物語シリーズを東方キャラでやるやつ   作:はうでぃ

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創造主にのみ許される権能(タイトル)

句読点の打ち方バグってるでしょ。


雑にレイマリのための設定を付け加える

 二時間後。

 私は、胡散臭いスキマお化け、八雲紫と別れて、博麗の家にいた。

 博麗の家。

 石ころ荘。間抜けな名前だ。

 木造アパート二階建て、築三十年。シャワー、水洗トイレ備え付け。六畳一間。1K。最寄りの駅まで徒歩十五分。

 手狭ではあるが、生活していくのに必要な環境は最低限整っている。

 阿求が言っていた通り、アパートで一人暮らしをしているらしい。

 じろじろ建物を見ていた私を見て、博麗は、

 

「私の実家は社家(しゃけ)でね。ここからちょっと離れたところにある神社がそうなの」

 

 と、訊いてもいないことを説明した。

 言い訳でもするように。

 

「だから物心が付く頃には、作法とか礼儀を教え込まれたわ。口に出して言われたことはないけど、継いでほしいと思ってたんじゃないかしら。私もそのつもりだったわ。だから教えられたことはちゃんと覚えて、小学生になったら仕事の手伝いも始めた。中学でも部活に入らず、家のことばっかりやってたわ」

「へー。なんか、意外だな」

 

 今日の博麗からは想像もできない。神様に唾でも吐いてそうなイメージがある。

 

「私はそれでよかったんだけどね。でも、両親はそう思わなかったみたいで。閉じた世界で生きる必要は無いとか、いろいろ見てからでも遅くないとか。とにかく神社のことは一度忘れて、見分を深めなさいって話になったのよ」

「それで、ここに?」

「ええ。実家が神社である以上、家を離れないと始まらないから。家賃とか、実家との距離とか、いろいろ考えた結果、ここで一人暮らしをする羽目になったのよ」

「ふーん」

 

 一人暮らし故の面倒事を思ってか、博麗は眉尻を下げて溜息を吐いている。

 が、それにしては大して拒否感のようなものを感じなかった。

 

 ......。

 

「一人暮らしをさせられて、不満か?」

「うーん、どうかしら。まあ面倒は多いわ。家事は全部自分でやらなきゃいけないしね」

「じゃあ」

「でも、これが私を思っての行動だってのは理解しているもの。お金も多めに送ってもらってるし、それ以上の文句はないわ」

 

 自然と、そうなったのだろう。ふわりと、笑っていた。

 その顔を見れば、口だけでなく本心からそう思っているのだと、否が応でもわかる。

 彼女を包む温かくて、柔らかい雰囲気は家族を思い出しているからか。それとも()()()()()()()が出ているのか。どちらか、どちらもなのか。私にはわからない。

 

「......なんか柄にもないこと言った気がするわ。さっさと入りましょ」

 

 気恥ずかしくなったのか、アパート前で立ち止まるのをやめて、博麗は建物横の階段へと歩き出した。

 すると当然、()()()()()()()()()()、強制的に彼女の後を追うことになった。

 

 ともかく。

 ともかく、私は――博麗の家、石ころ荘の二〇一号室に招待された。

 

「さて、それじゃあやることさっさと済ませましょうか」

 

 やることというのは、シャワーである。

 体を清めるための、禊だとか。

 八雲いわく、冷たい水で体を洗い流し、新品でなくともよいから清潔な服に着替えてくるように――との、ことだった。

 要するに私はそれに付き合わされているという訳だ。

 

 博麗はカバンを置いて、シャワーがあると思われる方向へ歩く。そうすれば、やはり()()()()()()()()()()()わけで。

 

「ちょ、ちょいちょいちょい!」

「っと!......なに?」

「いや、なに?じゃなくてだな」

「あー?シャワーの前になんかやることあったっけ?」

 

 いや、ない。

 体を清めて、清潔な服に着替える以外の指示は受けていない。

 受けていないが。

 

「いや、お前、()()()()

「はー?なんでよ。あんたも一緒に入るのよ」

「は!?それこそなんでだよ!私は別に身を清める必要ねーだろ!」

「それはそうだけど。でもそうしないと、シャワー中、()()()()()()()ことになるじゃない」

「そ、れはそ、うだけど!たった数分だぜ?待ってる間は、できるだけ()()()()()()()()()から。それでいいだろ」

「ダメ。今日で決着付けるんだから。やれることは全部やるのよ!だから!うだうだ言ってないで!あんたも入るの!」

「うわなにをするやめ――」

 

