元のスキマから扇子を取り出し、優雅に開いた。口元が隠れて、表情が目元からしか読み取れなくなった。ただし、彼女から受け取る印象は変わらない。むしろ一層胡散臭さが増したような気さえする。

 たっぷり間を開けてから、私を向く。

 

「私好みの子を見繕ってくれたのかしら、霧雨魔理沙」

「だから私をお前らと一緒にするなって言ってるだろ。そもそも好みってなんだよ。見た目か?それとも味か?」

「さて、ね」

 

 八雲紫は笑った。

 その笑い声に、博麗は眉を顰める。

 味という単語に気分を害したのかもしれない。

 

「えっと――まあ、詳しい話は本人から聞いてもらえばいいとして、とにかく、八雲――こいつが、1年前くらいに――」

「こいつ呼ばわりとか、あんた何様よ」

 

 博麗は毅然とした声で言った。

 

「じゃあ、何て呼べばいいんだよ」

「博麗さま」

「......」

 

 この女、正気か。

 

「......ハクレーサマ」

「片仮名の発音はいただけないわね。ちゃんと言いなさい」

「霊夢ちゃん」

 

 目を突かれた。

 

「失明するだろうが!」

「失言するからよ」

「なんだその等価交換は!?」

「アンモニア4L、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g、硝石100g、イオウ80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、殺意40㎏で、私という人間は錬成できるわ」

「ほとんど殺意じゃねえかよ!ん?ということはお前の体重は46」

「死ね」

「あっぶね!殺意の割合もうちょっと高いだろ!」

 

 その辺で満足したらしく、博麗は、ようやく、八雲紫に向き直った。

 

「そんなことより」

 

 魔法使い、霧雨魔理沙から、視線を移した。

 

「私を助けてくれるって、聞いたんだけど?」

「助ける?それは無理な話です」

 

 八雲紫は茶化すような、胡散臭い口調で言った。

 

「あなたが勝手に一人で助かるだけよ、お嬢さん」

「......」

 

 おお。

 博麗の目が人殺しの目になっていく。

 あからさまに訝しんでいる。

 

「あんたふざけてんの?ぶっとばすわよ。そこの金色女は助けたんなら、一人や二人増えても変わらないでしょ?」

「あら、おめでたい人ねえ」

 

 だから何でお前はそんな挑発するような言い方をするんだ。それが効果的な相手もいるのだろうけれど、しかし博麗に限っては、それはない。

 挑発には先制攻撃をもって返すタイプだ。

 

「まあまあ、落ち着けって」

 

 やむなく、私が仲裁に入った。

 二人の間に、強引に割り込むようにして。

 

「余計な真似を。殺すわよ」

「......」

 

 当然のように殺すって言った。

 やっぱあのレシピ、お前を錬成するのには殺意足りねえよ。

 

「まあ、何にせよ」

 

 八雲紫は対照的に、気楽そうに言った。

 

「話してくれないと、話は先に進まないわね。読心は私の領分ではなくってね。それ以上に対話が好きなのよ、根がお喋りなものでね。とはいえ秘密は守るわよ。話す相手もいないし平気よ平気」

「......」

「はあ。まず、私が簡単に説明すると――」

「いいわ」

 

 博麗が、またも、大枠を語ろうとした私を遮った。

 

「自分で、するから」

「博麗――」

「うるさい。自分でできるっての」

 

 そう言った。




魔理沙と紫って、なんかCP要素あります?
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