お待たせしました、新しいIFの物語です。
時系列的にはドラゴンボールGTの後日譚、神龍と共に悟空がいなくなった世界にゴクウブラック&ザマスが襲来したら……という設定です。
悟空Jr,、ベジータJr,、そして110歳となったパンの時代の間の物語です。
GT後日譚 邪神襲来!! 立ち向かう戦士たち 序章
これは"悟空たちがビルスと出会った歴史"とも、"未来トランクスが人造人間を倒した未来"とも、"ザマスがゴクウブラックになった世界"とも違う、とある世界が発端の話である。
「増えすぎた時の指輪……よもやこれほどの力を持つ人間がいたとは」
彼──ザマスが"孫悟空"の存在を知ったのは、第10宇宙の界王神だったゴワスから奪取した時の指輪により、過去に
人間ゼロ計画を遂行するため、ゴワスを殺害したザマスであったが、この世には第7宇宙のビルスを筆頭に、厄介な強者たちがたくさん存在している。そのため今の自分の力では計画は完遂できないと感じたザマスは、時の指輪を用いて強力な戦士を探したのだった。
──そしてザマスは、"孫悟空"にたどり着いたのだった。
神の気を纏ったスーパーサイヤ人に変身する事ができる孫悟空の肉体に着目し、ザマスは超ドラゴンボールに願って悟空の肉体を奪取する。
「さて、次はどの世界の人間を滅ぼしてくれようか……」
"ゴクウブラック"は既に一つの世界から、人類を抹消していた。
界王神たちを強襲して全ての破壊神を抹消した上で、人造人間を破壊したトランクスがセルに殺されたため、第7宇宙には誰も戦士がいない世界で全人類を完全に滅ぼした。
だがゴクウブラックとザマスの計画はまだ終わらない。
「全ての時空から人類を抹消するのか?」
「当然だろう……この世界での戦闘で、孫悟空の肉体で戦うコツは掴んだ。不死身となった貴様と二人でなら、全時空から忌々しき人類を抹消する事ができるはずだ」
「人間ゼロ計画はこれから……ということだな」
不敵な笑みを浮かべるゴクウブラックとザマスは、全ての時空に存在する人類を絶滅させる事を計画する。
そして次に彼らが選んだ世界は──。
◇ ◇ ◇
「いってきます!!」
「気を付けて行くのよ、パン」
朝、学校へ行こうとするパンを、母親であるビーデルが笑顔で送り出す。
そしてパンは教科書や文具が入ったリュックを背負い、高速の舞空術でサタンシティにある学校に向かって飛び立った。
──邪悪龍たちとの戦いから1年。
悟空の失踪により、一時は落ち込んでいたパンも12歳となった。
サイヤ人の特性ゆえか、外見上はさほど宇宙を旅していた頃や、邪悪龍たちと戦った頃と変化がなく、周囲と比べて成長が遅い事をパン自身も気にしているが、それを除けばお転婆なのは相変わらずであった。
「パンはもう学校に行ったのかい?」
家から出てきたのは、ノートパソコンの入ったカバンを持った孫悟飯であった。
彼も邪悪龍との戦いの頃から、容姿に変化はない。
「いま学校に行ったところよ」
「それにしてもパンも今年で小学校は最後か、時の流れの速さを感じるよ」
「もう。あなた、最近発言がおじさん臭いわよ?」
「ははは……。っと、いけない。僕もそろそろ行かなきゃ」
「今日は学会で発表よね?」
「うん。この研究もだいぶ大詰めだし、きっと学会にセンセーショナルを起せると思う」
「信じているわ、頑張ってね」
「ありがとう。ビーデルさん、行ってくる」
そしてビーデルが見送る中、悟飯も空へと飛び立っていく。
「ビーデルさ、悟飯とパンちゃんはもう行っただか?」
ちょうどそこへ現れたのは、父の牛魔王と共に車に乗って現れたチチであった。
巨体の牛魔王は、その剛腕に大量の野菜を抱えていた。
「ほれ、うちで採れた野菜。おすそ分けだべ」
牛魔王が抱えていた袋を、切り株の上に置いた。
「まあ、ありがとうございます。お義母さん、お
「悟天のおかげで今年は豊作だよ」
「悟天くん、すっかり農家さんやってるのね」
「当然だ、働かざる物食うべからず。悟飯は立派に学者やってるが、悟天はフラフラしてて何もしないから、農業は修業にもなるし、ちょうどいいべ」
あの後、悟天は相変わらずフラフラしていたものの、遂に覚悟を決めて交際していたパレスにプロポーズをした。
だが結婚する事をチチに報告した結果、働いてもいない悟天が結婚など言語道断だと言い、相手の両親に挨拶をする為にも職が必要だとして、パオズ山に畑を作らせて農業に従事させたのだ。
(父さんだって働かないで修業ばっかしてたのに……)
悟天はそう文句を覚えつつも、パレスとの結婚を機に彼なりに"家庭"というものを意識するようになったおかげか、今では真面目に農業を営んでいるらしい。
そんな時だった。
「やっほー!!」
飛行機が飛んできたと思いきや、中からブルマが手を振りながら降りて来た。
「あらブルマさん、久しぶりだなー」
「おはようございます、ブルマさん」
「暇になったから遊びに来ちゃったわ、都からお茶持って来たわよ」
カプセルコーポレーションの切り盛りは現在、トランクスがメインとなっており、ブルマも暇な時間が増えたため、こうして時折チチやビーデルに会いに来ている。
「会社はもうトランクスに任せても大丈夫だか?」
「ええ。まだ時々サボる事もあるみたいだけど、あの子前より真面目よ」
「悟天くんもだけど、子供の頃から見てる身としては感慨深いわね」
「そうね、変わってないのはベジータくらいよ。あいつまったく働かないで、孫くんが居なくなる前より過酷なトレーニングしてるんだから」
「やれやれ、ベジータさは相変わらずだな」
「いいじゃないですか。いつまでも若々しいってことで」
「ほんっと。もう年齢的にはおじいちゃんなのに、見た目まで若いままで羨ましいわ」
元々自分の容姿に自信を持っていたブルマにとって、目に見えて老いていく自分と、若い時間が長いサイヤ人の特性によって未だ若々しいベジータを比べると、時々ため息が出る事もあった。
──悟空がいなくなっても、日常は続いていく。
「社長、この後はレッド製薬との商談があります。車の用意はもうできています」
「ご苦労。それじゃあ、行こうか」
「若社長、今日もカッコいいわ!!」
「ほんと、最近さらに男気が増した気がするわね」
──邪悪龍たちとの死闘によって勝ち得た平和。
「ふぅ~、今日の収穫完了っと……」
「悟天さま~。お食事が出来ていますわ」
「わかったよー、今行く!!」
──戻ってきた日常。
「はあ!!」
「ちょちょちょ!? 18号!! 準備運動もなしにいきなりなんだよ!?」
「また殺されないように、アンタを定期的に鍛えてやんないとね!!」
「ほぉ~、今日も精が入ってるのぉ」
──それぞれの生活。
「フフフ……ここが孫悟空のいない世界か」
──それが崩れ去ろうとしている事など、この時はみんな誰も知らなかった。