 年頃の少女二人の、あられもない姿を詳しく描写する訳にもいくまい。

 ので。先刻の、八雲の言葉を、回想した。

 

(さとり)

 

 博麗が、事情を――というほど、長い話ではなかったが、とにかく、抱えている事情を、順序だてて語り終わったところで、八雲は、「成程ね」とうなずいた後、しばらく扇子で口元を隠して目を閉じてから、ふと思いついたような響きで、そう言った。

 

「悟り?」

 

 博麗が訊き返した。

 

「美濃や飛騨に住んでいて、第三の目を使って、人の心を読むと言われているわね。細部はいろいろばらつくことがあるけれど、共通しているのは、人の心を読む――ってところね。覚に出会った人間は、心に思ったことを次々と言い当てられて、考えることができなくなり、最終的に心を奪われてしまう。そうね」

「心を――」

 

 奪われる。

 意識を――奪われる。

 

「心ではなく、目玉を奪うなんてお話もあるみたいだけれど。あれは全く別のお話ね」

「じゃあ――博麗に何かしているのは、その覚ってやつなんだな?」

「そうでもあるし、そうでもないわね」

「は?」

 

 いたずらっぽく笑みを浮かべる八雲。

 

「ある日覚と出会い、そこで心を奪われて、今日までふらふらと、体だけが生きてきた。というのなら、そうなのでしょう」

 

 しかし、と扇子をピシャリと閉じて、博麗を指す。

 

「今日までずっと取り憑かれ続けて、心を無くし、しかし今日、ふと、何かの拍子に心を取り戻した。というのなら、そうではないわ」

「......うーん。もうちょっとわかりやすく言えないのか?」

 

 クスクスと笑う表情だけ見れば、言葉遊びを楽しむ童女なんだが。その正体は、そんななまっチョロいもんじゃないからなあ。

 

「つまり」

 

 静かに、話を聞いていた博麗。

 目を閉じ、顎に手を当て、口を開く。

 

「何も奪われてなんか、なかったのね」

「――お見事」

 

 八雲は一瞬、面食らったような表情をした後、再び満面の笑みを湛えた。

 あんな表情、初めて見たな。

 というか、だ。

 

「おい、一体何だと言うんだ?」

「おかげで犯人がわかったのよ。あなたは無駄じゃなかったの」

「いや、犯人は分からないけど。取り合えず、分かったことはある」

 

 博麗は目を開いて、私を見た。

 

「その覚とかいうやつに、私の心を奪われたのなら。今、私の意識が戻っているのは、おかしいってことよ」

「――そうか」

「だって、誰も取り返してなんか、いないんだから」

 

 確かに、その通りだ。

 奪われたものは、取り返さないと戻ってこない。今日、偶然、覚とかいうやつが、気まぐれで返却に来た、なんて馬鹿な話はないのだから。

 

「――ってことは」

「ええ。そもそも奪われた、という考えが間違ってたのよ」

「じゃあ、いったい」

 

 ――奪われたと思われた、博麗の心はどこにあったのか。

 

 私と博麗は、八雲の方へ向いた。

 八雲は、満を持して、といった風情で話し始めた。

 

「まあ、お嬢さんが行き遭ったのが覚だというのは間違いないわ。けれど、今回のは少し変わった子ね。言うなれば、心を閉ざした覚、かしら」

 

 心を閉ざした。

 心を見て、心を止め、心を奪う。心の化物が。

 

「たまーにいるのよ。変わり者がね。酒に弱い鬼、群れない天狗、社交的な魔女。今回のは、そういうの」

 

 鬼。天狗。

 気になる言葉が出てきたが、後回しにするべきだろう。

 

「それで?」

「第三の目を閉じた。そうすると、まず、心を読む能力は失われるでしょう。......ここからは正直、個人差。どういった変化を遂げるのかは未知数ですが」

 

 そういう割には悩む素振りすら見せない奴だ。

 

「聞いた話をもとに考えれば、失った能力の代わりに――()()()()()()()()を手に入れた、と考えるのが筋でしょう」

 

 ――無意識。

 目を閉じて、心を閉じて、心が読めなくなった。他人の意識が分からなくなった。

 意識を無くした。転じて、無意識を得た。

 

「変わり者の覚に取り憑かれたあなたは、無意識を操られ、その心を失った。いえ、失ったのではなかったわね。ただ、意識できなくなっただけ」

「意識できなくなった、だけ......」

「そして、浸食が進み、あなたを知覚することは誰にもできなくなった。だって、無意識だもの。視界に入っても、路傍の石ころのように思われていたでしょう。思われることも、なかったでしょう」

「......」

「勿論、あなた自身も、自分を見失った」

 

 ――そういうことか。

 今日一日、ずっと考えていた。どうしてこんなに目立つ奴が、目立ってないのだろうか、と。

 端から認識されていなかったのだ。道端の石ころの形が、美しい正二十面体だったとしても、人はそのことに気付かない。拾い上げて、すげー!と誰かと話し合う、なんてことはしない。

 

「でも、あなたは運が良かったわ」

「はあ?運がいい、ですって?この話のどこがよ!」

「だって、運命の王子様が見つけ出してくれたのだから」

 

 運命の王子様、とかいうのは無視するとして。

 

「そういえば。私は普通にお前が見えたんだったな。あの時はまだ、無意識に操られてたはずなのに」

 

 浮いて、笑って、発光した瞳が、その証拠だ。

 浸食具合は、今日が一番深刻だったはずだ。なぜならずっと取り憑かれているのだから。

 だというのに、今まで気付かなかった私が、今日は気付いた。

 とすると、要因は他にある。

 そして、それは一つしかない。

 

「――私が、魔法使いに、なったから、か」

「その通り。魔法使いというのは、ありとあらゆる事象を()()ではなく()()する。主観的な知覚に頼らず、客観的な観測をもって、世界を捉える。そこに意識は介在しないわ。只人が路傍の石に気を止めなくても、魔法使いは違う。()()()()()()()という事実を、ただ記録するのよ」

 

 そうだ。私は、魔法使いなのだ。

 夏休み前と、後で違うことと言ったら、それしかない。

 

 ......。

 

「ついでに訊きたいんだが。偉大なる魔法使い様の貴重な記録によると、博麗は取り憑かれた後も毎日欠かさず学校に来てたらしいんだ。これはどういう理屈なんだ?」

「どうもこうも、偉大なる魔法使い様の貴重な記録にそう記されているのなら、それが事実なんでしょう。無意識って言うから分かりづらいかもしれないわね。そうね。この場合は習慣、とでも言い換えましょうか。習慣もある種、一つの無意識よ」

 

 そういわれると、確かにそうかもしれない、と思う。

 長年やってきた習慣は、いちいち考えて、意識してやるものではない。半ば無意識化で行う。

 博麗も小学校、中学校と9年間続けてきた、平日は学校に登校する、という習慣を、無意識に守り続けてきたのだ。

 日本の義務教育の勝利だな。

 

「今日の朝、あなたと目が合った時に、私は目覚めたわ」

 

 博麗が、私を見てそう言った。

 

「けれど、微かに意識が戻っただけ。寝ぼけてる様な感覚だったわ。体は勝手に動いていた」

「ふむ。私がお前を意識したことで、無意識の影響が小さくなった、ってところか?」

「たぶんそういうこと。で、HR(ホームルーム)が終わって帰ろうとしてたの。すると、廊下の途中で、それまで以上に意識がはっきりした。体の制御権も僅かに戻ってきたわ。そのおかげで、私は廊下であなたを待つことができた」

「ほー。そういうことだったのか」

 

 ってことは、だ。

 

「阿求だな」

「あきゅー?」

「うちのクラスの委員長だよ。そいつと博麗について、話をしたんだ」

「私のことについて話したってことは、二人の人間が私を意識した、ということね」

 

 博麗は満足したように頷いた。いろいろと納得できることがあったのだろう。

 私も、阿求の話を思い出して、腑に落ちるところがあった。

 

「博麗さんのことなら、霧雨さんの方がよく知っているのでは?」「同じクラスになって半年も経ってないんですよ?」「1年生の時に何度か声をかけたことがありますが、」

 

 いやいや、あの人間観察変態女が、だぜ?1学期間も時間があって、一切の情報を掴んでないなんてこと、ありえないんだよ。あの時感じた違和感は、見当違いなんかじゃなかったんだ。

 

「さて」

 

 ピシャンッ!

 と。

 

 扇子を閉じる音に、注意が向く。

 八雲がソファに横向きに寝転がっていた。

 

「大抵の疑問は解けた頃合いでしょうし、そろそろこの話もお終いにしましょう」

「お終い?」

「ええ。博麗さん。心を取り戻したいというのなら、力になりましょう。元々私の頼みで連れて来られたのですし」

「助けてくれる、ってことね」

「助けません。力は貸しますが」

 

 そうですね、といつの間にか、手に握っていた懐中時計を確認する八雲。

 

「まだ日も出ていますし、いったん家に帰りなさいな。それで、体を冷水で清めて、清潔な服に着替えてきてくれる?こちらはこちらで準備しておくので。霧雨魔理沙の同級生ということは、ごく普通の高校生ってことなんだろうけれど、お嬢さん、夜中に家を出て来れますか?」

「平気よ。それくらい」

「なら、夜中の零時ごろ、もう一度ここに集合ということで、いいですね」

「いいけど――清潔な服って?」

「新品である必要はないですが。制服というのは、いただけませんね。毎日着ている物でしょう」

「礼は?」

「はい?」

「とぼけてんじゃないわよ。ボランティアで助けようってわけじゃないんでしょ?」

「ふむ」

 

 八雲はそこで、私を見る。

 そこの説明はしてなかったか、とでも言いたげだ。

 

「いえ。これは私にも利がある話ですので、お代は結構です」

「......怪しいわね」

「詳しい話はあとで、霧雨魔理沙に訊きなさい。彼女には理由を教えています」

「あっそ。ならいいわ」

 

 博麗は話は終わりだと言わんばかりに、踵を返した。

 いや、ここスキマの謎空間だから、自由に出ていけないぞ。

 

「ああ、そうだわ。ひとつ言い忘れてたことがあるの」

 

 博麗を追っかけて、私もこの空間を後にする動きをしていたところ。

 八雲が、それはもうわざとらしく、手を合わせたりしながら、最後に言ってきたのだ。

 

「博麗さん、今あなたの意識がはっきりしているのは、そこの魔法使いの意識が、あなたに強く向いているからよ」

「それはもうわかってるわよ」

「つまり意識がはっきりしていればいるほど、取り憑いているものを引き剥がしやい状態ということでもあります」

「そういうこと、になるのか?」

「ええ。けれど、そこの魔法使いの意識が、あっちへそっちへ飛んで行ってしまうと、夜になる頃にはまた、あなたは無意識に囚われていることでしょう」

「......それは困るわね」

 

 ......なんか、嫌な予感がするな。

 

「安心してください。解決策はありますから」

「何?勿体ぶらずに早く言いなさい」

「無理やり意識させてあげればいいんですわ」

「おい」

 

 無理やりってなんだよ。

 

「......例えば?」

「すぐ思いついた簡単な方法は、手を握る、とかかしら。魔法使いの性質上、あなたの手の感触を常に記録し続けるはずよ」

「その言い方を辞めろ!なんか変態っぽいだろうが!」

 

 そんなの、まるで阿求じゃないか!私はあんな悪趣味女とは違う!

 

「......なるほど」

「は、博麗?き、気にすんなって。私たちで遊んでるだけさ」

「でも、理論上間違ったことは言ってないわよね?」

「い、いや、それは、」

「触覚以外の五感もフルに活用したら、無問題(もうまんたい)ね。匂いを嗅がせて、声を聞かせて、目に焼き付けて、味を教えて――」

「黙れ黙れ!用は済んだんだ!さっさと帰らせろ!」

 

 そして――。

 そして、二時間後――今現在、だ。

 博麗の家。浴室の中。

 

「――ちょっと。今シャワー浴びてて、目見えないんだから、体が触れてなきゃだめなのよ。コラ!逃げるな!」

「ちょ、濡れる!濡れるから!」

「だったら服脱いで入りなさいってば!」

「い・や・だ!」

 

 ――まあ、そういうわけだ。




「おい、一体何だと言うんだ?」
「おかげで犯人がわかったのよ。あなたは無駄じゃなかったの」
「いや、犯人は分からないけど。取り合えず、分かったことはある」

これとか永夜抄の会話をそのまま入れてたりする。
にわかだから、これくらいしか絡められんけど。
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